メールシステムの管理

メールサービスの設定

サイトが企業外の電子メール (email) サービスに接続していないか、または企業が 1 つのドメイン内にある場合は、メールサービスを比較的容易に設定できます。

第 3 章「sendmail 構成ファイルのカスタマイズ」で、より複雑な構成ファイルを作成する方法を説明しています。

メールでは、ローカルメール用に 2 種類の構成と、ドメイン外のネットワークとの通信用にさらに 2 つの構成が必要です。これらの構成は、同じシステムで組み合わせるか、または別のシステムで提供できます。表 2-1 の機能を使用するには、サイト上のシステムを設定する必要があります。

表 2-1 メール構成

構成 

説明 

メールクライアント

メールクライアントとは、メールボックスがメールサーバーにあるユーザーを指す 

メールサーバー

メールサーバーは、メールボックスを /var/mail ディレクトリに格納する

メールホスト

少なくとも 1 つのメールホストが必要。メールホストはむずかしい電子メールアドレスを解釈し、ドメイン内でメールを再度ルーティングする 

メールゲートウェイ

メールゲートウェイは、ドメイン外の異なる通信ネットワーク間を接続したり、異なる通信ネットワーク間を接続したりする。sendmail.cf ファイルに規則を追加してゲートウェイを設定する必要がある。規則を追加する方法については、第 3 章「sendmail 構成ファイルのカスタマイズ」を参照。ゲートウェイを設定する場合は、必要なゲートウェイ構成ファイルに近いものを探して、それを状況に合わせて修正する

メールサービスの設定を始める前に、メールサーバー、メールホスト、およびメールゲートウェイとして機能するシステムを選びます。サービスを提供するすべてのメールクライアントのリストも作成し、メールボックスの位置を入れてください。このリストは、ユーザーのメール別名を作成するときに有用です。これらの各システムの持つ機能の詳細は、第 1 章「メールサービスについて」を参照してください。便宜のために、どのシステムがメールサーバー、メールホスト、およびメールゲートウェイとして適しているかのガイドラインをこのあとの節でも再度説明します。

設定を簡単にするために、この章では、個々のメールサーバー、メールホスト、メールクライアント、およびリレーホストを設定するのに必要な操作を示します。メールサービス構成のシステムが複数の機能構成で動作する場合、システムのタイプごとに適切な操作説明に従ってください。たとえば、メールホストとメールサーバーの機能が同じシステムにある場合は、そのシステムをメールホストとして設定するための指示に従い、次に同じシステムをメールサーバーとして設定するための指示に従ってください。


注 -

次のメールサーバーとメールクライアントの設定の手順は、メールボックスが NFS でマウントされているときに適用されます。ただし、通常、メールボックスはローカルにマウントされた /var/mail ディレクトリで管理されます。この場合、このあとの手順は必要ありません。


メールセキュリティの設定

デフォルトでは、/var/mail ディレクトリのアクセス権によって所有者、所有者が所属しているグループのメンバー、その他のユーザーのすべてに、読み取り、書き込み、実行という 3 つのアクセス権が与えられます。Solaris 2.x のメールサーバーでは、SunOS 4.1.x メールクライアントが接続されていない場合は、所有者のグループ以外のユーザーには読み取り権と書き込み権だけを許可するように /var/mail ディレクトリのアクセス権を変更することにより、このディレクトリのセキュリティを高めることができます。ディレクトリのアクセス権の変更については、Solaris のシステム管理 を参照してください。

メールサーバーを設定する方法

メールサーバーはローカルユーザーにメールサービスを提供するだけなので、設定には特別な手順は必要ありません。ユーザーはパスワードファイルか名前空間にエントリが必要で、メールの配信用に、ローカルのホームディレクトリが ‾/.forward をチェックできるように必要です。このためにホームディレクトリサーバーがしばしばメールサーバーとして設定されます。

メールサーバーは、クライアントからのすべてのメールのルーティングを行います。メールサーバーに必要な唯一のリソースは、クライアントメールボックスのための十分なスプール空間です。リモートのマウントでは、/var/mail ディレクトリを使用できるようにする必要があります。

この作業のために、/etc/dfs/dfstab ファイルをチェックして /var ディレクトリがエクスポートされていることを確認します。

  1. share と入力して Return キーを押します。

    /var ディレクトリが共用になっていれば、これで終了です。/var ディレクトリがエクスポートされていなければ、次の手順に進みます。

  2. share -F nfs /var/mail と入力して Return キーを押します。

  3. ファイルシステムを永久的に共用するには、/etc/dfs/dfstab を編集して、手順 2 で使用したコマンド行を追加します。


注 -

mail.local プログラムは、メッセージが初めて配信されたときに /var/mail ディレクトリでメールボックスを自動的に作成します。メールクライアントのために個々のメールボックスを作成する必要はありません。


メールクライアントを設定する方法

メールクライアントは、メールボックスがメールサーバーにあり、/etc/mail/aliases ファイルのメール別名がメールボックスの位置を指しているメールサービスのユーザーです。

