プロファイルは、どのように Solaris ソフトウェアをシステムにインストールするか (たとえば、どのソフトウェアグループをインストールするか) を定義するテキストファイルです。すべてのルールはプロファイルを指定して、ルールが一致したときにシステムがどのようにインストールされるかを定義します。通常は、ルールごとに異なるプロファイルを作成します。しかし、複数のルールで同じプロファイルを使用することも可能です。
プロファイルは、 1 つまたは複数のプロファイルキーワードとそれらの値から構成されます。各プロファイルキーワードは、Solaris インストールプログラムがどのようにしてシステムに Solaris ソフトウェアをインストールするかを制御するコマンドです。たとえば、次のようなプロファイルキーワードとプロファイル値があります。
system_type server
これは Solaris インストールプログラムに、システムをサーバーとしてインストールするよう指示します。
「プロファイルフロッピーディスクの作成」または 「プロファイルサーバーの作成」の手順を使用して JumpStart ディレクトリを作成した場合、プロファイルのサンプルが JumpStart ディレクトリにあります。
プロファイルキーワードは 1 行に 1 つだけであること
アップグレードインストールを実行するためのプロファイルを作成していて、アップグレードされるシステムが、アップグレードできるルートファイルシステムを複数持っている場合は、root_device キーワード
プロファイルでは、次のことが許可されています。
空白行
ファイル (プロファイル) を開いて、内容がわかるようなファイル名をつけます。
新しいファイルを作成するか、作成済みの JumpStart ディレクトリにあるサンプルプロファイルの 1 つを変更できます。
プロファイル名は、システムに Solaris ソフトウェアをインストールする方法が推測できるようなものにしてください (たとえば、basic_install、eng_profile、user_profile など)。
プロファイルキーワードとプロファイル値をプロファイルに追加します。
プロファイルを編集するときは、次の点に留意してください。
プロファイルを、プロファイルサーバーまたはプロファイルフロッピーディスクの JumpStart ディレクトリに保存します。
プロファイルの所有者は root で、アクセス権は 644 です。
(省略可能) プロファイルをテストします。
詳細は、「プロファイルのテスト」を参照してください。
これでプロファイルを作成するための手順が終了しました。すべてのプロファイルを作成したら、「rules ファイルの妥当性を検査する」を参照してください。
次のプロファイル例は、異なるプロファイルキーワードとプロファイル値を使用して、システムへ Solaris ソフトウェアをインストールする方法について示しています。プロファイルキーワードとプロファイル値のリストについては、「プロファイルキーワードとプロファイル値の説明」を参照してください。
# profile keywords profile values # ----------------- ----------------- 1 install_type initial_install 2 system_type standalone 3 partitioning default filesys any 60 swap # specify size of /swap filesys s_ref:/usr/share/man - /usr/share/man ro filesys s_ref:/usr/openwin/share/man - /usr/openwin/share/man ro,quota 4 cluster SUNWCprog 5 package SUNWman delete package SUNWolman delete package SUNWxwman delete package SUNWoldem add package SUNWxwdem add package SUNWoldim add package SUNWxwdim add
1. このプロファイルキーワードは、各プロファイルに必要です。
2. このプロファイルキーワードは、スタンドアロンシステムとしてインストールすることを定義します。
3. ファイルシステムスライスを default 値でインストールすることを指定します。ただし、スワップサイズを 60M バイトに設定し、任意のディスク (any 値) にインストールします。標準のマニュアルページと OpenWindows のマニュアルページは、ネットワーク上のファイルサーバー s_ref からマウントされます。
4. 開発者ソフトウェアグループ (SUNWCprog) をシステムにインストールします。
5. マニュアルページがリモートからマウントされるため、これらのパッケージについては、システム上にインストールしないように選択します。ただし、OPEN LOOK と X Windows System デモプログラムおよびイメージを含むパッケージは、システムにインストールするように選択します。
# profile keywords profile values # ---------------- ------------------- install_type initial_install system_type standalone 1 partitioning explicit filesys c0t0d0s0 auto / filesys c0t3d0s1 32 swap filesys any auto usr 2 cluster SUNWCall
1. ファイルシステムスライスは、filesys キーワード (explicit 値) により指定します。ルートのサイズは、選択したソフトウェア (auto 値) に基づいて決定され、c0t0d0s0 にインストールされます。swap のサイズは 32M バイトに設定され、c0t3d0s1 にインストールされます。usr のサイズは、選択したソフトウェアにより決定され、インストール場所はインストールプログラムによって決定されます (any 値)。
