リムーバブルメディアの管理が Solaris 8 6/00 リリースで拡張され、この機能についてのマニュアルの記述が Solaris 8 10/00 リリースでも更新されました。次に記述する情報は、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』の「CD とフロッピーディスクの使用方法 (概要)」の章のリムーバブルメディアの管理についての情報を補足するものです。ファイルマネージャを使用してこの機能を管理する方法については、『Solaris 8 デスクトップユーザーズガイド (追補)』の「リムーバブルメディア」を参照してください。
最新のマニュアルページを参照するには、man コマンドを使用してください。Solaris 8 Update リリースのマニュアルページには、「Solaris 8 Reference Manual Collection」には記載されていない新しい情報も提供されています。
Solaris 8 6/00 ソフトウェアリリースではボリューム管理機能が向上し 、リムーバブルメディア (着脱式媒体) を完全にサポートするようになりました。この拡張により、DVD-ROM、Iomega と USB (Universal Serial Bus) の Zip ドライブと Jaz ドライブ、CD-ROM、およびフロッピーディスクは挿入時にマウントされ、読み取ることができるようになりました。
共通デスクトップ環境 (CDE) のボリューム管理と Solaris のコマンド行機能が Solaris 8 6/00 リリースで更新されました。
ボリューム管理の機能の向上によって、次のことが可能になりました。
リムーバブルメディアのフォーマット、ラベル付け、および読み取りまたは書き込みソフトウェア保護の設定。新しい rmformat コマンドを使用します。このコマンドは以前にリムーバブルメディアのフォーマットに使用していた fdformat コマンドに代わって使用するものです。
リムーバブルメディアへの PCFS ファイルシステムの作成と検証。mkfs_pcfs コマンドと fsck_pcfs コマンドを使用します。
SPARC システム上のリムーバブルメディアへの fdisk パーティションと PCFS ファイルシステムの作成。IA システムへのデータ転送を容易にします。
リムーバブルメディアを使用する場合、次のガイドラインがあります。
DVD 媒体間でデータを転送するときは、UDFS と PCFS を使用します。
書き換え可能媒体 (UFS ファイルシステムを持つ PCMCIA メモリーカードやフロッピーディスクなど) 間でファイルを転送するときは、tar または cpio コマンドを使用します。SPARC システム上に作成された UFS ファイルシステムは、IA システム上に作成された PCMCIA またはフロッピーディスク上の UFS ファイルシステムとは異なります。
Jaz ドライブや Zip ドライブ、またはフロッピーディスク上の重要なファイルを保護するには、書き込み保護を設定します。Iomega 媒体にはパスワードを適用します。
リムーバブルメディア上の情報にアクセスするには、ボリュームマネージャを使用する方法と使用しない方法があります。ファイルマネージャを使用してリムーバブルメディア上の情報にアクセスする方法については、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』の「ファイル・マネージャでのリムーバブル・メディアの使い方」を参照してください。
Solaris 8 6/00 リリースから、ボリュームマネージャ (vold) ですべてのリムーバブルメディアデバイスを動的に管理できるようになりました。これに伴い、/dev/rdsk/cntndnsn や /dev/dsk/cntndnsn などのデバイス名でのリムーバブルメディアへのアクセスは、できなくなります。
ボリュームマネージャ vold が実行されている場合は、CDE のリムーバブルメディア・マネージャ、または /cdrom0、/floppy、/rmdisk、/jaz0、/zip0 などのボリュームマネージャのパス名を使用して、デバイスにアクセスすることができます。
また、/vol/dev ディレクトリ内のエントリにより、リムーバブルメディアにアクセスすることもできます。たとえば、フロッピーディスクについては、次のように実行します。
/vol/dev/rdiskette0/volume-name |
CD-ROM やリムーバブルハードディスクについては、次のように実行します。
/vol/dev/rdsk/cntndn/volume-name |
リムーバブルメディアのデバイスにリムーバブルメディアが挿入されている場合は、/vol/dev ディレクトリ内のパスへのシンボリックリンクとして /vol/dev/aliases ディレクトリ内にその別名が現れます。たとえば、test とラベル付けされたフロッピーディスクがフロッピーディスクドライブ 0 に挿入されており、test とラベル付けされた CD が /dev/rdsk/c2t1d0 の CD-ROM ドライブに挿入されている場合は、次の出力が表示されます。
$ ls -l /vol/dev/aliases lrwxrwxrwx 1 root root 30 May 11 12:58 cdrom0 -> /vol/dev/rdsk/c2t1d0/test lrwxrwxrwx 1 root root 30 May 11 12:58 floppy0 -> /vol/dev/rdiskette0/test |
デバイス名が不明な場合は、eject -n コマンドを使用して、すべてのリムーバブルメディアのデバイスについてデバイス名を表示することができます。たとえば、eject -n 出力の右側のデバイス名の一覧をもとにして、fsck、mkfs、または newfs コマンドで使用するデバイス名を決定することができます。
コマンド行インタフェースを使用する場合は、適切なデバイス名を使用して情報にアクセスします。リムーバブルメディアにアクセスする前に volcheck コマンドを実行して、コマンド行からボリュームマネージャのニックネームを使用することもできます。デバイス名については、rmformat(1) のマニュアルページを参照してください。
フロッピーディスク上の情報にアクセスするには、次のようにします。
$ volcheck $ ls /floppy myfile |
Jaz ドライブ上の情報にアクセスするには、次のようにします。
$ volcheck $ ls /rmdisk jaz0/ jaz1/ |
CD-ROM 上の情報にアクセスするには、次のようにします。
$ volcheck $ ls /cdrom solaris_8_sparc/ |
Solaris 8 6/00 リリースにアップグレードするか Solaris 8 6/00 リリースをインストールするかによって、Solaris 8 6/00 で更新された Jaz ドライブおよび Zip ドライブへのアクセス方法が異なります。
