この章では、連文節または単文節かな漢字変換モードを選択して、漢字かな交じり文を作成する方法を説明します。自動かな漢字変換モードを選択した場合の作成方法については、「漢字かな交じり文の作成 (自動かな漢字変換の場合)」を参照してください。
表 3-1 各かな漢字変換モードの種類
かな漢字変換モード |
機能 |
---|---|
入力された文字列を 1 つまたは複数の文節に分けて変換する |
|
入力された文字列を 1 つの文節として変換する。 漢字の続く複合語 (住所・氏名・会社名・部署名など) を主に入力する場合に便利 |
|
自動かな漢字変換 |
入力された文字列を自動的に変換・確定する |
この章では、入力・変換の方法 (モード) を次のように設定したとして、操作方法を説明します。操作の際に利用する入力・変換方法 (モード) の詳細については、第 2 章「入力・変換方法 (モード) の選択」を参照してください。
設定項目 |
設定値 |
設定内容 |
---|---|---|
入力文字種 |
あ |
全角ひらがな |
漢字変換モード |
連文節 |
連文節かな漢字変換 |
漢字入力モード |
R漢 |
ローマ字入力 |
学習モード |
学習 ON |
辞書学習する |
上記モードの設定方法は次のとおりです。
【Shift + F10】キーを押します。
総メニューが表示されます。
各設定項目を次の表を利用して設定してください。
設定項目 |
設定方法 |
選択する項目 |
---|---|---|
入力文字種 |
「3.入力文字」 |
「あ」 |
漢字変換モード |
「1.変換モード」 |
「連文節」 |
漢字入力モード |
「2.入力モード」 |
「R漢」 |
学習モード |
「4.学習モード」 |
「学習 ON」 |
入力した文字は【スペース】キー、【変換】キー、または【Shift + スペース】キーで変換してから、【Return】キー、【確定】キー、または【↓】キーで確定します。変換した文字は、その文字以降に入力をすると自動的に確定されます。
入力文字種が A(ア) または A(ア) の場合、変換には【変換】キーまたは 【Shift + スペース】キーを使用してください。【スペース】キーを押すと空白文字が入力されます。
【Ctrl + M (モ)】キーは【Return】キー、【Ctrl + N (み)】キーは【↓】と同じように機能します。
この節では、「全文を入力してから変換する」場合と 「文節を入力するごとに変換する」場合に分けて操作手順を説明します。一度に変換する文字数を少なくすると変換精度は向上しますが変換操作数は多くなります。この節を参考にして、使い勝手や好みに応じて操作を行なってください。
全文を入力してから変換する場合の操作手順は次のとおりです。
全文を入力してから【スペース】キーを押します。
先頭の文節だけが反転表示された状態で全文が変換されます。
全文確定する場合は【Return】キーを、正しく変換された文節だけを確定する場合は、【↓】キーを押します。
【↓】キーで文節を 1 つずつ前から順に確定することを部分確定といいます。
「わたしはいしゃにいきました。」という文を入力してみましょう。
入力を間違えた文節がある場合や変換し直したい文節がある場合、1 文節ずつ確定します。入力を間違えた文節がある場合の例を以下に示します。
【スペース】キーを押します。
全文が変換されます。
【↓】キーでを押します。
初めの 1 文節「私は」が確定されます。
【↓】キーでをもう一度押します。
「医者に」が確定されます。
入力を間違えた文節で、【BackSpace】キーを押します。
その文節が入力可能状態に戻ります。
【←】キーで入力を間違えた箇所まで移動して、【Del】キーを押します。
入力を間違えた箇所が削除されます。
「し」を入力して、【スペース】キーを押します。
入力し直した文節が変換されます。
【Return】キー 、または【↓】キーを押します。
変換した内容が確定されます。
文節を入力するごとに変換する場合、文節を入力するごとに【スペース】キーを押してから次の文節を入力します。
「私は医者に行きました」という文を作成してみましょう。
「わたしは」を入力します。
【スペース】キーを押します。
「わたしは」が「私は」に変換されます。
「いしゃに」を入力します。
「私は」が自動的に確定されます。