2. 全体ディストリビューションソフトウェアグループ (SUNWCall) は、システム上にインストールされます。
# profile keywords profile values # ---------------- ------------------- install_type initial_install system_type standalone 1 fdisk c0t0d0 0x04 delete 2 fdisk c0t0d0 solaris maxfree 3 cluster SUNWCall 4 cluster SUNWCacc delete
1. タイプ DOSOS16 (16 進数の 04) のすべての fdisk パーティションが c0t0d0 ディスクから削除されます。
2. Solaris fdisk パーティションは、c0t0d0 ディスク上の最大連続空き領域に作成されます。
3. 全体ディストリビューションソフトウェアグループ (SUNWCall) をシステム上にインストールします。
4. システムアカウンティングユーティリティ (SUNWCacc) をシステム上にインストールしないように選択します。
# profile keywords profile values # ---------------- ------------------- 1 install_type upgrade 2 root_device c0t3d0s2 3 backup_media remote_filesystem timber:/export/scratch 4 layout_constraint c0t3d0s2 changeable 100 layout_constraint c0t3d0s4 changeable layout_constraint c0t3d0s5 movable 5 package SUNWbcp delete 6 package SUNWolman add package SUNWxwman add cluster SUNWCumux add 7 locale de
1. このプロファイルは、ディスク領域を割り当てし直すことによってシステムをアップグレードします。この例では、システム上のファイルシステムの一部はアップグレード用に十分な空き領域を持っていないため、割り当てし直す必要があります。
2. c0t3d0s2 上のルートファイルシステムをアップグレードします。
3. ディスク領域を割り当てし直すときに、データをバックアップするのに timber という名前のリモートシステムを使用します。
4. アップグレード時にディスク領域を割り当てし直す際に、layout_constraint キーワードは自動配置により、スライス 2 と 5 を変更できる (スライスを他の位置に移動し、サイズを変更できる) ことを指定し、スライス 5 を移動できる (スライスを他の位置に移動するが、サイズは変更しない) ことを指定します。
5. バイナリ互換パッケージ (SUNWbcp) はアップグレード後、システムにインストールされません。
6. このコードは、OPEN LOOK と X Windows System のマニュアルページ、および汎用マルチプレクサソフトウェアについて、システムにインストールされていなければインストールするように選択します (すでにシステム上にあるパッケージは、すべて自動的にアップグレードされます)。
7. ドイツ語用ローカリゼーションパッケージをシステムにインストールすることを選択します。
次の節では、プロファイルで使用できるプロファイルキーワードとプロファイル値を説明します。プロファイルキーワードとプロファイル値には、大文字と小文字の区別があります。
表 8-3 を使用すれば、どのキーワードがユーザーのインストールに適しているかを簡単に決定できます。プロファイルキーワードの説明で特に注記されていない限り、プロファイルキーワードは初期インストールオプションだけで使用できます。
表 8-3 プロファイルキーワード
インストール方法 |
|||||
---|---|---|---|---|---|
プロファイルキーワード |
スタンドアロンシステム (ネットワークに接続されていない) |
スタンドアロンシステム (ネットワークに接続されている) またはサーバー |
OS サーバー |
アップグレード |
ディスク領域を割り当てし直すアップグレード |
backup_media |
x |
||||
boot_device |
x |
x |
x | ||
client_arch |
x | ||||
client_root |
x | ||||
client_swap |
x | ||||
cluster (ソフトウェアグループを追加する場合) |
x |
x |
x | ||
cluster (クラスタを追加または削除する場合) |
x |
x |
x |
x |
x |
dontuse |
x |
x |
x | ||
fdisk |
x |
x |
x | ||
filesys (リモートファイルシステムをマウントする場合) |
x |
x | |||
filesys (ローカルファイルシステムを作成する場合) |
x |
x |
x | ||
install_type |
x |
x |
x |
x |
x |
layout_constraint |
x |
||||
locale |
x |
x |
x |
x |
x |
num_clients |
x | ||||
package |
x |
x |
x |
x |
x |
paritioning |
x |
x |
x |
|
|
root_device |
x |
x |
x |
x |
x |
system_type |
x |
x |
x |
|
|
usedisk |
x |
x |
x |
backup_media type path