以前の Solaris リリースから Solaris 8 6/00 リリースへアップグレードする場合は、以前の Solaris リリースと同じ方法で Jaz ドライブおよび Zip ドライブにアクセスすることができます。
新規に Solaris 8 6/00 リリースをインストールする場合は、以前の Solaris リリースと同じ方法で Jaz ドライブおよび Zip ドライブにアクセスすることはできません。
以前の Solaris リリースと同じ方法で Jaz ドライブおよび Zip ドライブにアクセスしたい場合は、次の手順に従ってください。
スーパーユーザーになります。
/etc/vold.conf ファイル内の次の行でテキストの初めに # マークを挿入し、コメント扱いにします。
# use rmdisk drive /dev/rdsk/c*s2 dev_rmdisk.so rmdisk%d |
システムをリブートします。
# init 6 |
リムーバブルメディアをフォーマットするには、rmformat コマンドを使用します。次の種類のフロッピーディスクもこのコマンドでフォーマットできます。
倍密度 — 720K バイト (3.5 インチ)
高密度 — 1.44M バイト (3.5 インチ)
rmformat コマンドは非スーパーユーザーのユーティリティであり、書き込み可能なリムーバブルメディアをフォーマットおよび保護できます。rmformat コマンドには 3 つのフォーマットオプションがあります。
quick — このオプションは、トラックを検証せずに、あるいは、検証するトラックを制限して、リムーバブルメディアをフォーマットします。
long — このオプションは、リムーバブルメディアを完全にフォーマットします。このオプションを使用するデバイスによっては、ドライブ自身による媒体全体の検証も含まれる場合があります。
force — このオプションは、ユーザーへの確認なしに、リムーバブルメディアを完全にフォーマットします。パスワードによる保護機能を備えた媒体では、このオプションはフォーマットを行う前にパスワードをクリアします。この機能はパスワードを忘れてしまったときに便利です。パスワードによる保護機能を備えていない媒体では、long オプションのフォーマットが行われます。
rmformat コマンドはリムーバブルメディアをフォーマットして、デフォルトで、パーティション 0 とパーティション 2 (媒体全体) の 2 つのパーティションを媒体上に作成します。
ボリュームマネージャが動作していることを確認します。つまり、デバイス名のニックネームを使用できます。
$ ps -ef | grep vold root 212 1 0 Nov 03 ? 0:01 /usr/sbin/vold |
リムーバブルメディアデバイス名を決定する方法とボリュームマネージャを (動作していない場合) 起動する方法については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
リムーバブルメディアをフォーマットします。
$ rmformat -F [ quick | long | force ] device-name |
rmformat のフォーマットオプションについては、前出の節を参照してください。
rmformat の出力が不良ブロックを示している場合、下記の手順を参照して、不良ブロックを修復してください。
(オプション) リムーバブルメディアに、Solaris 環境で使用する 8 文字のラベルを付けます。
$ rmformat -b label device-name |
DOS ラベルを作成する方法については、mkfs_pcfs(1M) のマニュアルページを参照してください。
フロッピーディスクをフォーマットするには、次のようにします。
$ rmformat -F quick /dev/rdiskette Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n) y ......................................................................... |
Zip ドライブをフォーマットするには、次のようにします。
$ rmformat -F quick zip0 Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n) y ......................................................................... |
リムーバブルメディアをフォーマットします。
$ rmformat -F quick device-name |
(オプション) 代替の Solaris パーティションテーブルを作成します。
$ rmformat -s slice-file device-name |
スライスファイルの例は次のようになります。
slices: 0 = 0, 30MB, "wm", "home" : 1 = 30MB, 51MB : 2 = 0, 94MB, "wm", "backup" : 6 = 81MB, 13MB |
代替の Solaris パーティションテーブルを作成する方法については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
スーパーユーザーになります。
適切なファイルシステムの種類を決定して、次のうちの 1 つを選択します。
次の例では、フロッピーディスクをフォーマットして、UFS ファイルシステムを作成します。
$ rmformat -F quick /dev/rdiskette Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n)y $ su # newfs /dev/rdiskette newfs: construct a new file system /dev/rdiskette: (y/n)? y /dev/rdiskette: 2880 sectors in 80 cylinders of 2 tracks, 18 sectors 1.4MB in 5 cyl groups (16 c/g, 0.28MB/g, 128 i/g) super-block backups (for fsck -F ufs -o b=#) at: 32, 640, 1184, 1792, 2336, # |
リムーバブルメディアをフォーマットします。
$ rmformat -F quick device-name |
スーパーユーザーになります。
(オプション) 代替の Solaris fdisk パーティションテーブルを作成します。
