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Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド 

第 6 章
Instant Messaging ポリシーおよび Presence ポリシーの管理

Instant Messaging は、チャット、会議、調査、Presence アクセスなど、さまざまな機能を提供します。ポリシーには、これらの機能に関する一連のアクセス制御権限を記述できます。一方、エンドユーザーおよびグループには、組織の要求に応じて特定のポリシーを割り当てることができます。

この章では、Instant Messaging Server の機能と権限情報に対するエンドユーザーと管理者のアクセスを管理するための、ポリシーの定義方法と使用方法について説明します。


プライバシー、セキュリティ、およびサイトポリシーの概要

Instant Messaging は、Instant Messaging 機能へのアクセスを制御する機能と、エンドユーザーのプライバシーを保護する機能を備えています。

サイトポリシー

サイトポリシーは、Instant Messaging の特定機能に対するエンドユーザーのアクセス権を指定します。指定できる権限は、次のとおりです。

Instant Messaging 管理者は、すべての Instant Messaging 機能にアクセスできます。管理者は、すべての会議室とニュースチャネルに対する管理アクセス権を持っており、任意のエンドユーザーの Presence 情報を表示でき、任意のエンドユーザーのプロパティ (連絡先一覧や Instant Messenger 設定など) を表示および変更できます。サイトポリシーの設定は、管理者権限にはまったく影響しません。

エンドユーザーにはデフォルトで、ほかのエンドユーザーの Presence ステータスにアクセスする権限、ほかのエンドユーザーにアラートを送信する権限、およびプロパティをサーバー上に保存する権限が与えられます。ほとんどの配備では、このデフォルト値は変更されません。このデフォルト値を変更する必要があるのは、Instant Messaging をポップアップ機能専用として使う場合です。

Instant Messaging をポップアップ機能専用として使う場合、エンドユーザーには Presence 情報、チャット機能、およびニュース機能に対するアクセス権限が付与されません。


管理者は、特定の権限をグローバルに設定できますが、それらの権限に対する例外を定義することも可能です。たとえば、管理者は、選択されたエンドユーザー、ロール、またはグループに対して、特定のデフォルト権限を拒否することができます。


サイトポリシーの設定方法の詳細については、「Instant Messaging ポリシーおよび Presence ポリシーの管理」を参照してください。

会議室とニュースチャネルのアクセス制御

会議室とニュースチャネルに対してエンドユーザーが持つことのできるアクセス権限は、次のとおりです。

管理権限を持つエンドユーザーは、すべてのエンドユーザーに対するデフォルトの権限レベルを設定できます。また、そうしたエンドユーザーは、特定のエンドユーザーやグループに対してデフォルトとは異なるアクセスレベル権限を付与する例外規則を定義することもできます。


書き込み権限が設定されたエンドユーザーには、読み取り権限も付与されます。


ユーザーのプライバシー

エンドユーザーは、自身の Presence ステータスをほかのエンドユーザーに公開するかどうかを指定できます。デフォルトでは、すべてのエンドユーザーが、ほかのエンドユーザーの Presence 情報にアクセスできます。また、エンドユーザーは、特定のエンドユーザーやグループからのアクセスを拒否する例外を設定することもできます。

あるエンドユーザーが自身の Presence ステータスにほかのエンドユーザーがアクセスするのを拒否した場合、ほかのエンドユーザーの連絡先一覧で、そのエンドユーザーのステータスはオフラインとして表示されます。Presence ステータスがオフラインになっているエンドユーザーには、アラートやチャットへの参加依頼を送信できません。

ユーザーのプライバシーを設定するには、Instant Messenger の「ユーザー設定」ウィンドウを使います。ユーザーのプライバシーを設定する方法の詳細については、Instant Messenger のオンラインヘルプを参照してください。


エンドユーザーと管理者の権限を制御する方法

Instant Messaging サービスに対する各種アクセス権限を、エンドユーザーに対して許可または制限することに関する要件は、Instant Messaging Server を使用するサイトごとにそれぞれ異なります。エンドユーザーと管理者の、Instant Messaging Server 機能と権限情報へのアクセスを制御する処理は、ポリシー管理と呼ばれます。ポリシーを管理するための方法は、2 つあります。アクセス制御ファイルを使う方法と、Sun Java System Access Manager を使う方法です。

アクセス制御ファイルによるポリシー管理の概要

アクセス制御ファイルによるポリシー管理では、ニュースチャネル管理、会議室管理、「ユーザー設定」ダイアログにおける設定変更、アラート送信の各領域における、エンドユーザーの権限を調整することができます。また、特定のエンドユーザーをシステム管理者として割り当てることもできます。

