SunVTS 4.2 テストリファレンスマニュアル

第 43 章 Remote System Control テスト (rsctest)

rsctest は、RSC (Remote System Control) 機能を検査します。この機能は、Sun Enterprise 250 だけでなく、Sun Fire 280R 製品ラインとともに発売された次世代 RSC 2.0 プラグインカードにも組み込まれています。

RSC は、システムの監視、ファームウェアの更新、障害の回復において、安全な遠隔アクセス機能を提供します。RSC は、内部シリアル回線 (2 つ) と I2C バス、リセット回線を使用してホストと通信します。

RSC 1.0 ハードウェアは、コントローラ、フラッシュ、SEEPROM、10 Mbps Ethernet ポート、外部コンソール用シリアルポートによって構成されます。

RSC 2.0 プラグインカードハードウェアは、コントローラ、フラッシュ、SEEPROM、10Mbps Ethernet ポート、FRUSEEPROM、TOD (Time Of Day) デバイス、内部 PCMCIA モデムカード、およびバッテリーバックアップによって構成されます。

rsctest は、スケーラブルテストではありません。

rsctest のサブテスト

rsctest は、テスト対象の RSC ハードウェアのバージョンによって、実行できるサブテストとオプションが異なります。

RSC 1.0 と 2.0 の両方に共通のサブテストには、以下のものがあります。

表 43-1 RSC 1.0 と 2.0 の両方で実行できるサブテスト

サブテスト 

説明 

Ethernet 

ユーザーが指定したデータ、サイズ、パケット数を使用して、Ethernet デバイスで内部ループバックテストを実行します。ユーザーが指定したデータ、サイズ、パケット数を使用して、外部ループバックテストを実行します。このテストを実行するには、RSC 1.0 では 10MB のハブまたはスイッチに、RSC 2.0 では受動ループバックコネクタに接続する必要があります。指定したホストに ping を送信し、応答を検査します。RSC 2.0 でのみ、PHY チップへの追加の内部ループバックテストを実行します。 

Flash CRC 

フラッシュデバイスで検査合計テストを実行します。 

SEEPROM CRC 

SEEPROM デバイスで検査合計テストを実行します。 

Serial 

ユーザーが指定したデータおよびサイズを使用して、2 つの内部シリアルポートで内部ループバックテストを行います。 

 

外部 ttyu ポートで、内部または外部テスト、もしくはその両方を実行します。外部テストでは受動ループバックコネクタが必要です。

rsctest を RSC 2.0 ハードウェアで実行すると、以下のサブテストも行います。

表 43-2 RSC 2.0 でのみ実行できるサブテスト

サブテスト 

説明 

FRU SEEPROM CRC 

SEEPROM デバイスで検査合計テストを実行します。 

I2C 

ホストと RSC との間の I2Cバス接続をテストします。 

TOD 

TOD デバイスに対して複数の読み取りを行い、読み取り時間が増加していることを確認します。 

Modem 

モデムが接続されていることを確認します。冗長モードで製造情報を表示します。AT 照会コマンドを実行します。 

これらのサブテストは、RSC ファームウェアに含まれる固有のリアルタイムオペレーティングシステム (RTOS) で作成されたテスト modlet を呼び出します。rsctest のサブテストは、テスト modlet を実行し、パラメタを渡し、ホスト上のテストプロトコルを使用して結果を RSC から RSC 内部シリアル回線に取り出します。

rsctest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.2 ユーザーマニュアル』を参照してください。

図 43-1 rsctest のテストパラメタオプションダイアログボックス

Graphic

表 43-3 rsctest のオプション

オプション 

説明 

Enet test 

RSC Ethernet テストを有効または無効にします。 

Data Pattern Type 

テストに使用するデータパターンとして Sequential、Random、その両方のいずれかを選択します。 

Packet Size 

すべてのテストで送信するデータパケットのサイズを指定します。 

Num Packets 

1 つのテストループで送信するデータパケット数を指定します。 

Target Host 

ping テストで使用するホストの IP アドレスを指定します。  

Enet Test Type 

Enet テストタイプとして、Internal、External、PHY(RSC 2.0のみ)、ping テストを選択します。すべてのテストを選択することもできます。 

