DHCP を設定するためのツールの選択

これまでの各節情報の収集や準備が終わったら、DHCP サーバーを構成できます。GUI 対応の DHCP マネージャ、またはコマンド行ユーティリティの dhcpconfig を使用して、サーバーの構成を行うことができます。DHCP マネージャでオプションを選択し、データを入力すると、そのデータから DHCP サーバーが使用する dhcptab テーブルとネットワークテーブルが作成されます。dhcpconfig ユーティリティの対話式モードではプロンプトに従って情報を入力しますが、dhcptab テーブルやネットワークテーブルを作成するために必要なその他の情報は、システムファイルやネットワークファイルから抽出されます。dhcpconfig の非対話式モードでは、コマンド行オプションを使ってデータを入力する必要があります。なお、dhcpconfig の対話式モードは将来の Solaris リリースでは削除される予定です。

DHCP マネージャの機能

DHCP マネージャは Java 対応のグラフィカルツールであり、DHCP 構成ウィザードを提供します。DHCP 構成ウィザードは DHCP サーバーとして構成されていないシステム上で DHCP マネージャを最初に実行したときに自動的に起動されます。DHCP 構成ウィザードの一連のダイアログボックスでは、データストア形式、リースポリシー、DNS/NIS/NIS+ サーバーとドメイン、ルーターのアドレスなど、サーバーの構成に不可欠な情報を入力する必要があります。ただし、この情報のうちの一部はウィザードがシステムファイルから入手します。したがって、管理者は、情報が正しいかどうかを確認したり、正しくない場合は訂正します。

すると、DHCP サーバーデーモンがサーバーシステム上で起動され、ネットワークのための IP アドレスを構成するために、追加アドレスウィザードを起動するよう求められます。最初は、サーバーのネットワークだけが DHCP 用に構成され、その他のサーバーオプションにはデフォルト値が与えられます。初期構成が完了した後で DHCP マネージャ を再度起動すると、ネットワークを追加したり、他のサーバーオプションを変更したりできます。

dhcpconfig 機能

対話式モードの dhcpconfig ユーティリティは、プロンプトを通して情報を受け取ると、dhcptab にマクロを追加し、DHCP ネットワークテーブルを作成します。管理者はこのプロンプトから、dhcptab を読み込む間隔や DHCP サービスのタイムアウト値などのサーバー起動オプションを入力する必要があります。また dhcpconfigは、システムファイルとネットマスクテーブルの更新で説明しているシステムファイルからその他の情報も取得します。dhcponfig がシステムファイルから得る情報を表示することはできませんので、dhcpconfig を対話式モードで実行する場合は、その前にシステムファイルを更新しておく必要があります。

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注 –

対話式モードは、将来の Solaris リリースでは削除される予定です。対話式モードで構成を行うには、DHCP マネージャを使用することをお勧めします。

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非対話式モードの dhcpconfig コマンドは、DHCP サーバーの構成や構成解除だけでなく、新しいデータストアへの変換や他の DHCP サーバーとのデータのインポート/エクスポートを行うことができます。このコマンドは、スクリプトの中で使用できます。詳細は、dhcpconfig のマニュアルページを参照してください。

DHCP マネージャと dhcpconfig の比較

下の表に、2 つのサーバー構成ツールの相違点を示します。

表 2–4 DHCP マネージャと dhcpconfig コマンドの比較

機能	DHCP マネージャ	dhcpconfig (対話式モード)	dhcpconfig (オプションの指定)
システムから収集されたネットワーク情報	システムファイルから収集された情報を表示し、必要な場合は変更することができる	dhcpconfig が収集している情報を見ることはできない。生成後に dhcptab とネットワークテーブルを調べる必要がある	コマンド行オプションを使ってネットワーク情報を指定する
ユーザーの構成	デフォルト値を使用し、必須ではないサーバーオプションのプロンプトを省略することによって、構成作業を高速化できる。必須ではないオプションは、初期構成後に変更できる	構成作業中にすべてのサーバーオプションを入力。オプションを後で変更するには、dhtadm と pntadm コマンドを使用する。	構成処理は最も速いが、多くのオプションを使って値を指定する必要がある

次の章では、サーバーの構成方法について DHCP マネージャの場合と dhcpconfig ユーティリティの場合をそれぞれ説明します。