Sun Java System Access Manager によるポリシー管理の概要

Sun Java System Access Manager によるポリシー管理では、アクセス制御ファイルを使う方法と同じ権限を制御できますが、この方法ではさらに、アラートの受信、調査の送受信など、機能の制御をよりきめ細かく行えます。完全な一覧については、表 6-4 を参照してください。さらに、Sun Java System Access Manager によるポリシー管理では、権限の制御も、よりきめ細かく行えます。

ポリシーには、Instant Messaging ポリシーと Presence ポリシーの 2 種類があります。Instant Messaging ポリシーは、アラートの送受信、公開会議室やニュースチャネルの管理、ファイルの送信といった、一般的な Instant Messaging 機能に対する権限を制御します。Presence ポリシーは、エンドユーザーが自身のオンラインステータスを変更する権限や、他人がオンライン情報または Presence 情報を表示するのを許可または拒否する権限を制御します。

ポリシー管理 : 使用する方法の選択

使用するポリシー管理方法を選択する際には、ポリシー情報の格納場所も同時に選択する必要があります。ポリシーの管理方法を選択するには、iim.conf ファイルを編集し、iim.policy.modules パラメータを設定します。Access Manager を使用する場合は identity を、アクセス制御ファイルを使用する場合は iim_ldap を、それぞれ設定します。なお、後者の方法は、デフォルトの方法でもあります。

LDAP 単独配備を使用する場合、つまり、Sun Java System Access Manager を使用しない場合は、アクセス制御ファイルによる方法を選択する必要があります。Sun Java System Access Manager と Instant Messaging Server を併用し、かつ Instant Messaging サービスおよび Presence サービスのコンポーネントがインストールされている場合、いずれかのポリシー管理方法を選択できます。ただし、Sun Java System Access Manager によるポリシー管理のほうが、より包括的な方法です。この方法の利点の 1 つは、すべてのエンドユーザー情報をディレクトリ内に格納できる点です。

使用するポリシー管理方法を設定する際の具体的な手順を、以下に示します。

  1. iim.conf ファイルが格納されているディレクトリに移動します。
  2. 任意のエディタを使って iim.conf ファイルを開きます。
  3. iim.policy.modules パラメータを編集します。具体的には、次のいずれかを設定します。
    • iim_ldap (アクセス制御ファイルによる方法)
    • identity (Access Manager による方法)
  4. iim.userprops.store パラメータを編集します。具体的には、次のいずれかを設定します。
    • ldap (ユーザープロパティを LDAP に格納する場合)
    • file (デフォルト、ユーザープロパティをファイル内に格納する場合)
  5. 変更内容を保存します。
  6. 設定を更新します。

ポリシー設定パラメータ

表 6-1 は、Instant Messaging 配備において Sun Java System Access Manager が果たす役割の拡大に伴い、iim.conf ファイル内で利用可能になったパラメータの一覧とその説明です。

表 6-1 iim.conf における Access Manager 関連のパラメータ 

パラメータ名

使用法

iim.policy.modules

ポリシーを Sun Java System Access Manager に格納するかどうかを示します

iim_ldap (デフォルト)

identity

iim.userprops.store

ユーザープロパティをユーザープロパティファイル、LDAP のいずれに格納するかを示します

file (デフォルト)

ldap


現時点では、iim.userprops.store パラメータが重要になるのは、Presence サービスと Instant Messaging サービスのサービス定義がインストールされた場合だけです。



アクセス制御ファイルによるポリシー管理

アクセス制御ファイルを編集することで、次のエンドユーザー権限を制御できます。

デフォルトでは、ほかのエンドユーザーの Presence ステータスにアクセスする権限、エンドユーザーにアラートを送信する権限、およびプロパティをサーバー上に保存する権限が、エンドユーザーに与えられます。ほとんどの配備では、このデフォルト値を変更する必要はありません。


管理者は、特定の権限をグローバルに設定できますが、それらの権限に対する例外を定義することも可能です。たとえば、管理者は、選択されたエンドユーザーまたはグループに対して、特定のデフォルト権限を拒否することができます。


アクセス制御ファイルの格納場所は、im_cfg_base/acls です。im_cfg_base は設定ディレクトリです。設定ディレクトリのデフォルトの場所については、表 3-1 を参照してください。