backup_media は、ディスク領域を割り当てし直すことが必要なアップグレードオプションだけで使用しなければなりません。
backup_media は、ディスク容量不足のためにアップグレード中にディスク領域を割り当てし直す必要があるファイルシステムのバックアップをとるために使用する媒体を定義します。バックアップ用に複数のテープまたはフロッピーディスクが必要な場合は、アップグレード中にテープまたはフロッピーディスクの挿入を求めるプロンプトが表示されます。
有効な type 値 |
有効な path 値 |
説明 |
---|---|---|
local_tape |
/dev/rmt/n |
アップグレードされるシステムのローカルテープドライブを指定する。path は、テープドライブのキャラクタ型 (raw) デバイスのパスでなければならない。n はテープドライブの番号 |
local_diskette |
/dev/rdisketten |
アップグレードされるシステムのローカルフロッピーディスクドライブを指定する。path は、フロッピーディスクドライブのキャラクタ型 (raw) デバイスのパスでなければならない。n はフロッピーディスクドライブの番号 注 - バックアップで使用するフロッピーディスクは、フォーマットされていなければなりません。 |
local_filesystem |
/dev/dsk/cwtxdysz /file_system |
アップグレードされるシステムのローカルファイルシステムを指定する。アップグレードで変更されるローカルファイルシステムは指定できない。path は、ディスクスライスのブロック型デバイスのパス (tx は必須ではない) か、/etc/vfstab ファイルでマウントされたファイルシステムへの絶対パスのいずれかである |
remote_filesystem |
host:/file_system |
リモートシステムの NFS ファイルシステムを指定する。path は、リモートシステム (host) の名前または IP アドレスと、NFS ファイルシステム (file_system) への絶対パスを含まなければならない。NFS ファイルシステムは、読み取り権と書き込み権を持っている必要がある |
remote_system | user@host:/directory |
リモートシェル (rsh) で到達できるリモートシステム上のディレクトリを指定する。アップグレードされるシステムは、リモートシステムの .rhosts ファイル経由で、リモートシステムにアクセスできなければならない。path は、リモートシステム (host) の名前と、そのディレクトリ (directory) への絶対パスを含まなければならない。ユーザーログイン (user) を指定しないと、スーパーユーザーとしてログインされる |
例:
backup_media local_tape /dev/rmt/0 backup_media local_diskette /dev/rdiskette1 backup_media local_filesystem /dev/dsk/c0t3d0s4 backup_media local_filesystem /export backup_media remote_filesystem system1:/export/temp backup_media remote_system user1@system1:/export/temp
boot_device device eeprom
boot_device は、インストールプログラムがルートファイルシステムをインストールするデバイスを (つまり、システムのブートデバイスを) 指定します。システムのブートデバイスを現在設定しているものから、システムが新しいブートデバイスから自動的にブートするように変更する場合は、eeprom 値を使用してシステムの EEPROM を変更することも可能です (SPARC 搭載システムのみ)。
boot_device キーワードをプロファイルに指定しない場合、インストール中にデフォルトで次の boot_device キーワードが指定されます。 boot_device any update
device - ブートデバイスにするデバイスを選択します。
cwtxdysz または cxdysz - インストールプログラムがルートファイルシステムを格納するディスクスライス。たとえば、c0t0d0s0 (SPARC 搭載システムのみ)。
cwtxdy または cxdy - インストールプログラムがルートファイルシステムを格納するディスク。たとえば、c0t0d0 (x86 搭載システムのみ)。
existing - インストールプログラムは、システムの既存のブートデバイスにルートファイルシステムを格納します。
any - ルートファイルシステムを格納する場所は、インストールプログラムが選択します。システムの既存のブートデバイスを使用する場合もありますが、必要であれば、異なるブートデバイスを選択する場合もあります。
eeprom - システムの EEPROM を、指定したブートデバイスに変更する場合に選択します (SPARC 搭載システムのみ)。x86 搭載システムの場合は、常に preserve 値を指定しなければなりません。
update - インストールプログラムは、インストールされるシステムが自動的に指定したブートデバイスからブートするように、システムの EEPROM をそのブートデバイスに変更します。
preserve - システムの EEPROM 中のブートデバイス値は変更されません。システムの EEPROM を変更しないで新しいブートデバイスを指定した場合は、システムが新しいブートデバイスから自動的にブートするように、システムの EEPROM を手作業で変更しなければなりません。
例:
boot_device c0t0d0s2 update
boot_device は、ルートファイルシステムを指定する filesys キーワードと (指定した場合は) root_device キーワードに一致しなければなりません。
client_arch karch_value[karch_value...]
