Logical Domains 1.3 リリースノート

LDoms 1.3 ソフトウェアに影響するバグ

この節では、このバージョンのソフトウェアを使用するときに発生する可能性があるバグの概要について説明します。バグの説明は、バグ ID の番号の順に記載されてい ます。利用できる回避方法および回復手順がある場合は、これも記載されています。

Logical Domains Manager がディスクパスとネットワークデバイスの妥当性検査を行わない

バグ ID 6447740: Logical Domains Manager がディスクパスとネットワークデバイスの妥当性検査を行いません。

ディスクパス

ゲストドメインの構成に含まれているディスクデバイスが存在していないか、その他 の理由により使用できない場合、このディスクは仮想ディスクサーバー (vds) で使用 できません。しかし、Logical Domains Manager は、ドメインのバインド時や起動時に警告またはエラーを生成しません。

ゲストが起動を試みると、次のようなメッセージがゲストのコンソールに出力されます。


WARNING: /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@0: Timeout
connecting to virtual disk server... retrying

また、net-dev= プロパティーで指定したネットワークインタフェースが存在しないか、その他の理由により使用できない場合、仮想スイッチは物理マシンの外部と通信できなくなります。しかし、Logical Domains Manager は、ドメインのバインド時や起動時に警告またはエラーを生成しません。

Procedure仮想スイッチの net-dev プロパティーが誤って指定されている場合にその状態から回復する

  1. net-dev プロパティーの値を修正して、ldm set-vsw コマンドを実行します。

  2. 問題となっている仮想スイッチをホストしているドメインを再起動します。

Procedure仮想ディスクサービスデバイスまたはボリュームでエラーが発生した状態から回復する

  1. エラーが発生したデバイスまたはボリュームにバインドされた仮想ディスクを所有しているドメインを停止します。

  2. ldm rm-vdsdev コマンドを実行して、エラーが発生した仮想ディスクサービスデバイスを削除します。

  3. ldm add-vdsdev コマンドを実行して、ボリュームの物理パスを修正します。

  4. 仮想ディスクを所有しているドメインを再起動します。

ネットワークデバイス

ゲストドメインの構成に含まれているディスクデバイスが Logical Domains Manager 以外のソフトウェアで使用されている場合 (たとえば、ディスクデバイスがサービスドメインにマウントされている場合)、そのディスクは仮想ディスクサーバー (vds) で使用できません。しかし、Logical Domains Manager は、ドメインのバインド時または起動時に、ディスクが使用中であるという警告を生成しません。

ゲストドメインが起動を試みると、次のようなメッセージがゲストのコンソールに出力されます。


WARNING: /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@0: Timeout
connecting to virtual disk server... retrying

Procedureディスクデバイスがほかのソフトウェアで使用されている場合にその状態から回復する

  1. ゲストドメインのバインドを解除します。

  2. ディスクデバイスのマウントを解除し、使用可能にします。

  3. ゲストドメインをバインドします。

  4. ドメインを起動します。

同時処理でゲストの OS がハングアップする場合がある

バグ ID 6497796: まれに、boot-device などの Logical Domains 変数を eeprom(1M) コマンドを使用してゲストドメイン内から更新するのと同時に、Logical Domains Manager を使用して同じドメインに対して仮想 CPU の追加または削除を行うと、ゲストの OS がハングアップする場合があります。

回避方法: これらの 2 つの操作を同時に実行しないようにします。

回復方法: ldm stop-domain および ldm start-domain コマンドを使用して、ゲスト OS を停止してから起動します。

ldm stop-domain コマンドの動作がわかりにくいことがある

バグ ID 6506494: ldm stop-domain コマンドの動作がわかりにくい場合があります。


# ldm stop-domain -f ldom

ドメインにカーネルモジュールデバッガの kmdb(1) プロンプトが表示されている場合、ldm stop-domain コマンドは失敗し、次のようなエラーが表示されます。


LDom <domain name> stop notification failed

Logical Domains の実行中にセキュリティーキーを設定できない

バグ ID 6510214: Logical Domains 環境では、ickey(1M) コマンドを使用して、Solaris OS 内から広域ネットワーク (WAN) 起動キーの設定または削除を行うことはできません。ickey 操作はすべて失敗し、次のようなエラーが表示されます。


ickey: setkey: ioctl: I/O error

また、制御ドメイン以外の論理ドメインで OpenBoot ファームウェアを使用して設定された WAN 起動キーは、ドメインを再起動すると記憶されていません。これらのドメインでは、OpenBoot ファームウェアで設定したキーは 1 回の使用でのみ有効です。