表 6-2 は、Instant Messaging のグローバルアクセス制御ファイルとそれらのファイルがエンドユーザーに付与する権限を、一覧にまとめたものです。

表 6-2 アクセス制御ファイル 

アクセス制御ファイル

権限

sysSaveUserSettings.acl

自身の設定を変更できる (できない) ユーザーを定義します。この権限を持たないユーザーは、連絡先の追加や会議室の作成などを行うことができません。

sysTopicsAdd.acl

ニュースチャネルを作成できる (できない) ユーザーを定義します。

sysRoomsAdd.acl

会議室を作成できる (できない) ユーザーを定義します。

sysSendAlerts.acl

アラートを送信できる (できない) ユーザーを定義します。

sysWatch.acl

ほかのエンドユーザーの変更を監視できる (できない) ユーザーを定義します。この権限を持たないエンドユーザーには、Instant Messenger のウィンドウが表示され、「会議室とニュースチャネルへの登録と登録解除」だけが許可されます。

sysAdmin.acl

管理者専用のファイルです。このファイルでは、Instant Messaging のすべての機能、すべてのエンドユーザーに対する管理権限を設定します。この権限はほかのすべての権限よりも優先されます。また、この権限は、すべての会議室およびニュースチャネルに対する管理アクセス権に加え、すべてのエンドユーザーの Presence 情報、設定、およびプロパティに対する管理アクセス権を管理者に与えます。

アクセス制御ファイルの形式

アクセス制御ファイルには、権限を定義する一連のエントリが含まれます。各エントリは、次のいずれかのタグで始まります。

タグのあとにはコロン (:) を付けます。デフォルトタグでは、そのあとに truefalse のいずれかを指定します。

エンドユーザータグ、グループタグでは、その後にエンドユーザー名、グループ名をそれぞれ指定します。

複数のエンドユーザーまたはグループを指定するには、それらの各エンドユーザー (u)、各グループ (g) をそれぞれ別々の行に記述します。

デフォルトエントリに true が設定された場合、ファイル内のその他のすべてのエントリは無視されます。デフォルトエントリに false が設定された場合、ファイル内に指定されたエンドユーザーとグループのみが、その特定の権限を持つことになります。

新規インストール時の、ACL ファイル内の d: タグ (デフォルトタグ) エントリを、次に示します。

アクセス制御ファイルのサンプル

この節では、権限が設定されたアクセス制御ファイル (sysTopicsAdd.acl ファイル) のサンプルを示します。

sysTopicsAdd.acl ファイル

次の例では、sysTopicsAdd.acl ファイルのデフォルトの d: タグエントリは false です。このため、ニュースチャネルを追加および削除する権限は、そのデフォルトよりも前に記述されたエンドユーザーとグループ、すなわち、user1user2、および sales グループに対して付与されます。

# Example sysTopicsAdd.acl file

u:user1

u:user2

g:cn=sales,ou=groups,o=siroe

d:False

エンドユーザーの権限の変更

エンドユーザーの権限を変更する
  1. config/acls ディレクトリに移動します。たとえば、Solaris 上では次のように入力します。
  2. cd /etc/opt/SUNWiim/default/config/acls

  3. 目的のアクセス制御ファイルを編集します。たとえば、次のように入力します。
  4. vi sysTopicsAdd.acl

  5. 変更を保存します。
  6. エンドユーザーが Instant Messenger ウィンドウを更新しない限り、その変更は表示に反映されません。


Sun Java System Access Manager によるポリシー管理

Sun Java System Access Manager の Instant Messaging サービスと Presence サービスを使うと、エンドユーザーと管理者の権限を別の方法で制御できます。各サービスには、動的属性、ユーザー属性、ポリシー属性の 3 種類があります。ポリシー属性は、権限を設定するための属性です。

Access Manager 内に作成された特定のポリシーに、ほかのユーザーから調査メッセージを受信する権限などや、Instant Messaging のさまざまな機能に対する権限、そして管理者およびエンドユーザーに許可または拒否する規則を追加する際に、ポリシー属性はそれらの規則の一部となります。

Instant Messaging Server を Sun Java System Access Manager とともにインストールすると、サンプルのポリシーとロールがいくつか作成されます。ポリシーとロールの詳細については、『Sun Java System Access Manager Getting Started Guide』と『Sun Java System Access Manager 管理ガイド』を参照してください。

さらに、サンプルのポリシーに満足できなかった場合、新しいポリシーを作成し、それらをサイトの要求に応じて特定のロール、グループ、組織、またはエンドユーザーに割り当てることも可能です。

Instant Messaging サービスまたは Presence サービスがエンドユーザーに割り当てられると、それらのエンドユーザーは、関連する動的属性とユーザー属性を取得します。動的属性は、Sun Java System Access Manager で設定された特定のロールまたは組織に割り当てることができます。

