デスクトップ・ユーザ・インタフェースは、多数の言語でカスタマイズできます。画面、デフォルト言語、フォント、入力 (キーボード) メソッド、アイコンなどのさまざまな要素が変更できます。さらに、メニュー、オンライン・ヘルプ、エラー・メッセージをローカライズして、複数の言語で使用できます。
この章では、次の内容について説明します。
初期ログイン・ウィンドウのメッセージとメニューは、デフォルト言語で表示されます。デフォルト言語が設定されていない場合は、メッセージとメニューは、通常の C ロケール環境を使用して表示されます。この言語は、ログイン画面の [オプション] メニューで変更できます。
特定の言語にデスクトップを介してログインするのは簡単です。しかし、ローカライズされたセッションを使用できるようにするには、キーボードやプリンタなどの特定のハードウェア要件が必要です。特定のハードウェア要件は、言語、文字セット、国によって異なります。ソフトウェアとフォントにより、システムのローカリゼーションを効果的に実行できます。言語固有セッションにログインするには、次の手順を実行します。
ユーザは、言語固有ファイルを作成、編集、または印刷できます。ファイルに言語固有の名前を付けることもできます。しかし、ネットワークを介して共用されるシステム管理ファイルのファイル名は、ASCII 文字だけにしてください。ネットワーク上の異なるシステムは、異なるロケールを使用している可能性があるからです。
特定の言語でデスクトップにログインした場合は、すべてのアプリケーションがその言語を使って起動されますが、別の言語でアプリケーションを起動することもできます。
別の言語でファイルを作成する場合は、テキスト・エディタに希望する言語を指定して、新規インスタンスを起動してください。
[端末エミュレータ] ウィンドウで、LANG 環境変数に希望する言語を設定します。
たとえば、ロケールを日本語に設定するには、次のように入力します。
LANG=Japanese_locale
Japanese_localename には、日本語の文字セットための LANG 環境変数の値を設定します。Japanese_localename に相当する値を判別するには、ユーザの特定のプラットフォームを参照してください。
同じウィンドウで次のように入力して、希望する言語に基づくテキスト・エディタ (dtpad) を呼び出します。
/usr/dt/bin/dtpad &
テキスト・エディタを日本語で直接起動するには、次のように入力します。
/usr/dt/bin/dtpad -xnllanguage Japanese_locale
ロケール固有のファイルがインストールされている場合は、日本語を入力できます。また、テキスト・エディタ・セッションを使用して、以前に作成された日本語のファイルを編集することもできます。
フォント・セットの指定例については、「コマンド行からフォントを指定するには」を参照してください。
次の例では、dtterm を使用して、日本語の端末エミュレータを起動します。デフォルト言語が日本語ではなく、ユーザは Korn シェルを使用しており、ロケール固有ファイルがインストールされているものと想定しています。
Korn シェル端末ウィンドウのコマンド行に、次のように入力します。
LANG=Japanese_locale dtterm
Japanese_locale は、LANG 環境変数の値を日本語の文字セットに設定します。Japanese_locale に相当する値を判別するには、ユーザの特定のプラットフォームを参照してください。
ユーザは、通常スタイル・マネージャを使用して、フォントを変更します。スタイル・マネージャは、ワークスペース・マネージャを再起動して、デスクトップ・フォントをリセットします。フォントは、コマンド行またはリソース・ファイルでもカスタマイズできます。国際化対応環境では、コード・セットに依存しないフォントを指定しなければなりません。このフォントの指定が、フォントの文字セット (charset) とは異なるコード・セットを持つさまざまなロケールで使用されるためです。したがって、すべてのフォント・リストにフォント・セットを指定してください。
フォントリスト内の「フォント指定」は、XLFD (論理フォント名、X Logical Font Description) 名か、XLFD 名の別名です。たとえば、14 ポイント・フォントの正しいフォント指定は、次のいずれかになります。
-dt-interface system-medium-r-normal-serif-*-*-*-*-p-*-iso8859-1
または、
-*-r-*-14-*iso8859-1
フォントリスト内の「フォント・セット指定」は、XLFD 名かその別名のリストです (「ベース名リスト」と呼ばれる場合があります)。個々の名前はセミコロンで区切られ、セミコロンの前後の空白スペースは無視されます。XLFD 名を短縮するために、パターン一致 (ワイルドカード) 文字を指定できます。
フォント・セット指定は、実行中のロケールによって決定されます。たとえば、日本語のロケールは、日本語のすべての文字を表示するのに必要な 3 つのフォント (文字セット) を定義します。次の例は、必要な明朝フォントのセットを識別します。
