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Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版) |
第 8 章
Java DBこの章では、Java DB を Java ES 5 (Release 5): Java DB 10.1.3 にアップグレードする方法について説明します。
ここでは、Release 5 でサポートされている各種のアップグレードパスでのアップグレードの注意点の概要について説明します。また、Solaris オペレーティングシステムと Linux オペレーティングシステムの両方でのアップグレードを取り上げます。
Java DB のアップグレードの概要ここでは、Java ES 5 (Release 5) へのアップグレードに影響する Java DB の一般的な側面について説明します。
Java ES Release 5 について
Java ES Release 5 Java DB は、Java ES 製品コンポーネントとして提供される最初のリリースです。Java DB は、Java ES Release 4 に含まれる DerbyDatabase という名前の共有コンポーネントとして、最初にリリースされました。
Release 5 Java DB は、Release 4 バージョンに対するマイナーリリースです。このリリースでは、いくつかの機能強化、インタフェースの更新、選ばれたバグ修正が行われています。
Java ES Release 5 へのアップグレードロードマップ
表 8-2 は、Java DB を Java ES Release 5 へアップグレードする際の、サポートされるアップグレードパスを示しています。この表は Solaris および Linux の両方のオペレーティングシステムに適用されます。
表 8-2 Java ES 5 (Release 5): Java DB 10.1.3 へのアップグレードパス
Java ES のリリース
Java DB のバージョン
一般的な手順
必要な再設定
Release 4
Derby Database 10.0.2
直接アップグレード:
新規インストールにより、Release 4 を置き換えます。持続的データは影響されません。なし
Java DB のデータ
次の表は、Java DB ソフトウェアのアップグレードにより影響を受ける可能性のあるデータの種類を示しています。
Java DB のアップグレード方針
Java DB をアップグレードするための方針は一般に、第 1 章「アップグレードの計画」で説明されている多くの考慮事項 (アップグレードパス、Java ES コンポーネント間の依存関係、選択的なアップグレードかすべてのアップグレードか、複数インスタンスの配備など) によって異なります。
ここでは、Java DB のアップグレード計画に影響する可能性のある問題を取り上げ、Java DB の全般的な説明を詳細に記述します。
互換性の問題
Release 5 の Java DB は、Release 4 バージョンと下位互換性があります。
依存関係
Java DB は、J2SE 共有コンポーネントに対してのみ依存関係を持っています (表 1-9 を参照)。
二重のアップグレード
「二重のアップグレード: Java ES ソフトウェアとオペレーティングシステムソフトウェア」で説明されているように、二重のアップグレードでは Java DB とオペレーティングシステムの両方をアップグレードします。次の 2 つのどちらかの方法で二重のアップグレードを実行できます。
新規オペレーティングシステムのインストール
- 既存の Java DB データをバックアップします。
基本的なデータの場所については、「Java DB のデータ」を参照してください。
- 新しいオペレーティングシステムをインストールします。
新しいシステム (または Solaris 10 ゾーン) でオペレーティングシステムのインストールを実行するか、または、既存のファイルシステムを消去することができます。
- Release 5 の Java DB をインストールします。
- 手順 1 でバックアップした Java DB データを復元します。
オペレーティングシステムのインプレースアップグレード
- 既存の Java DB データをバックアップします。
基本的なデータの場所については、「Java DB のデータ」を参照してください。
- オペレーティングシステムをアップグレードします。
このアップグレードでは、既存のファイルシステムはそのまま残されます。
- Release 5 の Java DB にアップグレードします。
「Java ES Release 4 からの Java DB のアップグレード」を参照してください。
Java DB データはアップグレードの影響を受けません。
Java ES Release 4 からの Java DB のアップグレードここでは、Java DB の Java ES 2005Q4 (Release 4) から Java ES 5 (Release 5) へのアップグレードについて説明します。この節で説明する内容は、次のとおりです。
はじめに
Java ES Release 4 Java DB を Release 5 にアップグレードする場合は、アップグレード処理の次の側面を考慮してください。
- 一般的なアップグレード手順: このアップグレードは、Release 5 の Java DB の新規インストールを行い、Release 4 バージョンを置き換えることによって実行されます。Release 4 のデータと設定は、そのまま残ります。
- アップグレードの依存関係: Java DB は J2SE 共有コンポーネント (表 1-9 を参照) に対して強いアップグレード依存関係を持っています。この共有コンポーネントは、Java DB のアップグレートを実行すると、Java ES インストーラによって Release 5 に自動的にアップグレードされます。
- 下位互換性: Release 5 の Java DB は Release 4 と完全互換です。
- アップグレードのロールバック: Release 5 アップグレードのロールバックは、バックアップされた Release 4 インストールを戻すことによってのみ可能です。
- プラットフォームの問題: Java DB をアップグレードするための一般的な手順は、Solaris および Linux の両オペレーティングシステムで共通です。