特定のロールをエンドユーザーに割り当てたり、組織内でエンドユーザーを作成したりすると、関連する動的属性がそのエンドユーザーの特性の一部となります。ユーザー属性は、各エンドユーザーに直接割り当てます。ユーザー属性は、ロールや組織から継承されるわけではないため、通常はエンドユーザーごとに異なります。

エンドユーザーはログイン時に、該当するすべての属性を取得します。なお、取得される属性は、そのユーザーに割り当てられているロールの種類やポリシーの適用方法に応じて異なります。

動的、ユーザー、ポリシーの各属性がエンドユーザーに関連付けられるのは、Presence サービスと Instant Messaging サービスがそれらのエンドユーザーに割り当てられた後です。

Instant Messaging サービス属性

表 6-3 は、各サービスに含まれるポリシー属性、動的属性、ユーザー属性を一覧にまとめたものです。

表 6-3 Instant Messaging 用の Access Manager 属性 

サービス

ポリシー属性

動的属性

ユーザー属性

sunIM

sunIMAllowChat

sunIMAllowChatInvite

sunIMAllowForumAccess

sunIMAllowForumManage

sunIMAllowForumModerate

sunIMAllowAlertsAccess

sunIMAllowAlertsSend

sunIMAllowNewsAccess

sunIMAllowNewsManage

sunIMAllowFileTransfer

sunIMAllowContactListManage

sunIMAllowUserSettings

sunIMAllowPollingAccess

sunIMAllowPollingSend

sunIMProperties

sunIMRoster

sunIMConferenceRoster

sunIMNewsRoster

sunIMPrivateSettings

sunIMUserProperties

sunIMUserRoster

sunIMUserConferenceRoster

sunIMUserNewsRoster

sunIMUserPrivateSettings

sunPresence

sunPresenceAllowAccess

sunPresenceAllowPublish

sunPresenceAllowManage

sunPresenceDevices

sunPresencePrivacy

sunPresenceEntityDevices

sunPresenceUserPrivacy

Access Manager 管理コンソールでは、上表の各属性に対応するラベルが表示されます。次の 2 つの表は、属性、対応するラベル、簡単な説明を一覧にまとめたものです。表 6-4 はポリシー属性の一覧とその説明、表 6-5 は動的属性およびユーザー属性の一覧とその説明です。

表 6-4 Instant Messaging 用の Access Manager ポリシー属性 

ポリシー属性

管理コンソールのラベル

属性の説明

sunIMAllowChat

チャット

エンドユーザーは、チャットルームへの参加依頼を受信できるほか、通常のチャット機能にアクセスできます

sunIMAllowChatInvite

チャットに参加依頼

エンドユーザーは、チャットへの参加依頼をほかのユーザーに送信できます

sunIMAllowForumAccess

会議室に参加

Instant Messenger に「会議室」タブが表示され、エンドユーザーは会議室に参加できるようになります

sunIMAllowForumManage

会議室の管理

エンドユーザーは、会議室の作成、削除、および管理を行えます

sunIMAllowForumModerate

会議室のモデレート

エンドユーザーは会議のモデレータになれます

sunIMAllowAlertsAccess

アラートの受信

エンドユーザーは、ほかのユーザーからのアラートを受信できます

sunIMAllowAlertsSend

アラートの送信

エンドユーザーは、ほかのユーザーにアラートを送信できます

sunIMAllowNewsAccess

ニュースに加入

Instant Messenger に「ニュース」ボタンが表示され、エンドユーザーはこのボタンを使うと、ニュースメッセージを送受信するためにニュースチャネルを一覧表示できます

sunIMAllowNewsManage

ニュースチャネルの管理

エンドユーザーはニュースチャネルを管理できます (ニュースチャネルの作成、削除、権限割り当てを行える)

sunIMAllowFileTransfer

ファイルの交換

エンドユーザーは、アラート、チャット、ニュースの各メッセージに添付ファイルを追加できます

sunIMAllowContactListManage

連絡先の管理

エンドユーザーは自身の連絡先一覧を管理できます (ユーザーまたはグループの一覧への追加、一覧からの削除、一覧内のフォルダ名の変更を行える)

sunIMAllowUserSettings

Messenger 設定

Instant Messenger に「設定」ボタンが表示され、エンドユーザーはこのボタンを使うと、自身の Instant Messenger 設定を変更できます

sunIMAllowPollingAccess

調査の受信

エンドユーザーは、ほかのユーザーから調査メッセージを受信し、それらの調査に回答できます

sunIMAllowPollingSend

調査の送信

Instant Messenger に「調査」ボタンが表示され、エンドユーザーはこのボタンを使うと、調査メッセージをほかのユーザーに送信し、その回答を受信できます

sunPresenceAllowAccess

他人の Presence 情報にアクセス

エンドユーザーは、ほかのユーザーの Presence ステータスを監視できます。連絡先一覧には、連絡先が表示されるだけでなく、それらの連絡先の Presence ステータスの変更が反映されます (ステータスアイコンが変化する)

sunPresenceAllowPublish

Presence 情報の公開

エンドユーザーは、他人が監視する自分のステータス (オンライン、オフライン、取り込み中など) をクリックして選択できます

sunPresenceAllowManage

Presence 情報へのアクセスの管理

Instant Messenger の「設定」に「アクセス権」タブが表示され、エンドユーザーは、自身のデフォルトの Presence アクセス、Presence 許可リスト、Presence 拒否リストを設定できます

