Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)

第 6 章 インストール後の設定の実行

この章では、インストール後に Sun JavaTM Enterprise System (Java ES) 製品コンポーネントの初期設定を実行する手順について説明します。この章に挙げられていない製品コンポーネントについては、インストール後の設定は必要ありません。ただし、Monitoring または Sun Cluster データサービスをインストールする場合は、これらの製品コンポーネントに関連するインストール後の作業が必要になる場合があります。

この章で説明する内容は、次のとおりです。

この章の利用方法

Java ES インストーラによるインストールが完了したあと、ほとんどの製品コンポーネントで追加の設定を行わないと、Java ES 環境が使える状態になりません。その作業の範囲は、選択した設定の種類 (「今すぐ設定」または「あとで設定」設定オプション) や、Monitoring または Sun Cluster ソフトウェアによる高可用性を使用するために製品コンポーネントを設定するかどうかによって異なります。

インストール時に「あとで設定」設定タイプを選択した場合は、インストーラによって、製品コンポーネントパッケージファイルがパッケージ別のディレクトリに配置されます。パラメータの設定は行われておらず、実行時サービスを利用できないため、ほとんどの製品コンポーネントはそのままでは機能しません。「あとで設定」設定タイプを選択した場合のインストールを完了するために、多くの製品コンポーネントには設定ツールが用意されています。設定ツールを実行するとき、本書および各製品コンポーネントのマニュアルに記載されている手順に従ってさらに変更を加えることもできます。

この章の説明に従って作業する前に、Java ES コンポーネントをインストールしておく必要があります。製品のレジストリを調べるか、Solaris OS pkginfo コマンド、Linux rpm コマンド、または HP-UX swlist コマンドを使用すれば、コンポーネントパッケージがインストール済みであることを確認できます。コンポーネントに関連付けられたパッケージの一覧については、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」を参照してください。

インストールの間に設定された値を記録した概要レポートは、次の場所から参照できます。

Solaris OS の場合: /var/sadm/install/logs

Linux および HP-UX の場合: /var/opt/sun/install/logs

インストールの完了後、この章に記載されている手順に目を通し、インストールした製品コンポーネントを見つけます。製品コンポーネントの追加設定が必要ないことが判明した場合には、第 7 章「インストール済み製品コンポーネントの確認」の手順に従って製品コンポーネントを起動できます。


注 –

Java ES 製品コンポーネントのデフォルトのインストール場所は、プラットフォームごとに異なる可能性があります。そのため、この章の説明では、これらの場所を表す変数がよく使用されています。たとえば、ApplicationServer-base は、プラットフォームの種類にかかわらず、Application Server のインストール先ディレクトリを表します。


マニュアルページの確認

マニュアルページを持つコンポーネントの場合には、 MANPATH 環境変数が正しく設定されていることを確認する必要があります。インストール後、Java ES コンポーネントのマニュアルページはデフォルトのディレクトリに配置されています。コンポーネントのマニュアルページの正しい場所が、MANPATH 環境変数にすでに設定されている場合もあります。マニュアルページの場所が存在していない場合は、その場所を MANPATH 環境変数に追加します。

次の表は、Java ES コンポーネントのマニュアルページのデフォルトの場所を示します。一覧中にコンポーネントがない場合、そのコンポーネントにはマニュアルページがありません。

表 6–1 マニュアルページのデフォルトの場所

構成要素 

マニュアルページの場所 

Application Server

Solaris OS の場合: /opt/SUNWappserver/share/man

Linux の場合: /opt/sun/appserver/share/man

HP-UX の場合: /opt/sun/appserver/man/share/man

Common Agent Container

Solaris OS 上の Sun Cluster の場合: /opt/SUNWcacao/man

Linux および HP-UX の場合: /opt/sun/man

Directory Server (および Directory Proxy Server)

