Solaris DHCP の管理

DHCP マクロを使用した作業

DHCP マクロは、DHCP オプションのコンテナです。Solaris DHCP サービスはマクロを使用して、クライアントに渡す必要があるオプションをまとめます。サーバーが構成されると、DHCP マネージャと dhcpconfig は、いくつかのマクロを自動的に作成します。マクロに関する背景情報については、マクロについてを参照してください。デフォルトで作成されるマクロについての詳細は、第 3 章「DHCP サービスの構成」を参照してください。

ネットワークに変更が生じると、クライアントに渡す構成情報を変更しなければならない場合があります。この場合、DHCP マクロを使用して作業する必要があります。 DHCP マクロは、表示、作成、変更、複製、削除することができます。

マクロを使用して作業するには、DHCP の標準オプションについて知っておく必要があります。DHCP の標準オプションについては、dhcp_inittab のマニュアルページを参照してください。

次の作業マップに、DHCP マクロを表示、作成、変更、および削除するときに役立つ作業のリストを示します。

表 4–7 DHCP マクロ (作業マップ)

作業 

説明 

参照先 

DHCP マクロの表示 

DHCP サーバーで定義されているすべてのマクロのリストを表示する 

DHCP サーバー上で定義されたマクロを表示する方法 (DHCP マネージャ)

DHCP サーバー上で定義されたマクロを表示する方法 (dhtadm)

DHCP マクロの作成 

DHCP クライアントをサポートする新しいマクロを追加する 

DHCP マクロを作成する方法 (DHCP マネージャ)

DHCP マクロを作成する方法 (dhtadm)

DHCP クライアントに渡されるマクロ内の値の変更 

既存のオプションの変更、マクロへのオプションの追加、マクロからのオプションの削除によって、マクロを変更する 

DHCP マクロ内のオプションの値を変更する方法 (DHCP マネージャ)

DHCP マクロ内のオプションの値を変更する方法 (dhtadm)

DHCP マクロにオプションを追加する方法 (DHCP マネージャ)

DHCP マクロにオプションを追加する方法 (dhtadm)

DHCP マクロからオプションを削除する方法 (DHCP マネージャ)

DHCP マクロからオプションを削除する方法 (dhtadm)

DHCP マクロの削除 

使用しない DHCP マクロを削除する 

DHCP マクロを削除する方法 (DHCP マネージャ)

DHCP マクロを削除する方法 (dhtadm)

次に、DHCP マネージャウィンドウの「マクロ (Macros)」タブを示します。

図 4–14 DHCP マネージャの「マクロ (Macros)」タブ

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DHCP サーバー上で定義されたマクロを表示する方法 (DHCP マネージャ)

  1. 「マクロ (Macros)」タブを選択します。

    ウィンドウ左側の「マクロ (Macros)」領域に、このサーバーで定義されたすべてのマクロがアルファベット順に表示されます。前にフォルダアイコンが付いたマクロには、他のマクロへの参照が含まれています。前にドキュメントアイコンが付いたマクロには、他のマクロへの参照が含まれていません。

  2. マクロフォルダを開くには、フォルダアイコンの左にある開閉ウィジェットをクリックします。

    選択したマクロに含まれるマクロがリストされます。

  3. マクロの内容を表示するには、マクロ名をクリックして、ウィンドウの右側の領域を確認します。

    オプションとそれらに割り当てられた値が表示されます。

DHCP サーバー上で定義されたマクロを表示する方法 (dhtadm)

  1. スーパーユーザーまたは DHCP 管理プロファイルに割り当てられたユーザーになります。

  2. 次のコマンドを入力します。


    # dhtadm -P 
    

    このコマンドは、dhcptab の内容 (サーバー上で定義されたすべてのマクロとシンボルを含む) をフォーマットして標準出力に出力します。

DHCP マクロの変更

ネットワークの一部の設定が変更され、1 台または複数のクライアントにその変更を通知する必要がある場合、マクロを変更する必要があるかもしれません。たとえば、ルーターや NIS サーバーを追加したり、新しいサブネットを作成したり、リースポリシーの変更を決定したりした場合です。

マクロを変更する際には、変更、追加、または削除しようとしているパラメータに対応した DHCP オプションの名前を知っている必要があります。DHCP の標準オプションについては、DHCP マネージャのヘルプおよび dhcp_inittab のマニュアルページを参照してください。

dhtadm -M -m コマンドまたは DHCP マネージャを使用すると、マクロを変更することができます。dhtadm についての詳細は、dhtadm のマニュアルページを参照してください。

次に、DHCP マネージャの「マクロの属性 (Macro Properties)」ダイアログボックスを示します。

図 4–15 「マクロの属性 (Macro Properties)」ダイアログボックス

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DHCP マクロ内のオプションの値を変更する方法 (DHCP マネージャ)