属性の直接変更

エンドユーザーは、Sun Java System Access Manager の管理コンソールにログインし、Instant Messaging サービスと Presence サービスの各属性値を参照できます。属性が変更可能として定義されていた場合、エンドユーザーはそれらの属性を変更できます。ただし、デフォルトでは、Instant Messaging サービス内の属性はすべて変更不可能になっており、エンドユーザーにそれらの変更を許可することも、あまりお勧めできません。とはいえ、システム管理の観点から、属性を直接変更したほうが便利なこともあります。

たとえば、「参加する会議室」など、いくつかのシステム属性ではロールの影響は存在しないため、システム管理者は、それらの属性の値を変更する際に、ほかのエンドユーザー (の会議名簿など) からそれらの属性をコピーしたり、それらの属性を直接変更したりします。これらの属性の一覧を、表 6-5 に示します。

表 6-5 を見ると、ユーザー属性は、エンドユーザーが Sun Java System Access Manager 管理コンソールを使って設定できます。動的属性は、管理者によって設定されます。動的属性に設定された値は、対応するユーザー属性の値を上書きするか、その値とマージされます。

対応する動的属性とユーザー属性の性質により、競合もしくは補完し合う情報がどのように解決されるかが決まります。たとえば、「参加する会議室」の 2 つのソース (動的属性およびユーザー属性) は互いに補完し合う関係にあるため、両者の情報はマージされます。いずれの属性も他方を上書きしません。

表 6-5 Instant Messaging 用の Access Manager ユーザー属性と動的属性 

管理コンソールのラベル

ユーザー属性

動的属性

属性の説明

競合の解決

Messenger 設定

sunIMUserProperties

sunIMProperties

Instant Messenger のすべてのプロパティが含まれます。ファイルを使用したユーザープロパティ機構における user.properties ファイルに対応しています

マージ: ただし、あるプロパティの値がユーザー属性、動的属性の両方に存在していた場合、動的属性の値が使用されます。

登録

sunIMUserRoster

sunIMRoster

登録情報が含まれます (ユーザーの連絡先一覧)

マージ: Jabber 識別子がユーザー属性と動的属性の両方に存在していた場合、ニックネームがユーザー属性から取得され、グループはユーザー属性と動的属性の両方のグループを結合したものとなり、登録値はユーザー属性と動的属性の値のうち最も大きい値が採用されます。

参加する会議室

sunIMUserConferenceRoster

sunIMConferenceRoster

会議室の参加情報が含まれます

マージ: 動的属性とユーザー属性の登録情報がマージされ、重複は削除されます。

ニュースチャネルへ登録

sunIMUserNewsRoster

sunIMNewsRoster

ニュースチャネルの登録情報が含まれます

マージ: 動的属性とユーザー属性の登録情報がマージされ、重複は削除されます。

Presence エージェント

sunPresenceEntityDevices

sunPresenceDevices

このリリースでは未使用です (将来使用予定)

動的属性の情報が使用されます。

プライバシー

sunPresenceUserPrivacy

sunPresencePrivacy

Instant Messenger におけるプライバシー設定に対応しています

マージ: 競合が発生した場合は動的値が使用されます。

Instant Messenger の設定

sunIMUserPrivateSettings

sunIMPrivateSettings

Messenger 設定に設定されていない非公開の設定が保存されます

マージ

Instant Messaging ポリシーと Presence ポリシーの事前定義サンプル

表 6-6 は、Instant Messaging サービスコンポーネントのインストール時に Sun Java System Access Manager 内に作成される、7 つのサンプルポリシーと 7 つのサンプルロール、およびその説明を一覧にまとめたものです。各エンドユーザーには、付与すべきアクセス権限に応じたロールを追加できます。