Solaris OS の場合: /opt/SUNWdsee/dsee6/man

Linux および HP-UX の場合: /opt/sun/dsee6/man

Monitoring

Solaris OS の場合: /opt/SUNWmfwk/man

Linux の場合: /opt/sun/man

Sun Cluster

Solaris OS の場合: /usr/cluster/man/

ProcedureMANPATH 変数を更新するには

次の手順例は、C Shell を使用して Application Server のマニュアルページを確実に参照できるようにする方法を示しています。

  1. MANPATH 環境変数をチェックして、正しいパスが設定されているかどうかを確認します。

    env | grep MANPATH

  2. 正しいパスが設定されていない場合には、Java ES コンポーネントのマニュアルページの場所を MANPATH 環境変数に追加します。

    • Solaris OS では、次のコマンド例は現在のセッションを対象に MANPATH 環境変数を設定します。


      setenv MANPATH {$MANPATH}:/usr/dt/man:/usr/man:/opt/SUNWappserver/share/man

      ログインするたびに適用されるようにこの環境変数を設定するには、setenv コマンドの内容を、.login または .cshrc ファイルに追加します。

    • Linux では、必要な MANPATH を指定して /etc/man.config ファイルを更新します。たとえば、/etc/man.config ファイルに次の行を追加します。


      MANPATH /opt/sun/man

      これで、新しいマニュアルページが、パスに関係なく常に参照できるようになります。


      注 –

      Linux 環境で、各ユーザーのシェル別に MANPATH を設定する場合、Solaris OS の場合の手順を使用します。これにより、ユーザーの個人設定を、/etc/man.config ファイルの設定よりも優先させることができます。MANSECT 変数も設定する必要があります。


    • HP-UX では、必要な MANPATH を使用して /etc/MANPATH ファイルを更新します。たとえば、 /etc/MANPATH ファイルに次の行を追加します。


      /opt/sun/man
  3. Linux では、MANSECT 環境変数の設定が必要になることがあります。

    /etc/man.config ファイルの MANSECT 行を編集します。例:


    # and the MANSECT environment variablle is not set.
    MANSECT     1:8:2:3:4:5:6:7:9:tcl:n:l:p:o

    2 行目を次のように変更します。


    MANSECT     1:8:2:3:4:5:6:7:9:tcl:n:l:p:o:5:dsconf:5dpconf:5dssd:5dsat:5dsoc
  4. マニュアルページが表示されることを確認します。

    たとえば、次のコマンドによって、Application Server の asadmin のマニュアルページが表示されます。


    man asadmin

Monitoring Console のインストール後の設定

インストールした製品コンポーネントが Java ES Monitoring を使用する場合は、Monitoring Framework を有効にする前に、多数のコンポーネントでインストール後の設定を行う必要があります。設定手順については、『Sun Java Enterprise System 5 監視ガイド (UNIX 版)』の第 3 章「Monitoring Console のインストールと使用」を参照してください。

Sun Cluster のインストール後の設定

Solaris OS では、Sun Cluster ソフトウェアは、データベース、アプリケーションサーバー、Web サーバーなどのアプリケーションを管理するための高可用性プラットフォームを提供します。Sun Cluster ソフトウェアをインストールまたは設定する前に、クラスタ用に選択するハードウェアとソフトウェアの組み合わせが、現在サポートされている Sun Cluster 設定であることを確認します。

Sun Cluster ソフトウェアを使って管理できる Java ES 製品コンポーネントは、次のとおりです。

インストールした Java ES 製品コンポーネントが 環境に組み込まれる予定の場合、製品コンポーネントを設定する前に Sun Cluster フレームワークをまず設定する必要があります。次に、選択した Java ES 製品コンポーネントを設定します。Communications Suite からコンポーネントをインストールする場合は、『Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド』を参照してください。最後に、インストールした製品コンポーネントによっては、Sun Cluster データサービスを設定する必要があることもあります。

フェーズ I. Sun Cluster フレームワーク

Java ES インストーラは、コア Sun Cluster パッケージの単純な pkgadd インストールを実行し、/usr/cluster/bin ディレクトリを設定します。インストール中には何の設定も行われません。したがって、インストール後の最初の作業は、『Sun Cluster Software Installation Guide for Solaris OS』の説明に従ってクラスタフレームワークを設定することです。

このフェーズでは、scinstall ユーティリティーによって Sun Cluster パッケージが検証されます。パッケージが見つからない場合、エラーメッセージが表示されます。このエラーが表示される場合は、正しい Sun Cluster パッケージがインストールされていることを確認する必要があります。『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」を参照してください。

フェーズ II. 製品コンポーネントデータサービス

Sun Cluster フレームワークと、その他の Java ES および非 Java ES コンポーネントのインストールと設定が完了すると、Sun Cluster エージェントソフトウェアを使って Sun Cluster データサービスを設定する準備が整います。


