Logical Domains Physical-to-Virtual (P2V) 移行ツールは、既存の物理システムを、チップマルチスレッディング (CMT) システム上の論理ドメインで動作する仮想システムに自動的に変換します。ソースシステムは、次のいずれかにすることができます。
Solaris 8 以降のオペレーティングシステムが動作する sun4u SPARC システム
Solaris 10 OS が動作するが、論理ドメインでは動作していない sun4v システム
物理システムから仮想システムへの変換は、次のフェーズで実行されます。
収集フェーズ。物理ソースシステムで実行されます。collect は、ソースシステムに関して収集した構成情報に基づいて、ソースシステムのファイルシステムイメージを作成します。
準備フェーズ。ターゲットシステムの制御ドメインで実行されます。prepare は、collect フェーズで収集された構成情報に基づいて、ターゲットシステムに論理ドメインを作成します。ファイルシステムイメージは、1 つ以上の仮想ディスクに復元されます。このイメージは、論理ドメインとして動作できるように変更されます。
変換フェーズ。ターゲットシステムの制御ドメインで実行されます。convert フェーズでは、Solaris の標準アップグレード処理を使用して、作成された論理ドメインが Solaris 10 OS で動作する論理ドメインに変換されます。
P2V 移行ツールの詳細は、ldmp2v(1M) マニュアルページを参照してください。
次の節からは、物理システムから仮想システムへの変換が各フェーズで実行される方法について説明します。
このフェーズは、変換するシステムで実行されます。一貫性のあるファイルシステムイメージを作成するには、システムの動作を最小限に抑えて、すべてのアプリケーションを停止する必要があります。ldmp2v は、マウント済みのすべての UFS ファイルシステムのバックアップを作成します。したがって、論理ドメインに移行するすべてのファイルシステムがマウントされていることを確認してください。-x を使用すると、マウント済みのファイルシステムを除外できます。
ソースシステムでの変更は不要です。唯一必要なのは、制御ドメインにインストールされた ldmp2v スクリプトです。使用するように選択したアーカイブ方式に応じて、ufsdump または flarcreate ユーティリティーがソースシステムに存在していることを確認してください。
準備フェーズでは、収集フェーズで収集されたデータを使用して、ソースシステムに相当する論理ドメインを作成します。
次のいずれかの方法で ldmp2v prepare コマンドを使用できます。
自動モード。仮想ディスクを自動的に作成し、ファイルシステムデータを復元します。
ソースシステム上にあるものと同じサイズで、論理ドメインと必要な仮想ディスクを作成します。
ディスクをパーティションに分割し、ファイルシステムを復元します。
/、/usr、および /var ファイルシステムの合計サイズが 10G バイト未満の場合、これらのファイルシステムのサイズは、Solaris 10 OS の、より大きなディスク容量要件を満たすように自動的に調整されます。-x no-auto-adjust-fs オプションを使用するか、-m オプションを使用してファイルシステムのサイズを手動で変更することで、自動サイズ変更を無効にできます。
論理ドメインの OS イメージを変更して、物理ハードウェアへのすべての参照を、論理ドメインに適したバージョンに置き換えます。これにより、Solaris の通常のアップグレード処理を使用して、システムを Solaris 10 OS にアップグレードできます。変更には、/etc/vfstab ファイルを更新して新しいディスク名を記述することが含まれます。この処理中に、SVM ミラー化ディスクのカプセル化は解除されます。
非自動モード。ユーザーが、仮想ディスクを作成してファイルシステムデータを復元する必要があります。 これにより、ディスクのサイズと数、パーティションの分割、およびファイルシステムのレイアウトを変更できます。このモードの準備フェーズでは、guest-root をルートに持つファイルシステムでの論理ドメインの作成と OS イメージの変更のみが実行されます。
クリーンアップモード。ldmp2v で作成された論理ドメインと、その配下にあるすべてのバックエンドデバイスを削除します。
変換フェーズでは、Solaris のアップグレード処理を使用して論理ドメインが Solaris 10 OS にアップグレードされます。アップグレード処理は、既存のすべてのパッケージを削除し、Solaris 10 sun4v パッケージをインストールします。これにより、sun4u から sun4v への変換は自動的に実行されます。convert フェーズでは、Solaris DVD ISO イメージまたはネットワークインストールイメージを使用できます。Custom JumpStart を使用して、完全に自動化された、操作不要のアップグレード処理を実行することもできます。