この章では、NIS+ ディレクトリ管理コマンドを使用して、クライアントまたはサーバーから NIS+ を削除する方法と、NIS+ 名前空間全体を削除する方法について説明します。
NIS+ 複製サーバーを、ディレクトリから分離し、そのドメインの複製サーバーとして機能しないようにする場合は、「nisrmdir コマンド」を参照してください。
この節では、クライアントマシンから NIS+ を削除する方法について説明します。ただし、クライアントマシンから NIS+ を削除しても、ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除したことにはならないので注意してください。ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除して、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す場合は、「NIS+ 名前空間を削除する」を参照してください。
『Solaris ネーミングの設定と構成』で説明されているように、nisclient -i スクリプトを使用して NIS+ クライアントとして設定したクライアントマシンから NIS+ を削除するには、以下のように -r オプションを指定して nisclient を実行します。
client# nisclient -r
nisclient -r では、nisclient -i 1 回分の処理が取り消されます。つまり、nisclient -i 実行以前にクライアントによって使用されていたネーミングシステム (NIS、あるいは /etc ディレクトリのファイルなど) が再び使用されるようになります。
nisaddcred、domainname、nisinit といったコマンドによって NIS+ クライアントとして設定したクライアントマシン (『Solaris ネーミングの設定と構成』を参照) から NIS+ を削除する手順は以下のとおりです。
client# rm -f /etc/.rootkey
keyserv、nis_cachemgr、nscd のプロセス ID を確認して、終了します。
client# ps -ef | grep keyserv root 714 1 67 16:34:44 ? keyserv client# kill -9 714 client# ps -ef | grep nis_cachemgr root 123 1 67 16:34:44 ? nis_cachemgr client# kill -9 123 client# ps -ef | grep nscd root 707 1 67 16:34:44 ? nscd client# kill -9 707
/var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。
clientmachine# rm -rf /var/nis/*
この節では、NIS+ サーバーから NIS+ を削除する方法を示します。
ただし、サーバーから NIS+ を削除しても、ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除したことにはならないので注意してください。ネットワークから NIS+ ネームサービスを削除して、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す場合は、「NIS+ 名前空間を削除する」を参照してください。ルートマスターサーバーから NIS+ を削除します。
NIS+ サーバーとして使用しているマシンを、別のマシンに置換できます。「サーバーマシンを置換する」を参照してください。
サーバーから NIS+ を削除する手順は以下のとおりです。
クライアントから NIS+ を削除する作業を行います。
NIS+ サーバーも NIS+ クライアントの一種なので、まずクライアントに関連する部分を削除する必要があります。このためには nisclient -r (「nisclient を使用してインストールした NIS+ を削除する」を参照) か、NIS+ コマンド (「NIS+ コマンドでインストールした NIS+ を削除する」を参照) を使用します。
サーバーの groups_dir ディレクトリと org_dir ディレクトリを削除する。
server# nisrmdir -f groups_dir.domainname server# nisrmdir -f org_dir. domainname
keyserv、rpc.nisd、nis_cachemgr、nscd のプロセス ID を確認し、終了します。
server# ps -ef | grep rpc.nisd root 137 1 67 16:34:44 ? rpc.nisd server# kill -9 137 server# ps -ef | grep keyserv root 714 1 67 16:34:44 ? keyserv server# kill -9 714 server# ps -ef | grep nis_cachemgr root 123 1 67 16:34:44 ? nis_cachemgr server# kill -9 123 server# ps -ef | grep nscd root 707 1 67 16:34:44 ? nscd server# kill -9 707
/var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。
rootmaster# rm -rf /var/nis/*
NIS+ 名前空間を削除し、NIS または /etc ディレクトリのファイルをネームサービスとして使用する状態に戻す手順は以下のとおりです。
ルートマスターから .rootkey ファイルを削除します。
rootmaster# rm -f /etc/.rootkey
ルートマスターのルートドメインから groups_dir サブディレクトリと org_dir サブディレクトリを削除します。
rootmaster# nisrmdir -f groups_dir. domainname rootmaster# nisrmdir -f org_dir.domainname
domainname には、ルートドメイン名 (doc.com など) が入ります。
ルートドメインを削除します。
rootmaster# nisrmdir -f domainname
domainname には、ルートドメイン名 (doc.com など) が入ります。
keyserv、rpc.nisd、nis_cachemgr、nscd のプロセス ID を確認し、終了します。
rootmaster# ps -ef | grep rpc.nisd root 137 1 67 16:34:44 ? rpc.nisd rootmaster# kill -9 137 rootmaster# ps -ef | grep keyserv root 714 1 67 16:34:44 ? keyserv rootmaster# kill -9 714 rootmaster# ps -ef | grep nis_cachemgr root 123 1 67 16:34:44 ? nis_cachemgr rootmaster# kill -9 123 rootmaster# ps -ef | grep nscd root 707 1 67 16:34:44 ? nscd rootmaster# kill -9 707
新しいドメインを作成します
rootmaster# domainname name
name には、新しいドメイン名 (NIS+ インストール前のドメイン名など) が入ります。
既存の /etc/defaultdomain ファイルを削除します。
rootmaster# rm /etc/defaultdomain
/etc/defaultdomain ファイルを、新しいドメイン名を使用して作成し直します。
rootmaster# domainname > /etc/defaultdomain
nsswitch.conf ファイルを元のファイルに戻します。
サーバーを nisserver -r を使用して設定した場合は、以下のコマンドを使用します。
rootmaster# cp /etc/nsswitch.conf.no_nisplus /etc/nsswitch.conf
また、デフォルトスイッチテンプレートファイルの 1 つをコピーする方法もあります。NIS スイッチのデフォルトファイルテンプレートを使用する場合は、以下のコマンドを入力します。
rootmaster# cp /etc/nsswitch.nis etc/nsswitch.conf
/etc ファイルのデフォルトスイッチファイルテンプレートを使用する場合は、以下のコマンドを入力します。
rootmaster# cp /etc/nsswitch.files etc/nsswitch.conf
rootmaster# keyserv
/var/nis ディレクトリとその下のファイルを削除します。
rootmaster# rm -rf /var/nis/*
この状態で、別のネームサービス (NIS または /etc ファイル) を再起動できます。