次の例は、Java ES ゾーンサポートに伴う複雑さの一面を描き出すために用意されています。この例では、目的は Solaris 10 疎ルートゾーンに Application Server をインストールすることです。このインストールは、Application Server と、Application Server が依存関係にある Message Queue が Solaris 10 にバンドルされており複雑であるため、バンドルされているバージョンはすべての非大域ゾーンにインストールされます。詳細は、「製品コンポーネントの特殊ケース」を参照してください。
Application Server を疎ルートゾーンにインストールするには、まずバンドルされているバージョンを削除する必要があります。疎ルートゾーンのバンドルされているバージョンは、読み取り専用ディレクトリにインストールされているため、アップグレードが単純ではありません。バンドルされているバージョンを疎ルートゾーンから削除するには、それを大域ゾーンで削除する必要があります。
さらに、Message Queue は大域ゾーンにインストールされているので、表 A–2 のシナリオ 3 から出発することになり、その場合製品コンポーネントはインストールされず、共有コンポーネントのみが大域ゾーンにインストールされます。ただし、Message Queue は読み取り専用ディレクトリにインストールするため、疎ルートゾーンにインストールすることはできず、大域ゾーンでインストールとアップグレードを行う必要があります。
手順は次のとおりです。
ご使用のシステム上で Solaris 10 が実行中であることを確認します。
この例では、大域ゾーンに Java ES コンポーネントが何も明示的にインストールされていない、クリーンバージョンの Solaris 10 を想定しています。
疎ルートゾーンを作成し、設定、インストール、およびブートを行います。
このゾーンにはすでに大域ゾーンにインストールされている Java ES コンポーネント、つまり Solaris 10 にバンドルされているバージョンの Message Queue と Application Server がすべて組み込まれます。
バンドルされているバージョンの Application Server を大域ゾーンから削除します。
このことは、次のコマンドを使用して Application Server パッケージを手動で削除することにより行う必要があります。
pkgrm SUNWascmnse SUNWaslb SUNWasut ...
ここで、次のコマンドを使用することにより、完全セットのパッケージを入手できます。
pkginfo -I|grep -I application server
結果として、次のパッケージが組み込まれます。
SUNWascmnse, SUNWaslb, SUNWasut, SUNWasac, SUNWasdem, SUNWasman, SUNWaswbcr, SUNWasacee, SUNWashdm, SUNWasmanee, SUNWascml, SUNWasJdbcDrivers, SUNWasu, SUNWascmn, SUNWasjdoc, SUNWasuee
また、次のローカリゼーションパッケージも組み込まれる場合があります。
SUNWLocaleasacee, SUNWLocaleascmnse, SUNWLocaleasu, SUNWLocaleasuee
大域ゾーンからの Application Server の削除がステップ 2 で作成された疎ルートゾーンに伝播します。このステップとステップ 2 の順序を入れ替えることも可能です。
Java ES 5 共有コンポーネントを大域ゾーンにインストールします。
Java ES インストーラを大域ゾーンで実行します。
コンポーネント選択パネルから「すべての共有コンポーネント」を選択します。それ以外のコンポーネントは選択しないでください。
共有コンポーネントの同期を完了します。これで、すべての共有コンポーネントが大域ゾーンに同期され、すべての非大域ゾーンに伝播されました。
大域ゾーンの Message Queue をアップグレードします。
Solaris 10 にバンドルされているバージョンの Message Queue は、ステップ 2 によってすでに疎ルートゾーンにインストールされています。疎ルートゾーンの Message Queue をアップグレードするには、大域ゾーンの Message Queue をアップグレードするだけでよく、そのアップグレードが疎ルートゾーンに伝播します。Message Queue は、疎ルートゾーンにインストールできないものの、大域ゾーンにインストールすると非大域ゾーンに伝播する唯一の製品コンポーネントです。
Java ES インストーラを大域ゾーンで実行します。
コンポーネント選択パネルで Message Queue を選択します。それ以外のコンポーネントは選択しないでください。
Message Queue のアップグレードを完了します。
Application Server を疎ルートゾーンにインストールします。
Java ES インストーラを疎ルートゾーンで実行します。
コンポーネント選択パネルで Application Server を選択します。アップグレードにそれ以外のコンポーネントを選択しないでください。Message Queue が選択されている場合は、それを解除してください。
Application Server のインストールを完了します。