client_arch は、OS サーバーが使用するものとは異なるプラットフォームグループをサポートすることを定義します。client_arch を指定しない場合、OS サーバーを使用するどのディスクレスクライアントも AutoClient システムも、サーバーと同じプラットフォームグループでなくてはなりません。OS サーバーがサポートしてほしいプラットフォームグループごとに指定する必要があります。
karch_value の有効な値は、sun4d、sun4c、sun4m、sun4u、または i86pc です。(各システムのプラットフォーム名については、付録 C 「プラットフォーム名とグループ」 を参照してください。)
client_arch は、system_type に server を指定したときだけ使用できます。
client_root root_size
client_root は、各クライアント用に割り当てるルート領域の大きさ (root_size、M バイト単位) を定義します。サーバーのプロファイルに client_root の指定がない場合は、1 クライアントあたり 15M バイトのルート領域が自動的に割り当てられます。このクライアント用のルート領域の大きさは、num_clients キーワードを組み合わせて、/export/root ファイルシステム用に確保する領域の大きさを決定するときに使用されます。
client_root は、system_type に server を指定したときだけ使用できます。
client_swap swap_size
client_swap は、各ディスクレスクライアントに割り当てるスワップ領域の大きさ (swap_size、M バイト単位) を定義します。client_swap を指定しない場合、32M バイトのスワップ領域が割り当てられます。
例:
client_swap 64
この例は、各ディスクレスクライアントが 64M バイトのスワップ領域を持つことを定義します。
client_swap は、system_type に server を指定したときだけ使用できます。
cluster group_name
cluster は、どのソフトウェアグループをシステムに追加するかを指定します。ソフトウェアグループのクラスタ名は次のとおりです。
ソフトウェアグループ | group_name |
---|---|
コアシステムサポート | SUNWCreq |
エンドユーザーシステムサポート | SUNWCuser |
開発者システムサポート | SUNWCprog |
全体ディストリビューション | SUNWCall |
全体ディストリビューションと OEM サポート (SPARC 搭載システムのみ) | SUNWCXall |
1 つのプロファイルに 1 つのソフトウェアグループだけ指定できます。ソフトウェアグループは、他の cluster エントリと package エントリの前に指定しなければなりません。cluster でソフトウェアグループを指定しない場合、デフォルトによりエンドユーザーソフトウェアグループ (SUNWCuser) がシステムにインストールされます。
cluster cluster_name [add | delete]
cluster (クラスタの追加または削除) は、初期インストールオプションとアップグレードオプションの両方で使用できます。
cluster は、システムにインストールされるソフトウェアグループにクラスタを追加または削除するかを指定します。add はそのクラスタを追加すること、delete は削除することを示します。add または delete を指定しないと、デフォルトにより add が設定されます。
cluster_name は SUNWCname の形式で指定してください。インストールが終了したシステムで Admintool を起動し、「ブラウズ」メニューから「ソフトウェア」を選択すると、クラスタの詳細情報とクラスタ名を表示できます。各ソフトウェアグループに含まれるパッケージのリストについては、『Solaris 2.6 ご使用にあたって』を参照してください。
すでにシステムにあるすべてのクラスタが自動的にアップグレードされます。
cluster_name add を指定したが、cluster_name がシステムにインストールされていなかった場合、そのクラスタがインストールされます。
cluster_name delete を指定したが、cluster_name がシステムにインストールされていた場合、アップグレードが開始される前にそのパッケージは削除されます。
dontuse disk_name [disk_name...]
dontuse は、partitioning default を指定しているときに、Solaris インストールプログラムが使用してはならない 1 つ以上のディスクを指定します (デフォルトでは、システムのすべての使用可能なディスクを使用します)。disk_name は、cxtydz または cydz の形式 (たとえば、c0t0d0) で指定する必要があります。
1 つのプロファイルで、dontuse キーワードと usedisk キーワードを同時に指定することはできません。
fdisk disk_name type size
fdisk は、x86 搭載システムで fdisk パーティションを設定する方法を定義します。fdisk は 2 回以上指定できます。次に、x86 搭載システムでの fdisk パーティションのデフォルトの動作について説明します。
fdisk キーワードを使って (size に delete か 0 を指定して) 削除しない限り、ディスク上のすべての fdisk パーティションは保存されます。また、size が all の場合は、既存のすべての fdisk パーティションが削除されます。
ルートファイルシステムを含む Solaris fdisk パーティションは、そのディスク上でアクティブパーティションとして常に指定されます (x86 搭載システムは、デフォルトでアクティブパーティションから起動します)。
fdisk エントリは、プロファイルに指定されている順序で処理されます。
disk_name - fdisk パーティションを作成または削除する場所を指定します。
cxtydz または cydz - 特定のディスク。たとえば、c0t3d0
rootdisk - システムのルートディスク値を含む変数。これは Solaris インストールプログラムで決定されます (「システムのルートディスクを決定する方法」を参照)。
all - 選択されたすべてのディスク
type - 指定したディスク上で作成または削除する fdisk パーティションのタイプを指定します。
solaris - Solaris fdisk パーティション (SUNIXOS fdisk タイプ)
