Sun Java Enterprise System 5 インストール計画ガイド

サンプル: 疎ルートゾーンに Application Server をインストールする

次の例は、Java ES ゾーンサポートに伴う複雑さの一面を描き出すために用意されています。この例では、目的は Solaris 10 疎ルートゾーンに Application Server をインストールすることです。このインストールは、Application Server と、Application Server が依存関係にある Message Queue が Solaris 10 にバンドルされており複雑であるため、バンドルされているバージョンはすべての非大域ゾーンにインストールされます。詳細は、「製品コンポーネントの特殊ケース」を参照してください。

Application Server を疎ルートゾーンにインストールするには、まずバンドルされているバージョンを削除する必要があります。疎ルートゾーンのバンドルされているバージョンは、読み取り専用ディレクトリにインストールされているため、アップグレードが単純ではありません。バンドルされているバージョンを疎ルートゾーンから削除するには、それを大域ゾーンで削除する必要があります。

さらに、Message Queue は大域ゾーンにインストールされているので、表 A–2 のシナリオ 3 から出発することになり、その場合製品コンポーネントはインストールされず、共有コンポーネントのみが大域ゾーンにインストールされます。ただし、Message Queue は読み取り専用ディレクトリにインストールするため、疎ルートゾーンにインストールすることはできず、大域ゾーンでインストールとアップグレードを行う必要があります。

手順は次のとおりです。

  1. ご使用のシステム上で Solaris 10 が実行中であることを確認します。

    この例では、大域ゾーンに Java ES コンポーネントが何も明示的にインストールされていない、クリーンバージョンの Solaris 10 を想定しています。

  2. 疎ルートゾーンを作成し、設定、インストール、およびブートを行います。

    このゾーンにはすでに大域ゾーンにインストールされている Java ES コンポーネント、つまり Solaris 10 にバンドルされているバージョンの Message Queue と Application Server がすべて組み込まれます。

  3. バンドルされているバージョンの Application Server を大域ゾーンから削除します。

    このことは、次のコマンドを使用して Application Server パッケージを手動で削除することにより行う必要があります。

    pkgrm SUNWascmnse SUNWaslb SUNWasut ...

    ここで、次のコマンドを使用することにより、完全セットのパッケージを入手できます。

    pkginfo -I|grep -I application server

    結果として、次のパッケージが組み込まれます。

    SUNWascmnse, SUNWaslb, SUNWasut, SUNWasac, SUNWasdem, SUNWasman, SUNWaswbcr, SUNWasacee, SUNWashdm, SUNWasmanee, SUNWascml, SUNWasJdbcDrivers, SUNWasu, SUNWascmn, SUNWasjdoc, SUNWasuee

    また、次のローカリゼーションパッケージも組み込まれる場合があります。

    SUNWLocaleasacee, SUNWLocaleascmnse, SUNWLocaleasu, SUNWLocaleasuee

    大域ゾーンからの Application Server の削除がステップ 2 で作成された疎ルートゾーンに伝播します。このステップとステップ 2 の順序を入れ替えることも可能です。

  4. Java ES 5 共有コンポーネントを大域ゾーンにインストールします。

    1. Java ES インストーラを大域ゾーンで実行します。

    2. コンポーネント選択パネルから「すべての共有コンポーネント」を選択します。それ以外のコンポーネントは選択しないでください。

    3. 共有コンポーネントの同期を完了します。これで、すべての共有コンポーネントが大域ゾーンに同期され、すべての非大域ゾーンに伝播されました。

  5. 大域ゾーンの Message Queue をアップグレードします。

    Solaris 10 にバンドルされているバージョンの Message Queue は、ステップ 2 によってすでに疎ルートゾーンにインストールされています。疎ルートゾーンの Message Queue をアップグレードするには、大域ゾーンの Message Queue をアップグレードするだけでよく、そのアップグレードが疎ルートゾーンに伝播します。Message Queue は、疎ルートゾーンにインストールできないものの、大域ゾーンにインストールすると非大域ゾーンに伝播する唯一の製品コンポーネントです。

    1. Java ES インストーラを大域ゾーンで実行します。

    2. コンポーネント選択パネルで Message Queue を選択します。それ以外のコンポーネントは選択しないでください。

    3. Message Queue のアップグレードを完了します。

  6. Application Server を疎ルートゾーンにインストールします。

    1. Java ES インストーラを疎ルートゾーンで実行します。

    2. コンポーネント選択パネルで Application Server を選択します。アップグレードにそれ以外のコンポーネントを選択しないでください。Message Queue が選択されている場合は、それを解除してください。

    3. Application Server のインストールを完了します。