文字セット付きの名前リストの例
-dt-interface system-medium-r-normal-serif-*-*-*-*-p-*-14;
-dt-mincho-medium-r-normal--14-*-*-m-*-jisx0201.1976-0;
-dt-mincho-medium-r-normal--28-*-*-*-m-*-jisx0208.1983-0:
上記の 2 つの例は、ベース名リストに一致するフォントがある限り、日本語ロケールで使用できます。
次のいずれかの方法で、dtterm のフォントを変更できます。
コマンド行からフォントを指定する
リソース・ファイル内でフォントを指定する
コマンド行からメニューのフォントを変更するには、次のように入力します。
dtterm -xrm '*fontList: fontset'
fontset には、フォント・セットを指定します。フォント・セットの指定は、完全な XLFD (論理フォント名、X Logical Font Description) 名リスト、簡易 XLFD パターン、または別名によって指定できます。フォント・セット指定は、実行中のロケールによって決定されます。
たとえば、メニュー・フォント以外に、より大きいフォントを使用するには、次のように入力します。
dtterm -xrm '*fontList:-dt-interface user-medium-r-normal-l*-*-*-*:'
メニュー・フォント以外に、より小さいフォントを使用するには、次のように入力します。
dtterm -xrm '*fontList:-dt-interface user-medium-r-normal-s*-*-*-*:'
たとえば、リソース・ファイル内で dtterm コマンドのフォントを変更するには、次の手順を実行します。
/usr/dt/app-defaults/language ディレクトリの Dtterm のリソース・ファイルを編集します。
Dtterm のリソース・ファイルには、クラス名 (Dtterm) とアプリケーション名 (dtterm) のどちらでも使用できます。
また、LANG 環境変数を設定すると、リソース・ファイルの検索パスに /usr/dt/app-defaults/language ディレクトリが加えられます。language はロケール名です。
LANG 環境変数の設定後、リソース・ファイルの検索パスは、次の 2 つのフォルダになります。
/usr/dt/app-defaults/language/Dtterm /usr/dt/app-defaults/C/Dtterm
使用するフォント・セットをファイルの最後に挿入します。
たとえば、モノスペース・フォントを使用するには、次の行をファイルの最後に挿入します。
dtterm -fn -dt-interface user-medium-r-normal-*-*-*-*
各ロケールには、ロケールに関連付けられたデフォルトの入力メソッドが 1 つあります。ユーザが何も選択しない場合は、デフォルトが選択されます。一度に多数の入力メソッドをインストールできます。この節では、さまざまな入力メソッドの選択方法について説明します。
1 つのロケールに 2 つ以上の入力メソッドがある場合、どの方法を選択するか識別するために、XmNinputMethod リソースを使用します。これは、「修飾子」(modifier) を指定することによって行われます。修飾子は次の形式でなければなりません。modifier は入力メソッドを一意に識別するのに使用する名前です。
inputMethod :@im=modifier
XmNinputMethod リソースに指定された modifier 文字列は、入力メソッドを選択するのに使用します。
もう 1 つの方法として、XMODIFIERS 環境変数を設定することもできます。構文は XmNinputMethod リソースの場合と同じですが、値は異なります。XMODIFIERS の値はベンダに固有です。
入力メソッドのスタイルは、前編集がどのように行われるかを決定します。入力メソッドのスタイルは、XmNpreeditType リソースによってコントロールされます。XmNpreeditType リソースの構文、可能な値、およびデフォルト値の型は次のとおりです。
構文 |
値 [,値,....] |
---|---|
可能な値 |
OverTheSpot, OffTheSpot, Root, None |
デフォルト値 |
OverTheSpot, OffTheSpot, Root |
コンマで区切られた文字列のリストは、このリソースの優先順位を指定します。1 番目の値が入力メソッドを使用するのにサポートされます。
詳細は、『Solaris 共通デスクトップ環境 上級ユーザ及びシステム管理者ガイド』を参照してください。
X サーバによって現在使用されているキーマップが、システムの物理的なキーボードに一致しない場合は、ユーザは xmodmap コマンドまたはベンダ・キーボード・マッピング・ユーティリティを使用して、キーマップを手入力で変更できます。xmodmap コマンドについては、xmodmap(1) のマニュアル・ページを参照してください。