dosprimary - 1 次 DOS fdisk パーティションの別名 (拡張またはデータ用 DOS fdisk パーティションではない)。fdisk パーティションを削除する場合 (size に delete を指定)、dosprimary は DOSHUGE、DOSOS12、および DOSOS16 fdisk タイプ (これらはすべて削除される) の別名になります。fdisk パーティションを作成する場合、dosprimary は DOSHUGE fdisk パーティション (このパーティションが作成される) の別名になります。
DDD - 整数で表す fdisk パーティション (有効な値は 1 から 255 までの整数)
この値は size に delete を指定した場合のみ指定できます。
0xHH - 16 進数で表す fdisk パーティション (有効な値は 01 から FF までの 16 進数)
この値は size に delete を指定した場合のみ指定できます。
いくつかの fdisk タイプの整数と 16 進数での表し方を次の表に示します。
fdisk タイプ |
DDD |
HH |
---|---|---|
DOSOS12 |
1 |
01 |
PCIXOS |
2 |
02 |
DOSOS16 |
4 |
04 |
EXTDOS |
5 |
05 |
DOSHUGE |
6 |
06 |
DOSDATA |
86 |
56 |
OTHEROS |
98 |
62 |
UNIXOS |
99 |
63 |
DDD - サイズが DDD (M バイト単位) の fdisk パーティションを、指定したディスク上に作成します。DDD は整数で指定する必要があります。Solaris インストールプログラムは、この数値を一番近いシリンダの境界に自動的に繰り上げます。0 を指定すると、delete を指定するのと同じになります。
all - fdisk パーティションをディスク全体に作成します (既存のすべての fdisk パーティションは削除されます)。
この値は type に solaris を指定した場合のみ指定できます。
maxfree - 指定したディスク上の最も大きい連続する空き領域に fdisk パーティションを作成します。ディスク上にすでに指定した type の fdisk パーティションがあると、その既存の fdisk パーティションを使用します (新しい fdisk パーティションはディスク上に作成されません)。
ディスクには、空き領域と少なくとも 1 つの未使用の fdisk パーティションが必要です。空き領域がない場合は、インストールが失敗します。この値は、type が solaris または dosprimary の場合のみ指定できます。
delete - 指定した type のすべての fdisk パーティションを指定したディスク上で削除します。
filesys server:path server_address mount_pt_name [mount_options]
この場合の filesys の例は、インストールしたシステムが起動するときに、自動的にリモートファイルシステムをマウントするよう設定します。 2 回以上 filesys を指定できます。
例 :
filesys sherlock:/export/home/user2 - /home
server: - リモートファイルシステムが存在するサーバー名 (後ろにコロンをつけます)
path - リモートファイルシステムのマウントポイント名。たとえば /usr または /export/home
server_address - server:path で指定するサーバーの IP アドレス。ネットワーク上で実行されているネームサービスがない場合、この値を使用して、サーバーのホスト名とIP アドレスを登録している /etc/hosts ファイルを生成できます。サーバーの IP アドレスを指定したくない場合 (ネットワーク上で実行中のネームサービスがある場合) は、マイナス記号 (-) を指定する必要があります。
mount_pt_name - リモートファイルシステムをマウントするマウントポイント名
mount_options - 指定した mount_pt_name の /etc/vfstab エントリに追加する 1 つ以上のマウントオプション (mount(1M) コマンドの -o オプション)
複数のマウントオプションを指定する場合は、マウントオプションは、スペースではなくカンマで区切ってください。例: ro,quota
filesys slice size [file_system] [optional_parameters]
この場合の filesys は、インストール中にローカルファイルシステムを作成します。filesys は 2 回以上指定できます。
any - Solaris インストールプログラムは、ファイルシステムを任意のディスクに配置します。
size が existing、all、free、start:size、または ignore の場合は、any は指定できません。
cwtxdysz または cxdysz - Solaris インストールプログラムがファイルシステムを配置するディスクスライス。たとえば、c0t0d0s0
rootdisk.sn - システムのルートディスク値が含まれる変数。この値は、Solaris インストールプログラムが決定します (「システムのルートディスクを決定する方法」を参照)。拡張子 sn は、ディスク上の特定のスライスを示します。
num - ファイルシステムのサイズを num (M バイト単位) で設定します。
existing - 既存のファイルシステムの現在のサイズを使用します。
existing の値を使用すると、別の mount_pt_name として file_system を指定することによって、既存のスライス名を変更できます。
auto - 選択したソフトウェアに応じて、ファイルシステムのサイズを自動的に決定します。
all - 指定した slice は、そのファイルシステム用にディスク全体を使用します。この値を指定すると、指定したディスク上に他のファイルシステムは存在できません。
free - ディスク上の残りの未使用領域をファイルシステム用に使用します。
filesys に free を指定する場合は、プロファイルの最後の filesys エントリでなければなりません。
start:size - ファイルシステムを明示的にパーティションに分割します。start はスライスが始まるシリンダで、size はそのスライスのシリンダ数です。
file_system - slice に any または cwtxdysz を指定しているときに、このオプション値を使用できます。この値を指定しないと、デフォルトによって unnamed が設定されますが、optional_parameters 値を使用することはできません。次のいずれか 1 つを指定してください。
mount_pt_name - ファイルシステムのマウントポイント名。たとえば /var
swap - 指定した slice を swap として使用します。
overlap - 指定した slice をディスク領域 (VTOC の値は V_BACKUP) を表すものとして定義します。デフォルトでは、スライス 2 はディスク全体を表すオーバーラップスライスです。
