TCP/IP とデータ通信

BOOTP 中継エージェント

複数のネットワークと、ネットワークを特定するためのネットマスクの使用によって、TCP/IP をベースとしたネットワークの機能が複雑化しています。たとえば、IP を使用した一斉同報通信は、ネットワーク同士を接続するゲートウェイを介しては行うことができません。つまり、あるネットワーク上のクライアントは、その他のネットワーク上のサーバに対して DHCP 要求または BOOTP 要求の一斉同報通信を行うことができません。BOOTP 中継エージェントがゲートウェイを介してサーバへ要求を送り、次にサーバからの応答をクライアントに戻す必要があります。

ルータには組み込み型の BOOTP 中継エージェントがないが、DHCP サーバにインストールしたサービスの利点をその他のネットワーク内のクライアントにも利用させたいと希望する場合は、それらのネットワーク上に BOOTP 中継エージェントをインストールすることができます。BOOTP 中継エージェントを使用すると、DHCP サーバが動作していないネットワークから DHCP サーバへアクセスすることが可能になります。

in.dhcpd デーモンを BOOTP 中継エージェントとして動作させることができます。BOOTP 中継エージェントモードを指定する場合は、オプションの引数により、中継エージェントが BOOTP 要求を転送する必要がある転送先の DHCP サーバまたは BOOTP サーバの IP アドレスまたはホスト名のコンマ区切り形式のリストを指定します。このモードでデーモンを開始すると、DHCP データベースがすべて無視されて、デーモンが BOOTP 中継エージェントとして動作します。

BOOTP 中継エージェントは、UDP ポート 68 での受信を待機し、このポートで受信した BOOTP 要求のパケットをコマンド行に指定された転送先へ転送します。中継エージェントは、ローカルなルータの情報を持つマシン上であれば動作可能であるため、インターネット用のゲートウェイマシンである必要はありません。

-r IPaddr | hostname ... オプションによって、BOOTP 中継エージェントが使用可能になります。netmasks データベースに正しいエントリを作成して、BOOTP 中継エージェントが役割を果たす対象の DHCP サーバが、外部の BOOTP/DHCP クライアントのネットワークのサブネットマスクを特定することを可能にする必要があります。

BOOTP 中継エージェントをインストールした後で、分散型 DHCP データベースにエントリを追加して、BOOTP 中継エージェントを介して要求を送信するクライアントに DHCP サーバがサービスを提供することを可能にする必要があります。

pntadm コマンドのマクロオプション (-M) は、特定のアドレスを使用してクライアントに戻す構成パラメタをネットワーク管理者が選択することを可能にするメカニズムです。このマクロオプションは、サーバに固有な情報を含むマクロを配信する場合にも使用することができます。この場合は、当該マクロ定義を特定のサーバが所有するすべての dhcp_network データベースのエントリに含めます。