Logical Domains Manager が電源の再投入後に変数の変更を保持しない

バグ ID 6590259: この問題の概要は、「論理ドメイン変数の持続性」 で説明しています。

LDoms が有効か無効かに関係なく、NIS が有効になっているシステムでの server-secure.driver の使用

バグ ID 6533696: ネットワーク情報サービス (NIS) または NIS+ ネームサービスを使用するように構成されているシステムでは、Solaris Security Toolkit ソフトウェアに server-secure.driver が指定されていると、NIS または NIS+ が外部サーバーに接続できなくなります。NIS または NIS+ サーバーまたはマップマスターの名前を返す ypwhich(1) コマンドが、次のようなメッセージを表示して失敗した場合、この問題が発生していることが考えられます。


Domain atlas some.atlas.name.com not bound on nis-server-1.c

Logical Domains Manager とともに使用する場合の Solaris Security Toolkit の推奨ドライバは ldm_control-secure.driver です。NIS および NIS+ はこの推奨ドライバで動作します。

ネームサービスとして NIS を使用している場合、Solaris Security Toolkit プロファイル server-secure.driver は使用できません。これは、Solaris OS バグ ID 6557663 によって、ipnat.conf を使用すると IP フィルタでパニックが発生する可能性があるためです。ただし、規定の Solaris Security Toolkit ドライバである ldm_control-secure.driver は、NIS と互換性があります。

Procedureシステムをリセットして回復する

  1. ssh コマンドを使用して、システムコントローラにログインします。

  2. システムの電源を切ります。


    -> stop /SYS
    
  3. システムの電源を入れます。


    -> start /SYS
    
  4. システムコンソールにログインします。


    -> start /SP/console
    
  5. システムを起動します。


    ok boot -s
    
  6. ファイル /etc/shadow を編集します。

    shadow ファイルの root エントリを次のように変更します。


    root::6445::::::
  7. システムにログインして、次のいずれかの処理を実行します。

    • ファイル /etc/ipf/ipnat.conf を追加します。

    • 次のように、Solaris Security Toolkit を元に戻して、ほかのドライバを指定します。


    # /opt/SUNWjass/bin/jass-execute -ui
    # /opt/SUNWjass/bin/jass-execute -a ldm_control-secure.driver
    

論理ドメインのゲストのネットワークパフォーマンスが論理ドメイン以外の構成と比べて低い

バグ ID 6486234: 仮想ネットワークインフラストラクチャーでは、論理ドメインからの通信に対して余分なオーバーヘッドが追加されます。仮想ネットワークデバイスを介して送信されたすべてのパケットは、順に仮想スイッチに渡されます。次に、仮想スイッチはそのパケットを物理デバイス経由で送信します。パフォーマンスの低下は、スタック固有のオーバーヘッドにより発生します。

回避方法: T2 プラットフォームでは、ネットワークインタフェースユニット (NIU) を論理ドメインに割り当てます。

ホストの電源を再投入すると、論理ドメインの時刻の変更が保持されない

バグ ID 6590259: ntpdate コマンドなどを使用して、論理ドメインの時刻または日付を変更すると、この変更はドメインを再起動しても保持されますが、ホストの電源を再投入した場合は保持されません。

回避方法: 時刻の変更を保持するには、時刻が変更された構成を SC に保存して、この構成から起動します。

Logical Domains Manager の動作中に、eeprom(1M) コマンドで OpenBoot PROM 変数を変更できない

バグ ID 6540368: この問題の概要は、「論理ドメイン変数の持続性」 で説明しています。この問題は制御ドメインにのみ影響します。

パニックおよび再起動のあと、Logical Domains Manager がゲストドメインのリソースをリタイアしない

バグ ID 6591844: CPU またはメモリーに障害が発生すると、影響を受けるドメインでパニックが発生し、再起動が行われる場合があります。ドメインの再起動中に、障害管理アーキテクチャー (FMA) が障害が発生したコンポーネントのリタイアを試みると、Logical Domains Manager はドメインと通信できなくなり、リタイアは失敗します。このような場合、fmadm faulty コマンドでは、このリソースは degraded (縮退) として表示されます。