size に existing、all、または start:size を指定した場合だけ overlap を指定できます。
unnamed - 指定した slice は raw スライスと定義されるので、slice にはマウントポイント名がありません。file_system を指定しないと、デフォルトで unnamed が設定されます。
ignore - 指定した slice を使用しないか、インストールプログラムで認識しません。これにより、インストール時にディスク上のファイルシステムを無視できるため、Solaris インストールプログラムは同じ名前で同じディスク上に新しいファイルシステムを作成できます。ignore は、partitioning existing を指定したときだけ使用できます。
optional_parameters - 次のいずれか 1 つを指定します。
preserve - 指定した slice 上のファイルシステムを保存します。
size に existing、slice に cwtxdysz を指定した場合だけ preserve を指定できます。
mount_options - 指定した mount_pt_name の /etc/vfstab エントリに追加する 1 つ以上のマウントオプション (mount(1M) コマンドの -o オプション)
複数のマウントオプションを指定する場合は、マウントオプションはスペースではなくカンマで区切ってください。例: ro,quota
install_type initial_install | upgrade
install_type は、システムで初期インストールオプションまたはアップグレードオプションを実行するかどうかを定義します。
install_type は、各プロファイル内で最初のプロファイルキーワードでなければなりません。
一部のプロファイルキーワードは、initial_install オプションだけで使用できます。これは、upgrade オプションでも同様です。
layout_constraint slice constraint [minimum_size]
layout_constraint は、ディスク容量の再割り当てが必要なアップグレードオプションだけで使用できます。
layout_constraint は、ファイルシステムがディスク容量不足のためにアップグレード中にディスク容量を再割り当てする必要がある場合に、制約付き自動配置がファイルシステムで行われることを示します。
layout_constraint キーワードを指定しないと、次のようになります。
アップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムは、changeable とマークされます。
より多くの容量を必要とするファイルシステムと同じディスク上にあるファイルシステム (/etc/vfstab ファイルでマウントされる) は、changeable とマークされます。
残りのファイルシステムは、fixed とマークされます (自動配置はこれらのファイルシステムを変更できません)。
1 つ以上の layout_constraint キーワードを指定すると、次のようになります。
アップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムは、changeable とマークされます。
layout_constraint キーワードを指定したファイルシステムは、指定した制約がマークされます。
残りのファイルシステムは、fixed とマークされます。
アップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムの制約は変更できませんが (changeable とマークされなければならない)、このようなファイルシステムに layout_constraint を使用すれば、その minimum_size 値を変更できます。
自動配置がディスク容量の再割り当てを行う際には、より多くのファイルシステム、特にアップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムと同じディスク上にあるファイルシステムを、changeable または movable であると選択します。
slice - これは、制約を指定するファイルシステムのディスクスライスです。cwtxdysz または cxdysz の形式で指定しなければなりません。
constraint - 指定したファイルシステムに対して、次のいずれか 1 つの制約を選択します。
changeable - 自動配置はファイルシステムを他の場所に移動して、そのサイズを変更できます。この制約は、/etc/vfstab ファイルでマウントされるファイルシステムだけに指定できます。minimum_size 値を指定すれば、ファイルシステムのサイズを変更できます。
ファイルシステムを changeable とマークして、minimum_size 値を指定しないと、そのファイルシステムの最小サイズは、必要な最小サイズより 10% 大きな値に設定されます。たとえば、ファイルシステムの最小サイズが 100M バイトの場合、変更されるサイズは 110M バイトになります。minimum_size を指定した場合、残りの空き領域 (元のサイズから最小サイズを引いたもの) は他のファイルシステム用に使用されます。
movable - 自動配置はファイルシステムを (同じディスクまたは異なるディスク上の) 他のスライスに移動できますが、サイズは変更しません。
available - 自動配置は、ファイルシステムのすべての領域を使用して領域を割り当てし直します。ファイルシステムのすべてのデータは失われます。この制約は、/etc/vfstab ファイルでマウントされないファイルシステムだけに指定できます。
collapse - 自動配置は、指定したファイルシステムをその親ファイルシステムに移動し (閉じこめ) ます。これは、アップグレードの一部として、システム上のファイルシステム数を減らすために使用できます。たとえば、システムが /usr と /usr/openwin のファイルシステムを持っている場合、/usr/openwin ファイルシステムを閉じ込めると、/usr/openwin は /usr (その親) に移動されます。この制約は、/etc/vfstab ファイルでマウントされるファイルシステムだけに指定できます。
minimum_size - この値は、自動配置が領域を再割り当てするときに、ファイルシステムに割り当てる最小サイズを指定します (基本的に、ファイルシステムのサイズを変更します)。ファイルシステムのサイズは、まだ割り当てられていない領域が追加される場合、最終的にはこの指定した値よりは大きくなります。このオプション値は、ファイルシステムを changeable とマークした場合のみ使用できます。最小サイズは、ファイルシステムの既存の内容に必要なサイズより小さい値には設定できません。
