Solaris 2.6 情報ライブラリ (SPARC 版)

インストール

ここでは、Solaris 2.6 ソフトウェアで新たに用意されたインストール関連の機能について説明します。

ブラウザベースの Solaris Web Start のインストール

Solaris ソフトウェアは、Web ブラウザを使ってインストールできる業界初のオペレーティングシステムです。ブラウザベースの Solaris Web Start を使うと、対話形式で Solaris ソフトウェアおよび同梱のアプリケーションソフトウェアを選択してインストールできます。また、Solaris Web Start のグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) によって、ファイルシステムも簡単に構成できます。

このユーティリティに組み込まれているオンライン情報から、このユーティリティ自身、インストール可能なソフトウェア、サポートされるハードウェアプラットフォームなどについて知ることができます。ただし、このユーティリティを利用するかしないかは任意です。いつでもユーティリティを終了して、従来の方法でインストールすることができます。

詳細については、「Solaris Web Start の使い方」の章を参照してください。

新しくなったインストール用マニュアル

マニュアルの構成が変更されて、Solaris ソフトウェアのインストール方法に関する情報が探しやすくなりました。デスクトップ製品には、ローカルの CD-ROM から Solaris ソフトウェアをインストールするための小さなサイズの手引き書が付いています。サーバー製品には、サーバーやクライアントの設定に関する詳細な説明やカスタム JumpStartTM によるインストール作業の自動化に関するマニュアルが付いています。

x86 プラットフォームのための Configuration Assistant (デバイス構成用補助) とブートソフトウェア

Configuration Assistant (デバイス構成用補助) は、Intel 版 Solaris ソフトウェアの新しいブートシステムの一部です。マシンのハードウェアデバイスの種類を認識し、各デバイスが使用する資源を記録し、ブートデバイスの選択を可能にします。Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を含むブートソフトウェアは、Solaris オペレーティング環境と一緒にシステムのハードディスクにインストールされます。システムのハードウェア構成情報を含むファイルもハードディスクにインストールされます。システムがブートするたびに、この構成情報がカーネルに渡されます。ハードウェア構成が変更された場合は、Configuration Assistant (デバイス構成用補助) をもう一度実行する必要があります。

Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を使ってデバイス構成に関する問題を解決する方法については、「デバイスの構成」および「インストール時の問題解決」の章を参照してください。

Solaris CD のレイアウト変更

Solaris 2.6 から、Solaris CD のレイアウトが変更されました。スライス 0 は、以前よりわかりやすいディレクトリ構成になっています。最上位ディレクトリには、制御ファイルと Solaris_2.6 ディレクトリだけがあります。この制御ファイルは、以前のバージョンの Solaris CD に含まれる制御ファイルと同じで、.cdtoc.slicemapfile、および .install_config です。

詳細については、Solaris のインストール (上級編)を参照してください。

アップグレード時のディスク容量再割り当て

Solaris 2.6 には、現在のファイルシステムにアップグレードするための十分なディスク容量がない場合、自動配置機能によってディスク容量を割り当て直すオプションが用意されています。この新機能は、対話式の Solaris インストールプログラムとカスタム JumpStart のプロファイルキーワードから利用できます。

詳細については、Solaris のインストール (上級編)を参照してください。

アップグレードプロファイルのテスト

Solaris の以前のリリースでは、システム管理者は初期インストールオプションを使うプロファイルだけをテストできました。Solaris 2.6 では、pfinstall コマンドによってアップグレードオプションを使うプロファイルをテストできます。これによって、システム管理者はプロファイルが期待どおりに動作するか否かを判断してから、実際にアップグレードすることができます。この方法は、新機能のディスク容量の再割り当て機能と共に使用すると非常に便利です。

アップグレードプロファイルをテストするには、ディスク構成に対してアップグレードするシステム上で pfinstall -D コマンドを実行する必要があります。ディスク構成ファイルを使って、アップグレードプロファイルをテストすることはできません。

詳細については、Solaris のインストール (上級編)を参照してください。

システムのブートデバイスの変更

Solaris 2.6 では、インストール中にシステムのブートデバイスを変更できるようになりました。システムのブートデバイスとは、ルートファイルシステムがインストールされているディスクスライスのことで、インストールされるシステムはこのディスクスライスからブートします。