回復方法: ドメインの再起動が完了するのを待機してから、次のコマンドを使用して制御ドメイン上で障害管理デーモン (fmd) を再起動し、FMA による障害イベントの再現を強制的に行います。


primary# svcadm restart fmd

DHCP を使用している同一ネットワーク上で、ゲストドメインに構成された仮想ネットワークが多すぎると、ゲストドメインが応答しなくなることがある

バグ ID 6603974: 動的ホスト構成プロトコル (DHCP) を使用している同一ネットワーク上で、ゲストドメインに 5 つ以上の仮想ネットワーク (vnet) を構成すると、ネットワークトラフィックの実行中に、ゲストドメインが最終的に応答しなくなることがあります。

回避方法: ip_ire_min_bucket_cnt および ip_ire_max_bucket_cnt に大きい値を設定します。たとえば、8 つのインタフェースを使用している場合は 32 に設定します。

回復方法: 問題のゲストドメイン (ldom) に対して、ldm stop-domain ldom コマンドを実行したあとで、ldm start-domain ldom コマンドを実行します。

SC または SP のリセット後、scadm コマンドがハングアップすることがある

バグ ID 6629230: SC リセットのあとに、Solaris 10 11/06 OS 以降が動作している制御ドメイン上で scadm コマンドがハングアップすることがあります。SC のリセット後、システムは適切に接続を再確立できません。

回避方法: ホストを再起動して、SC との接続を再確立します。

回復方法: ホストを再起動して、SC との接続を再確立します。

共通コンソールグループ内で複数ドメインを同時にネットインストールすると失敗する

バグ ID 6656033: 共通のコンソールグループを持つ Sun SPARC Enterprise T5140 および Sun SPARC Enterprise T5240 システムで、複数のゲストドメインを同時にネットインストールすると失敗します。

回避方法: それぞれ固有のコンソールグループを持つゲストドメインでのみネットインストールを実行してください。この障害は、ネットインストールを行う複数のドメイン間で共有される、共通のコンソールグループを使用するドメインでのみ発生します。

ゲストドメインで、スライス 2 に構築した SVM ボリュームを起動デバイスとして使用すると、JumpStart が失敗する

バグ ID 6687634: Sun Volume Manager (SVM) ボリュームがディスクのブロック 0 を含むディスクスライスの先頭に構築されている場合、SVM はボリュームのブロック 0 への書き込みを禁止して、ディスクのラベルが上書きされないようにします。

ディスクのブロック 0 を含むディスクスライスの先頭に構築された SVM ボリュームがフル仮想ディスクとしてエクスポートされると、ゲストドメインはその仮想ディスクにディスクラベルを書き込めなくなります。このため、このようなディスク上には Solaris OS をインストールできなくなります。

回避方法: 仮想ディスクとしてエクスポートされた SVM ボリュームは、ディスクのブロック 0 を含むディスクスライスの先頭に構築しないでください。

さらに一般的なガイドラインとして、物理ディスクの最初のブロック (ブロック 0) で始まるスライスは、直接的にも間接的にも仮想ディスクとしてエクスポートしないでください。『Logical Domains 1.3 管理ガイド』「ディスクスライスの直接的または間接的なエクスポート」を参照してください。

Solaris 10 5/08 OS がサービスドメインにインストールされている場合に、そのドメインがサービスを提供している任意のゲストドメインで Solaris 10 8/07 OS のネットワーク起動を試みると、インストールがハングアップすることがある

バグ ID 6705823: Solaris 10 5/08 OS が動作しているサービスドメインによってサービスが提供されている任意のゲストドメインで、Solaris 10 8/07 OS のネットワーク起動を試みると、インストール中にゲストドメインでハングアップが発生することがあります。

回避方法: Solaris 10 8/07 OS ネットインストールイメージのミニルートにパッチ ID 127111-05 を適用します。

Logical Domains Manager で論理ドメインの停止に 15 分以上かかることがある

バグ ID 6742805: CPU が 1 つのみでメモリーが大容量の構成では、ドメインの停止またはメモリーのスクラブに 15 分以上かかることがあります。停止の際、ドメインの CPU はそのドメインが所有するすべてのメモリーをスクラブするために使用されます。CPU が 1 つのみでメモリーが 512G バイトのドメインのように不均衡な構成では、スクラブの完了までに非常に長い時間がかかる場合があります。スクラブ時間が長くなると、ドメインの停止にかかる時間も長くなります。