例:
layout_constraint c0t3d0s1 changeable 200 layout_constraint c0d0s4 movable layout_constraint c0t3d1s3 availiable layout_constraint c0t2d0s1 collapse
locale locale_name
locale は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。
locale は、指定した locale_name に対して、どの言語パッケージまたはロケールパッケージをインストール (アップグレードの場合は追加) するかを指定します。locale_name 値は、$LANG
環境変数で使用されるのと同じです。有効な言語とロケールの値については、付録 E 「言語とロケールの値」 を参照してください。
デフォルトの言語またはロケールを事前構成している場合は、自動的にインストールされます。デフォルトでは、English 言語パッケージがインストールされます。
locale キーワードは、システムに追加する言語またはロケールごとに指定できます。
num_clients client_num
サーバーがインストールされているときには、各ディスクレスクライアントのルート (/) と swap ファイルシステムにディスク空間が割り当てられます。num_clients は、サーバーがサポートするディスクレスクライアント数 (client_num) を定義します。num_clients を指定しないと、5 つのディスクレスクライアントが割り当てられます。
num_clients は、system_type が server として指定されているときだけ使用できます。
package package_name [add | delete]
package は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。
package は、システムにインストールするソフトウェアグループにパッケージを追加または削除するかを指定します。add はそのパッケージを追加、delete は削除します。add と delete のどちらも指定しなかった場合は、デフォルトにより add が設定されます。
package_name は SUNWname の形式で指定する必要があります。インストールが終了したシステムで pkginfo -l コマンドを使用するか、Admintool を起動して「ブラウズ」メニューから「ソフトウェア」を選択して、パッケージの詳細情報とパッケージ名を表示できます。各ソフトウェアグループに含まれるパッケージについては、『Solaris 2.6 ご使用にあたって』を参照してください。
すでにシステム上にあるすべてのパッケージが自動的にアップグレードされます。
package_name add を指定したが、package_name がシステムにインストールされていなかった場合は、そのパッケージがインストールされます。
package_name delete を指定したが、package_name がシステムにインストールされていた場合、アップグレードが開始される前にそのパッケージは削除されます。
package_name delete を指定したが、package_name がシステムにインストールされていない場合、インストールするように指定したクラスタの一部にそのパッケージが含まれていると、パッケージはインストールされません。
partitioning default | existing | explicit
partitioning は、インストール時にファイルシステム用にディスクをスライスに分割する方法を定義します。partitioning を指定しないと、default が設定されます。
default - Solaris インストールプログラムはディスクを選択して、指定したソフトウェアをインストールするファイルシステムを作成します。ただし、filesys キーワードで指定したファイルシステムを除きます。rootdisk が最初に選択され、指定したソフトウェアが rootdisk に収まらない場合は、さらに別のディスクが使用されます。
existing - Solaris インストールプログラムは、システムのディスク上にある既存のファイルシステムを使用します。/、/usr、/usr/openwin、/opt、/var を除く、すべてのファイルシステムが保存されます。インストールプログラムは、ファイルシステムのスーパーブロックにある最後のマウントポイントフィールドを使用して、スライスがどのファイルシステムのマウントポイントを表しているかを判断します。
filesys プロファイルキーワードと partitioning existing を組み合わせる場合、size は existing である必要があります。
explicit - Solaris インストールプログラムはディスクを使用して、filesys キーワードで指定されるファイルシステムを作成します。filesys キーワードでルート (/) ファイルシステムだけを指定した場合、すべての Solaris ソフトウェアがルートファイルシステムにインストールされます。
explicit プロファイル値を使用するときには、filesys プロファイルキーワードを使用して、使用するディスクと作成するファイルシステムを指定してください。
root_device slice
root_device は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。
root_device は、システムのルートディスクを指定します。詳細は、「システムのルートディスクを決定する方法」を参照してください。
アップグレードの場合
root_device は、アップグレードされるルートファイルシステム (および、その /etc/vfstab ファイルでマウントされるファイルシステム) を指定します。システム上で複数のルートファイルシステムがアップグレードできる場合は、root_device を指定しなければなりません。slice は、cwtxdysz または cxdysz 形式で指定しなければなりません。
例:
root_device c0t0d0s2
1 つだけのディスク (必須ではない) を持つシステムで root_device を指定する場合、root_device とディスクは一致しなければなりません。また、ルートファイルシステムを指定する任意の filesys キーワードは、root_device と一致しなければなりません。
system_type standalone | server
system_type は、インストールするシステムのタイプを定義します。プロファイルに system_type を指定しないと、デフォルトにより standalone が設定されます。
usedisk disk_name [disk_name...]