# fdisk device-name |
fdisk パーティションを作成する方法については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
PCFS ファイルシステムを作成します。
# mkfs -F pcfs device-name |
次の例では、代替 fdisk パーティションを作成して、PCFS ファイルシステムを作成します。
$ rmformat -F quick /dev/rdsk/c0t4d0s2:c Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n)y $ su # fdisk /dev/rdsk/c0t4d0s2:c # mkfs -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2:c Construct a new FAT file system on /dev/rdsk/c0t4d0s2:c: (y/n)? y # |
次の例では、fdisk パーティションを作成せずに、PCFS ファイルシステムを作成します。
$ rmformat -F quick /dev/rdiskette Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n)y $ su # mkfs -F pcfs -o nofdisk,size=2 /dev/rdiskette Construct a new FAT file system on /dev/rdiskette: (y/n)? y # |
# fsck -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2 ** /dev/rdsk/c0t4d0s2 ** Scanning file system meta-data ** Correcting any meta-data discrepancies 1457664 bytes. 0 bytes in bad sectors. 0 bytes in 0 directories. 0 bytes in 0 files. 1457664 bytes free. 512 bytes per allocation unit. 2847 total allocation units. 2847 available allocation units. # |
ドライブが不良ブロック管理をサポートしている場合にのみ、検証中に見つかった不良セクタを rmformat コマンドで検証、解析、および修復できます。ほとんどのフロッピーディスクや PCMCIA メモリーカードは不良ブロック管理をサポートしていません。
ドライブが不良ブロック管理をサポートしている場合、不良ブロックを修復するための最大の努力が行われます。それでも不良ブロックを修復できなかった場合、修復に失敗したことを示すメッセージが表示されます。
リムーバブルメディア上の不良ブロックを修復します。
$ rmformat -c block-numbers device-name |
block-numbers には、前の rmformat セッションで獲得したブロック番号を 10 進数、8 進数、または 16 進数形式で指定します。
リムーバブルメディアを検証します。
$ rmformat -V read device-name |
Iomega 媒体 (Zip ドライブや Jaz ドライブなど) には、読み取り保護または書き込み保護を適用し、パスワードを設定することができます。その他の媒体では、パスワードの設定は無しで、書き込み保護を有効または無効にできます。
書き込み保護を有効または無効のどちらにするかを決定し、次のうちの 1 つを選択します。
リムーバブルメディアの書き込み保護が有効または無効であることを確認します。
$ rmformat -p device-name |
パスワードによる保護機能をサポートしている Iomega 媒体には、最大 32 文字のパスワードを適用できます。このような Iomega 媒体上で読み取り保護または書き込み保護を設定するときは、必ずパスワードを適用する必要があります。このとき、パスワードを提供するように促すプロンプトが表示されます。
パスワード機能をサポートしていないリムーバブルメディア上でパスワードを適用しようとすると、警告メッセージが表示されます。
読み取り保護または書き込み保護とパスワード保護を有効または無効のどちらにするかを決定します。
読み取り保護または書き込み保護を有効にします。
$ rmformat -W enable device-name Please enter password (32 chars maximum): xxx Please reenter password: |
$ rmformat -R enable device-name Please enter password (32 chars maximum): xxx Please reenter password: |
読み取り保護または書き込み保護を無効にし、パスワードを削除します。
$ rmformat -W disable device-name Please enter password (32 chars maximum): xxx |
$ rmformat -R disable device-name Please enter password (32 chars maximum): xxx |
リムーバブルメディアの読み取りまたは書き込み保護が有効または無効であることを確認します。
$ rmformat -p device-name |
次の例では、Zip ドライブ上で書き込み保護を有効にし、パスワードを設定します。
$ rmformat -W enable /vol/dev/aliases/zip0 Please enter password (32 chars maximum): xxx Please reenter password: xxx |
次の例では、Zip ドライブ上で書き込み保護を無効にし、パスワードを削除します。
$ rmformat -W disable /vol/dev/aliases/zip0 Please enter password (32 chars maximum): xxx |
次の例では、Zip ドライブ上で読み取り保護を有効にし、パスワードを設定します。
$ rmformat -R enable /vol/dev/aliases/zip0 Please enter password (32 chars maximum): xxx Please reenter password: xxx |
次の例では、Zip ドライブ上で読み取り保護を無効にし、パスワードを削除します。
$ rmformat -R disable /vol/dev/aliases/zip0 Please enter password (32 chars maximum): xxx |