注 –

Sun Cluster データサービスを設定するには、関連する Sun Cluster エージェントをインストール中に選択しておく必要があります。Sun Cluster のインストールシーケンスの例については、「Sun Cluster ソフトウェアの例」を参照してください。


Sun Cluster データサービスの設定に関する指針については、「Sun Cluster データサービスの設定」を参照してください。

Access Manager のインストール後の設定

すべての Access Manager インストールについて、Web コンテナを再起動する必要があります。Web Server または Application Server 上で完全インストールを実行している場合、インストーラは Web コンテナインスタンスを停止するので、インスタンスの起動だけが必要です。Access Manager の再起動手順については、「Access Manager の起動と停止」を参照してください。

「今すぐ設定」設定オプションでのインストール後の Access Manager の設定

「今すぐ設定」でのインストールを実行したあとは、Access Manager を起動して Access Manager コンソールにログインすることができます。ただし、いくつかの最終的な設定手順を完了するまで、基本的なユーザー管理操作を実行することはできません。これらの手順は、すでにユーザーデータがプロビジョニングされた Directory Server インスタンスを Access Manager が使用するかどうかによって異なります。配備状況に応じて、次のような設定作業がさらに必要になることもあります。

これらの作業の実行手順については、『Sun Java System Access Manager 7.1 Postinstallation Guide 』を参照してください。

「あとで設定」設定オプションでのインストール後の Access Manager の設定

「あとで設定」設定オプションでのインストールが完了すると、パッケージがインストールされ、Access Manager 設定スクリプト AccessManager-base/bin/amconfig を使って Access Manager を設定できるようになります。このプログラムの使用方法については、『Sun Java System Access Manager 7.1 Postinstallation Guide 』を参照してください。

Solaris OS 上のサードパーティー製 Web コンテナ (BEA WebLogic または IBM WebSphere Application Server) 向けに Access Manager を設定する手順については、『Sun Java System Access Manager 7.1 Postinstallation Guide 』を参照してください。

Application Server のインストール後の設定

Application Server の場合、「今すぐ設定」設定オプションでのインストール完了後にインストール後の設定を行う必要はありません。

ロードバランス用に Application Server を設定する方法については、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 高可用性 (HA) 管理ガイド』の第 5 章「HTTP 負荷分散の設定」の「HTTP 負荷分散の設定」の節を参照してください。

必要に応じて、Sun Cluster ソフトウェアと組み合わせて使用できるように Application Server を設定します。「Sun Cluster のインストール後の設定」を参照してください。

Procedure「あとで設定」設定オプションでのインストール後に Application Server を設定するには

「あとで設定」設定オプションでのインストール後、インストール後のスクリプトを実行して Application Server 環境を設定する必要があります。スクリプトは、AppplicationsServer8–base/bin/* シェルスクリプトと config/asenv ファイルを、インストール中にインストールされるテンプレートから設定および作成します。「今すぐ設定」設定オプションでのインストールでは、インストール中に作成されます。

  1. Java ES 5 配布の次のディレクトリに移動します。例:

    cd /os_arch /Product/application_server/Tools

  2. postInstall についての README ファイルを開き、手順に従って次の操作を行います。

    1. postInstall スクリプトを実行します。

      ./postInstall Application8Server-base  ApplicationServer8Config-base

    2. 新しいドメインを作成します。

      asadmin create-domain コマンドを使用して新しいドメインを作成するときは、次の 2 つのパラメータに値を指定します。adminPort および instancePort です。adminPort 値は、サーバーインスタンスによって使用される値と同じにすることができます。ただし、instancePort 値はサーバーインスタンスによって使用される値と同じにするべきではありません。

  3. 必要に応じて、ApplicationServer-base /samples/common.properties ファイルで環境変数を変更します。

    不明なパスがある場合は、ApplicationServer-base/config/asenv.conf ファイルからコピーすることができます。例:

    Solaris のプロパティー 

    com.sun.aas.derbyRoot=/opt/SUNWappserver/appserver/derby

    com.sun.aas.webServicesLib=/opt/SUNWappserver/appserver/lib

    com.sun.aas.imqHome=/var/opt/SUNWappserver/domains/domain1/imq

    com.sun.aas.imqBinDir=/usr/bin

    com.sun.aas.imqUserMgr=/usr/bin/imqusermgr

    com.sun.aas.imqLib=/usr/share/lib

    com.sun.aas.installRoot=/opt/SUNWappserver/appserver

    com.sun.aas.javaRoot=/usr/jdk/entsys-j2se

    com.sun.aas.domains.dir=/var/opt/SUNWappserver/domains

    #admin.password= 管理パスワードはデフォルトでは保存されません。ユーザーは、パスワードを入力し、それを手動で保存することができます。

    admin.host=jws-v210-4

    appserver.instance=server

    appserver.instance.port=8080

    admin.user=admin

    admin.port=4849

    derby.port=1527

    domain.name=domain1

    server.cert.alias=s1as

    keystore=${com.sun.aas.domains.dir}/${domain.name}/config/keystore.jks

    keystore.password=changeit

    trustStore=${com.sun.aas.domains.dir}/${domain.name}/config/cacerts.jks

    Linux および HP-UX のプロパティー 

    #admin.password= 管理パスワードはデフォルトでは保存されません。ユーザーは、パスワードを入力し、それを手動で保存することができます。

    server.cert.alias=s1as

    keystore=${com.sun.aas.domains.dir}/${domain.name}/config/keystore.jks

    domain.name=domain1

    com.sun.aas.imqHome=/var/opt/sun/appserver/domains/domain1/imq

    com.sun.aas.imqUserMgr=/opt/sun/mq/bin/imqusermgr

    com.sun.aas.domains.dir=/var/opt/sun/appserver/domains

    admin.user=admin

    appserver.instance=server

    com.sun.aas.imqBinDir=/opt/sun/mq/bin

    trustStore=${cbom.sun.aas.domains.dir}/${domain.name}/config/cacerts.jks

    com.sun.aas.imqLib=/opt/sun/mq/share/lib

    keystore.password=changeit

    com.sun.aas.derbyRoot=/opt/sun/javadb

    admin.port=4849

    derby.port=1527

    com.sun.aas.webServicesLib=/opt/sun/appserver/lib

    admin.host=jws-linuxpc-2

    com.sun.aas.javaRoot=/usr/jdk/entsys-j2se

    com.sun.aas.installRoot=/opt/sun/appserver

    appserver.instance.port=8080

  4. 必要に応じて、負荷分散するように Application Server を設定します。

    『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 高可用性 (HA) 管理ガイド』の第 4 章「負荷分散のための Web Server の設定」に記載されている手順を実行します。

  5. 必要に応じて、Sun Cluster ソフトウェアと組み合わせて使用できるように Application Server を設定します。

Directory Server のインストール後の設定

「今すぐ設定」設定オプションでのインストール完了後は、Directory Server またはそのサブコンポーネントで追加設定を行う必要はありません。

「あとで設定」設定オプションでのインストール後の Directory Server および Directory Proxy Server の設定

Directory Server または Directory Proxy Server の「あとで設定」設定オプションでのインストールを実行後、コンポーネントを使用するには、その前にインスタンスを作成する必要があります。手順については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.0 Installation Guide』のパート I「Installing Directory Service Control Center, Directory Proxy Server, Directory Server, and Directory Server Resource Kit」を参照してください。

「あとで設定」設定オプションでのインストール後の Directory Server Control Center の設定

Directory Service Control Center の「あとで設定」設定オプションでのインストールを実行後、初期化を完了し、必要な場合はシステム再起動時に Directory Service Control Center が再起動できるようにする必要があります。手順については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.0 Installation Guide』のパート I「Installing Directory Service Control Center, Directory Proxy Server, Directory Server, and Directory Server Resource Kit」を参照してください。

HADB のインストール後の設定

「今すぐ設定」設定オプションでのインストール完了後に追加設定を行う必要はありません。

「あとで設定」設定オプションでのインストール後の HADB の設定

「あとで設定」設定オプションでのインストールが完了すると、パッケージがインストールされ、HADB の設定作業を実行できるようになります。HADB のインストール後設定手順と追加情報については、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 高可用性 (HA) 管理ガイド』を参照してください。

必要に応じて、Sun Cluster ソフトウェアと組み合わせて使用できるように HADB を設定します。「Sun Cluster データサービスの設定」を参照してください。

Java ES レポータのインストール後の設定

Java ES レポータのインストール後に、レポータを無効にして Sun にレポートを送信しないようにしたり、無効にしたあとでレポータを再度有効にしたりすることができます。