回避方法: 100G バイトを超える大容量メモリー構成が、少なくとも 1 つのコアを持つようにします。これにより、停止時間が短縮されます。

LDoms システムから uadmin 1 0 コマンドを実行すると、システムが OK プロンプトに戻らないことがある

バグ ID 6753683: LDoms システムのコマンド行から uadmin 1 0 コマンドを実行すると、それ以降のリセットでシステムが OK プロンプトに戻らない場合があります。この誤った動作は、LDoms 変数 auto-reboot?true に設定されている場合にのみ発生します。auto-reboot?false に設定されている場合は、期待どおりに動作します。

回避方法: 代わりに次のコマンドを使用します。


uadmin 2 0

または、常に auto-reboot?false に設定して実行するようにします。

移行されたドメインが、すでに起動されているにもかかわらず Logical Domains Manager に移行状態で表示される

バグ ID 6760933: アクティブな論理ドメインが、起動してから長時間が経過していたり、ドメイン移行の完了後であるにもかかわらず、「通常」の状態ではなく「移行」状態として表示されることがあります。この不具合が問題を引き起こすことはなく、ドメインは正常に動作しています。設定されているフラグを確認するには、ldm list -l -p コマンド出力の flags フィールドか、ldm list コマンドの FLAGS フィールドを確認します。このフィールドには、通常の状態の場合は -n----移行状態の場合は -t---- と表示されます。

回復方法: 次回の再起動時に、論理ドメインは正しい状態が表示されるはずです。

マシンがネットワーク接続されていない場合に NIS クライアントが実行されていると、Logical Domains Manager が起動しない

バグ ID 6764613: マシンにネットワークが構成されていない場合にネットワーク情報サービス (NIS) クライアントが実行されていると、Logical Domains Manager がシステムで起動しません。

回避方法: ネットワークに接続されていないマシンでは NIS クライアントを無効にします。


# svcadm disable nis/client

ターゲットに使用可能なメモリーが十分にある場合でも、移行でメモリーのバインドに失敗することがある

バグ ID 6772089: 特定の状況では、移行が失敗し、ソースドメインに必要なメモリーをバインドできなかったことが ldmd で報告される場合があります。これは、ターゲットマシンで使用可能なメモリーの合計容量がソースドメインで使用されているメモリー容量より多い場合でも発生することがあります。

この障害は、ソースドメインで使用されている特定のメモリー範囲を移行するには、ターゲットでもそれに対応するメモリー範囲が使用可能である必要があるために発生します。ソースのメモリー範囲に対応するメモリー範囲が見つからない場合、移行は続行できません。

回復方法: この状況が発生した場合は、ターゲットマシンのメモリー使用量を変更すると、ドメインを移行できるようになることがあります。この操作を行うには、ターゲットでバインドされている、またはアクティブな論理ドメインのバインドを解除します。

使用可能なメモリーとその使用状況を確認するには、ldm list-devices -a mem コマンドを使用してください。また、別のドメインへのメモリーの割り当て量を減らす必要があることもあります。

ターゲットの vdsdev のバックエンドが異なっていても移行が失敗しない

バグ ID 6772120: ターゲットマシンの仮想ディスクが、ソースマシンで使用されている同じディスクのバックエンドを指していない場合、移行されたドメインではそのディスクのバックエンドを使用して仮想ディスクにアクセスできません。そのドメインの仮想ディスクにアクセスすると、ハングアップする可能性があります。

現在、Logical Domains Manager では、仮想ディスクのボリューム名がソースマシンとターゲットマシンで一致していることのみを確認します。この場合、ディスクのバックエンドが一致していなくてもエラーメッセージは表示されません。

回避方法: 移行されたドメインを受信するようにターゲットドメインを構成する際、ディスクボリューム (vdsdev) がソースドメインで使用されているディスクのバックエンドと一致していることを確認します。

回復方法: ターゲットマシンで仮想ディスクデバイスが誤ったディスクのバックエンドを指していることがわかった場合は、次のいずれかの処理を実行します。

制約データベースと保存された構成との同期がとれていない

バグ ID 6773569: ldm set-config コマンドを使用してから電源を再投入する方法で、ある構成から別の構成に切り替えを行うと、以前の構成で定義されたドメインが現在の構成にもアクティブでない状態で存在していることがあります。

