Sun Java System Portal Server 7.1 配備計画ガイド

ノーシングルポイント障害

Portal Server は、ノーシングルポイント障害 (NSPOF) シナリオを基本機能としてサポートしています。NSPOF は、ベストエフォートシナリオをベースにし、それに加えてレプリケーションとロードバランスを採り入れています。

図 4–6 は、Portal Server インスタンス、プロファイルの読み込みのための Directory Server レプリカ、および検索エンジンのデータベースから構成されている構築モジュールを示しています。そのため、NSPOF を実現するには少なくとも 2 つの構築モジュールが必要であり、それによって構築モジュールのどちらかに障害が発生した場合のバックアップを提供します。これらの構築モジュールは、4 CPU × 8G バイト RAM で構成されます。

図 4–6 ノーシングルポイント障害の例

この図は、Portal Server インスタンス、Directory Server レプリカ、および検索エンジンで構成される 2 つの構築モジュールを示しています。

ロードバランサが Portal Server の障害を検出すると、ユーザーの要求をバックアップ構築モジュールにリダイレクトします。障害検出の正確さは、ロードバランス製品によって異なります。一部の製品は、サーバーのいくつかの機能領域に関係するサービス、たとえばサーブレットエンジンや JVM を検索することによってシステムの可用性を確認できます。特に、Resonate、Cisco、Alteon、およびその他のほとんどのベンダーソリューションを使用する場合は、ユーザーがサーバーの可用性のためのスクリプトを任意に作成できます。ロードバランサは Portal Server ソフトウェアの一部ではないので、サードパーティーベンダーから個別に入手する必要があります。


注 –

Access Manager は、セッション固定を実施するためにロードバランス を設定することを要求します。これは、特定のインスタンスに対するセッションを確立すると、ロードバランサはそのセッションのために常に同じインスタンスに戻る必要があります。ロードバランサは、セッション cookie にインスタンスの識別名をバインドすることによってこれを実現します。原則としては、障害が発生したインスタンスを終了したときに、そのバインドは再設定されます。セッション固定は、パフォーマンス上の理由からも推奨します。


マルチマスターレプリケーション (Multi-master replication、MMR) は、構築モジュール間で行われます。各ディレクトリで発生する変更は他のディレクトリにレプリケートされます。つまり、各ディレクトリがサプライヤとコンシューマの両方の役割を果たします。MMR の詳細については、『Sun Java System Directory Server 配備計画ガイド』を参照してください。


注 –

一般に、各構築モジュール内の Directory Server インスタンスは、ほかの場所で実行されるマスターディレクトリのレプリカとして構成されます。ただし、マスターディレクトリを構築モジュールの一部として使用するのを妨げるものはありません。専用ノードでマスターを使用しても、ソリューションの可用性は向上しません。専用マスターは、パフォーマンスのために使用します。


構築モジュール間でのコンシューマレプリケーションを伴う、管理コンソールまたはポータルデスクトップを使用したプロファイルの変更を常に維持できるように、冗長性もディレクトリマスターにとって同じように重要です。Portal Server と Access Manager は、MMR をサポートします。NSPOF シナリオは、マルチマスター構成を使用します。この構成では、2 つのサプライヤが更新を受け入れること、互いに同期をとること、またすべてのコンシューマを更新することが可能です。コンシューマは、更新要求を両方のマスターに任せることができます。

Secure Remote Access は、NSPOF を実現するために Portal Server と同様にレプリケーションとロードバランスを採用します。そのため、このシナリオでは 2 つの Secure Remote Access ゲートウェイとプロキシのペアが必要になります。Secure Remote Access ゲートウェイは、特定のタイムアウト値後、要求に対して Portal Server インスタンスが応答しない場合に、Portal Server インスタンスの障害を検出します。これが発生すると、HTTPS 要求はバックアップサーバーにルーティングされます。Secure Remote Access ゲートウェイは、最初の Portal Server インスタンスが再び稼働するまで定期的に可用性を確認します。

NSPOF の高可用性シナリオは、ビジネスクリティカルな配備に適しています。しかし、このシナリオの高可用性の制限の一部は、ミッションクリティカルな配備の要件を満たさない場合があります。