この章では、Java ES インストーラを使用してインストールした Sun JavaTM Enterprise System (Java ES) コンポーネントをアンインストールする方法について説明します。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
Java ES には、Java ES インストーラを使用してシステムにインストールした Java ES コンポーネントを削除するためのアンインストールプログラムが用意されています。
Java ES インストーラと同じく、アンインストーラは、グラフィカルまたはサイレントモードで実行できます。
アンインストーラによって削除されるのは、Java ES インストーラによってインストールされた Java ES コンポーネントだけです。Java ES インストーラを使用せずにインストールした Java ES コンポーネントの削除については、各 Java ES コンポーネントのマニュアルに記載されている操作手順を参照してください。
アンインストーラの実行は、Java ES コンポーネントがインストールされている個々のホストごとに行う必要があります。リモートアンインストールはサポートされていません。削除する Java ES コンポーネントを、ホストごとに 1 つまたは複数選択することができます。
アンインストーラによって、設定ファイルとユーザーデータファイルが削除される場合があります。これらのファイルはコンポーネントによって異なります。
アンインストールプロセスが完了したあとで、一部のファイルとディレクトリの削除が必要になる場合もあります。製品別の情報については、「Java ES コンポーネントのアンインストール動作の確認」を参照してください。
アンインストーラは、Java ES コンポーネントの依存関係をチェックし、依存が検出された場合は警告メッセージを出力します。ただし、そのチェック対象はアンインストーラが実行されているシステムだけです。
アンインストーラの動作は、インストールした Java ES コンポーネント、および各 Java ES コンポーネントの相互関係によって異なります。
アンインストーラは、同一ホストにインストールされている製品間の依存関係を認識します。アンインストールしようとするコンポーネントに依存しているコンポーネントが同一ホスト上にある場合、アンインストーラは警告を出力します。
たとえば、Portal Server がインストールされているホストから Access Manager をアンインストールしようとすると、Portal Server は Access Manager がないと機能できないことを、アンインストーラが警告します。
ほとんどの場合、ほかの Java ES コンポーネントから依存されていない Java ES コンポーネントはアンインストールできます。
たとえば、Portal Server は Access Manager に依存していますが、Access Manager は Portal Server に依存していません。Portal Server をアンインストールしようとした場合、Access Manager は Portal Server がなくても機能できるため、アンインストーラは警告を発行しません。
Java ES コンポーネントをアンインストールするときは、どの製品がその Java ES コンポーネントをサポートするように設定されているかを調べ、必要であれば追加の設定を行います。必要な追加設定を行わない場合、存在しなくなった製品をサポートするように設定された Java ES コンポーネントがシステムに残されることになります。
アンインストーラは、次の相互依存関係を認識しません。
リモートホストからの依存関係
設定による依存関係
Java ES コンポーネントの依存関係のなかには、リモートホストに配備された Java ES コンポーネントによって解決できるものもあります。アンインストーラはこのような依存関係を認識しません。
たとえば、Directory Server をアンインストールする場合、アンインストーラは、Access Manager が Directory Server に依存することを、両製品が同じホスト上に配備されている場合でも警告しません。これは、別のホスト上の別の Directory Server インスタンスが Access Manager をサポートする「可能性がある」からです。
アンインストーラは、インストール後の設定によって生じる Java ES コンポーネント間の依存関係を認識しません。
次の表は、アンインストールの前に必要なタスクを示しています。タスクによっては、ご使用の環境に適用されない場合もあります。
左の列には作業の実行順序が、右の列にはその他の有用情報や手順の参照先が、それぞれ記載されています。
表 7–1 チェックリスト
作業の説明 |
便利な情報または参照先 |
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1. アンインストールする各 Java ES コンポーネントの要求や動作を確認します。 | |
2. 設定によって生じるコンポーネント間の依存関係を調べ、データのバックアップ、依存 Java ES コンポーネントの設定変更による依存関係の解消、適切な順序での Java ES コンポーネントのアンインストールなど、適切な対応をとります。 | |
3. 以後のインストールでデータの再利用を考えている場合は、アンインストールする Java ES コンポーネントの設定データまたはユーザーデータをバックアップまたはアーカイブします。 | |
4. 設定ディレクトリをホストする Directory Server インスタンスが稼働していることを確認します。注: ほとんどの場合、Web コンテナと Directory Server は稼働させておきますが、その他のサーバーはアンインストール前にシャットダウンします。 |
アンインストールする Java ES コンポーネントの設定をアンインストーラが正しく解除するには、この Directory Server インスタンスが稼働している必要があります。 |
以下の中から関係のある表を調べて、アンインストーラが各 Java ES コンポーネントに対して行う内容を確認してください。さらに、作業手順の計画を立てて、データが紛失したり相互依存関係が消失したりすることがないようにします。
ここで説明する内容は、次のとおりです。
トピック |
詳細 |
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設定データ |
