サイレントインストールは、類似した設定を共有する複数のホストに Sun JavaTM Enterprise System (Java ES) をインストールするために使用される、対話処理のないインストールモードです。この章では、サイレントモードを使用して Sun Java Enterprise System ソフトウェアをインストールする方法について説明します。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
サイレントインストールを実行するには、まずインストールセッションを記録して、サイレントインストールプロセスで使用する応答ファイルを作成します。ユーザーの応答は、応答ファイル内でそれぞれが 1 つのプロンプトまたはフィールドに対応する、パラメータ群の一覧として保持されます。入力として応答ファイルを使用すると、多数のホストでインストーラを実行できます。このプロセスにより、企業内の複数のホストに設定を伝達することができます。
応答ファイルの内容に基づいてサイレントモードでインストールを実行するには、/s 引数を付けて Setup.bat を実行します。デフォルトでは、Setup.bat は、Setup.bat と同じディレクトリ内で Setup.iss という名前の応答ファイルを探します。/f1 引数を使用すると、別の名前と場所の応答ファイルを指定できます。
サイレントインストールプログラムでは、エラーが発生してもダイアログボックスは表示されません。状態情報は、Setup.log ファイルに記録されます。デフォルトでは、このログファイルは、使用されている応答ファイルと同じディレクトリに作成されます。Setup.bat コマンドに /f2 引数を使用すると、ログファイルに別の名前と場所を指定できます。
インストール計画を作成します。
非互換性についてシステムを調査します。詳しくは、「一般的なインストール前提条件の確認」を参照してください。
インストーラを実行して、応答ファイルを生成します。
詳しくは、「応答ファイルの作成」を参照してください。
編集する前に、応答ファイルのコピーを作成します。
対象システムに合わせて応答ファイルの値を編集します。
詳しくは、「応答ファイルの編集」を参照してください。
応答ファイルを指定して、インストーラを実行します。
詳しくは、「サイレントモードでのインストーラの実行」を参照してください。
応答ファイルを作成するには、レコードを入力するために、最初にインストーラを実行します。インストーラが生成する応答ファイルを使用することで、リアルタイムでの依存性チェックとエラーレポートの機能を活用できます。
応答ファイルの形式は .ini ファイルに似ていますが、応答ファイルの拡張子は .iss です。応答ファイルは、データエントリが埋め込まれた複数のセクションで構成されている、プレーンテキストファイルです。デフォルトでは、Setup.iss という名前の応答ファイルが Windows System フォルダ内に作成されます。
インストーラの使用経験が豊富な場合、応答ファイルを手作業で作成することに慣れているかもしれません。しかし、この方法では、インストール時、設定時、またはサーバーの起動時に問題が発生する恐れがあります。
コマンドプロンプトで、インストーラが格納されているディレクトリに移動します。
cd JavaES-install-dir
Setup.bat /r コマンドを使用して、デフォルトの場所、システムの Windows フォルダ、指定した場所のいずれかに応答ファイルを作成します。
応答ファイルを作成する場所と応答ファイルの名前を指定するには、/f1 オプションを使用します。予期しない結果を回避するため、.iss 拡張子を持つファイルの絶対パスを指定します。たとえば、次のように入力します。
Setup.bat /r /f1"C:\Temp\example.iss"
インストールを開始するには、\Windows\setup.exe ではなく、\Setup.bat を実行してください。
サイレントインストーラで実行する処理に合わせて情報を入力しながら、インストールを続行します。
入力したデータ型と選択したオプションはすべて、.iss ファイルに記録されます。
インストール処理の最後に応答ファイルが生成されます。
応答ファイルを生成したあとでも、その応答ファイルを編集して、ローカルパラメータを変更することができます。変更できるパラメータには、管理者ユーザー ID、管理者パスワード、パスワード再入力などがあります。
応答ファイルを編集する場合は、次のガイドラインに従ってください。
値を編集する以外は、パラメータを変更しないでください。
値が指定されていない場合でも、パラメータを削除しないでください。
パラメータを追加しないでください。
パラメータの順序を変更しないでください。
元のタイプと形式に注意し、新しい値を入力するときはそれに従ってください。
削除する値の代わりに、ほかの値を入力します。パラメータが必須の場合、そのパラメータが削除されているとインストールまたは設定に失敗する可能性があります。
コンポーネントを追加するには、SunJavaES-count= (total) と SunJavaES-(count number)=SunJavaES\... の両方を変更します。次に例を示します。
元のデータ:
SunJavaES-count=2 SunJavaES-0=SunJavaES\MessageQueue SunJavaES-1=SunJavaES\DirectoryServer
変更後のデータ:
SunJavaES-count=3 SunJavaES-0=SunJavaES\MessageQueue SunJavaES-1=SunJavaES\DirectoryServer SunJavaES-2=SunJavaES\WebServer
