この節では、アップグレードユーティリティーに関する既知の問題とその解決方法を示します。
アップグレードユーティリティーを実行しているときに、install_dir をソースインストールディレクトリとして指定すると、そのアップグレードプロセスは、install_dir /domains ディレクトリの下に作成されたドメインだけをアップグレードします。その他の場所に作成されたドメインはアップグレードされません。
アップグレードプロセスを起動する前に、すべてのドメインディレクトリを、それぞれの場所から install_dir /domains ディレクトリに移動します。
この問題は複数の Linux システムで発生しています。Java Desktop System 2 でもっとも一般的ですが、RedHat ディストリビューションでも発生しています。
インストーラの最後の画面で「アップグレードツールの起動」ボタンをクリックすると、インストーラはアップグレード処理を完了するためのアップグレードツールの起動に失敗し、コマンドプロンプトに戻ることなくハングアップしたままになります。
この問題は、コマンド行インストールモードを使って代替アップグレードを実行している場合には発生しません。
GUI モードで代替アップグレードを実行してこの問題が発生した場合には、インストールプログラムを起動した端末ウィンドウで Ctrl+C を押すことにより、そのインストールプログラムを終了します。
その端末ウィンドウから次のコマンドを使ってアップグレードツールを起動します。
install_dir/bin/asupgrade --source install_dir/domains --target install_dir --adminuser adminuser--adminpassword adminpassword --masterpassword changeit |
adminuser および adminpassword は、アップグレード中のインストールで使用されている値に一致する必要があります。
アップグレードツールがアップグレードプロセスを完了したあとは、ブラウザを起動して次の URL を入力することにより、「バージョン情報」ページを参照できます。
file://install_dir/docs/about.html
製品を登録するインストールオプションを選択した場合には、「バージョン情報」ページ上の登録ページへのリンクをたどってください。
アップグレード後、ターゲットの domain.xml から次のエントリを削除し、サーバーを再起動します。
<jvm-options>-Djavax.net.ssl.keyStore=${com.sun.aas.instanceRoot} /config/keystore.jks</jvm-options>- <jvm-options>Djavax.net.ssl.trustStore=${com.sun.aas.instanceRoot} /config/cacerts.jks</jvm-options>
Application Server 7.x から 8.2 に更新すると、古いインストールと新しいインストールの間でポートの衝突 (おそらく、デフォルトポートの 8080 と 8181) が発生することがあります。
ポートの衝突を解決するには、Application Server 8.2 で使用するポートを変更してください。
このバグには、次の 2 つの面があります。
Derby データベースを使用するサンプルアプリケーション設定スクリプトを実行すると、Derby データベースが現在のディレクトリまたは <install_root>/bin の下に作成されます。
サンプル build Ant スクリプトによって、管理パスワードファイルを保存する password.txt ファイルが現在のディレクトリの下に作成されますが、このディレクトリはルート以外の疎ゾーンシナリオでは書き込み可能ではありません。
Derby データベースの場所 – start-database コマンドで --dbhome オプションを使用して、--dbhome に指定された値の場所にデータベースを作成します。たとえば、次の例は、start-database 用の asadmin コマンドの構文です。
start-database [--dbhost 0.0.0.0] [--dbport 1527] [--dbhome db_directory] [--echo=false] [--verbose=false] |
password.txt ファイルの場所 – 設計上、サンプルディレクトリは書き込み可能であると想定されています。これは、すべてのビルドコマンドにそのディレクトリでの password.txt ファイルの作成が含まれているためです。書き込み可能な場所にサンプルの作業用コピーをインストールするようにしてください。
この問題は、デフォルト以外の管理資格を使用してアップグレードインストールを実行すると発生します。
ファイルベースのインストーラを使用して 8.xPE から 8.2EE への並列アップグレードを実行するとき、新しい Application Server 用には次の管理資格を使用してください。
管理ユーザー: admin
管理パスワード: adminadmin
マスターパスワード: changeit
アップグレードの実行後に、必要に応じてこれらのパスワードを変更できます。
アップグレードツールが「ソースインストールディレクトリ」フィールドの既存の無効なディレクトリ入力の検出に失敗するので、ディレクトリ設定は正しいという印象を与えます。
想定では、「ソースインストールディレクトリ」に不正なパスを入力すると「無効なディレクトリ」というメッセージがポップアップ表示されるべきです。「ソースインストールディレクトリ」に /opt/SUNWappserverEE81UR2/ と入力すると、無効なディレクトリというメッセージが正しくポップアップ表示されます。しかし、/opt/SUNWappserverEE81UR2/domains と入力すると、パスが無効でも、アップグレードツールは警告を表示せずにアップグレードプロセスを続けます。この問題は、入力する値によって動作が異なるという点を除けば、ID 6440710 に似ています。
Application Server 7 または 8.x から Application Server 8.2 にアップグレードするときは、マニュアルで推奨されている値でソースディレクトリをまずシードする必要があります。上書きアップグレードの場合はドメインルート、並列アップグレードの場合はドメインディレクトリです。
Application Server Enterprise Edition 8.2 インストールでは、管理ユーザー名に特殊文字は使用できません。特殊文字を使用すると、ドメインの作成は失敗します。ただし、管理パスワードには特殊文字を使用できます。
Application Server 7 から Application Server 8.2 にアップグレードするときに、管理ユーザー名に特殊文字が含まれていないことを確認してください。