  1. メールクライアントのシステムで root になります。

  2. メールクライアントのシステムで /var/mail マウントポイントがあることを確認します。

  3. メールサーバーから /var/mail ディレクトリをマウントします。

    メールディレクトリが自動的にマウントされるか、ブート時にマウントされます。

    1. /var/mail を自動的にマウントするには、/etc/auto_direct を編集して下記のようなエントリを追加します。


      /var/mail -rw,hard,actimeo=0 サーバー :/var/mail
    2. ブート時に /var/mail をマウントするには、etc/vfstab ファイルを編集して、メールサーバーに /var/mail ディレクトリのエントリを追加し、それをローカルの /var/mail ディレクトリにマウントします。


      server:/var/mail - /var/mail nfs - no rw,hard,actimeo=0

      システムを再起動するたびに、クライアントのメールボックスが自動的にマウントされます。クライアントのメールボックスをマウントするには、システムを再起動する前に、mountall と入力します。


      注意 - 注意 -

      NFS サーバーからメールをマウントするときは、メールボックスのロック機能とアクセスが正しく作動するように、actimeo=0 オプションを含める必要があります。


  4. システム管理ツール (admintool) を使用して /etc/hosts ファイルを編集し、メールサーバーのエントリを追加します。

    ネームサービスを使用している場合には、この手順は不要です。

  5. 別名ファイルの 1 つにクライアントのエントリを追加します。

    異なるタイプのメール構成に対してメール別名を作成する方法については、 「メール別名の作成」を参照してください。


    注 -

    mail.local プログラムは、メッセージが初めて配信されるときに /var/mail ディレクトリでメールボックスを自動的に作成します。メールクライアントのために個々のメールボックスを作成する必要はありません。


メールホストを設定する方法

メールホストは、電子メールアドレスを解決し、ドメイン内でメールを再度ルーティングします。メールホストに適しているシステムは、システムをドメイン外の世界または親ドメインに接続しているシステムです。

  1. メールホストシステムで root になります。

  2. admintool を使用して /etc/hosts ファイルを編集します。

    IP アドレスの後に単語 mailhost とメールホストシステムのシステム名を追加します。そのシステムがメールホストとして指定されます。

  3. ホストファイルの 1 つに新規メールホストのエントリを作成します。

    NIS または NIS+ を使用する場合は、mailhost と呼ばれるホスト別名を含むエントリを、新規メールホストのホストエントリに追加します。

    NIS または NIS+ を使用しない場合は、ネットワーク上の各システム用に、/etc/hosts にエントリを作成する必要があります。エントリでは、必ず IP address mailhost_name mailhost というフォーマットを使用してください。

  4. cp /etc/mail/main.cf /etc/mail/sendmail.cf と入力して Return キーを押します。

    これにより、/etc/mail/main.cf ファイルがコピーされ、名前が変更されます。

  5. メールホストを再起動し、メール構成をテストします。

    詳細は、「メール構成のテスト」 を参照してください。

メールゲートウェイを設定する方法

メールゲートウェイは、ドメイン外のネットワークとの通信を管理します。送信側メールゲートウェイ上のメールプログラムは、受信側システムのメールプログラムと同じでなければなりません。

メールゲートウェイに適しているシステムは、Ethernet および電話回線に接続されているシステムか、またはインターネットへのルーターとして設定されているシステムです。メールホストをメールゲートウェイとして設定するか、または別のシステムをメールゲートウェイとして設定できます。複数のメールゲートウェイを自分のドメイン用として設定できます。UUCP 接続がある場合は、UUCP 接続をメールゲートウェイとするシステム (1 つまたは複数のシステム) を設定してください。

  1. メールゲートウェイで root になります。

  2. cp /etc/mail/main.cf /etc/mail/sendmail.cf と入力して Return キーを押します。

    このコマンドにより、main.cf ファイルがコピーされ、名前が変更されます。

  3. /etc/mail/sendmail.cf ファイルを編集し、次のように変更します。

    1. リレーメールプログラムが UUCP ではない場合にだけ、デフォルトエントリ DMsmartuucp をリレーメールプログラムに適したエントリに変更します。

      使用可能なメールプログラムは、smartuucp (デフォルト)、ddnether、および uucp です。

      メールゲートウェイごとに異なるリレーメールプログラムを (特に問題がなければ) 指定できます。main.cf ファイルでその他のリレーメールプログラムの規則を定義できます。各デフォルトリレーメールプログラムの説明は、「メールプログラム」を参照してください。

    2. エントリ DR ddn-gateway で、ddn-gateway をメールリレーの名前に置き換えます。

      DR エントリがメールリレーを定義します。

    3. エントリ CR ddn-gateway で、ddn-gateway をメールリレーの名前に置き換えます。

      CR エントリがメールリレーのクラスを定義します。1 つまたは複数のホストをこのクラスのメンバーとして指定できます。

    4. (オプション) Dmmaildomain または Lmmaildomain エントリを追加してメール配信に使用するメールドメイン名を定義します。

      m マクロでメールドメイン名を定義します。マクロが定義されていなければ、最初の構成要素を除いたネームサービスドメイン名が使用されます。たとえば、ecd.east.acme.comeast.acme.com になります。L コマンドを使用すると、sendmail は、maildomain を検索キーとして使用して、sendmailvars テーブルで使用する名前を検索します。

    5. 編集したものを保存します。

  4. メールゲートウェイを再起動し、メール構成をテストします。

    詳細は、「メール構成のテスト」を参照してください。