AutoFS と呼ばれる新規バージョンの自動マウント機能が組み込まれました。SunOS 4.x では、自動マウント機能は /tmp_mnt にすべてマウントして、シンボリックリンクを使ってルックアップをリダイレクトしました。AutoFS では、ファイルシステムを所定の場所 (たとえば、/home) にマウントできます。
SunOS 4.x では、自動マウント機能のマップには auto.master および auto.home という名前が付けられていました。Solaris 2.6 では、これらのマップの名前は auto_master、auto_home などに変更されています。この変更は、このリリースに組み込まれている NIS+ ネームサービスが必要とするものです。このリリースにはこれらのマップのデフォルトコピーが組み込まれているため、システムをブートした時に AutoFS サービスが起動します。SunOS 4.x にはマップは組み込まれていなかったため、余分なインストール手順が必要でした。
Solaris 2.6 には、/etc/nsswitch.conf を通して使われるネームサービスを選択できる機能が備わっています。自動マウントのエントリを変更して、ローカルファイル、NIS+、NIS、またはこれらの組合せを選択するようにできます。
旧リリースは、/home/server/login のようなホームディレクトリの命名規則をサポートしていました。AutoFS マップを使うと、/home/login をエントリ別に簡単に使用できるようになります。この新しい命名規則には、位置に依存しない機能も備わっています。古い規則もまだ使用できますが、いったん AutoFS マップの使用に移行すると、短いパスの管理が簡単になります。
AutoFS で使用できるパスには、次のものがあります。
/net - 認識されているホストからファイルシステムをマウントする場合
/home - 認識されているユーザのホームディレクトリをマウントする場合
/xfn - X/Open XFN 標準対応のファイルシステムをマウントする場合
ホームディレクトリサーバでは、実際のホームディレクトリを /home ではなく /export/home に移動して、自動マウント機能のディレクトリ構造との干渉を防ぐ必要があります。つまり、自動マウント機能が実行している間は /home にファイルシステムをマウントすることはできません。
AutoFS ソフトウェアは現在、2 つのプログラムを持っています。1 つは automount であり、ブート時に実行して AutoFS マウントポイントを設定します。このコマンドは、マウントポイントを変更するためにスーパーユーザがいつでも実行できます。もう 1 つのコマンドは状態なしデーモンである automount で、これは AutoFS ファイルシステムのマウントおよびアンマウントの要求に応答します。この 2 つのプログラムは、4.1.x automount デーモンに代わるものです。
自動マウントデーモンは、現在は完全にマルチスレッドに対応しています。複数の自動マウント要求に同時に対応できるため、AutoFS の信頼性が高まります。要するに、1つのマウント要求が遅いサーバへの接続をブロックしている間に、2 番目の要求を待たせずに処理することができます。
Solaris 2.6 では、間接的な AutoFS マップのブラウズ機能をサポートします。AutoFS マウントポイント (例: /home) に属するマウント可能なエントリはすべて、最初にそれをマウントしなくても表示できるようになりました。
また、階層的に関連しているファイルシステムの要求時自動マウント機能も改善されました。旧リリースでは、ファイルシステムが階層的に関連している場合は、ファイルシステムの中の 1 つだけを参照するときでも、そのセット全体 (たとえば、/net/server) を自動的にマウントしていました。参照されるファイルシステムは動的にマウントされるようになり、階層内のその他のファイルシステムをマウントする必要がなくなりました。その他のファイルシステムは、個別に参照されたときにマウントされます。
詳しくは、「ファイルシステムのマウントと autofs」を参照してください。また、AutoFS の使用法については『NFS の管理』を参照してください。