hadbm コマンド行ユーティリティーを使用して、HADB ドメイン、そのデータベースインスタンス、およびノードを管理します。hadbm ユーティリティー (管理クライアントとも呼ばれる) は、管理サーバーとして動作している、指定された管理エージェントに管理要求を送信します。管理エージェントにはリポジトリからデータベース設定へのアクセスがあります。
この節では、次のトピックで、hadbm コマンド行ユーティリティーについて説明します。
hadbm ユーティリティーは、HADB_install_dir /bin ディレクトリにあります。hadbm コマンドの汎用構文は次のとおりです。
hadbm subcommand [-short-option [option-value]] [--long-option [option-value]] [operands]
サブコマンドで実行する操作またはタスクを識別します。サブコマンドは大文字と小文字を区別します。ほとんどのコマンドはオペランドを1 つ (通常は dbname) とります。
オプションを指定することにより、hadbm がサブコマンドを実行する方法を変更できます。オプションは大文字と小文字を区別します。各オプションには長い書式と短い書式があります。省略形の場合はダッシュ 1 つ (-) を前に付け、長い書式の場合はダッシュ 2 つ (--) を前に付けます。boolean 型のオプションを除くほとんどのオプションは引数値を必要とし、この引数値により機能がオンに切り替わります。オプションを指定しないとコマンドが正常に実行されないということではありません。
サブコマンドにデータベース名が必要な場合にデータベース名を指定しないと、hadbm はデフォルトデータベース hadb を使用します。
次に示すのは、status サブコマンドの例です。
hadbm status --nodes
セキュリティー上の理由で、すべての hadbm コマンドには管理者パスワードが必要です。データベースまたはドメインを作成する際に、--adminpassword オプションを使用してパスワードを設定します。それ以降、そのデータベースまたはドメイン上で操作を実行するときには、そのパスワードを指定する必要があります。
さらにセキュリティーを強化するには、パスワードをコマンド行に入力する代わりに、--adminpasswordfile オプションを使用してパスワードを含むファイルを指定します。次の行を用いてパスワードファイルにパスワードを定義します。
HADBM_ADMINPASSWORD=password
password をパスワードに置き換えてください。ファイル内のそれ以外の内容は無視されます。
--adminpassword と --adminpasswordfile の両方のオプションを指定すると、--adminpassword が優先されます。パスワードが必要なのに、コマンド中に指定されていない場合には、hadbm からパスワードを要求されます。
管理者パスワードはデータベースまたはドメインを作成するときにのみ設定することができ、後で変更することはできません。
管理者パスワードに加えて、データベーススキーマを変更する操作を実行するために、HADB ではデータベースパスワードも要求されます。次のコマンドを使用するときには、これらのパスワードが両方必要となります。hadbm create、hadbm addnodes、および hadbm refragment です。
--dbpassword オプションを使用して、コマンド行にデータベースパスワードを指定します。管理者パスワードと同じように、ファイルにパスワードを書き込み、--dbpasswordfile オプションでファイルの場所を指定することも可能です。次の行を用いてパスワードファイルにパスワードを定義します。
HADBM_DBPASSWORD=password
テストまたは評価の場合は、データベースまたはドメインを作成する際に --no-adminauthentication オプションを指定して、パスワード認証をオフにすることもできます。詳細については、「データベースの作成」および 「管理ドメインの作成」を参照してください。
次の表に、hadbm セキュリティーコマンド行オプションの要約を示します。
表 3–4 hadbm セキュリティーオプション
汎用コマンドオプションは、どの hadbm サブコマンドにも使用できます。すべてが boolean 型オプションで、デフォルトは false です。次の表で、hadbm 汎用コマンドオプションについて説明します。
表 3–5 hadbm 汎用オプション
オプション (省略形) |
説明 |
---|---|
--quiet -q |
説明メッセージを何も表示せずにサブコマンドを実行します。 |
--help -? |
このコマンドの簡単な説明とサポートされているすべてのサブコマンドを表示します。サブコマンドは不要です。 |
--version -V |
hadbm コマンドのバージョン詳細を表示します。サブコマンドは不要です。 |
--yes -y |
非対話型モードでサブコマンドを実行します。 |
--force -f |
非対話式にコマンドを実行し、コマンドの後置条件をすでに満たしている場合には、エラーをスローしません。 |
--echo -e |
サブコマンドを、すべてのオプションとそれらについてユーザーが定義した値またはデフォルト値とともに表示してから、サブコマンドを実行します。 |
--agent=URL -m |
管理エージェントの URL。URL の書式は hostlist:port です。ここで、hostlist はホスト名または IP アドレスのコンマ区切りリストで、port は管理エージェントが動作しているポート番号です。 デフォルトは localhost: 1862 です。 注: このオプションは hadbm addnodes には無効です。 |
便宜上、コマンドオプションを指定する代わりに、環境変数を設定することもできます。次の表で、hadbm コマンドオプションに対応する環境変数について説明します。
表 3–6 HADB オプションと環境変数
長い書式 |
短い書式 |
デフォルト |
環境変数 |
---|---|---|---|
--adminpassword |
-w |
なし |
$HADBM_ADMINPASSWORD |
--agent |
--m |
localhost:1862 |
$HADBM_AGENT |
--datadevices |
-a |
1 |
$HADBM_DATADEVICES |
dbname |
なし |
hadb |
$HADBM_DB |
--dbpassword |
-p |
なし |
$HADBM_DBPASSWORD |
--dbpasswordfile |
-P |
なし |
$HADBM_DBPASSWORDFILE |
--devicepath |
-d |
Solaris および Linux: /var/opt/SUNWhadb Windows: C:\Sun\AppServer\SUNWhadb\vers。ここで、vers は HADB バージョン番号です。 |
$HADBM_DEVICEPATH |
--devicesize |
-z |
なし |
$HADBM_DEVICESIZE |
--echo |
-e |
False |
$HADBM_ECHO |
--fast |
-F |
False |
$HADBM_FAST |
--force |
-f |
False |
$HADBM_FORCE |
--help |
-? |
False |
$HADBM_HELP |
--historypath |
-t |
Solaris および Linux: /var/opt/SUNWhadb Windows: REPLACEDIR (実行時に実際の URL に置換される) |
$HADBM_HISTORYPATH |
--hosts |
-H |
なし |
$HADBM_HOSTS |
--interactive |
-i |
True |
$HADBM_INTERACTIVE |
--no-refragment |
-r |
False |
$HADBM_NOREFRAGMENT |
--portbase |
-b |
15200 |
$HADBM_PORTBASE |
--quiet |
-q |
False |
$HADBM_QUIET |
--repair |
-R |
True |
$HADBM_REPAIR |
--rolling |
-g |
True |
$HADBM_ROLLING |
--saveto |
-o |
なし |
$HADBM_SAVETO |
--set |
-S |
なし |
$HADBM_SET |
--spares |
-s |
0 |
$HADBM_SPARES |
--startlevel |
-l |
normal |
$HADBM_STARTLEVEL |
--version |
-V |
False |
$HADBM_VERSION |
--yes |
-y |
False |
$HADBM_YES |