Logical Domains 構成とは、単一システム内でのすべてのドメインとそのリソース割り当てをすべて記述したものです。構成は、サービスプロセッサ (SP) に保存および格納し、あとで使用することができます。
システムに電源を投入すると、SP は選択された構成を起動します。特定の構成を起動することで、システムは、同じドメインセットを実行し、その構成に指定されている同じ仮想化およびリソース割り当てのパーティション分割を使用します。デフォルトの構成は、最後に保存された構成です。
Logical Domains 1.2 リリース以降は、Logical Domains 構成が変更された場合は常に、現在の構成のコピーが制御ドメインに自動的に保存されます。
次の状況でも、自動保存処理はただちに行われます。
新しい構成が、SP に明示的に保存されていない場合
実際の構成の変更が、影響を受けるドメインの再起動時まで行われない場合
SP に保存されている構成が失われた場合、この自動保存処理によって構成を回復できます。また、システムの電源再投入時に現在の構成が SP に明示的に保存されなかった場合も、この処理によって構成を回復できます。このような場合、現在の構成が次回の起動時用としてマークされている構成よりも新しければ、Logical Domains Manager は再起動時にこの構成を回復できます。
電源管理、FMA、ASR、および PRI 更新イベントでは、自動保存ファイルは更新されません。
自動保存ファイルは、自動または手動で新規または既存の構成に復元できます。デフォルトでは、自動保存構成が、対応する実行中の構成よりも新しい場合、メッセージが LDoms ログに書き込まれます。したがって、ldm add-spconfig -r コマンドを使用して既存の構成を手動で更新するか、または自動保存データに基づいて新しい構成を作成する必要があります。
遅延再構成が保留中の場合、構成の変更はただちに自動保存されます。そのため、ldm list-config -r コマンドを実行すると、自動保存構成は、現在の構成より新しいものとして表示されます。
ldm *-spconfig コマンドを使用して構成を管理する方法と、自動保存ファイルを手動で回復する方法については、ldm(1M) マニュアルページを参照してください。
起動する構成を選択する方法については、「LDoms とサービスプロセッサの使用」を参照してください。
自動回復ポリシーには、制御ドメインに自動的に保存された 1 つの構成が対応する実行中の構成よりも新しい場合に、構成の回復を処理する方法を指定します。自動回復ポリシーを指定するには、ldmd SMF サービスの autorecovery_policy プロパティーを設定します。autorecovery_policy プロパティーには次の値を使用できます。
autorecovery_policy=1 – 自動保存構成が、対応する実行中の構成よりも新しい場合に、警告メッセージをログに記録します。これらのメッセージは、ldmd SMF ログファイルに記録されます。ユーザーは、構成の回復を手動で実行する必要があります。これはデフォルトのポリシーです。
autorecovery_policy=2 – 自動保存構成が、対応する実行中の構成よりも新しい場合に、通知メッセージを表示します。この通知メッセージは、Logical Domains Manager の毎回の再起動後にはじめて ldm コマンドが実行されるときに、ldm コマンドの出力結果中に出力されます。ユーザーは、構成の回復を手動で実行する必要があります。
autorecovery_policy=3 – 自動保存構成が、対応する実行中の構成よりも新しい場合に、構成を自動的に更新します。この処理は、次回の電源の再投入時に使用される SP 構成を上書きします。この構成は、制御ドメインに保存されている、より新しい構成で更新されます。この処理は、現在実行中の構成には影響を与えません。次回の電源再投入時に使用される構成にのみ影響を与えます。メッセージもログに記録されます。このメッセージには、より新しい構成が SP に保存され、次回のシステム電源の再投入時にはその構成が起動されるということが示されます。これらのメッセージは、ldmd SMF ログファイルに記録されます。
制御ドメインにログインします。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を取得します。
役割には、承認および特権付きコマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」 を参照してください。
autorecovery_policy プロパティー値を表示します。
# svccfg -s ldmd listprop ldmd/autorecovery_policy |
ldmd サービスを停止します。
# svcadm disable ldmd |
autorecovery_policy プロパティー値を変更します。
# svccfg -s ldmd setprop ldmd/autorecovery_policy=value |
たとえば、自動回復を実行するようにポリシーを設定するには、プロパティー値を 3 に設定します。
# svccfg -s ldmd setprop ldmd/autorecovery_policy=3 |
ldmd サービスを更新して再起動します。
# svcadm refresh ldmd # svcadm enable ldmd |
次の例は、autorecovery_policy プロパティーの現在の値を表示し、その値を新しい値に変更する方法を示しています。このプロパティーの元の値は 1 です。この場合、自動保存の変更はログに記録されます。ldmd サービスの停止および再起動には svcadm コマンド、プロパティー値の表示および設定には svccfg コマンドが使用されます。
# svccfg -s ldmd listprop ldmd/autorecovery_policy ldmd/autorecovery_policy integer 1 # svcadm disable ldmd # svccfg -s ldmd setprop ldmd/autorecovery_policy=3 # svcadm refresh ldmd # svcadm enable ldmd |