ProcedureJava ES レポータを有効または無効にするには

  1. レポータ設定ファイルを探します。

    Solaris OS の場合: /etc/opt/SUNWmfwk/config/reporter/config.properties

    Linux および HP-UX の場合: /etc/opt/sun/mfwk/config/reporter/config.properties

  2. ファイルを編集して、enabled プロパティーを true または false に設定します。


    enabled=true # レポータは有効
    enabled=false # レポータは無効
  3. 共通エージェントコンテナを再起動します。


    cacaoadm start

Message Queue のインストール後の設定

Message Queue の場合、インストール後に追加設定を行う必要はありません。

Message Queue が Sun Cluster 構成内に含まれる場合には、「Sun Cluster のインストール後の設定」を参照してください。

よく行われる「省略可能な」作業は、Message Queue が自動的に起動されるように設定することです。それには、スーパーユーザーになり、imqbrokerd.conf 設定ファイル (Solaris OS の場合は /etc/imq 内、Linux および HP-UX の場合は /etc/opt/sun/mq 内) で、次のプロパティーを編集します。

Message Queue の追加設定については、『Sun Java System Message Queue 3 2005Q4 管理ガイド』を参照してください。たとえば、デフォルトの管理パスワードを変更することができます。

Portal Server および Portal Server Secure Remote Access のインストール後の設定

「今すぐ設定」または「あとで設定」設定オプションでのインストールが完了すると、パッケージがインストールされ、『Sun Java System Portal Server 7.1 Configuration Guide 』にある手順で Portal Server の設定作業を実行できるようになります。

サードパーティーの Web コンテナを使用するように Portal Server を設定する手順については、『Sun Java System Portal Server 7.1 Configuration Guide 』も参照してください。

Service Registry のインストール後の設定

Service Registry は、インストール中に (「今すぐ設定」を使って) 設定することはできません。

「あとで設定」設定オプションでのインストールが完了すると、パッケージがインストールされ、Service Registry の設定作業を実行できるようになります。Service Registry は root 以外のユーザーとして設定することをお勧めします。詳細については、『Service Registry 3.1 管理ガイド』「Service Registry の設定」、特に作業 『Service Registry 3.1 管理ガイド』「インストール後の設定のあとでカスタムプロパティーを使って Service Registry を root 以外のユーザーとして設定する」を参照してください。

Web Proxy Server のインストール後の設定

「今すぐ設定」設定オプションでのインストール完了後に追加設定を行う必要はありません。

「あとで設定」設定オプションでのインストールが完了すると、パッケージがインストールされ、次の手順で Web Proxy Server を設定できるようになります。

Procedure「あとで設定」設定オプションでのインストール後に Web Proxy Server を設定するには

  1. 設定を含むプロパティーファイルを作成します。

    wps.properties ファイルに含まれる設定の例を示します。


    WPS_JDK_HOME=/usr/jdk/entsys-j2se/jre
    WPS_SERVER_ROOT=/opt/SUNWproxy
    WPS_ADMIN_NAME=admin
    WPS_ADMIN_PWD=admin123
    WPS_ADMIN_PORT=8889
    WPS_START_ON_BOOT=N
    WPS_ADMIN_SERVER_USER=root
    WPS_SERVER_NAME=jws-v60x-4.red.iplanet.com
    WPS_SERVER_PORT=8081
    WPS_SERVER_ID=proxy-server1
    WPS_ADMIN_SERVER_ID=proxy-admserv
    WPS_SERVER_USER=root
  2. ファイルを作成し終わったら、次のコマンドを実行します。


    WebProxyServer-base/bin/proxy/bin/configureServer -l logfile -f path/wps.properties 

Web Server のインストール後の設定

Sun Cluster または 64 ビット設定を使用しない場合には、「あとで設定」設定オプションでのインストール後に、さらに設定を行う必要はありません。

Procedure「あとで設定」設定オプションでのインストール後に Web Server を設定するには

「あとで設定」設定オプションでのインストールが完了すると、パッケージがインストールされ、次の手順で Web Server を設定できるようになります。

  1. Web Server の実行時設定を作成します。

    『Sun Java System Web Server 7.0 Installation and Migration Guide』「Configure Later Mode (Java ES Only)」に記載されている手順に従って Web Server コンフィギュレータを実行します。

  2. 共通サーバー設定を確認し、その設定を必要に応じて更新します。

    『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』「Web Server の設定情報」の表を参照してください。