  1. 「マクロ (Macros)」タブを選択します。

  2. 変更するマクロを選択します。

  3. 「編集 (Edit)」メニューから「属性 (Properties)」を選択します。

    「マクロの属性 (Macro Properties)」ダイアログボックスが開きます。

  4. 「オプション (Options)」のテーブルで、変更するオプションを選択します。

    このオプションの名前と値は、「オプション名 (Option Name)」と「オプションの値 (Option Value)」のフィールドに表示されます。

  5. 「オプションの値 (Option Value)」フィールドで、古い値を選択し、そのオプションの新しい値を入力します。

  6. 「変更 (Modify)」をクリックします。

    新しい値がオプションテーブルに表示されます。

  7. 「DHCP サーバーに変更を通知 (Notify DHCP Server of Change)」を選択します。

    選択後、「了解 (OK)」をクリックすると、DHCP サーバーに dhcptab を再読み込みするように指示され、直ちに変更が適用されます。

  8. 「了解 (OK)」をクリックします。

DHCP マクロ内のオプションの値を変更する方法 (dhtadm)

  1. スーパーユーザーまたは DHCP 管理プロファイルに割り当てられたユーザーになります。

  2. 次の書式でコマンドを入力します。


    # dhtadm -M -m macroname -e 'option=value:option=value'
    

    たとえば、マクロ bluenote 内のリース期間、および UTC との時間差を変更するには、次のコマンドを入力します。

    # dhtadm -M -m bluenote -e 'LeaseTim=43200:UTCOffst=28800'

DHCP マクロにオプションを追加する方法 (DHCP マネージャ)

  1. 「マクロ (Macros)」タブを選択します。

  2. 変更するマクロを選択します。

  3. 「編集 (Edit)」メニューから「属性 (Properties)」を選択します。

    「マクロの属性 (Macro Properties)」ダイアログボックスが開きます。

  4. 「オプション名 (Option Name)」フィールドで、次のどちらかの方法を使用して、オプション名を指定します。

    1. 「オプション名 (Option Name)」フィールドの隣にある「選択 (Select)」ボタンをクリックして、マクロに追加したいオプションを選択します。

      「オプションの選択 (Select Option)」ダイアログボックスに、「標準 (Standard)」カテゴリのオプションの名前と説明がアルファベット順にリストされます。「標準 (Standard)」カテゴリ以外のオプションを追加したい場合は、「カテゴリ (Category)」リストを使用して、追加するカテゴリを選択してください。

      マクロカテゴリについての詳細は、マクロについてを参照してください。

    2. 既存のマクロへの参照を新しいマクロに含めたい場合は、Include と入力してください。

  5. 「オプションの値 (Option Value)」フィールドにオプションの値を入力します。

    オプション名を Include と入力した場合は、「オプションの値 (Option Value)」フィールドに既存のマクロの名前を指定する必要があります。

  6. 「追加 (Add)」をクリックします。

    このオプションは、このマクロについて表示されたオプションのリストの一番下に追加されます。リスト内のオプションの位置を変更する場合は、そのオプションを選択してリストの隣にある矢印キーをクリックし、オプションを上下に移動させます。

  7. 「DHCP サーバーに変更を通知 (Notify DHCP Server of Change)」を選択します。

    選択後、「了解 (OK)」をクリックすると、DHCP サーバーに dhcptab を再読み込みするように指示され、直ちに変更が適用されます。

  8. 「了解 (OK)」をクリックします。

DHCP マクロにオプションを追加する方法 (dhtadm)

  1. スーパーユーザーまたは DHCP 管理プロファイルに割り当てられたユーザーになります。

  2. 次の書式でコマンドを入力します。


    # dhtadm -M -m macroname -e 'option=value'
    

    たとえば、リースのネゴシエーションを行うオプションをマクロ bluenote に追加するには、次のコマンドを入力します。

    # dhtadm -M -m bluenote -e 'LeaseNeg=_NULL_VALUE'

    値を必要としないオプションの場合、オプションの値として _NULL_VALUE を使用してください。

DHCP マクロからオプションを削除する方法 (DHCP マネージャ)

  1. 「マクロ (Macros)」タブを選択します。

  2. 変更するマクロを選択します。

  3. 「編集 (Edit)」メニューから「属性 (Properties)」を選択します。

    「マクロの属性 (Macro Properties)」ダイアログボックスが開きます。

  4. マクロから削除するオプションを選択します。

  5. 「削除 (Delete)」をクリックします。

    選択されたオプションが、このマクロに関するオプションのリストから削除されます。

  6. 「DHCP サーバーに変更を通知 (Notify DHCP Server of Change)」を選択します。

    選択後、「了解 (OK)」をクリックすると、DHCP サーバーに dhcptab を再読み込みするように指示され、直ちに変更が適用されます。

  7. 「了解 (OK)」をクリックします。

DHCP マクロからオプションを削除する方法 (dhtadm)