【スペース】キーを押します。
「いしゃに」が「医者に」に変換されます。
「いきました。」を入力します。
「医者に」が自動的に確定されます。
【スペース】キーを 2 回押します。
候補一覧が表示されて、「いきました」が「行きました」に変換されます。
【Return】キーを押します。
「行きました」が確定されます。
同音異義語に変換されたり、文節の区切り方が適切でないために誤って変換されることがあります。この節では変換結果を修正する方法を説明します。
同音異義語に変換された場合、正しく変換された文節を【↓】キーで確定してから、同音異義語に変換された文節に反転カーソルを移動して、【スペース】キーで目的の文字に変換し直します。
「すばらしい公園だった。」を「すばらしい公演だった。」と修正してみましょう。
【↓】キーを押します。
「すばらしい」が確定されて、「公園だった」に反転カーソルが移動します。
【スペース】キーを押します。
変換候補が表示されます。
【スペース】キーを押して反転カーソルを「公演」に移動します。
番号で直接選択することもできます。
【Return】キーを押します。
「公演だった」が確定されます。
変換の修正作業に役立つ操作を紹介します。
正しく変換された文節を前から順に確定しなくても、【Shift + ←】キー、【Shift + →】キー、【Ctrl + ←】キー、【Ctrl + →】キーを押して修正したい文節に反転カーソルを移動することができます。修正したい箇所がいくつもあるような場合にこれらのキーを利用すると、文節の位置に関係なく修正できて便利です。詳細については、「修正したい文節に移動する (注目文節の移動)」を参照してください。
【スペース】キーを押して変換してから、【スペース】キーをもう一度押します。
反転部分の変換候補群が画面下部に表示されます。
必要に応じて【変換】キーまたは【Shift + 変換】キーを押して、変換候補群を次候補群または前候補群に切り替えます。
「残 <数字>」は反転候補よりあとに表示される残り候補の数を示します。
反転カーソルを目的の候補に移動して【Return】キーか【↓】キーを押すか、変換候補の番号を直接入力します。
選択した内容が確定されます。
反転カーソルは、【スペース】キーで次候補へ【↑】キーで前候補へ移動することができます。
文節の区切り方が原因で誤って変換された場合、次の手順で変換結果を修正します。
正しく変換された文節を【↓】キーで確定してから、区切りが適切でない文節に反転カーソルを移動します。
反転表示されている範囲が 1 文節とみなされます。
【←】キーまたは【→】キーで文節の区切りを修正してから、【スペース】キーで変換します。
文節の区切りを修正する場合、【Ctrl + K (の)】キーは【←】キーと、【Ctrl + L (り)】キーは【→】キーと同じように機能します。
「今日は医者へ行きました。」を「今日歯医者へ行きました。」と修正してみましょう。
間違えて入力した文字は、入力中・変換中・確定後のいつでも削除して入力し直すことができます。訂正方法については、第 5 章「入力の訂正」で入力中・変換中・確定後に分けて説明しています。必要に応じて参照してください。
この節では、変換時に便利な機能や間違えて確定した場合に有効な機能を説明します。
入力中や文節の区切り修正中に、未確定部分の先頭の 1 文字だけを【Shift + ↓】キーで確定する (1 音確定する) ことができます。1 音確定の機能は、文節の先頭の助詞を確定する場合などに利用します。変換中 (文節が反転されている場合) は、【BackSpace】キーで変換を取り消してから 1 音確定します。
「公園とは名ばかりの空き地」の「は」を 1 音確定してみましょう。
【BackSpace】キーを押します。
未確定文字列がひらがなに戻ります。
【Shift + ↓】キーを押します。(1音確定)
「は」が確定されます。
【スペース】キーを押します。
未確定文字列が変換されます。
次の表に示すキーを利用して、文節 (注目文節) を示す反転カーソルを別の未確定文節に移動することができます。
入力するキー |
機能 |
---|---|
【Shift + ←】キー |
左の文節へ移動する |
【Shift + →】キー |
右の文節へ移動する |
【Ctrl + ←】キー |
先頭文節へ移動する |