Release 4 の Java DB のアップグレード
ここでは、Solaris プラットフォームと Linux プラットフォームの両方で、Java DB の Java ES Release 4 から Java ES Release 5 へのアップグレードを実行する方法について説明します。この節で説明する内容は、次のとおりです。
アップグレード前の作業
Java DB ソフトウェアをアップグレードする前に、次の作業を実行してください。
現在のバージョン情報の確認
Java DB の現在のバージョンは、次のコマンドを使用することにより確認できます。
java -cp JavaDB-base/lib/derby.jar org.apache.derby.tools.sysinfo
バージョン情報 (derby.jar ファイル) を次の表に示します。
Java DB が依存するコンポーネントのアップグレード
一般的には、コンピュータシステム上 (および、コンピューティング環境内) のすべての Java ES コンポーネントを Java ES Release 5 にアップグレードすることが推奨されます。ただし、Java DB の必要とするすべての共有コンポーネントは、Java DB の Release 5 へのアップグレードを実行するときに、Java ES インストーラによって自動的にアップグレードされます。
Java DB のデータのバックアップ
Java DB の Release 4 から Release 5 へのアップグレードでは、設定データや持続的データは変更されません。ただし、安全のために、Java DB のインストール全体とデータをバックアップすることをお勧めします。表 8-3を参照してください。
必要な設定情報とパスワードの入手
Java DB をアップグレードするために、設定情報やパスワードは必要ありません。
Release 4 の Java DB のアップグレード
ここでは、Solaris プラットフォームと Linux プラットフォームでのアップグレード手順について説明します。
アップグレード手順
次に示す手順は、アップグレードを実施するコンピュータにローカルインストールされているすべての Java DB インスタンスに適用されます。
- root としてログインするか、スーパーユーザーになります。
su -
- Release 4 の Java DB を停止します。
ネットワークサーバーが実行中の場合は、次のコマンドを使用します。
java -cp JavaDB-base/lib/derby.jar:JavaDB-base/lib/derbynet.jar org.apache.derby.drda.NetworkServerControl shutdown
それ以外の場合は、すべての Java DB を使用しているアプリケーションを単にシャットダウンします。
- Release 5 の Java DB の新規インストールを実行します。
次の手順を実行します。
- Release 4 の Java DB がホストされたコンピュータ上で Java ES インストーラを起動します。
cd Java ES Release 5 distribution/os_arch
./installerここで、os_arch は、Solaris_sparc などのプラットフォームに対応します。コマンド行インタフェースには、installer -nodisplay オプションを使用します。
ようこそページと、ライセンス使用許諾契約ページが表示されてから、コンポーネント選択ページが表示されます。Java ES インストーラが直接アップグレードできるインストール済みのコンポーネントが検出された場合、それらのコンポーネントは「アップグレード可」の状態で表示されます。
- コンポーネント選択ページから Java DB を選択します。
以前のインストールは上書きされます。
- 「あとで設定」オプションを選択します。
「今すぐ設定」はサポートされていません。
- 必要に応じて、ローカライズ版のパッケージをインストールするオプションを選択します。
- インストールが完了したら、Java ES インストーラを終了します。
- Release 5 の Java DB を起動します。
ネットワークサーバーを使用している場合は、次のコマンドを使用します。
java -jar <JavaDB-base>/lib/derbynet.jar start
それ以外の場合は、Java DB を組み込みモードで使用して、任意のアプリケーションを単に起動します。
アップグレードの確認
Java DB のアップグレードが成功したかどうかは、次のコマンドを使用して確認できます。
java -cp JavaDB-base/lib/derby.jar org.apache.derby.tools.sysinfo
出力値 (derby.jar ファイルのバージョン) については、表 8-4 を参照してください。
アップグレード後の作業
Java DB を Release 4 から Release 5 にアップグレードするときに、データを Java DB 10.0 ディスク形式から 10.1 形式に変換してください。この変換を実行するには、JDBC の URL に upgrade=true を付加してデータベースに接続します。次に例を示します。
java -cp JavaDB-base/lib/derbytools.java:JavaDB-base/lib/derby.jar org.apache.derby.tools.ij
ij version 10.1
ij> connect 'jdbc:derby:/databasePath;upgrade=true';
ij> exit;
アップグレードのロールバック
Release 5 アップグレードのロールバックは、バックアップされた Release 4 インストールとそのデータに戻すことによってのみ可能です。
複数インスタンスのアップグレード
配備のアーキテクチャーによっては、スケーラビリティーを実現し、可用性を向上させるために、Java DB が複数のコンピュータシステムに配備される場合があります。たとえば、ロードバランサを使用して Java DB インスタンスを複数のコンピュータで実行することにより、負荷を分散させることができます。
「Release 4 の Java DB のアップグレード」の説明に従って、各コンピュータで Java DB のアップグレードを実行します。