応答ファイルの詳細については、付録 C 「応答ファイルの例: サイレントインストール」を参照してください。
サブコンポーネントを追加するには、合計カウントとカウント数の両方を変更します。サブコンポーネントは、メインコンポーネントのあとに追加されます。次に例を示します。
SunJavaES-3=SunJavaES\AccessManager\AMAdministrationConsole
応答ファイルには、SdWelcome ダイアログボックスに対応するセクションもあります。次に例を示します。
[{311E6252-893E-4445-B865-94DAFF5C500C}-SdWelcome-0] Result=1
セクションヘッダー [{311E6252-893E-4445-B865-94DAFF5C500C}-SdWelcome-0] は、このデータが、ProductCode (および PRODUCT_GUID) 値が {311E6252-893E-4445-B865-94DAFF5C500C} であるコンポーネントの SdWelcome ダイアログボックスに関係することを示します。
ヘッダーの末尾にある -0 は、これが SdWelcome への最初の呼び出しであることを示しています。インストール中に 2 番目の SdWelcome ダイアログボックスが表示された場合、ヘッダーの末尾は -1 となります。
Result=1 は、SdWelcome 関数からの戻り値を示しています。戻り値 1 は、「次へ」ボタンをクリックしたことを示しています。
SdSetupType ダイアログボックスでは、Quick_Configure が「インストール中に自動的に設定」を、Configure_Later が「インストール後に手動で設定」を指定します。
サイレントモードでインストールを実行するには、あらかじめ記録された応答ファイルが必要です。詳しくは、「応答ファイルの作成」を参照してください。応答ファイルを生成したホストと同じオペレーティングシステムが動作しているホスト上で、インストーラを実行します。
コマンドプロンプトで、インストーラが格納されているディレクトリに移動します。
cd JavaES-install-dir
Setup.bat /s コマンドを使用して、サイレントモードでのインストール手順を開始します。
デフォルトでは、Setup.iss ファイルは Windows System フォルダ内に作成されます。Setup.bat /s でサイレントインストールを開始する前に、このファイルを Windows System フォルダから Setup.bat が存在するフォルダにコピーする必要があります。そうしないと、コマンドからセットアップの -3 エラーが返されます。
.iss ファイルの場所を指定するには、/f1 オプションを使用します。予期しない結果を回避するために、絶対パスを指定します。たとえば、次のように入力します。
Setup.bat /s /f1"C:\Temp\example.iss"
(省略可能) ログファイルにデフォルト以外の場所とファイル名を指定するには、Setup.bat /s に /f2 オプションを付けます。予期しない結果を回避するために、ファイルの絶対パスを指定します。たとえば、次のように入力します。
Setup.bat /s /f1"C:\Temp\UninstallExample.iss /f2"C:\Setup.log"
インストールしようとしているコンポーネントの数とタイプによっては、時間がかかる場合があります。インストーラの実行中、インストールログの変化に注意することによって、進行状況を監視することができます。
Setup.log は、/s 引数を付けて Setup.bat コマンドを実行した場合に生成されるサイレントインストールログファイルのデフォルトの名前です。Setup.log ファイルには、次の 3 つのセクションがあります。
Install Shield Silent: このセクションは、このファイルがログファイルであることを明確にするとともに、サイレントセットアップで使用される Install Shield Silent のバージョン情報を示します。
Application: このセクションは、インストールされたアプリケーションの名前とバージョン、および会社名を明示します。
Response Result: このセクションには、サイレントセットアップが成功したかどうかを示す結果コードが含まれています。Response Result セクション内の ResultCode キー名には、整数値が割り当てられます。
Install Shield によって、ResultCode キーには次のいずれかの戻り値が設定されます。
ResultCode の説明
成功
一般的なエラー
モードが無効である
Setup.iss ファイル内に必要なデータが見つからない
使用可能なメモリーが不足している
ファイルが存在しない
応答ファイルに書き込めない
ログファイルに書き込めない
Install Shield Silent (.iss) 応答ファイルへのパスが無効である
一覧の型 (文字列または数値) が無効である
データ型が無効である
セットアップ中に不明なエラーが発生した
ダイアログボックスの順序が違う
指定されたフォルダを作成できない
指定されたファイルまたはフォルダにアクセスできない
選択したオプションが無効である
サイレントインストールに成功すると、ログファイルは次のようになります。
[ResponseResult] ResultCode=0
サイレントインストールが完了したら、第 5 章「インストール後の設定の実行」に進み、コンポーネントの設定に関する説明に従います。インストール時に拡張設定を実行した場合でも、ほとんどのコンポーネントで追加設定が必要です。
ほかのどの作業に進む場合でも、インストール後の設定に関する要件をよく確認しておいてください。