usedisk は、partitioning default を指定しているときに、Solaris インストールプログラムが使用する 1 つ以上のディスクを指定します (デフォルトではシステム上のすべての使用可能ディスクを使用します)。disk_name は、cxtydz または cydz 形式 (たとえば c0t0d0) で指定します。
プロファイルで usedisk プロファイルキーワードを指定すると、Solaris インストールプログラムは usedisk プロファイルキーワードで指定したディスクだけを使用します。
同じプロファイルに usedisk キーワードと dontuse キーワードを同時に指定することはできません。
プロファイルにスワップサイズが指定されていない場合、Solaris インストールプログラムは、システムの物理メモリーの大きさにしたがってスワップ領域の最大のサイズを決定します。表 8-4 は、カスタム JumpStart インストール時に確保されるスワップの最大サイズをまとめたものです。
表 8-4 スワップの最大サイズの決定方法
物理メモリー (M バイト) |
スワップの最大サイズ (M バイト) |
---|---|
16 - 64 |
32 |
64 - 128 |
64 |
128 - 512 |
128 |
512 を超える場合 |
256 |
他のファイルシステムを配置した後にディスクに十分な空き容量がない場合、Solaris インストールプログラムは、スワップ領域のサイズが全ディスク容量の 20% を超えないようにします。十分な空き容量が存在する場合は、表 8-4 に示す最大サイズまでスワップ領域を割り当てます。
物理メモリーとスワップ領域の合計は、32M バイト以上必要です。
システムのルートディスクは、ルートファイルシステムを含むシステム上のディスクです。プロファイル内では、Solaris インストールプログラムがシステムのルートディスクを設定するディスク名の代わりに、この rootdisk 変数を使用できます。表 8-5 に、インストールプログラムがインストール用にシステムのルートディスクを決定する方法を説明しています。これは初期インストール時だけに適用されます。アップグレードの場合、システムのルートディスクは変更できません。
表 8-5 インストールプログラムがシステムのルートディスクを決定する方法 (初期インストールのみ)
手順 |
動作 |
---|---|
1 |
プロファイル内で root_device キーワードが指定されている場合、インストールプログラムは rootdisk をルートデバイスに設定します。 |
2 |
プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、boot_device キーワードが指定されている場合、インストールプログラムは rootdisk をブートデバイスに設定します。 |
3 |
プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、filesys cwtxdysz size / エントリが指定されている場合、インストールプログラムは rootdisk をエントリで指定されたディスクに設定します。 |
4 |
プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、rootdisk.sn エントリが指定されている場合、インストールプログラムはシステムのディスクで、(カーネルのプローブ順で) 指定したスライス上の既存のルートファイルシステムを検索します。ディスクが見つかった場合、インストールプログラムは見つかったディスクに rootdisk を設定します。 |
5 |
プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、partitioning existing が指定されている場合、インストールプログラムはシステムのディスクで、(カーネルのプローブ順で) 既存のルートファイルシステムを検索します。ルートファイルシステムが見つからなかった場合、あるいは複数のルートファイルシステムが見つかった場合は、エラーが発生します。ルートファイルシステムが見つかった場合、インストールプログラムは見つかったディスクに rootdisk を設定します。 |
6 |
プロファイル内で rootdisk が設定されていない場合、インストールプログラムは、ルートファイルシステムがインストールされるディスクに rootdisk を設定します。 |