典型的なサイトでは、ロール「IM Regular User」 (デフォルトの Instant Messaging アクセス権と Presence アクセス権を取得するロール) を、Instant Messaging ポリシー管理の責務を負わない、Instant Messenger を単に使用するだけのエンドユーザーに割り当てます。また、その同じサイトで、ロール「IM Administrator」 (Instant Messaging サービスと Presence サービスの管理権限が関連付けられたロール) を、Instant Messaging ポリシー管理に対して完全な責務を負うエンドユーザーに割り当てます。表 6-7 は、ポリシー属性のデフォルトの権限割り当て一覧です。あるアクションがある規則内で選択されていない場合、この表の値 「許可」や「許可しない」は意味を持ちません。というのも、そのポリシーはその属性に影響しないからです。

表 6-6 Sun Java System Access Manager のデフォルトのポリシーとロール 

ポリシー

このポリシーが適用されるロール

このポリシーが適用されるサービス

ポリシーの説明

Default Instant Messaging and presence access

IM Regular User

sunIM、sunPresence

一般的な Instant Messaging エンドユーザーがデフォルトで備えるべきアクセス権です。

Ability to administer Instant Messaging and Presence Service

IM Administrator

sunIM、sunPresence

Instant Messaging 管理者が備えるアクセス権です。Instant Messaging のすべての機能にアクセスできます。

Ability to manage Instant Messaging news channels

IM News Administrator

sunIM

エンドユーザーは、ニュースチャネルの管理 (作成や削除など) を行えます。

Ability to manage Instant Messaging conference rooms

IM Conference Rooms Administrator

sunIM

エンドユーザーは、会議室の管理 (作成や削除など) を行えます。

Ability to change own Instant Messaging user settings

IM Allow User Settings Role

sunIM

エンドユーザーは、Instant Messenger の「設定」ボタンをクリックして設定を編集できます。

Ability to send Instant Messaging alerts

IM Allow Send Alerts Role

sunIM

エンドユーザーは、Instant Messenger でアラートを送信できます。

Ability to watch changes on other Instant Messaging end users

IM Allow Watch Changes Role

sunIM

エンドユーザーは、ほかの Instant Messaging エンドユーザーの Presence ステータスにアクセスできます。

表 6-7 デフォルトのポリシー割り当て 

 

ポリシー

属性

デフォルトのアクセス

Instant Messaging と Presence サービスの管理

ニュースチャネルの管理

会議室の管理

自身のエンドユーザー設定の変更

アラートの送信

ほかのユーザーの変更の監視

    sunIMAllowChat

許可

許可

 

 

 

 

 

    sunIMAllowChatInvite

許可

許可

 

 

 

 

 

    sunIMAllowForumAccess

許可

許可

 

許可

 

 

 

    sunIMAllowForumManage

許可しない

許可

 

許可

 

 

 

    sunIMAllowForumModerate

許可しない

許可

 

許可

 

 

 

    sunIMAllowAlertsAccess

許可

許可

 

 

 

許可

 

    sunIMAllowAlertsSend

許可

許可

 

 

 

許可

 

    sunIMAllowNewsAccess

許可

許可

許可

 

 

 

 

    sunIMAllowNewsManage

許可しない

許可

許可

 

 

 

 

    sunIMAllowFileTransfer

許可

許可

 

 

 

 

 

    sunIMAllowContactListManage

許可

許可

 

 

 

 

 

    sunIMAllowUserSettings

許可

許可

 

 

許可

 

 

    sunIMAllowPollingAccess

許可

許可

 

 

 

 

 

    sunIMAllowPollingSend

許可

許可

 

 

 

 

 

    sunPresenceAllowManage

許可

許可

 

 

 

 

 

    sunPresenceAllowAccess

許可

許可

 

 

 

 

許可

    sunPresenceAllowPublish

許可

許可

 

 

 

 

 

新しい Instant Messaging ポリシーの作成

サイトの特定の要求に応じて、新しいポリシーを作成できます。

新しいポリシーを作成する
  1. Access Manager の管理コンソール (http://hostname:port/amconsole、たとえば http://imserver.company22.example.com:80/amconsole) にログインします。
  2. 「アイデンティティ管理」タブが選択された状態で、ナビゲーション区画 (左下のフレーム) にある「表示」ドロップダウンリストから「ポリシー」を選択します。
  3. 「新規」をクリックします。データ区画 (右下のフレーム) に「新規ポリシー」ページが表示されます。
  4. 「ポリシータイプ」で「標準」を選択します。
  5. 「名前」フィールドにポリシーの説明 (「Ability to Perform IM Task」など) を入力します。
  6. 「了解」をクリックします。ナビゲーション区画のポリシー一覧に新しいポリシーの名前が表示され、データ区画のページが、新しいポリシーに対する「編集」ページに変わります。
  7. 「編集」ページの「表示」ドロップダウンリストから「ルール」を選択します。「編集」ページ内に「ルール名、サービス、リソース」パネルが表示されます。
  8. 「新規」をクリックします。「ルールを追加」ページが表示されます。
  9. 適用するサービス (「Instant Messaging サービス」、「Presence サービス」のいずれか) を選択します。
  10. 各サービスでは、エンドユーザーが特定のアクションを実行するのを許可または拒否できます。たとえば、「チャット」は Instant Messaging サービスに固有のアクションであり、「他人の Presence にアクセス」は Presence サービスに固有のアクションです。

