Sun JavaTM Enterprise System (Java ES) ソリューションのインストールは広範なプロセスです。一般的なソリューションでは、ネットワークに接続された複数のコンピュータに Java ES コンポーネントをインストールし、相互動作するコンポーネントインスタンスを構成します。本書『Sun Java Enterprise System インストール計画ガイド』では、Java ES のアーキテクチャーを分析する方法と、ソリューションをインストールするための計画を作成する方法について説明します。
インストール計画は、Java ES ソリューションライフサイクルの 1 つの段階です。『インストール計画ガイド』では、『Sun Java Enterprise System Deployment Planning Guide』で説明されているライフサイクルの初期段階が完了しており、配備アーキテクチャーとして知られる、ソリューションの上位レベルの技術的な説明書が作成済みであることを前提とします。
『インストール計画ガイド』は、配備アーキテクチャーを分析し、ソリューションをどのようにインストールおよび設定するかを決定する方を対象としています。
『インストール計画ガイド』では、ソリューションライフサイクルの全段階を 1 人の人物が実行することを想定していません。インストール計画は、次の知識を持つ担当者が作成することをお勧めします。
Java Enterprise System を構成するコンポーネントと、各コンポーネントによって提供されるサービスについての一般的知識。詳細については、『Sun Java Enterprise System 5 技術の概要』の「Java ES コンポーネント」を参照してください。
ネットワークアドレスの設定、負荷分散用のハードウェアまたはソフトウェアの使用方法、ファイアウォールを利用したネットワークのセキュリティー強化、DNS サーバーの設定などについての知識を含む、IP ネットワーク設定についての十分な理解。
これには、オペレーティングシステムのインストール、ネットワークアドレスの割り当て、ストレージデバイスの設定などについての知識を含む、ソリューションをインストールするオペレーティングシステムプラットフォームについての十分な知識。
Java ES インストーラについての一般的知識。詳細については、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』の「Java ES インストーラのしくみ」を参照してください。
LDAP ディレクトリについての一般的知識。
ソリューションに必要なディスク領域を予測するための、ハードウェアに関する十分な知識。
インストール計画の作成は、複数の人物が分担して行わなければならない場合があります。たとえば、計画の主要責任者は、ソリューションのインストールおよび設定のために必要な情報を作成するために、LDAP に詳しい人物に問い合わせる必要が生じる場合があります。
第 1 章では、インストール計画プロセスの概要を示します。
第 2 章では、配備アーキテクチャーに含まれていないが、Java ES ソリューションをインストールするために必要な追加の情報を作成する方法について説明します。
第 3 章では、インストール計画全般について説明したあと、特定の Java ES ソリューション用のインストール計画を作成する方法について説明します。
Java ES ドキュメントセットには、配備計画およびシステムインストールに関する情報が記載されています。システムマニュアルの URL は http://docs.sun.com/coll/1286.2 です。Java ES の概要を理解するため、次の表に紹介されているマニュアルを、記載されている順番に参照してください。
表 P–1 Java Enterprise System のマニュアル
マニュアルタイトル |
内容 |
---|---|
既知の問題など、Java ES に関する最新の情報が記載されています。これに加えて、各コンポーネントには、個別のリリースノートもあります。 |
|
Java ES の技術的および概念的な基礎について説明します。コンポーネント、アーキテクチャー、プロセス、および機能について説明しています。 |
|
Java ES に基づく企業配備ソリューションの計画および設計に関する情報を提供します。配備の計画および設計に関する基本的概念と原則を示し、ソリューションのライフサイクルについて説明し、Java ES に基づくソリューションを計画する際に使用する高度な例と戦略を提供します。 |
|
Java ES の配備に関し、ハードウェア、オペレーティングシステム、およびネットワーク面の実装仕様の開発に役立つ情報を提供します。インストールおよび設定計画を遂行する上で注意すべきコンポーネントの依存関係などの問題について説明します。 |
|
Solaris オペレーティングシステムまたは Linux オペレーティングシステムに対する Java ES のインストールシーケンスについて説明します。また、インストール後にコンポーネントを設定する方法、および設定したコンポーネントが正常に機能するかどうかを確認する方法についても説明します。 |
|
設定パラメータに関する追加情報や、設定計画で使用するワークシート、デフォルトディレクトリやポート番号などの参考情報を提供します。 |
|
『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』 |
Solaris オペレーティングシステムまたは Linux オペレーティング環境で Java ES をアップグレードする方法および手順について説明します。 |
各製品での Monitoring Framework の設定方法と、Monitoring Console を使用してリアルタイムデータを参照し、しきい値のアラームを設定する方法を示します。 |
|
インストール計画の作成に役立つ可能性の高いマニュアルを次に示します。
『Sun Java Enterprise System 5 技術の概要』では、Java ES のコンポーネントと、それらのコンポーネントが提供するサービスについて説明します。
