Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 パフォーマンスチューニングガイド

セキュリティー要件

ほとんどのビジネスアプリケーションにはセキュリティーが必要です。この節では、セキュリティー関連の考慮事項および決定事項について説明します。

ユーザーの認証と承認

アプリケーションのユーザーは認証を受ける必要があります。Application Server ではユーザー認証の方法として、ファイルベース、LDAP、および Solaris の 3 つの選択肢が用意されています。

デフォルトのファイルベースセキュリティーレルムは、新しいアプリケーションの開発およびテストが行われる開発者環境に適しています。サーバー管理者は配備時に、Lightweight Directory Access Protocol (LDAP) または Solaris セキュリティーレルムを選択できます。多くの大企業では、LDAP ベースのディレクトリサーバーを使用して、従業員や顧客のプロファイルを管理しています。まだディレクトリサーバーを利用していない中小企業では、Solaris セキュリティーインフラストラクチャーへの投資を活用すると有利な場合があります。

セキュリティーレルムの詳細は、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 管理ガイド』の第 9 章「セキュリティーの設定」を参照してください。

選択した認証機構のタイプによっては、配備へのハードウェア追加が必要になる場合があります。通常、ディレクトリサーバーは独立したサーバー上で実行され、レプリケーションや高可用性のためのバックアップサーバーが必要な場合もあります。配備、サイジング、および可用性のガイドラインは、Sun Java System Directory Server のマニュアルを参照してください。

認証されたユーザーによるアプリケーション機能へのアクセスには、承認チェックも必要な場合があります。アプリケーションでロールに基づく J2EE 承認チェックを使用する場合、アプリケーションサーバーが何らかの追加チェックを実行し、これによって追加のオーバーヘッドが発生します。容量計画を実施するときは、この追加のオーバーヘッドを考慮する必要があります。

暗号化

セキュリティー上の理由から、機密性のあるユーザー入力およびアプリケーション出力を暗号化する必要があります。ほとんどのビジネス指向 Web アプリケーションでは、ブラウザと Application Server の間の通信フローの全部または一部を暗号化します。オンラインショッピングアプリケーションでは、ユーザーが購入を完了するとき、または個人データを入力するときにトラフィックを暗号化します。ニュースやメディアなどのポータルアプリケーションでは、通常は暗号化を行いません。SSL (Secure Sockets Layer) はもっとも一般的なセキュリティーフレームワークであり、多くのブラウザおよびアプリケーションサーバーでサポートされています。

Application Server は SSL 2.0 および 3.0 をサポートし、各種の暗号化方式群のソフトウェアサポートが含まれています。また、パフォーマンスをさらに高めるためにハードウェア暗号化カードの統合もサポートしています。セキュリティー上の考慮事項によって、統合ソフトウェアの暗号化を使用している場合に特に影響を受けるのは、ハードウェアのサイジングおよび容量計画です。

配備の暗号化ニーズを評価するときは、次のことを考慮します。

Web サーバーと Application Server の間で通信を暗号化する方法の詳細は、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 管理ガイド』の第 9 章「セキュリティーの設定」を参照してください。