Sun Cluster データサービスの設定

クラスタの確立および製品コンポーネントの設定が完了すると、各種の Java ES 製品コンポーネント用に Sun Cluster データサービスを設定できるようになります。インストールされる Sun Cluster エージェントは、アプリケーションがクラスタを利用できるようにするソフトウェアプログラムです。エージェントソフトウェアおよび追加の設定ファイルは、( Web Server や Oracle データベースなどの) アプリケーションを、単一のサーバー上ではなくクラスタ上で実行できるようにするデータサービスを構成します。データサービスは、Sun Cluster フレームワークソフトウェアおよびマルチホストディスクと組み合わせることによって、アプリケーションの高可用性とスケーラビリティーを実現します。

データサービスおよびサポートされるすべての層 (ボリュームマネージャー、クラスタファイルシステム、リソースグループ情報) が完全に設定されるまでは、Sun Cluster のインストールは完了しません。データサービスの詳細については、『Sun Cluster Overview for Solaris OS』を参照してください。


注 –

Access Manager および Portal Server は、高可用性の Web コンテナ内に配備できます。ただし、Web コンテナに配備されるその他の Web アプリケーションと同様に、それらに障害が発生する可能性があります。その場合、Web コンテナのフェイルオーバーは行われません。


Java ES 製品コンポーネントの場合は、製品コンポーネントをインストールする各ノード上で Java ES インストーラを実行してから、Sun Cluster エージェントの HA Sun Java System サブコンポーネントのうち Sun Java System 製品コンポーネントに対応するサブコンポーネントをインストールします。Java ES インストーラでは、「あとで設定」設定タイプを選択します。インストールディレクトリを指定するときは、製品コンポーネントに対しては、そのノードのローカルファイルシステム上の場所を使用し、コンポーネントの設定および製品の場所に対しては、クラスタファイルシステム上の場所を使用します。

次の表は、Java ES インストーラの Sun Cluster Agents コンポーネントで設定されるエージェントの一覧です。特に参照する必要のあるマニュアルへのリンクもいくつか示されています。

表 6–2 Sun Cluster Agents (データサービス)

エージェント名 

特別な指示 

プラットフォーム 

HA Application Server 

『Sun Cluster Data Service for Sun Java System Application Server EE (HADB) Guide for Solaris OS』の第 1 章「Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (Supporting HADB Versions as of 4.4)」

SPARC、x86 

HA Application Server EE (HADB) 

『Sun Cluster Data Service for Sun Java System Application Server EE (HADB) Guide for Solaris OS 』

SPARC、x86 

HA Directory Server 

 

SPARCx86 

HA Message Queue 

フェイルオーバーのためのインストールと設定については、『Sun Cluster Data Service for Sun Java System Message Queue Guide for Solaris OS 』を参照してください。

SPARC、x86 

HA/Scalable Web Server 

フェイルオーバーまたはスケーラビリティーのためのインストールと設定については、『Sun Cluster Data Service for Sun Java System Web Server Guide for Solaris OS 』を参照してください。

SPARC、x86 

HA Agfa IMPAX 

 

SPARC 

HA Apache Tomcat 

 

SPARC、x86 

HA Apache 

 

SPARC 

HA Broadvision One-to-One Enterprise 

 

SPARC 

HA Calendar Server 

フェイルオーバーのためのインストールと設定については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』の第 6 章「Calendar Server 6.3 ソフトウェアでの高可用性 (フェイルオーバーサービス) の設定」を参照してください。

SPARC 

HA DHCP 

 

SPARC、x86 

HA DNS 

 

SPARC、x86 

HA Instant Messaging 

高可用性のためのインストールと設定については、『Sun Java System Instant Messaging 7.2 管理ガイド』を参照してください。

SPARC 

HA Messaging Server 

フェイルオーバーのためのインストールと設定については、『Sun Java System Messaging Server 6.3 管理ガイド』の第 3 章「高可用性の設定」を参照してください。

SPARC 

HA MySQL 

 

SPARC、x86 

HA NetBackup 

 

SPARC 

HA Sun N1 Service Provisioning 

 

SPARC 

HA NFS 

 

SPARC、x86 

HA Oracle 

 

SPARC 

HA Oracle Application Server 

 

SPARC 

HA Oracle E-Business Suite 

 

SPARC 

HA Oracle Real Application Clusters 

 

SPARC 

HA Samba 

 

SPARC、x86 

HA SAP 

 

SPARC 

HA SAP DB 

 

SPARC 

HA SAP liveCache 

 