『Sun Java Enterprise System Deployment Planning Guide』では、ビジネスのニーズを分析して配備アーキテクチャーを作成する方法について説明します。
『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』では、Java ES インストーラの操作方法について説明します。
『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』では、Java ES インストーラの入力値の完全な一覧を示します。
『Sun Java Communications Suite 5 配備計画ガイド』など、個別コンポーネントの配備計画ガイドでは、コンポーネントの設定についての詳細な情報を示しています。
このマニュアルセットで使用されている用語の一覧については、『Sun Java Enterprise System 用語集』を参照してください。
このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。
表 P–2 表記上の規則
字体または記号 |
意味 |
例 |
|
---|---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コード例を示します。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 machine_name% you have mail. |
|
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して示します。 |
machine_name% su Password: |
|
aabbcc123 |
変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 |
ファイルを削除するには、rm filename と入力します。 |
|
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『コードマネージャー・ユーザーズガイド』を参照してください。 |
|
「 」 |
参照する章、節、ボタンやメニュー名、強調する単語を示します。 |
第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
|
\ |
枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を超える場合に、継続を示します。 |
|
コード例は次のように表示されます。
C シェル
machine_name% command y|n [filename] |
C シェルのスーパーユーザー
machine_name# command y|n [filename] |
Bourne シェルおよび Korn シェル
$ command y|n [filename] |
Bourne シェルおよび Korn シェルのスーパーユーザー
# command y|n [filename] |
[ ] は省略可能な項目を示します。上記の例は、filename は省略してもよいことを示しています。
| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。
キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。
ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-D は Control キーを押したまま D キーを押すことを意味します。
次の表は、デフォルトのシステムプロンプトとスーパーユーザープロンプトを示しています。
表 P–3 シェルプロンプト
シェル |
プロンプト |
---|---|
UNIX および Linux システムの C シェル |
machine_name% |
UNIX および Linux システムの C シェルのスーパーユーザー |
machine_name# |
UNIX および Linux システムの Bourne シェルおよび Korn シェル |
$ |
UNIX および Linux システムの Bourne シェルおよび Korn シェルのスーパーユーザー |
# |
Microsoft Windows のコマンド行 |
C:\ |
次の表は、この用語集で使用される記号の一覧です。
表 P–4 記号の規則
記号 |
説明 |
例 |
意味 |
---|---|---|---|
[ ] |
省略可能な引数やコマンドオプションが含まれます。 |
ls [-l] |
-l オプションは必須ではありません。 |
{ | } |
必須のコマンドオプションの選択肢を囲みます。 |
-d {y|n} |
-d オプションには y 引数か n 引数のいずれかを使用する必要があります。 |
${ } |
変数参照を示します。 |
${com.sun.javaRoot} |
com.sun.javaRoot 変数の値を参照します。 |
- |
同時に押すキーを示します。 |
Control-A |
Control キーを押しながら A キーを押します。 |
+ |
順番に押すキーを示します。 |
Ctrl+A+N |
Control キーを押してから放し、それに続くキーを押します。 |
-> |
グラフィカルユーザーインタフェースでのメニュー項目の選択順序を示します。 |
「ファイル」->「新規」->「テンプレート」 |
「ファイル」メニューから「新規」を選択します。「新規」サブメニューから「テンプレート」を選択します。 |
Sun のサービス |
URL |
内容 |
---|---|---|
マニュアル |
PDF 文書および HTML 文書をダウンロードできます。 |
|
サポートおよびトレーニング |
技術サポート、パッチのダウンロード、および Sun のトレーニングコース情報を提供します。 |