また、SPARC 版の新しいインストールプログラムでは、ブートデバイスの変更後にシステムの EEPROM を更新できるので、このデバイスから自動的にシステムをブートできるようになりました。以前のリリースでは、インストールの途中でシステムのブートデバイスを変更すると、次に自動的に新しいデバイスからブートするときは手動で EEPROM を変更する必要がありました。

この新機能は、対話式の Solaris インストールプログラムとカスタム JumpStart の boot_device プロファイルキーワードから利用できます。

詳細については、Solaris のインストール (上級編)を参照してください。

システム構成情報の事前構成

以前のリリースでは、Solaris インストールプログラムの最初の部分で、ネームサービスデータベースから周辺装置、ホスト名、IP アドレス、ネームサービスなどのシステム構成情報を取得しました。また、インストールプログラムにとって不明な情報があると、プロンプトが表示されて必要な情報の入力を求められました。このようなプロンプトを避けるには、ネームサービスでシステム構成情報を事前構成する必要がありました。

Solaris 2.6 では、sysidcfg ファイルを使って一組のキーワードからシステム構成情報を事前構成する方法が追加されました。必要に応じて 1 つまたは複数のキーワードを設定することにより、さまざまなレベルのシステム構成情報を事前構成できます。

sysidcfg ファイルは、リモートシステム上、ローカルシステムの UFS、または PCFS のフロッピーディスク上に置くことができます。リモートシステム上に sysidcfg ファイルを置く場合は、add_install_client コマンドの -p オプションを使って sysidcfg ファイルの場所を指定し、インストールされるシステムが sysidcfg ファイルを認識できるようにする必要があります。

システムのデフォルトロケール選択のプロンプトを表示しないようにするには、ロケール情報を事前構成します。

詳細については、Solaris のインストール (上級編)を参照してください。

x86 用周辺装置の構成

kdmconfig プログラムは、x86 システムでのマウス、グラフィックスアダプタ、およびモニターの構成に使われます。OWconfig ファイルがすでに存在する場合、kdmconfigOwconfig ファイルから利用できる情報を取得します。さらに、この新バージョンの kdmconfig は、devconf プログラムが devinfo ツリーに残した情報も取得して、この情報から自動的にデバイスを判断します。検査によって返される、メーカーやモデルなどの特定のデバイスに関する属性値は、その値が「不明 (Unknown)」でない限り OWconfig ファイルの属性値より優先的に使用されます。

不明デバイスがなく、「構成確認 (Confirm Configuration)」画面のすべての属性値が判明すると、デフォルトの選択は「Save and Exit Configuration」になります。さらに情報が必要な場合は、最初の不明なデバイスがデフォルトの選択として表示されます。この場合、別の構成用デバイスを選択してこのデフォルトの選択を上書きするか、あるいは「Save and Exit Configuration」を選択して終了することができます。後者のように終了すると、kdmconfig は不明なデバイスを確認し、値がないことがわかると X Window System で問題が起こる可能性のあることを警告します。警告を確認したら、構成作業を続行するか、あるいはいったんプログラムを終了して後でデバイスを構成することができます。

デバイスの構成画面の表示順で変更された点は、次のとおりです。

キャラクタユーザーインタフェースやナビゲーションに使われるファンクションキーに関しては、旧バージョンと同様です。

kdmconfig プログラムの詳細については、kdmconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

8 ビット英語ロケールの選択

インストール時に C ロケール (7 ビット文字) に加え、8 ビット文字をサポートする英語ロケールも選択できるようになりました。選択されたロケールは、システムのデフォルトロケールになります。


注 -

以前のリリースでは、英語ロケールを選択した場合、デフォルトで C ロケールが設定されていました。


表 3-1 インストール時に選択できる新ロケール

ロケール名 

言語/地域 

コードセット 

C

米国英語 

7 ビット 

en_AU

オーストラリア英語 

8 ビット 

en_CA

カナダ英語 

8 ビット 

en_UK

英国英語 

8 ビット 

en_US

米国英語 

8 ビット 

詳細なロケールのインストールについては、『Solaris 2.6 ご使用にあたって (SPARC 版)』、または『Solaris 2.6 ご使用にあたって (Intel 版)』を参照してください。