これは、Logical Domains Manager の制約データベースが、構成の変更と同期がとれていないことが原因です。このようなアクティブでないドメインは、動作している構成に影響しないため、安全に削除できます。

明示的なコンソールグループおよびポートのバインドが移行されない

バグ ID 6781589: 移行中、明示的に割り当てられたコンソールグループおよびポートはすべて無視され、デフォルトのプロパティーを持つコンソールがターゲットドメインに作成されます。このコンソールは、コンソールグループとしてターゲットドメイン名を使用し、制御ドメインの最初の仮想コンソール端末集配信装置 (vcc) デバイスの使用可能ポートを使用して作成されます。デフォルトのグループ名と競合する場合、移行は失敗します。

回復方法: 移行後に明示的なコンソールプロパティーを復元するには、ターゲットドメインのバインドを解除し、ldm set-vcons コマンドを使用して目的のプロパティーを手動で設定します。

VIO DR 操作で強制 (-f) オプションが無視される

バグ ID 6703127: 仮想入出力 (VIO) 動的再構成 (DR) 操作で、CLI コマンドの -f (強制) オプションが無視されます。

primary ドメイン上で open()libpiclsnmp:snmp_init() がいつまでもブロックされる

バグ ID 6736962: Power Management で、制御ドメインの起動後、LDoms の起動時にサービスプロセッサからポリシーを取得できないことがあります。CPU Power Management でサービスプロセッサから Power Management ポリシーを取得できなかった場合、LDoms は期待どおりに起動しますが、「Unable to get the initial PM Policy - timeout」というエラーが LDoms ログに記録され、パフォーマンスモードが保持されます。

/etc/system に「forceload: drv/ds_snmp」を追加してから、制御ドメインを再起動してください。

FMA 状態の失敗

バグ ID 6759853: ok プロンプトが表示されているドメインで、LDoms ログに次のエラーメッセージが断続的に書き込まれることがあります。


fma_cpu_svc_get_p_status: Can't find fma_cpu_get_p_status routine error

回避方法: 対象のドメインを起動します。

ldmconfig 実行時に、制御ドメインのルートファイルシステムがいっぱいになってシステムが停止する場合がある

バグ ID 6848114: ldmconfig は、作成されたドメイン用の仮想ディスクの格納に必要な容量が十分にあるファイルシステムを持たないシステムに対して実行できます。この場合、エラーメッセージが発生します。しかし、ldmconfig によって、構成を配備するために /ldoms/disks 内のディスクを使用し続けることができます。その結果、制御ドメインのルートファイルシステムがいっぱいになってシステムが停止する場合があります。

回避方法: 次の手順を実行します。

  1. q または Ctrl-C を入力して Configuration Assistant を終了します。

  2. 適切な容量のファイルシステムを追加します。

  3. ldmconfig コマンドを再実行します。

ゲストドメインが制御ドメインに対して適切なドメインサービス接続を行わない場合がある

バグ ID 6839787: Solaris 10 10/08 OS 以降を実行するゲストドメインが、Solaris 10 5/09 OS を実行する制御ドメインに対して適切なドメインサービス接続を行わない場合があります。

ドメインサービス接続により、動的再構成 (DR)、FMA、Power Management (PM) などの機能が有効になります。この問題はゲストドメインの起動時に発生するため、通常はゲストドメインを再起動することで解決します。

回避方法: ゲストドメインを再起動します。

ldm: 自動保存機能で破損した構成を識別してダウンロードできない

バグ ID 6840800: 他の方法では使用可能な、壊れたか破損した自動保存構成をダウンロードできません。

回避方法: 破損していない別の自動保存構成または別の SP 構成を使用します。

rm-io 操作のあとに複数回の set-vcpu 操作を行うと ldmd がコアダンプを出力する

バグ ID 6697096: 特定の状況で ldm rm-io 操作のあとに複数回の ldm set-vcpu 操作を行うと、ldmd が異常終了して SMF によって再起動されることがあります。

回避方法: ドメインで ldm rm-io 操作を実行したあとで ldm set-vcpu 操作を試みる場合は注意してください。1 回目の ldm set-vcpu 操作は成功しますが、特定の状況下で 2 回目の ldm set-vcpu 操作を実行すると、ldmd デーモンがコアダンプを出力する場合があります。代わりに、2 回目の set-vcpu 操作を試みる前にドメインを再起動します。

