Solaris 2.x への移行

tarcpio コマンド

tarcpio コマンドはバイナリ以外のフォーマットを使用するため、これらのコマンドは、SVR4 の実装間でデータ交換が可能な唯一のユーティリティです。ufsdumpdd などの他のバックアップユーティリティは、ベンダに固有のもので、ある SVR4 の実装で正常に動作しても別の SVR4 でうまく動作するかどうかは保証されません。

tar コマンドはこのリリースでは変更されていないため、SunOS 4.x コマンドと同じオプションとコマンド構文を使用できます。しかし、SunOS 5.6 ソフトウェアのデバイス命名方法が変更されているため、tarfile (または、device) 引数が影響を受けます。-f 関数修飾子を使用するときは、デバイス引数を /dev/rmt/unit として指定します。ここで、unit はテープドライブ番号と密度です。表 9-16 は、テープデバイス名のテープドライブ密度を表す文字を示します。

表 9-16 テープデバイス名のテープドライブ密度

密度 

説明 

指定なし 

デフォルトの「適切な」 (最高) 密度 

低密度 

中密度 

高密度 

圧縮 

超高密度 

tar コマンドでは、/dev/rmt8 をデフォルト出力デバイスとして使用しません。-f 修飾子を使用せず、 TAPE 環境変数が設定されていないときには、tar コマンドは /etc/default/tar ファイルに設定されたデフォルトを使用します。

SunOS 5.6 の cpio コマンドは、SunOS 4.x のオプションとコマンド構文をサポートします。cpio は、表 9-17 に示す多くの新しいオプションを使用できるようにするため拡張されました。

表 9-17 追加された cpio オプション

オプション 

オプションで使用できるコマンド 

説明 

-A

cpio -o

アーカイブにファイルを追加する。 

-k

cpio -i

壊れたファイルヘッダと検出した入出力エラーをスキップする。このオプションは壊れた、または順序通りでない媒体からファイルをコピーする。 

-L

cpio -o または cpio -p

シンボリックリンクをたどる。 

-V

cpio -i, cpio -o または cpio -p

特殊な冗長表示。読み取った、または書き込んだ各ファイルに対してドットを表示する。このオプションは、ファイル名を表示しないで、cpio が動作中であることを保証する。

-C bufsize

cpio -i または cpio -o

bufsize で指定するバイト数単位で、入出力をレコードに分割する。ここで、bufsize は正の整数。-C または -B を指定しないと、デフォルトのバッファサイズは 512 バイト。

-E filename

cpio -i

アーカイブから抽出するファイル名を含むファイルを指定し入力する。 

-H header

cpio -i または cpio -o

header で指定するフォーマットのヘッダ情報を読み取るか、または書き込む。header には、bar (読み取り専用)、

crcCRCodctarTARustarUSTAR のいずれかを指定できる。

-I filename

cpio -i

入力アーカイブとして filename を読み取る。

-M message

cpio -i -I filename または cpio -o -O filename

媒体を切り替えるときに使用するメッセージを定義する。 

-O filename

cpio -o

出力を filename へリダイレクトする。

-R userid

cpio -i または cpio -p

各ファイルの所有権とグループ情報を userid に再度割り当てる。


注 -

cpio による実行では、-i (コピーイン)、-o (コピーアウト)、または -p (パス) の 3 つのオプションの内のどれか 1 つだけを指定する必要あります。