SPARC 

HA Siebel 

 

SPARC 

HA Solaris Containers 

 

SPARC、x86 

HA Sun N1 Grid Engine 

 

SPARC 

HA Sun N1 Service Provisioning 

 

SPARC 

HA SWIFT Alliance Gateway 

 

SPARC 

HA Sybase ASE 

 

SPARC 

HA WebLogic Server 

 

SPARC 

HA WebSphere MQ 

 

SPARC 

HA WebSphere MQ Integrator 

 

SPARC 

ProcedureJava ES 以外の製品で高可用性を実装するには

Java ES 以外の製品が高可用性を必要とするインストールを計画している場合は、ここに記載されている手順を実行します。

  1. Java ES 以外の製品をインストールして設定します。

    たとえば、『Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド』を使用して Instant Messaging をインストールします。

  2. Java ES インストーラの「ソフトウェアコンポーネントの選択」ページで、その製品をサポートする Sun Cluster Agents を選択します。

    たとえば、Java ES Sun Cluster Agents コンポーネントの HA Instant Messaging サブコンポーネントを選択します。

  3. Java ES インストーラを使用して Sun Cluster エージェントをインストールします。

  4. 次の Sun Cluster データサービスマニュアルのうち、該当するマニュアルの説明に従ってエージェントを設定します。

Java 仮想マシン (JVM) の設定

使用する Java ES 製品コンポーネントに必要なインストール後設定が完了したあとで、製品コンポーネントによっては、Java 仮想マシン (JVM) の調整が必要になる場合があります。JVM はいくつかのエンティティーから構成されていますが、その中でもっとも重要なのは、コンパイラです。コンパイラは Java バイトコードをマシン命令に変換します。Java ES に付属するバージョンの JDK (Java Developer's Kit) には、JVM に対して適用可能なオプションがいくつか用意されています。

–server オプションは、JVM をサーバーモードで実行するための便利な調整オプションです。(オプションの一覧を取得するには java –? コマンドを使用する。)

ガベージコレクションについては、初期段階ではデフォルトのアルゴリズムで問題ありません。

Java ヒープメモリーも、設定しなければならない可能性のある重要な調整オプションの 1 つです。例:

高負荷システムの場合、まずはヒープサイズの最大値を 1.2G バイトに設定してみることをお勧めします。

ルート以外の ID による製品コンポーネントの設定

Java ES インストーラを実行するには、ルートである必要があります。この理由により、インストーラによってマシンに配置されるすべてのファイルはルートの所有となります。ただし、インストール後に設定を行うとき、一部の製品コンポーネントにはルート以外の実行時ユーザーまたはグループを割り当てることができます。たとえば、ルートの所有でない Application Server インスタンス内に Access Manager を配備する可能性もあります。インストールまたは管理のために、さまざまな理由からルート以外の ID を使って製品コンポーネントを設定します。一般的にシステム上にはルート以外のユーザーがすでに存在していますが、これは製品コンポーネントによっても異なる場合があります。

次の表は、ルート以外の ID を使用した各製品コンポーネントの設定方法に関する情報へのリンクになっています。

表 6–3 各製品コンポーネントのルート以外の ID の設定

製品コンポーネント 

参照先 

Application Server 

root 以外のユーザーが所有および操作する管理ドメイン全体を設定します。詳細については、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 管理ガイド』を参照してください。

Directory Server 

通常のユーザーとしてサーバーインスタンスを作成するか、インスタンスの作成時にユーザーを指定します。詳細については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.0 管理ガイド』を参照してください。

Portal Server 

Portal Server コンフィギュレータを使用してルート以外の設定を行います。コンフィギュレータの実行手順や使用する設定の説明については、『Sun Java System Portal Server 7.1 管理ガイド』の「インストール後の設定」の章を参照してください。

Web Server 

デフォルトでは、Web Server は webservd によって実行時ユーザーとして設定されます。Web Server コンフィギュレータを使用するときは、任意の実行時ユーザー ID を指定できます。詳細については、『Sun Java System Portal Server 7.1 Configuration Guide』「Installing Portal Server 7.1 on Web Server 7.0」を参照し、「Installing Portal Server 7.1 as a Non-root User」の節まで下方にスクロールしてください。

次の手順

この章で説明した設定作業が完了したら、インストール後の設定を確認するために、「インストール後設定のあとの確認」の説明に従って製品コンポーネントを起動します。