  11. 「ルール名」フィールドに規則の説明 (「Rule 1」など) を入力します。
  12. 「リソース名」に適切な値 (IMResourcePresenceResource のいずれか) を入力します。
    • Instant Messaging サービスの場合は IMResource
    • Presence サービスの場合は PresenceResource
  13. 「アクション」で適用するアクションを選択します。
  14. 「値」で各アクションの値 (「許可する」、「許可しない」のいずれか) を選択します。
  15. 「作成」をクリックします。この規則案が、そのポリシーの保存規則一覧に表示されます。
  16. 「保存」をクリックします。この規則案が保存規則になります。
  17. そのポリシーに適用するすべての規則を作成し終えるまで、手順 8 〜 15 を繰り返します。新しい規則を作成するたびに、「保存」をクリックして変更内容をポリシーに保存してください。

ロール、グループ、組織、ユーザーへのポリシーの割り当て

ロール、グループ、組織、またはユーザーには、ポリシー (デフォルトの Instant Messaging ポリシーまたは Instant Messaging のインストール後に作成された Instant Messaging ポリシー) を割り当てることができます。

ポリシーを割り当てる
  1. Access Manager の管理コンソール (http://hostname:port/amconsole、たとえば http://imserver.company22.example.com:80/amconsole) にログインします。
  2. 「アイデンティティ管理」タブが選択された状態で、ナビゲーション区画 (左下のフレーム) にある「表示」ドロップダウンリストから「ポリシー」を選択します。
  3. 割り当てるポリシーの名前の横にある矢印をクリックします。そのポリシーに対する「編集」ページが、データ区画 (右下のフレーム) に表示されます。
  4. 「編集」ページの「表示」ドロップダウンリストから「サブジェクト」を選択します。
  5. 「追加」をクリックします。「サブジェクトを追加」ページが表示されます。このページには、次の利用可能なサブジェクトタイプが一覧表示されます。
    • Access Manager ロール
    • LDAP グループ
    • LDAP ロール
    • LDAP ユーザー
    • 組織
  6. このポリシーに合うサブジェクトタイプ (「組織」など) を選択します。
  7. 「次へ」をクリックします。
  8. 「名前」フィールドで、サブジェクトの説明を入力します。
  9. 必要であれば、「排他的」チェックボックスをオンにします。
  10. 「排他的」チェックボックスは、デフォルトでオフになっています。これは、このサブジェクトのすべてのメンバーにポリシーが適用されることを意味しています。

    「排他的」チェックボックスをオンにすると、このサブジェクトのメンバー以外のすべてのユーザーにポリシーが適用されます。

  11. 「利用可能」フィールドで、このサブジェクトに追加するエントリを検索します。
    1. 探したいエントリの検索条件を入力します。デフォルトの検索条件は「*」です。この場合、そのサブジェクトタイプのすべてのサブジェクトが表示されます。
    2. 「検索」をクリックします。
    3. 「利用可能」テキストボックス内で、「選択」テキストボックスに追加したいエントリを強調表示します。
    4. 「追加」、「すべて追加」のいずれか適切なほうをクリックします。
    5. 必要なすべての名前を「選択」テキストボックスに追加し終わるまで、手順 a 〜 d を繰り返します。
  12. 「作成」をクリックします。このサブジェクト案が、そのポリシーの保存サブジェクト一覧に表示されます。
  13. 「保存」をクリックします。このサブジェクト案が保存サブジェクトになります。
  14. このポリシーに追加するすべてのサブジェクトを作成し終えるまで、手順 5 〜 12 を繰り返します。新しいサブジェクトを作成するたびに、「保存」をクリックして変更内容をポリシーに保存してください。

Access Manager による新しいサブ組織の作成

Sun Java System Access Manager のサブ組織作成機能を使うと、組織的に独立した複数のユーザー群を、Instant Messaging Server 内に作成することができます。各サブ組織は、個別の DNS ドメインにマッピングすることが可能です。サブ組織内のエンドユーザーは、ほかのサブ組織内のエンドユーザーから完全に隔離されます。Instant Messagingの新しいサブ組織を作成するための最小限の手順を、以下に示します。