  1. スーパーユーザーまたは DHCP 管理プロファイルに割り当てられたユーザーになります。

  2. 次の書式でコマンドを入力します。


    # dhtadm -M -m macroname -e 'option='
    

    たとえば、リースのネゴシエーションを行うオプションをマクロ bluenote から削除するには、次のコマンドを入力します。

    # dhtadm -M -m bluenote -e 'LeaseNeg='

    オプションに値を指定しなかった場合、オプションはマクロから削除されます。

DHCP マクロの作成

DHCP サービスに新しいマクロを追加して、特定の要求を持ったクライアントをサポートしたい場合があります。dhtadm -A -m コマンドまたは DHCP マネージャの「マクロの作成 (Create Macro)」ダイアログボックスを使用して、マクロを追加できます。dhtadm コマンドについての詳細は、dhtadm のマニュアルページを参照してください。

次に、DHCP マネージャの「マクロの作成 (Create Macro)」ダイアログボックスを示します。

図 4–16 「マクロの作成 (Create Macro)」ダイアログボックス

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DHCP マクロを作成する方法 (DHCP マネージャ)

  1. 「マクロ (Macros)」タブを選択します。

  2. 「編集 (Edit)」メニューから「作成 (Create)」を選択します。

    「マクロの作成 (Create Macro)」ダイアログボックスが開きます。

  3. そのマクロの名前 (固有の名前) を入力します。

    名前には 128 文字までの英数字を使用できます。 ベンダークラス識別子、ネットワークアドレス、またはクライアント ID に一致する名前を使用している場合は、そのマクロは適切なクライアントに対して自動的に処理されます。異なる名前を使用している場合は、そのマクロが特定の IP アドレスに割り当てられているか、または処理された別のマクロに含まれている場合のみ、そのマクロを処理することができます。詳細については、DHCP サーバーによるマクロ処理を参照してください。

  4. 「オプション名 (Optioin Name)」フィールドの隣にある「選択 (Select)」ボタンをクリックします。

    「オプションの選択 (Select Option)」ダイアログボックスに、「標準 (Standard)」カテゴリのオプションの名前と説明がアルファベット順にリストされます。

  5. 「標準 (Standard)」カテゴリ以外のオプションを追加したい場合は、「カテゴリ (Category)」リストを使用して、追加するカテゴリを選択してください。

    オプションカテゴリについての詳細は、オプションについてを参照してください。

  6. マクロに追加したいオプションを選択して、「了解 (OK)」をクリックします。

    「マクロの属性 (Macro Properties)」ダイアログボックスが、「オプション名 (Option Name)」フィールドに選択されたオプションを表示します。

  7. 「オプションの値 (Option Value)」フィールドにオプションの値を入力します。

  8. 「追加 (Add)」をクリックします。

    このオプションは、このマクロについて表示されたオプションのリストの一番下に追加されます。リスト内のオプションの位置を変更する場合は、そのオプションを選択してリストの隣にある矢印キーをクリックし、オプションを上下に移動させます。

  9. マクロに追加するオプションごとに、手順 6 から 手順 8 までを繰り返します。

  10. オプションの追加が終了したら、「DHCP サーバーに変更を通知 (Notify DHCP Server of Change)」を選択します。

    選択後、「了解 (OK)」をクリックすると、DHCP サーバーに dhcptab を再読み込みするように指示され、直ちに変更が適用されます。

  11. 「了解 (OK)」をクリックします。

DHCP マクロを作成する方法 (dhtadm)

  1. スーパーユーザーまたは DHCP 管理プロファイルに割り当てられたユーザーになります。

  2. 次の書式でコマンドを入力します。


    # dhtadm -A -m macroname -d ':option=value:option=value:option=value:'
    

    -d への引数として指定するオプションと値のペアの数に制限はありません。引数はコロンで始まり、コロンで終了する必要があります。コロンはオプションと値の各ペアを区切ります。

    たとえば、マクロ bluenote を作成するには、次のコマンドを入力します。

    # dhtadm -A -m bluenote -d \
    ':Router=24.63.6.121:LeaseNeg=_NULL_VALUE:DNSserv=24.63.28.12:'
    

    値を必要としないオプションの場合、オプションの値として _NULL_VALUE を使用してください。

DHCP マクロの削除

DHCP サービスからマクロを削除したい場合があります。たとえば、DHCP サービスからネットワークを削除する場合、関連するネットワークマクロも削除できます。

dhtadm -D -m コマンドまたは DHCP マネージャを使用して、マクロを削除することができます。

DHCP マクロを削除する方法 (DHCP マネージャ)

  1. 「マクロ (Macros)」タブを選択します。

  2. 削除したいマクロを選択します。

    「マクロの削除 (Delete Macro)」ダイアログボックスは、指定したマクロの削除を確認するように求めます。

  3. 「DHCP サーバーに変更を通知 (Notify DHCP Server of Change)」を選択します。

  4. 「了解 (OK)」をクリックします。

DHCP マクロを削除する方法 (dhtadm)

  1. スーパーユーザーまたは DHCP 管理プロファイルに割り当てられたユーザーになります。

  2. 次の書式でコマンドを入力します。


    # dhtadm -D -m macroname 
    

    たとえば、マクロ bluenote を削除するには、次のコマンドを入力します。

    # dhtadm -D -m bluenote