Solaris 8 のソフトウェア開発 (追補)

ネットワーク統計

Solaris ネットワークドライバは統計変数を実装しなければなりません。一部のネットワーク統計については、GLD 本体で記録されますが、他のネットワーク統計は GLD ベースのドライバごとにカウントする必要があります。GLD は、GLD ベースのドライバによるネットワークドライバ統計の標準セットのレポートをサポートします。統計は、kstat(7D) および kstat(9S) メカニズムを使用して、GLD が報告します。DLPI コマンドの DL_GET_STATISTICS_REQ を使用して、現在の統計カウンタを検索することもできます。統計は特に指定が無い限り、いずれも符号無しで維持され、32 ビットです。

GLD が維持および報告する統計は、次のとおりです。

rbytes64

インタフェース上で正常に受信したトータルのバイト数 (64 ビット)

rbytes

インタフェース上で正常に受信したトータルのバイト数

obytes64

インタフェース上で送信を要求したトータルのバイト数 (64 ビット)

obytes

インタフェース上で送信を要求したトータルのバイト数

ipackets64

インタフェース上で正常に受信したトータルのパケット数 (64ビット)

ipackets

インタフェース上で正常に受信したトータルのパケット数

opackets64

インタフェース上で送信を要求したトータルのパケット数 (64 ビット)

opackets

インタフェース上で送信を要求したトータルのパケット数

multircv

グループおよび機能アドレスを含め、正常に受信したマルチキャストパケット (long)

multixmt

グループおよび機能アドレスを含め、送信を要求したマルチキャストパケット (long)

brdcstrcv

正常に受信したブロードキャストパケット (long)

brdcstxmt

送信を要求したブロードキャストパケット (long)

unknowns

どの Stream も受け付けなかった有効な受信パケット (long)

noxmtbuf

送信バッファが使用中だった、または送信バッファを割り当てることができなかったために、出力で廃棄されたパケット (long)

blocked

キューがフロー制御にされていたために、受信パケットを Stream に格納できなかった回数 (long)

xmtretry

リソース不足のために送信が遅延された後で、送信が再試行された回数 (long)

promisc

インタフェースの現在の「プロミスキュアス」状態 (文字列)

デバイス依存型のドライバは、次の統計情報をカウントし、専用のインスタンス別構造体でその記録を保管します。統計情報を報告するように求められた GLD は、gld(9E) に記述されているように、ドライバの gldm_get_stats() エントリポイントを呼び出して、gld_stats(9S) 構造体のデバイス固有の統計情報を更新します。GLD は次に、以下に示す名前付き統計変数を使用して、更新された統計情報を報告します。

ifspeed

ビット/秒で表したインタフェースの現在の帯域幅の見積り (64ビット)

media

デバイスが現在使用しているメディアタイプ (文字列)

intr

割り込みハンドラが呼び出され、割り込みが要求された回数 (long)

norcvbuf

受信バッファを割り当てることができなかったために、有効な着信パケットが廃棄されたことが判明している回数 (long)

ierrors

エラーが含まれていたために処理できなかったトータルの受信パケット (long)

oerrors

エラーが原因で正常に送信されなかったトータルのパケット (long)

missed

受信時にハードウェアによってドロップされたことが判明しているパケット (long)

uflo

送信時の FIFO アンダーフロー回数 (long)

oflo

受信時の受信側オーバーフロー回数 (long)

次の統計グループは、DL_ETHER タイプのネットワークに適用されます。これらの統計は、前述のように、そのタイプのデバイス固有のドライバによって維持されます。

align_errors

フレーム指示エラーの起きた受信パケット (オクテットの整数ではない) (long)

fcs_errors

CRC エラーの起きた受信パケット (long)

duplex

インタフェースの現在の二重モード (文字列)

carrier_errors

送信試行時にキャリアが失われたか、または全く検出されなかった回数 (long)

collisions

送信時の Ethernet の衝突 (long)

ex_collisions

送信時に発生した衝突が多すぎて、送信エラーとなったフレーム (long)

tx_late_collisions

遅れて (512 ビットタイム) 発生した送信衝突の回数 (long)

defer_xmts

衝突は発生しなかったが、メディアがビジー状態だったために最初の送信試行が遅延されたパケット (long)

first_collisions

1 回の衝突だけで正常に送信されたパケット

multi_collisions

複数の衝突が起きたが正常に送信されたパケット

sqe_errors

SQE テストエラーが報告された回数

macxmt_errors

キャリアおよび衝突エラー以外の送信 MAC エラーが検出されたパケット

macrcv_errors

align_errorsfcs_errorstoolong_errors 以外の、MAC エラーが起きた受信パケット

toolong_errors

許容される最大長を超えていた受信パケット

runt_errors

許容される最小長に満たなかった受信パケット (long)

次の統計グループは、DL_TPR タイプのネットワークに適用されます。これらの統計は、前述のように、そのタイプのデバイス固有のドライバによって維持されます。

line_errors

非データビットまたは FCS エラーのあった受信パケット

burst_errors

ハーフビットタイマー 5 回の間に変位が発生しなかったことが検出された回数

signal_losses

リングでシグナル損失状態が検出された回数

ace_errors

AMP フレームの介入の無い、別の同様の SMP フレームが続く、A、C が共に 0 の AMP または SMP フレームの数

internal_errors

ステーションが内部エラーを認識した回数

lost_frame_errors

送信中に TRR タイマが期間満了した回数

frame_copied_errors

このステーション宛てのフレームが、FS フィールドの「A」ビットを 1 に設定して受信された回数

token_errors

アクティブモニターとして動作しているステーションが、トークンの送信を必要とするエラー状態を認識した回数

freq_errors

着信信号の周波数が予期された周波数と異なっていた回数

次の統計グループは、DL_FDDI タイプのネットワークに適用されます。これらの統計は、前述のように、そのタイプのデバイス固有のドライバによって維持されます。

mac_errors

別の MAC ではエラーが検出されず、この MAC ではエラーが検出されたフレーム

mac_lost_errors

フレームが取り除かれるなどのフォーマットエラーが起きた受信フレーム数

mac_tokens

受信トークン数 (制限無しと制限付きの合計)

mac_tvx_expired

TVX が期間満了になった回数

mac_late

この MAC がリセットされて以後、またはトークンの受信以後、TRT が期間満了になった回数

mac_ring_ops

リングが「Ring Not Operational」状態から「Ring_Operational」状態になった回数