Sun Java System Portal Server 7.1 配備計画ガイド

Portal Server の使用事例

使用事例は、システムの能力をテストして示し、高レベルの設計の重要な部分を形成するために記述されたシナリオです。使用事例シナリオはプロジェクトの終わりの方で実現しますが、要件が定まったら、プロジェクトの早い段階でまとめておきます。

利用できる場合、使用事例はシステムをどのようにテストすべきかを判断する際に役立ちます。使用事例は、ユーザーインタフェースをどのように設計するかを、ナビゲーションの観点から決定する際に役立ちます。使用事例を設計する際には、使用事例を要件と比較して、使用事例の完成度、またテスト結果の解釈方法を判断します。

使用事例は、要件をまとめる手段にもなります。要件の一覧の代わりに、ユーザーがシステムをどのように使用できるかを説明するストーリーのように要件をまとめます。これにより完成度と一貫性が向上し、またユーザーの観点から見た要件の重要性について、さらに理解を深めることができます。

使用事例は、ポータルの機能要件を特定および明確にするために役立ちます。使用事例は、ユーザーとポータル間のやり取りのセット、またポータルが実行する必要があるサービス、タスク、および機能など、ポータルのさまざまな使い方をすべて網羅します。

使用事例は、外部のアクターとポータルシステム間の目的のあるやり取りのセットを定義します。アクターは、システムとやり取りするシステム外に存在するパーティーであり、ユーザーのクラス、ユーザーが担うことのできるロール、またはその他のシステムになります。

使用事例は、対象領域の用語を使用した、理解しやすい構造化された物語として記述されます。

使用事例のシナリオは、使用事例の 1 つの例であり、使用事例の 1 つの筋道を表します。したがって、使用事例の主な筋に対するシナリオ、また使用事例の起こりうるさまざまな筋 (たとえば、各オプションを表す) に対するシナリオを作成できます。

Portal Server の使用事例の開発の準備

ポータルの使用事例を開発する場合は、次に示す要素に注意してください。

使用事例の例: ポータルユーザーの認証

表 3–1 では、ポータルのユーザーがポータルに認証される使用事例について説明します。

表 3–1 使用事例: ポータルユーザーの認証

アイテム 

説明 

優先順位 

必須です。 

使用の背景 

認証済みのエンドユーザーのみがポータルのリソースにアクセスを許可されます。このアクセス制限は、コンテンツおよびサービスを含む、すべてのポータルのリソースに適用されます。このポータルは、企業の LDAP ディレクトリで管理されているユーザー ID を利用します。 

範囲 

ポータルエンドユーザーは、完全なオンラインセッションのために 1 回だけ自分の身元を証明します。アイドルタイムアウトが発生する場合は、ユーザーは自分の身元を再度証明する必要があります。ポータルエンドユーザーの身元証明の失敗回数が指定された許容再試行回数よりも多い場合、システム管理者がアカウントを再び有効にするまで、イントラネットへのアクセスは拒否または制限 (無効) される必要があります。この場合、ポータルエンドユーザーに、担当者に連絡するように勧める必要があります。身元が確認されたポータルエンドユーザーは、許可されたデータおよび情報にだけアクセスできます。 

プライマリユーザー 

ポータルエンドユーザー。 

特別な要件 

なし。 

関係者 

ポータルエンドユーザー。 

前提条件 

ポータルエンドユーザーは、

  • 承認されたユーザー。

  • 標準的な企業 LDAP ユーザー ID を持っている。各従業員に LDAP ユーザー ID を提供する必要があります。

  • 承認された LDAP エントリを持っている。

  • 企業イントラネットにアクセスできる。

  • ゲストアカウントは持っていない。

最小限の保証 

顧客主体の親切なメッセージ。ステータス — 誰に連絡するかを示すエラーメッセージ付き。 

成功の保証 

ポータルデスクトップのホームページを表示します。認証。権利の付与。個人情報。 

トリガー 

ポータルページがアクセスされときに、エンドユーザーがまだログインしていない場合。 

説明 

  1. エンドユーザーがポータル URL を入力します。

  2. カスタマイズパラメータ [remember login] を設定した場合、ユーザーを自動的にログインさせ、セッション ID を提供します。

  3. 初めてのユーザーの場合、LDAP ユーザー ID とパスワードの入力を要求します。

  4. エンドユーザーは、事前に割り当てられたユーザー ID とパスワードを入力します。

  5. 情報は検証のために Access Manager に渡されます。

  6. 認証に成功した場合、セッション ID を割り当て、続行します。

  7. 認証に失敗した場合、エラーメッセージを表示してエンドユーザーをログインページに戻し、残りの試行回数を減分します。事前に設定された試行回数の制限を超えた場合、ユーザーに通知してアカウントをロックアウトします。