Solaris 2.6 情報ライブラリ (SPARC 版)

ネットワークサーバーと Web サーバーの性能

これまでネットワークのスループットは、長期間接続が保持されることを前提に改善されてきました。この結果、Solaris は NFS サーバーで業界随一の性能を誇ってきました。一方、Web サーバーの場合は、短い接続時間と少ない消費帯域幅という、まったく異なるパラダイムに基づいています。Solaris 2.6 からは、この面で大きく性能が向上しました。この性能アップグレードの内容と同じものが、Solaris Internet Server Supplement (SISS) パッケージとして Solaris 2.5.1 用にリリースされています。

ソケットインタフェース層、TCP/IP プロトコル、STREAMS フレームワークなどの点で、Web サーバーの性能が改善されました。ソケットインタフェース層はファイルシステム (sockfs) として再設計された結果、ソケットライブラリや STREAMS ソケットモジュールでソケットコードを重複して作成する必要がなくなりました。これによって、Web で一般的な短時間の接続でも性能が大幅に向上しました。TCP/IP では、多数の接続をさらに効率よく処理できるようになったほか、接続およびソケットの開閉をマルチスレッド化することによって一層の性能向上が図られています。また、STREAMS フレームワークの構造が再構築されて、TCP/IP ソケットの開閉効率も向上しています。

Standard Performance Evaluation Corporation (SPEC) は、Web サーバーの性能を比較するための標準ベンチマークである SPECweb96 をリリースしました。このベンチマークでは、HTTP GET 要求の処理効率を測定して比較結果を提供します。SPEC は、小規模の個人的な Web サーバーからインターネット上で最も人気のあるサーバーに至るまでのサーバーログを分析して、作業負荷の基準値を算出しています。SPEC SFS ベンチマークの枠組みに基づいて構築されている SPECweb96 では、単体または複数のクライアントシステムから HTTP プロトコル要求を発生させて試験することができます。Solaris 2.6 に関する最新の SPECweb96 情報や SPECweb96 ベンチマークの詳細については、http://www.specbench.org を参照してください。

カーネルソケット

カーネルソケットの実装によって、SunOSTM 4.x ソケットおよび BSD ソケットとの互換性が高まり、ソケットの性能が向上しています。

TCP の拡張されたウィンドウ

TCP の拡張されたウィンドウは、RFC1323 に説明されている機能を提供します。TCP の拡張されたウィンドウでは、ATM などの帯域幅の広いネットワークや衛星リンクなどの遅延の大きいネットワークで、未処理のままにしておけるデータ量を 65,535 から 1G バイトまで拡大することにより性能が向上しています。

Zero Copy TCP/ハードウェアチェックサム

Zero Copy TCP/ハードウェアチェックサム機能を使って、特定の条件下で TCP のスループットを増大させることができます。これを実現するために、データのコピーを回避すると共に、ネットワークインタフェースにハードウェアチェックサムロジックがある場合、そのロジックを利用します。現時点で、ハードウェアチェックサムロジックを組み込んでいるネットワークインタフェースカードは、SunATM 622 だけです。

詳細については、Transport Interfaces Programming Guideを参照してください。