Directory Server のエントリは、Access Manager 固有のデータを含め、何も削除されません。 |
このコンポーネントに必要なその他のアンインストール |
Directory Server Web コンテナ |
このインストールを必要とする製品 |
Portal Server (Access Manager SDK と同じホスト上に存在する必要がある) |
アンインストール前の作業 |
なし |
アンインストール後の作業 |
アンインストールによって、Web Server または Application Server 上でのみ、Access Manager のインストール設定すべてが Web コンテナから解除されます。 |
トピック |
詳細 |
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設定データとユーザーデータ |
|
依存関係 |
同一システム上に Message Queue が必要です。 |
このインストールを必要とする製品 |
Application Server を Web コンテナとして使用するように設定されたコンポーネント: Access Manager、Portal Server。 |
アンインストール前の作業 |
設定データを保存するために、管理ドメインディレクトリのコピーを作成します。 |
アンインストール後の作業 |
システムから Application Server を完全に削除するために、残っている Application Server のログファイルとディレクトリを削除します。Application Server のディレクトリのデフォルトの場所は、\JavaES-Install-Dir\appserver です。 Message Queue のアンインストール後の作業については、「Message Queue のアンインストール動作」を参照してください。 |
トピック |
詳細 |
---|---|
設定データ |
ユーザーデータはアンインストール後も残ります。ただし、このデータは再インストールの前に削除されます。 |
依存関係 |
なし |
このインストールを必要とするその他の製品 |
なし |
アンインストール前の作業 |
なし |
アンインストール後の作業 |
なし |
トピック |
詳細 |
---|---|
設定データとユーザーデータ |
|
このコンポーネントに必要なその他のアンインストール |
|
このインストールを必要とする製品 |
なし |
アンインストール前の作業 |
Directory Server と Web コンテナが動作していることを確認します。 |
アンインストール後の作業 |
Portal Server が Web Server 内で実行されており、Portal Server だけを削除する場合、Access Manager を再起動する必要があります。詳しくは、「Access Manager のアンインストール動作」を参照してください。 |
Portal Server Secure Remote Access が設定されている場合は、まず psadmin コマンドを使用して、Portal Server Secure Remote Access のコンポーネントを手動でアンインストールします。
Portal Server Secure Remote Access インスタンスを停止します。
stop-sra-instance --adminuser userid --passwordfile password-filename --name sra-instance-name --type instance-type --hostname instance-hostname
Portal Server Secure Remote Access インスタンスを削除します。
psadmin delete-sra-instance --adminuser userid --passwordfile password-filename --name sra-instance-name --type instance-type --hostname instance-hostname
設定済みの Portal Server Secure Remote Access コンポーネントは、アンインストーラによってアンインストールされません。設定された Portal Server Secure Remote Access コンポーネントを手動でアンインストールする必要があるのは、このためです。アンインストールを行わないと、同じホストへの後続のインストールでインストール関連の問題が発生する原因になります。
トピック |
詳細 |
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設定データ |
レジストリ設定プロセスは、レジストリデータベースドメインおよびサーバーキーストアを JavaES-install-dir ディレクトリ内にインストールします。 このディレクトリは、Service Registry をアンインストールしても削除されません。この安全メカニズムにより、将来のインストールまたはリリースで使用するために、必要に応じてデータベースを残しておくことができます。 |
このコンポーネントに必要なその他のインストール |
Application Server (ドメイン管理サーバーとコマンド行管理ツール) HADB Message Queue |
このインストールを必要とする製品 |
なし |
アンインストール前の作業 |
1. 次のコマンドを使って、Service Registry ドメインを停止します。 JavaES-install-dir\share\ant\bin\ant.bat -f build-install.xml appserver.domain.stop 2. 次のコマンドを使って、Service Registry ドメインを削除します。 JavaES-install-dir\share\ant\bin\ant.bat -f build-install.xml appserver.domain.delete レジストリデータベースを将来の使用のために保存しておく場合は、レジストリを再インストールする前に、ServiceRegistry-base ディレクトリを別の場所にコピーします。 |
アンインストール後の作業 |
