ソリューションのライフサイクルにおけるビジネス分析段階では、ビジネスにかかわる問題を分析し、目標を達成するためのビジネス要件とビジネス上の制約を識別して、ビジネス目標を定義します。
この章で説明する内容は次のとおりです。
ビジネス分析は、ビジネス目標を立てることから始まります。次に、解決すべきビジネスの問題を分析し、ビジネス目標を達成するために必要となるビジネス要件を識別します。目標の達成を制限するようなビジネス上の制約も考慮します。ビジネス要件および制約を分析することにより、ビジネス要件に関する文書がいくつか作成されます。
この文書を、技術要件の段階で技術要件を決定する際に活用します。ソリューションのライフサイクルを通じ、ビジネス分析の段階で実行された分析に基づき、配備計画の成功、ひいてはソリューションの成功を測定します。
ポータルのビジネス要件は、配備に関する決定に影響を与えます。ビジネス要件を把握していないと、誤った前提条件を設定しやすくなり、配備見積もりの正確さに影響を与えかねません。
ポータルを提供する理由は、ポータルの実装方法に直接影響します。対象となる利用者、パフォーマンス標準、および目標に関連する他の要素について定義する必要があります。
次の点について自問し、ポータルの目標を見極めてください。
ポータルでもっとも優先されるものは何か。
ポータルが配信するアプリケーションは何か。
どのような利用者を対象とするか。
どの程度のパフォーマンス標準が必要か。
どれほどのトランザクションの量が予期されるか。ピーク使用時にはどれほどのトランザクションの量が予期されるか。
ピーク使用時に許容される応答時間はどれほどか。
どの程度の並行性が必要か。並行性は、任意の時点で接続可能なユーザー数。
ポータルへのアクセスには、イントラネットとインターネットのどちらを使用するのか。
ポータルは、1 段階で、または数段階で配備するのか。
このポータルのビジネス要件は何か。たとえば、顧客へのサービスを強化することか。または、社員の生産性を向上したり、営業コストを削減したりすることか。
どんな種類のポータルが必要か。たとえば、企業間、企業対顧客、企業対企業、またはこれらの混合か。
対象利用者はだれか。
ポータルによりどのようなサービスまたは機能をユーザーに提供するのか。
対象利用者はポータルからどのように利益を得るのか。
ポータルの優先度はどれほどか。
(オプション) セキュリティー保護されたポータルを配備する場合は、次の点を自問してビジネスの目的を見極めます。
イントラネットのアプリケーションやサーバーにインターネットからアクセスできるようにして、社員の生産性を高める必要があるか。
ポータルへのアクセスをセキュリティー保護する必要があるか。
既存の Virtual Private Network (VPN) ソリューションの所有コストを削減する必要があるか。
Citrix や pcAnywhere などのイントラネットアプリケーションに、インターネットからアクセスする利便性を社員に提供するか。
イントラネットのサーバーやマシンを、インターネットから参照する利便性を社員に提供するか。
対象利用者は、すべてのポータルユーザー、社員、顧客などのうちだれか。
ユーザーがポータルを利用する状況や前システムの使用方法などの要素は、ポータルの要件を識別するための鍵となります。ポータルを利用するユーザーについて調査してください。組織にそうした行動パターンを提供できるだけの経験がない場合は、他の組織の経験を調査して評価します。
次の点を自問してユーザーを理解してください。
何人のエンドユーザーが利用するか。対象利用者はどれぐらいの規模か。
ユーザーは毎日、同じ時刻にポータルにログインするか。ユーザーは仕事でポータルを使用するのか、それとも別の場所で使用するのか。
ユーザーたちは、同じタイムゾーンまたは異なるタイムゾーンに属しているか。
標準的なユーザーの接続時間、または有効なポータルセッションが開いている時間としてどれぐらいの長さが予想されるか。既存のアプリケーションに関する使用方法の統計情報を何か持っているか。既存ポータルの Web トラフィック分析結果があるか。
事前定義された時間内に予想される、訪問者セッションの数、または 1 人の訪問者の訪問回数はどの程度か。
ポータルの利用頻度は、時間の経過とともに増加することが期待できるか。または、安定した状態を維持しそうか。
どれぐらいの割合でユーザーベースが成長するか。
ユーザーは、ポータルで配信しようとするアプリケーションをどのように使用してきたか。
ユーザーが定期的に使用すると期待されるのはどのポータルチャネルか。
ユーザーはコミュニティーを設定し、参加するか。そうであれば、チームの行動とポータルの用途はどのようなものか。
ユーザーはポータルのコンテンツに何を期待しているか。ポータルが提供するものの中で、前身となる Web ベース情報または他のリソースをユーザーはどのように使用してきたか。
生産性を促進するには、特にポータルがコミュニティーを提供する場合に、個人、チーム、および組織が全体としてどれだけの生産性を実現できるかが必要となります。組織全体および組織の特定部分において、および短期または長期プロジェクトにおいて確立したチームを考慮する必要があります。
日常的な作業環境はどのように体系化されているか。
新入社員はどのように短期間で生産性を発揮できるか。
新しいサービスはどのようにして広く知られるようになるか。
新しいサービスはどのようにして広く使用されるようになるか。
社員は新しいドキュメントをどのように見つけるか。
社員同士はどのように連携するか。
個人同士はどのように連携するか。
暫定的なチームはどのように作成されるか。
チームメンバーはどのように意志の疎通を図るか。
チームは、暫定的または一時的な成果をどのように記録するか。
どのような方法で、新しいサービスを適切なグループまたは個人にターゲット化するか。
新しいサービスの成功をどのように測定するか。
個人の生産性をどのように定義し、監視するか。チームの生産性はどのように定義し、監視するか。組織の生産性はどのように定義し、監視するか。
個人の生産性をどのように高めるか。チームの生産性はどのように高めるか。組織の生産性はどのように高めるか。