Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 アップグレードと移行

クラスタのアップグレード

Application Server のアップグレードツールは、クラスタの詳細情報をクラスタ設定ファイル clinstance.conf から取得します。Application Server 7.x に対して 2 つ以上のクラスタが定義されていた場合、アップグレード前に複数の .conf ファイルが存在している可能性があります。設定ファイルには任意の名前をつけることができますが、その拡張子は常に .conf になります。クラスタがアップグレードに含まれる場合、clinstance.conf ファイルの定義時に次の点を考慮してください。clinstance.conf ファイル内のインスタンス名は一意である必要があります。たとえば、Application Server 7.x において、マシン A 上に特定のクラスタに属する server1server2 が存在しているとします。また、マシン B 上にも、それと同じクラスタに属する server1 が存在しているとします。通常、clinstance.conf ファイルにはマシン A の server1server2、およびマシン B の server1 が含まれます。Application Server 8.1 では、クラスタ内のインスタンス名が一意である必要があります。このため、アップグレードする前に、clinstance.conf ファイル内のマシン B の名前 server1server3server1ofmachineB のような一意の名前に変更する必要があります。


注 –

マシン B 内の server1 インスタンス自体の名前を変更する必要はありません。変更する必要があるのは、clinstance.conf ファイル内のサーバー名だけです。


なお、クラスタ内のインスタンスは「同種」であることが期待されますが、それは、同種のリソースを備え、同一のアプリケーションが配備されている、という意味においてです。アップグレード処理を実行すると、マスターインスタンスとしてマークされたインスタンスが、設定転送用として選択されます。マスターインスタンスとしてマークされたインスタンスが存在しない場合は、インスタンスのうちの 1 つがランダムに選択され、それが設定転送用として使用されます。クラスタは、clinstance.conf ファイル内に定義されているインスタンスとともに、DAS 内で作成されます。このクラスタに属するインスタンスはすべて、cluster_name-config という名前の同一の設定を共有します。ここで、cluster_name は、最初のクラスタでは cluster_0、次のクラスタでは cluster_1、といった具合になります。クラスタ内の各インスタンスのシステムプロパティー内には、HTTP ポートと IIOP ポートが設定されます。HTTP ポートは、clinstance.conf ファイル内でインスタンスポートとして定義されていたポートになります。IIOP ポートは、server.xml ファイル内の iiop-cluster 設定から選択されます。

Application Server 8.x EE を Application Server 8.2 EE にアップグレードする場合は、アップグレードツールがソースインストール上のクラスタを (存在する場合は) 自動的に検出します。この場合、設定ファイルを指定する必要はありません。

ProcedureApplication Server 7.x EE からノードエージェントをアップグレードする

クラスタに属しているが、DAS が実行されていないマシン上で実行されるサーバーインスタンスは、<host-name>-<domain-name> と言う名前のノードエージェントを使用して作成されます。ここで、host-nameclinstance.conf ファイル内でその特定のインスタンス用に設定された名前であり、domain-name は、このクラスタが属するドメインの名前です。

DAS 上でのアップグレード処理が完了したら、クラスタ化されたインスタンスを実行する必要があるほかのマシン上に Application Server 8.2 をインストールします。

  1. install-dir/nodeagents/ の下にあるノードエージェントのディレクトリを、DAS マシンからクライアントマシンへコピーします。たとえば、DAS が HostA 上にインストールされており、クライアントマシンの名前が HostB である場合、アップグレード処理を実行すると、「HostB_ <domain_name>」という名前のノードエージェントが、HostB のノードエージェントとして作成されます。したがって、HostB_<domain_name>HostA<AS82_install_dir>/nodeagents/HostB_<domain_name> ディレクトリから HostB<AS82_install_dir>/nodeagents にコピーします。コピーし終わったら、そのコピーしたノードエージェントのディレクトリを HostA から削除します。

  2. DAS を起動します。

  3. HostB 上の HostB_<domain_name> という名前のノードエージェントを起動します。DAS およびリモートインスタンスとのランデブーを行うノードエージェントが HostB に作成され、配備されたアプリケーションがコピーされます。

ProcedureApplication Server 8.1 EE からノードエージェントをアップグレードする

インプレースアップグレードを実行する場合は、ノードエージェントをアップグレードする必要はありません。更新されたバイナリでも、同じノードエージェントディレクトリを使用できます。サイドバイサイドアップグレードを実行する場合は、次の手順を実行します。

  1. Application Server 8.2 EE をデフォルトノードエージェントとともに Machine B/opt/SUNWappserver8.2 にインストールします。

  2. Application Server 8.1 EE のインストール場所からサイドバイサイドアップグレードを実行します。

  3. machine A 上の DAS を参照するリモートインスタンスを含むノードエージェントがある Machine B 上に Application Server 8.2 EE をインストールします。Machine B にはノードエージェントのみをインストールしてください。

  4. アップグレード後、Machine A および Machine Bnodeagent.properties ファイルで、agent.adminPort プロパティーを確認します。このファイルには、domain.xml ファイルの該当する node-agent 要素内の jmx-connector ポートと同じ値を反映する必要があります。そうでない場合は、nodeagent.properties ファイルを適宜編集します。

  5. Machine A 上の DAS を起動します。

  6. Machine A 上のデフォルトノードエージェントを起動します。ノードエージェントが、instance1 というインスタンスとともに起動します。この手順のあとで、cluster1 クラスタが部分的に起動します。

  7. Machine B で、そのリモートインスタンスのデフォルトノードエージェントを起動します。

  8. asadmin のコマンド list-node-agents(1)list-clusters(1)list-instances(1) を実行することにより、アップグレードされた要素をチェックできます。