制御ドメインで仮想ネットワークデバイスが適切に作成されない

バグ ID 6836587: 仮想ネットワークまたは仮想ディスクデバイスをドメインに追加したあと、ifconfig でデバイスが存在しないと表示されることがあります。この状態は、/devices エントリが作成されていないために発生することがあります。

この状態は通常操作時には発生しませんが、仮想ネットワークデバイスのインスタンス番号が /etc/path_to_inst ファイルに示されているインスタンス番号と一致しない場合にこのエラーが検出されました。

次に例を示します。


# ifconfig vnet0 plumb
ifconfig: plumb: vnet0: no such interface

仮想デバイスのインスタンス番号は、ldm list の出力内の「DEVICE」列の下に表示されます。


# ldm list -o network primary
NAME             
primary          

MAC
    00:14:4f:86:6a:64

VSW
    NAME         MAC               NET-DEV DEVICE   DEFAULT-VLAN-ID PVID VID MTU  MODE  
    primary-vsw0 00:14:4f:f9:86:f3 nxge0   switch@0 1               1        1500        

NETWORK
    NAME   SERVICE              DEVICE    MAC               MODE PVID VID MTU  
    vnet1  primary-vsw0@primary network@0 00:14:4f:f8:76:6d      1        1500

このインスタンス番号 (ここに示す vnet および vsw の場合は両方とも 0) と path_to_inst ファイルのインスタンス番号を比較して、両方の番号が確実に一致するようにすることができます。


# egrep '(vnet|vsw)' /etc/path_to_inst
"/virtual-devices@100/channel-devices@200/virtual-network-switch@0" 0 "vsw"
"/virtual-devices@100/channel-devices@200/network@0" 0 "vnet"

回避方法: インスタンス番号が一致していない場合、その仮想ネットワークまたは仮想スイッチデバイスを削除します。次に、id プロパティーを設定することで必要なインスタンス番号を明示的に指定し、削除した仮想デバイスをふたたび追加します。

/etc/path_to_inst ファイルを手動で編集することもできます。path_to_inst(4) マニュアルページを参照してください。


注意 – 注意 –

マニュアルページに記載されている「changes should not be made to /etc/path_to_inst without careful consideration」という警告に注意してください。


vntsd を再起動しないかぎり、移行したドメインのコンソールに接続できない

バグ ID 6757486: ドメインの移行後、そのドメインのコンソールに接続できない場合があります。

回避方法: vntsd SMF サービスを再起動し、コンソールに接続できるようにします。


# svcadm restart vntsd

注 –

このコマンドは、アクティブなすべてのコンソール接続を切断します。


e1000g からの起動時に I/O ドメインまたはゲストドメインでパニックが発生する

バグ ID 6808832: Sun Fire T5240 などのシステムでは、専用 PCI-E ルートコンプレックスで最大 2 つのドメインを構成できます。このようなシステムには、2 つの UltraSPARC T2+ CPU と 2 つの I/O ルートコンプレックスが装備されています。

システムの 2 つのルートコンプレックスは、pci@500pci@400 です。primary ドメインには、少なくとも 1 つのルートコンプレックスが必ず含まれます。2 つ目のドメインは、割り当てまたはバインドされていないルートコンプレックスを使用して構成できます。

pci@400 ファブリック (またはリーフ) には、オンボード e1000g ネットワークカードが備わっています。次の状況では、ドメインでパニックが発生する場合があります。

次のネットワークデバイスが primary 以外のドメインに構成されている場合、これらのデバイスを避けてください。


/pci@400/pci@0/pci@c/network@0,1
/pci@400/pci@0/pci@c/network@0

これらの条件に該当する場合、PCI-E の致命的エラーが発生し、そのドメインでパニックが発生します。

このような構成を避けるか、またはこのような構成を使用している場合は、示されているデバイスから起動しないでください。

システムが Power Management のエラスティックモードのときにゲストドメインが正常に再起動できない場合がある

バグ ID 6853273: システムが Power Management のエラスティックモードのときにゲストドメインを再起動しようとすると、次の警告メッセージが発生して正常に起動できない場合があります。


WARNING: /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@0:
Sending packet to LDC, status: -1
WARNING: /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@0:
Can't send vdisk read request!
WARNING: /virtual-devices@100/channel-devices@200/disk@0:
Timeout receiving packet from LDC ... retrying

