Sun Java System Communications Express 6 2004Q2 管理ガイド |
第 8 章
PAB データのアドレス帳サーバーへの移行これまで、個人アドレス帳 (PAB) は、Sun ONE Messaging Server にユーザーの連絡先を格納するために使用されていました。PAB は、Sun ONE Messaging Server に配備された Web ベースのクライアントからだけアクセスできます。カレンダなどのほかのモジュールがユーザのアドレス帳にアクセスできるようにするには、Communications Express 用の Sun Java System Messaging Server で、ユーザーの連絡先詳細を格納するのに PAB でなくアドレス帳サーバーを使用します。そのため、既存の Sun ONE Messaging Server を使用して Communications Express にアクセスするユーザーは、PAB データをアドレス帳サーバーに移行する必要があります。
この章には、以下の節があります。
移行プロセスアドレス帳移行ツールを使用して、異なるディレクトリにある PAB データをアドレス帳サーバーに移行できます。移行ツールはスタンドアロンの実行可能ファイルで、ユーザーの Messenger Express アドレス帳データを Communications Express の一部であるアドレス帳サーバーに移行します。
図 8-1 データ移行プロセスの概要
データ移行は、2 とおりの方法で行われます。
バッチ移行
バッチ移行プロセスでは、エンドユーザーが介入することなく、移行はサーバーレベルで行われます。管理者は runMigrate.sh バッチスクリプトを実行して、指定したドメインにあるメールユーザーの PAB データを移行します。複数ドメインに存在するメールユーザーに対して、管理者は各ドメインで runMigrate.sh スクリプトを呼び出し、ユーザーの PAB データを指定された inetDomainBaseDN からアドレス帳サーバーに移行する必要があります。
runMigrate.sh スクリプトの実行前に、管理者はMigratePab ユーティリティで必要となる以下のコマンドライン引数を runMigrate.sh で指定します。
動的移行
動的移行プロセスでは、ユーザーが Communications Express に初めてログインすると、データ移行が初期化されます。動的移行を行うには、管理者は、Communications Express の設定時に、動的移行を有効にする必要があります。
移行プロセスは、以下の項目に依存します。
データ移行が起こるのは、以下のタイミングです。
Communications Express のインストール後に管理者が実行する準備作業は以下のとおりです。
- Communications Express を設定し、動的移行を有効にする。
- アドレス帳サーバーに PAB サーバーの詳細を設定する。たとえばデータの移行先となるホスト名、ポート番号、バインド DN、バインド DN クレデンシャル、PAB ホストパスおよびホストマシン名を設定する必要があります。
ユーザーのメールホストに応じて、表 8-1 にリストされているPAB 設定エントリが取得され、PAB サーバーへの接続が確立されます。
動的移行プロセス
動的移行は、ユーザーが Communications Express にログインしたときに起こります。
- アプリケーションは、移行が uwcuath.properties で有効になっているかどうかを確認してから、移行プロセスを実行します。
- 次にログインロジックが nswmextendedprefs 属性と mepabmigration の値を比較し、ユーザーのデータが以前移行されているかどうかを判断します。
データが初めて移行される場合は、ユーザーのユーザー ID、ドメイン、ユーザー DN が渡されて、移行スレッドが起動します。
PAB 移行関連設定パラメータを表 8-4 に示します。
- PAB 移行が完了すると、アドレス帳サーバーは移行プロセスが完了したことを示すため、ユーザーエントリの nswmextendedprefs および mepabmigration をそれぞれ「1」に設定します。
- ユーザーは PAB データがアドレス帳サーバーに移行すると、メールを受信します。
メールを受信するには、表 8-4 で説明するパラメータを定義する必要があります。
ヒント
最初のログイン中に PAB データの移行が開始されること、そのため初期セッション中にアドレス帳データを参照できなくなることを通知する電子メールを、管理者がすべてのユーザーに送信することをお勧めします。その後 2、3 日してもユーザーがデータを見ることができなくなった場合は、管理者に連絡する必要があります。
移行スレッド移行中に、移行スレッドがユーザーがメールユーザーであるかどうかを確認し、メールユーザーのuwcconfig.properties ファイルから PAB 詳細を検索します。uwcconfig.properties ファイルには、デフォルト PAB ホスト名または複数の PAB ホスト名 (ユーザーが複数ドメインにいる場合) が含まれています。これらのエントリを基に、アドレス帳は、データを移行して接続を確立する適切な PAB ホストを決定します。
例
ドメイン siroe.com の User1 には、移行が必要な PAB に Entry1 というエントリがあります。図 8-2 で緑で示すように、このエントリは、ou=User1 の PAB ツリーにあります。
図 8-2 PAB ツリーでの Entry1 の場所
移行後は、新規に作成されたアドレス帳サーバーエントリが、図 8-3 で赤で示すようにアドレス帳サーバーツリーの o=siroe.com, cn=Entry 1 に追加されます。
図 8-3 アドレス帳サーバーツリーの Entry1 の場所
新規の設定ファイルが migrate.properties というアドレス帳サーバーに追加されています。このプロパティファイルには、以下の詳細情報が含まれています。
データを移行するには、移行ツールで以下の項目を知っておく必要があります。
移行シナリオ移行は、次の環境から実行できます。