Logical Domains 1.3 管理ガイド

Logical Domains 仮想ネットワークでのリンクベースの IPMP の使用

Logical Domains 1.3 では、仮想ネットワークおよび仮想スイッチデバイスがネットワークスタックへのリンクステータスの更新をサポートします。デフォルトでは、仮想ネットワークデバイスはその仮想リンク (仮想スイッチへの LDC) のステータスをレポートします。この設定はデフォルトで有効になり、追加構成手順を実行する必要はありません。

場合によっては、物理ネットワークのリンクステータスの変更を検出する必要があります。たとえば、物理デバイスが仮想スイッチに割り当てられている場合、仮想ネットワークデバイスからその仮想スイッチデバイスへのリンクが動作していても、サービスドメインから外部ネットワークへの物理ネットワークリンクは停止している可能性があります。このような場合、物理リンクステータスを取得して仮想ネットワークデバイスとそのスタックにレポートする必要がある可能性があります。

linkprop=phys-state オプションを使用すると、仮想ネットワークデバイスおよび仮想スイッチデバイスに対して物理リンクステータスの追跡を構成できます。このオプションを有効にすると、仮想デバイス (仮想ネットワークまたは仮想スイッチ) が、ドメインでインタフェースとして plumb されている間、物理リンクステータスに基づいてリンクステータスをレポートします。dladmifconfig などの、Solaris の標準ネットワーク管理コマンドを使用して、リンクステータスを確認できます。dladm(1M) および ifconfig(1M) マニュアルページを参照してください。また、リンクステータスは /var/adm/messages ファイルにも記録されます。


注 –

1 つの Logical Domains システムで、リンクステータスを認識しないものとリンクステータスを認識するものの両方の vnet および vsw ドライバを同時に実行できます。ただし、リンクベースの IPMP を構成する場合、リンクステータスを認識するドライバをインストールする必要があります。物理リンクステータスの更新を有効にする場合、vnet および vsw の両方のドライバを Solaris 10 10/09 OS にアップグレードして、Logical Domains Manager の Version 1.3 以上を実行します。


Procedure物理リンクステータスの更新を構成する

この手順では、仮想ネットワークデバイスで物理リンクステータスの更新を有効にする方法を示します。

同様の手順に従い、ldm add-vsw および ldm set-vsw コマンドに linkprop=phys-state オプションを指定することで、仮想スイッチデバイスで物理リンクステータスの更新を有効にすることもできます。


注 –

linkprop=phys-state オプションは、仮想スイッチデバイス自体がインタフェースとして plumb されている場合にのみ使用する必要があります。linkprop=phys-state が指定され、物理リンクが停止している場合、仮想スイッチへの接続が有効であっても、仮想ネットワークデバイスはリンクステータスを停止状態とレポートします。この状況が発生するのは、Solaris OS は現在、仮想リンクステータスと物理リンクステータスなど、2 つの異なるリンクステータスをレポートするインタフェースを備えていないためです。


  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を取得します。

    役割には、承認および特権付きコマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」 を参照してください。

  2. 仮想デバイスで物理リンクステータスの更新を有効にします。

    仮想ネットワークデバイスで物理リンクステータスの更新を有効にするには、次の手順に従います。

    • ldm add-vnet コマンド実行時に linkprop=phys-state を指定し、仮想ネットワークデバイスを作成します。

      linkprop=phys-state オプションを指定すると、仮想ネットワークデバイスが物理リンクステータスの更新を取得してスタックにレポートするように構成されます。


      注 –

      linkprop=phys-state が指定され、物理リンクが停止している場合、仮想スイッチへの接続が有効であっても、仮想ネットワークデバイスはリンクステータスを down とレポートします。この状況が発生するのは、Solaris OS は現在、仮想リンクステータスと物理リンクステータスなど、2 つの異なるリンクステータスをレポートするインタフェースを備えていないためです。



      # ldm add-vnet linkprop=phys-state if-name vswitch-name ldom
      

      次の例では、論理ドメイン ldom1primary-vsw0 に接続された vnet0 で物理リンクステータスの更新を有効にします。


      # ldm add-vnet linkprop=phys-state vnet0 primary-vsw0 ldom1
      
    • ldm set-vnet コマンド実行時に linkprop=phys-state を指定し、既存の仮想ネットワークデバイスを変更します。


      # ldm set-vnet linkprop=phys-state if-name ldom
      

      次の例では、論理ドメイン ldom1vnet0 で物理リンクステータスの更新を有効にします。


      # ldm set-vnet linkprop=phys-state vnet0 ldom1
      

    物理リンクステータスの更新を無効にするには、ldm set-vnet コマンドを実行して linkprop= を指定します。

    次の例では、論理ドメイン ldom1vnet0 で物理リンクステータスの更新を無効にします。


    # ldm set-vnet linkprop= vnet0 ldom1
    

例 7–1 リンクベースの IPMP の構成

次の例は、物理リンクステータスの更新を有効にする方法と有効にしない方法の両方を使用してリンクベースの IPMP を構成する方法を示します。