回避方法: このような警告が表示される場合、次の順序でいずれかの回避方法を実行します。

いくつのドメインが起動中の場合、ldm コマンドの応答が遅くなる

バグ ID 6855079: いくつかのドメインが起動中の場合、ldm コマンドの応答が遅くなることがあります。この段階で ldm コマンドを実行すると、コマンドがハングアップしているように見える場合があります。ldm コマンドは、期待どおりのタスクを実行したあとで戻されます。コマンドが戻されたら、システムは通常どおり ldm コマンドに応答するはずです。

回避方法: 多くのドメインを同時に起動することを避けてください。ただし、いくつかのドメインを同時に起動する必要がある場合、システムが通常の状態に戻るまで新しい ldm コマンドを実行しないようにします。たとえば、Sun SPARC Enterprise T5140 および T5240 サーバーでは約 2 分間、Sun SPARC Enterprise T5440 サーバーまたは Netra T5440 サーバーでは約 4 分間待機します。

制御ドメインまたはゲストドメインの再起動時に見せかけの「ds_ldc_cb: LDC READ event」メッセージが発生する

バグ ID 6846889: 制御ドメインまたはゲストドメインの再起動時に、再起動中の制御ドメインおよびゲストドメインのログに、次の警告メッセージが記録される場合があります。


WARNING: ds@0: ds_ldc_cb: LDC READ event while port not up

回避方法: このメッセージは無視できます。

ターゲット OS が暗号化装置の DR をサポートしていない場合、MAU を持つ移行したドメインに CPU が 1 つしか含まれない

バグ ID 6904849: Logical Domains 1.3 では、1 つ以上の暗号化装置がバインドされたドメインでも、移行できます。

次の場合には、マイグレーションの完了後、ターゲットマシンに 1 つの CPU しか含まれません。

マイグレーションの完了後、ターゲットドメインは正常に再開され運用されますが、CPU が 1 つのみの縮退状態になります。

回避方法: マイグレーション前に、Logical Domains 1.3 を実行しているソースマシンから暗号化装置を削除します。

軽減方法: この問題を防ぐには、次のいずれかまたは両方の手順を実行します。

システムがすでに遅延再構成モードである場合、ldm set-vcc が実行されない

バグ ID 6852143: 遅延再構成の進行中に ldm set-vcc 要求を行うと、要求が拒否されます。通常であれば、この要求は遅延再構成に追加されます。

回避方法: 次のいずれかの手順を実行します。

実アドレスメモリーバインドの失敗に対し、マイグレーション失敗メッセージが表示される

バグ ID 6904240: 特定の状況では、マイグレーションが失敗して次のエラーメッセージが表示され、ソースドメインに必要なメモリーをバインドできなかったことが ldmd で報告される場合があります。この状況は、ターゲットマシンで使用可能なメモリーの合計容量がソースドメインで使用されているメモリー容量より多い場合でも発生することがあります。メモリー容量は ldm ls-devices -a mem で確認できます。


Unable to bind 29952M memory region at real address 0x8000000
Domain Migration of LDom ldg0 failed

原因: この障害は、ターゲットマシン上の実アドレス (RA) と物理アドレス (PA) の間の一致要件を満たすことができないために発生します。

回避方法: ドメインを停止し、コールドマイグレーションとしてマイグレーションを実行します。ゲストドメイン上のメモリーのサイズを 128M バイト削減し、ドメインの動作中にマイグレーションが続行されるようにすることもできます。

有効な資源管理ポリシーで CPU の数が予想どおりに減少しない

バグ ID 6908985: 仮想 CPU の数が 99 個を超える大規模なドメインで発生する問題です。仮想 CPU の合計数が 99 個を超える場合に、使用率が低位境界値を下回ると、動的資源管理 (DRM) は仮想 CPU を解放しません。

起動後に制御ドメインに追加された暗号化装置を ldm で利用できない

バグ ID 6880106: Logical Domains Manager (ldm) は、起動すると、制御ドメインに存在している暗号化装置を初期化し、マイグレーション処理で確実に使用できるようにします。ldm の起動後、どの時点で暗号化装置が制御ドメインに追加されても、それらの暗号化装置はマイグレーションで使用されません。この状況は、マイグレーション処理の完了までにかかる時間に悪影響を及ぼすことがあります。