場合によっては、アンインストーラではインストールファイルの一部またはすべてが削除されないことがあります。最終的なクリーンアップを行うには、ServiceRegistry-base ディレクトリとその内容を削除します。 Service Registry データベース、ドメイン、およびキーストアが格納されたディレクトリは、レジストリのアンインストール時に削除されません。 必要であれば、このディレクトリを手動で削除してもかまいません。ただし、このデータベースを保存しておき、将来のインストール時やリリース時に使用するには、レジストリの再インストール前にそれらのディレクトリを別の場所にコピーし、再インストール後にそれを元の場所にコピーして戻します。 データベースとキーストアファイルの復元後、プラットフォーム固有のバリアントを使用して次のコマンドを実行します。 JavaES-install-dir\share\ant\bin\ant.bat -f build-install.xml appserver.domain.stop export.registryOperatorCert install.cacerts appserver.domain.start |
トピック |
詳細 |
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設定データ |
インストール場所の下にある alias ディレクトリ内の証明書データベースファイルのみが維持されます。その他のファイルはすべて削除されます。 |
依存関係 |
Directory Server (省略可能。外部 LDAP アクセス制御が選択された場合) |
アンインストール前の作業 |
Web Proxy Server のすべてのインスタンスを停止します。 |
アンインストール後の作業 |
WebProxyServer-base\alias ディレクトリの下に証明書データベースが保存されています。再インストールを実行する前に、この証明書データベースを移動し、古いインストールディレクトリを削除する必要があります。 |
「前提条件の確認」の関連作業が完了すると、アンインストールプログラムを実行する準備が整います。
「Start」、「Settings」、「Control Panel」の順に選択します。
「プログラムの追加と削除」をダブルクリックします。
「Sun Java Enterprise Systems」を選択します。
「変更と削除」をクリックします。
プログラムを変更または削除するための「ようこそ」ページが表示されます。
InstallShield ウィザードで、新しいプログラム機能を追加する、または現在インストールされている機能を削除するために「変更」を選択します。
「次へ」をクリックします。
コンポーネント選択ページが表示されます。
コンポーネントを確認します。
インストールするコンポーネントを選択し、アンインストールするコンポーネントの選択を解除します。「次へ」をクリックします。
アンインストールプログラムにより、ソフトウェアが変更されます。
InstallShield ウィザードで「削除」を選択します。
「次へ」をクリックします。
確認ダイアログボックスが表示されます。
「はい」をクリックして削除を確認します。
「セットアップステータス」ページが表示され、次に「設定解除」ダイアログボックスが表示されます。
「はい」をクリックして Java ES コンポーネントの設定解除を確認します。
これらの製品が設定解除されたあと、サーバーが停止され、削除されます。
ウィザードの「完了」ページが表示されます。「サマリーの表示」ボタンをクリックすると、インストールまたはアンインストールの詳細事項のサマリーを表示できます。
「完了」をクリックして、アンインストールウィザードを終了します。
サイレントアンインストールは、設定内容が似ている複数のホスト上の Java ES コンポーネントをアンインストールする場合に便利です。サイレントモードでのアンインストール手順は、第 4 章「サイレントモードでのインストール」で説明したサイレントモードでのインストール手順に似ています。
インストーラが存在するディレクトリに移動します。
cd JavaES-install-dir
Setup.bat /r コマンドを使用して、応答ファイルを作成します。
応答ファイルを作成する場所と応答ファイルの名前を指定するには、/f1 オプションを使用します。予期しない結果を回避するため、.iss 拡張子を持つファイルの絶対パスを指定してください。たとえば、次のように入力します。
Setup.bat /r /f1"C:\Temp\UninstallExample.iss "
入力したデータと選択したオプションがすべて、.iss ファイルに記録されます。
以上で、レコードのアンインストール中に選択したオプションで応答ファイルを使用する準備が整いました。記録したオプションを変更するために、この応答ファイルを手動で編集することもできます。
これで、応答ファイルを使用して、サイレントアンインストールを開始できます。
インストーラが存在するディレクトリに移動します。
cd JavaES-install-dir
Setup.bat /s コマンドを入力して、サイレントモードでのアンインストール手順を開始します。
.iss ファイルの場所を指定するには、/f1 オプションを使用します。予期しない結果を回避するために、絶対パスを指定します。たとえば、次のように入力します。
Setup.bat /s /f1"C:\Temp\UninstallExample.iss" .
(省略可能) ログファイルの別の名前と場所を指定するには、/f2 オプションを使用します。予期しない結果を回避するために、ファイルの絶対パスを指定します。たとえば、次のように入力します。
Setup.bat /s /f1"C:\Temp\UninstallExample.iss /f2" C:\Setup.log"
アンインストーラの実行中、インストールログの変化に注意することによって、進行状況を監視することができます。
Java ES Reporter は Java ES インストーラによって管理されるコンポーネントではないため、アンインストーラを使用してレポータを削除することはできません。
レポータを無効にします。
「Java ES レポータのインストール後の設定」で説明している手順に従います。
管理者として次のファイルを削除します。
commons-codec-1.3.jar
commons-httpcclient-3.0.jarc
mfwk_reporter.jar
config.properties
job_measurement_reporter
com.sun.mjwk.reporter
config_state.properties