新しいサブ組織を作成する
  1. Access Manager の管理コンソール (http://hostname:port/amconsole、たとえば http://imserver.company22.example.com:80/amconsole) にログインします。
  2. 新しい組織を作成します。
    1. 「アイデンティティ管理」タブが選択された状態で、ナビゲーション区画 (左下のフレーム) にある「表示」ドロップダウンリストから「組織」を選択します。
    2. 「新規」をクリックします。データ区画 (右下のフレーム) に「新規組織」ページが表示されます。
    3. 次の情報を適切なフィールドに入力します。
      • サブ組織名 (sub1 など)
      • ドメイン名 (sub1.company22.example.com など)
    4. 「作成」をクリックします。
  3. 新しく作成されたサブ組織のサービスを登録します。
    1. ナビゲーション区画で、新しいサブ組織の名前 (sub1 など) をクリックします (ここでクリックするのは名前であり、その右側にあるプロパティ矢印ではない)。
    2. ナビゲーション区画の「表示」ドロップダウンリストから「サービス」を選択します。
    3. 「登録」をクリックします。「サービスを登録」ページがデータ区画に表示されます。
    4. 「認証」見出しの下にある次のサービスを選択します。
      • コア
      • LDAP
    5. Instant Messaging サービス」見出しの下にある次のサービスを選択します。
      • Instant Messaging サービス
      • Presence サービス
    6. 「登録」をクリックします。このサブ組織用に新しく選択されたサービスが、ナビゲーション区画に表示されます。
  4. 新しく選択されたサービスのサービステンプレートを作成します。
    1. ナビゲーション区画で、特定のサービスのプロパティ矢印をクリックします。まずは、「コア」サービスから始めます。
    2. データ区画に「サービステンプレートの作成」ページが表示されます。

    3. データ区画で「作成」をクリックします。すると、「サービステンプレートの作成」ページに代わって、選択したサービスのテンプレートオプションを含むページが表示されます。
    4. テンプレートオプションを変更しない場合でも、個々のサービスごとに「作成」をクリックする必要があります。

    5. 以下の手順に従って、各サービスのサービステンプレートのオプションを変更します。
      1. コア: 通常の場合、オプションを変更する必要はありません。そのまま手順 d に進んでください。
      2. LDAP : 新しいサブ組織のプレフィックスを、「ユーザー検索の開始 DN」フィールドに追加します。プレフィックス追加後の最終的な DN の形式は、次のようになります。
      3. o=sub1,dc=company22,dc=example,dc=com

        「root ユーザーバインドパスワード」、「root ユーザーバインドパスワード (確認)」の各フィールドに、LDAP パスワードを入力します。

        手順 d に進んでください。

      4. Instant Messaging サービス: 通常の場合、オプションを変更する必要はありません。そのまま手順 d に進んでください。
    6. 「保存」をクリックします。
    7. すべてのサービスのサービステンプレートを作成し終わるまで、手順 a 〜 d を繰り返します。

新しいサブ組織へのエンドユーザーの追加

サブ組織内に新しいエンドユーザーを作成し終わったら、次にそれらのエンドユーザーにロールを割り当てる必要があります。ロールは親組織から継承できます。その方法を以下で説明します。

エンドユーザーを新しいサブ組織に追加する
  1. 親組織に移動し、「表示」ドロップダウンリストから「ロール」を選択します。具体的な手順は、次のとおりです。
    1. Access Manager の管理コンソール (http://hostname:port/amconsole、たとえば http://imserver.company22.example.com:80/amconsole) にログインします。
    2. 「アイデンティティ管理」タブが選択された状態で、ナビゲーション区画 (左下のフレーム) にある「表示」ドロップダウンリストから「ロール」を選択します。
  2. 割り当てるロールの右側にあるプロパティ矢印をクリックします。そのロールに対するページが、データ区画 (右下のフレーム) に表示されます。
  3. データ区画の「表示」ドロップダウンリストから「ユーザー」を選択します。
  4. 「追加」をクリックします。「ユーザーを追加」ページが表示されます。
  5. ユーザーを特定するための検索パターンを入力します。たとえば、「UserId」フィールドにアスタリスク「*」を入力すると、すべてのユーザーが一覧表示されます。
  6. 「フィルタ」をクリックします。「ユーザーを選択」ページが表示されます。
  7. 「ユーザーを選択」ページで親パスを表示します。
    1. 「親パスを表示」チェックボックスをオンにします。
    2. 「更新」をクリックします。
  8. このロールを割り当てるユーザーを選択します。
  9. 「送信」をクリックします。


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