回避方法: ldmd を再起動し、primary ドメインの暗号化装置の使用状況を強制的に再初期化します。次のコマンドを実行します。


# svcadm restart ldmd

ウォームマイグレーションが失敗し、「Unknown migration failure」メッセージが表示されることがある

バグ ID 6904238: まれに、ウォームマイグレーション処理が失敗して次のメッセージが表示されることがあります。


Unknown migration failure

ソースマシン上の ldmd ログファイルには、次のメッセージが表示されます。


warning: Failed to read feasibility response type (9) from
target LDoms Manager

この障害は、ゲストの論理ドメインチャネルの実行時状態のマイグレーションに問題がある場合に、発生することがあります。移行中のドメインに、unplumb された仮想ネットワークインタフェースかスパースメモリー構成があると、この問題が発生します。

回避方法: 移行中のドメインに unplumb された仮想ネットワークインタフェースが 1 つ以上ある場合は、それらのインタフェースを plumb します。問題が解決しない場合は、ドメインを停止してコールドマイグレーションを実行します。

DRM: tod-begin および tod-end の一部の値の先頭にゼロを使用できない

バグ ID 6909998: tod-begin プロパティーおよび tod-end プロパティーの時間、分、秒の値に、08 または 09 は指定できません。08 および 09 は、無効な 8 進数の値と見なされます。

回避方法: 08 の代わりに 809 の代わりに 9 と指定します。

たとえば、開始時刻を 08:09:01 に設定するには、tod-begin の値を次のように指定します。


# ldm set-policy tod-begin=8:9:01 name=drm_policy primary

Logical Domains が構成されている場合に、新しく追加した NIU/XAUI アダプタがホスト OS に表示されない

バグ ID 6829016: システムに Logical Domains が構成されている場合に別の XAUI ネットワークカードを追加すると、マシンの電源を再投入してもそのカードは表示されません。

回復方法: 新しく追加した XAUI が制御ドメインに表示されるようにするには、次の手順を実行します。

  1. 制御ドメインにダミー変数を設定し、クリアーします。

    次のコマンドでは、fix-xaui というダミー変数を使用します。


    # ldm set-var fix-xaui=yes primary
    # ldm rm-var fix-xaui primary
    
  2. 変更した構成を SP に保存し、現在の構成を置き換えます。

    次のコマンドでは、構成名として config1 を使用します。


    # ldm rm-spconfig config1
    # ldm add-spconfig config1
    
  3. 再構成のために制御ドメインを再起動します。


    # reboot -- -r
    

    この時点で、新しく使用可能になったネットワークを Logical Domains 用に構成できます。

ドメインからすべての暗号化装置を動的に削除すると、SSH が終了する

バグ ID 6897743: 動作中のドメインからすべてのハードウェア暗号化装置を動的に削除すると、暗号化フレームワークがソフトウェア暗号化プロバイダへのシームレスな切り替えに失敗し、すべての ssh 接続が強制終了します。

回復方法: ドメインからすべての暗号化装置を削除したあと、ssh 接続を再確立します。

回避方法: サーバー側の /etc/ssh/sshd_config ファイルに UseOpenSSLEngine=no を設定し、svcadm restart ssh コマンドを実行します。

これにより、いずれの ssh 接続もハードウェア暗号化装置を使用しなくなるため、関連するパフォーマンスの向上というメリットはなくなりますが、暗号化装置が削除されても ssh 接続は切断されなくなります。

プローブベースの IPMP で予期しない障害が発生する

バグ ID 6888928: プローブベースの IPMP を使用している場合、IPMP グループのインタフェースで急に障害が発生することがあります。これは、プローブベースの障害検出用に IPMP グループのインタフェースでテストアドレスを構成した直後に発生することがあります。この問題は、Logical Domains 仮想ネットワークデバイスを含め、仮想か物理かに関係なく、どのネットワークインタフェースでも発生する可能性があります。

回避方法: プローブベースの障害検出を引き続き使用する場合は、パッチ ID 142900-03 をインストールします。または、テストアドレスを削除してプローブベースの障害検出を無効にし、リンクベースの障害検出を使用することもできます。詳細は、SunSolve の「IPMP Link-Based Only Failure Detection with Solaris 10」を参照してください。

Logical Domains 1.3 から、仮想ネットワークデバイスにリンクベースの IPMP を構成できるようになりました。『Logical Domains 1.3 管理ガイド』「Logical Domains 仮想ネットワークでのリンクベースの IPMP の使用」を参照してください。