FNS は、ネーミングポリシーを定義して、ユーザーとアプリケーションが共有名前空間に依存し、それを使用できるようにします。
エンタープライズ内には、組識単位、サイト、ホスト、ユーザー、ファイルとサービスごとの名前空間があり orgunit、site、host、user、fs (ファイルシステムを示す)、および service という名前で呼ばれます。これらの名前空間は、各名前の前に下線 (_) を付けることもできます。たとえば、 host と _host は同じものと見なされます。
表 19-1 は、エンタープライズレベルの名前空間に関する FNS ポリシーを要約しています。
表 19-1 FNS ポリシーの要約
コンテキストタイプ |
従属コンテキスト |
親コンテキスト |
---|---|---|
orgunit _orgunit |
site user host fs service |
enterprise root |
site _site |
user host fs service |
enterprise root orgunit |
user _user |
service fs |
enterprise root orgunit |
host _host |
service fs |
enterprise root orgunit |
service _service |
プリンタなどのアプリケーション |
enterprise root orgunit site user host |
fs _fs (ファイルシステム) |
(なし) |
enterprise root orgunit site user host |
FNS orgunit の割り当ては、基本となるネームサービスによって決まります。
NIS+ では、組識単位は NIS+ のドメインまたはサブドメインに対応する。たとえば、NIS+ のルートドメインが doc.com. で、doc.com. のサブドメインが sales だとした場合、FNS 名の org/sales.doc.com. と org/sales は、どちらも NIS+ ドメイン sales.doc.com. に対応する組識単位を指す sales.doc.com. の最後のドットは、完全指定 NIS+ 名に必要であることに注意)
NIS では、組識単位は NIS ドメインであり、必ず FNS 名 org// または org/domainname によって識別される。ここで、domainname は、doc.com などの完全指定ドメイン名を示す。NIS の組識単位名には階層はない
ファイルベースのネーミングシステムで、組識単位は、必ず FNS 名 org// によって識別されるシステムである
組識単位名に対応して命名されるオブジェクトのタイプは、user、host、service、fs、site です。次に例を示します。
org/sales/site/conference1.bldg-6 は、組識単位 sales に関連するサイトの 6 号ビルにある会議室 conference1 を指定する。この例では、org/sales が sales.doc.com に対応する場合、このオブジェクトを org/sales.doc.com./site/conference1.bldg-6 と指定することもできる (sales.doc.com. の最後のドットに注意)
org/finance/user/mjones は、組識単位 finance のユーザー mjones を指定する
org/finance/host/inmail は、組識単位 finance に属するマシン inmail を指定する
org/accounts.finance/fs/pub/reports/FY92-124 は、組識単位 accounts.finance に属するファイル pub/reports/FY92-124 を指定する
org/accounts.finance/service/calendar は、組識単位 accounts.finance のカレンダサービスを指定する。これは、組識単位のミーティングのスケジュールを管理する
サイト名は、必要に応じて作成されます。サイト名に対応して指定されるオブジェクトのタイプは、user、host、service、fs です。次に例を示します。
site/alameda/user/mjones は、サイト alameda にあるユーザー mjones を指定する
site/alameda/host/sirius は、サイト alameda にあるマシン sirius を指定する
site/alameda/service/printer/Sparc-2 は、サイト alameda にあるプリンタ Sparc-2 を指定する
site/alameda/fs/usr/dist は、サイト alameda で使用可能なファイルディレクトリ usr/dist を指定する
ユーザー名は、NIS+ の対応する passwd テーブル、NIS の passwd マップ、またはファイルの /etc/passwd ファイルにある名前に対応します。ユーザーのファイルコンテキストは、そのユーザーの passwd エントリから獲得されます。
ユーザー名に対応して指定されるオブジェクトのタイプは、service と fs です。次に例を示します。
user/chou/service/fax は、ユーザー chou のファックスサービスを指定する
user/esperanza/fs/projects/conf96.doc は、ユーザー esperanza のファイルシステムの projects サブディレクトリにあるファイル、conf96.doc を指定する
ホスト名は、NIS+ の対応する hosts、NIS の hosts マップ、またはファイルの /etc/hosts ファイルにある名前に対応します。ホストのファイルコンテキストは、ホストによってエクスポートされるファイルシステムに対応します。
ホスト名に対応して指定されるオブジェクトのタイプは、service と fs です。次に例を示します。
host/smtp-1/service/mailbox は、マシン smtp-1 に関連するメールボックスサービスを指定する
host/deneb/fs/etc/.cshrc は、ホスト deneb 上の /etc ディレクトリにあるファイル .cshrc を指定する
サービス名は、サービスアプリケーションに対応し、それによって決定されます。サービスコンテキストは、組識、ユーザー、ホスト、またはサイトコンテキストに対応して指定する必要があります。次に例を示します。
host/deneb/service/printer は、マシン deneb に関連するプリンタサービスを指定する
host/deneb/service/printer/Sparc-2 は、マシン deneb に関連するプリンタを指定する
user/charlie/service/calendar は、ユーザー charlie のカレンダサービスを指定する
site/conf_pine.bldg-7.alameda/service/calendar は、Alameda サイトの 7 号ビルにある conf_pine 会議室のカレンダサービスを指定する
ファイルシステム名は、ファイル名に対応します。次に例を示します。