TCP/IP とデータ通信

PPP がサポートするマルチポイント構成

PPP によって構成できるマルチポイントリンクには、次の 2 つの種類があります。

以下の各節では、これらの構成の概略を説明します。各構成の設定方法については、第 8 章「PPP 構成の準備」で説明します。

マルチポイントダイヤルインサーバ

図 7-4 では、地理的に離れた場所にある 3 台のコンピュータが、ネットワーク上のエンドポイントマシンへのポイントツーポイントリンクを介して、互いに通信します。しかし、ネットワークエンドポイントマシンは、マルチポイントリンクを介して可搬コンピュータと通信できるので、このマシンはマルチポイントダイヤルインサーバとみなすことができます (「動的ポイントツーポイントリンクを持つダイヤルインサーバ」で説明したように、動的ポイントツーポイント接続を持つダイヤルインサーバも設定できます)。

ダイヤルインサーバは、マルチポイント PPP リンクの反対側にあるすべてのマシンと通信できます。図 7-4 の各マシンはマルチポイントダイヤルインサーバとは直接通信できますが、互いに直接通信することはできません。各マシンは、ダイヤルインサーバを介して、互いに情報を受け渡しする必要があります。

仮想ネットワーク

PPP を使用して仮想ネットワークを設定できます。この設定では、モデム、PPP ソフトウェア、電話回線が、「仮想」ネットワークメディアとなります。イーサネットやトークンリングなどの物理ネットワークでは、コンピュータはケーブルで直接ネットワークメディアに接続されています。仮想ネットワークでは、現実のネットワークメディアは存在しません。

仮想ネットワーク上で各マシンをマルチポイント通信リンクにより接続した場合、マシンはどれも対等ホストとなります。各ホストは、モデムと電話回線を介して、他のエンドポイントマシンと通信できます。各コンピュータはダイヤルインマシンとしても働くので、仮想ネットワーク上の対等ホストからのダイヤルインを受け入れることができます。

図 7-5 は、モデムと電話回線によって相互に接続されている可搬コンピュータからなる仮想ネットワークを示しています。

図 7-5 可搬コンピュータの仮想ネットワーク

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各マシンは、それぞれ、仮想ネットワーク上の他のメンバから離れた場所にある別々のオフィスに存在しています。しかし、各マシンは、マルチポイント通信リンクを介して、他の対等ホストとの通信を確立できます。