Flash test 

フラッシュの検査合計テストを有効または無効にします。 

SEEPROM test 

SEEPROM の検査合計テストを有効または無効にします。 

FRU SEEPROM test 

FRU SEEPROM 検査合計テストを有効または無効にします (RSC 2.0 のみ)。 

TOD test 

Time Of Day テストを有効または無効にします。 

I2C test 

I2C テストを有効または無効にします (RSC 2.0 のみ)。 

Serial test 

RSC シリアルテストを有効または無効にします。 

Data Size 

送信するデータサイズを指定します。 

Loopback Type 

Internal、External、またはその両方を選択します。External には、ループバックコネクタが必要になります。 

Data Pattern Type 

テストに使用するデータパターンとして Sequential、Random、またはその両方を選択します。  

Serial Test Type 

テストするシリアルポートして u to u、c to c、d to d のいずれかを選択します。 

TTYU_Baud 

ttyu ポートのテスト用に、固定ボーレートまたはすべてのボーレートを選択します。 

Modem Test 

RSC PCMCIA モデムテストを有効または無効にするために使用します (RSC 2.0 のみ)。 

rsctest のテストモード

下記の表に示すように、rsctest は、接続テスト (Connection Test) および 機能テスト(Functional Test) モードの両方に対応しています。

表 43-4 rsctest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テスト 

○ 

RSC の状態を報告します。 

機能テスト 

(オフライン) 

○ 

RSC の Ethernet、フラッシュ、SEEPROM、シリアルデバイスをテストします。 デフォルトでは、これらのすべてのテストで内部モードが使用されます。コンソールの出力先が RSC に変更されている場合、rsctest は ttyc に対してシリアルテストを行いません。ttyu に開いているログインがある場合、ttyu テストは実行されません。

機能テスト 

(オンライン) 

× 

サポートされていません。 

rsctest のコマンド行構文

RSC 1.0: /opt/SUNWvts/bin/rsctest 標準引数-o enet=E/D,epattype=seq+rand,esize=パケットサイズ, epkts=パケット数,target=IP_アドレス,etest=I+E+P,flash=E/D, seeprom=E/D,serial=E/D,sdatsize=データサイズ,slb=I+E, spattype=seq+rand,stest=u_u+c_c+d_d,ttyubaud=ボーレート|all

RSC 2.0: /opt/SUNWvts/bin/rsctest 標準引数 -o enet=E/D, epattype=seq+rand,esize=パケットサイズ, epkts=パケット数,target=IP_アドレス, etest=I+E+PHY+P,flash=E/D, seeprom=E/D,fruseeprom=E/D,tod=E/D, i2c=E/D,serial=E/D, sdatsize=データサイズ,slb=I+E,spattype=seq+rand, stest=u_u+c_c+d_d,ttyubaud=ボーレート|all,rscmodem=E/D

表 43-5 rsctest のコマンド行構文

引数 

説明 

enet=enable|disable

RSC Ethernet テストを有効または無効にします。 

epattype=seq+rand

Enet テストに使用する既定のパターンオプション 

esize=パケットサイズ

Enet テストで使用するパケットのサイズ 

epkts=パケット数

Enet テストで送信するパケット数 

target=IP アドレス

Enet の ping テストの宛先システムの IP アドレス 

etest=Internal+External+Ping(RSC 1.0)

etest=Internal+PHY+External+ Ping (RSC 2.0)

RSC Enet テストのテストモード 

flash=enable|disable

RSC フラッシュの検査合計テストを有効または無効にします。 

seeprom=enable|disable

RSC SEEPROM の検査合計テストを有効または無効にします。 

fruseeprom=E/D (RSC 2.0 のみ)

RSC FRU SEEPROM 検査合計テストを有効または無効にします。 

tod=E/D (RSC 2.0 のみ)

RSC Time Of Day テストを有効または無効にします。 

i2c=E/D(RSC 2.0 のみ)

RSC i2c テストを有効または無効にします。 

serial=enable|disable

RSC シリアルテストを有効または無効にします。 

sdatsize=data_size

RSC シリアルテストで使用するデータサイズ 

slb=Internal+External

ループバックタイプ。C と D ポートに対しては、External を選択することはできません。 

spattype=seq+rand

RSC シリアルテストに使用する既定のパターンオプション 

stest=u_u+c_c+d_d

RSC シリアルテストに使用するポート構成を指定します。 

ttyu_baud=ALL|指定ボーレート

RSC のコンソールポートのテストに使用するボーレートを指定します。 

rscmodem=E/D

RSC PCMCIA モデムテストを有効または無効にします。 


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。