【Ctrl + →】キー |
最終文節へ移動する |
この機能を利用すると、修正したい箇所が複数ある場合に文節の位置に関係なくどの文節からでも修正できて便利です。
【Ctrl + BackSpace】キーを使用して、確定を取り消して確定前の状態に戻すこと (確定のアンドゥ) ができます。ただし、次の場合にはこの機能は利用できません。
確定作業のあとカーソルの移動や文字の入力をしている場合、確定のアンドゥはできません。
【Shift + ↓】キーで 1 音確定した文字のアンドゥはできません。
確定のアンドゥは、アプリケーションよって利用できない場合があります。 【Del】キーが 1 文字消去の機能を持たない場合も確定アンドゥは利用できません。
全文を確定した場合と部分確定した場合に分けて、確定をアンドゥする方法を説明します。
部分確定時、確定のアンドゥで戻れるのは 1 つ前の部分確定状態だけです。 注目文節を移動させて文節を一度に確定した場合は、最終文節まで移動した場合を除いて確定のアンドゥは利用できません。
【Shift + Ctrl + R (す)】キーを利用して、直前に確定した文字列を確定前の状態で再表示すること (確定のリピート) ができます。この機能は、【Return】キーを押したりカーソルを移動したりしたあとでも有効です。同じ言葉を連続して入力する場合に利用してください。
インストール時の標準キー設定ではこの機能は有効ではありません。第 10 章「環境のカスタマイズ」の環境設定ツールの使用法を参照して、「確定のリピート」を 【Shift + Ctrl + R (す)】に設定してください。
「村上洋子」という確定内容をリピートしてみましょう。
「むらかみようこ」と入力して【Return】キーを押します。
入力した内容が確定されます。
【Shift + Ctrl + R (す)】キーを押します。(確定のリピート)
カーソル位置の直前に確定した文字が入力されます。
反転表示されている変換中の文節の最初または最後の 1 文字を、確定して表示すること (1 文字確定) ができます。他の文字は表示されません。【PgUp】キーで最初の 1 文字を、【PgDn】キーで最後の 1 文字を確定することができます。この機能は、変わった読みをする漢字や名前、変換候補順が低く単独では変換しにくい漢字を入力したい場合に便利です。
1 音確定を利用して「希実子」と 入力してみましょう。
「きぼう」と入力して、【スペース】キーを押します。
「きぼう」が「希望」に変換されます。
【PgUp】キーを押します。
「希」が確定されます。
「このみ」と入力して【スペース】キーを押します。
「このみ」が「木の実」に変換されます。
【PgDn】キーを押します。
「実」が確定されます。
「こども」と入力して、【スペース】キーを押します。
「こども」が「子ども」に変換されます。
【PgUp】キーを押します。
「子」が確定されます。
読みが難しい JIS 第 2 水準漢字や記号 (括弧やマル記号・ギリシャ文字) を入力する手順は次のとおりです。
記号を一覧表示するには、「きごう」と入力してから【Shift + F6】キーまたは【Alt + スペース】キー [Solaris 共通デスクトップ 環境では、【Alt + スペース】 キーは、ウィンドウ・メニューのショートカットに 割り当てられているため、ATOK8 のこの機能は利用できません。【Shift + F6】キーを使用してください。] を押します。
「かっこ」、「まる」、「あるふぁ」でもそれぞれ該当する記号群が一覧表示されます。「がいじ」と入力してから 【Shift + F6】キーを押すと、外字コード領域の先頭が一覧表示されます。
JIS 第 2 水準漢字を一覧表示するには、漢字の持つ部首名 (付録 B 「部首等入力表」 を参照) を入力してから【Shift + F6】キーまたは【Alt + スペース】キー1を押します。(部首入力)
JIS 第 1 水準漢字を一覧表示するには、50 音 (あ、い、う...) を入力してから【Shift + F6】キーまたは【Alt + スペース】キー1を押します。
カーソルの移動方法については、表 3-2 を参照してください。
記号「◎」を入力してみましょう。
「まる」と入力してから【Shift + F6】キーを押します。
目的の漢字に反転カーソルを移動します。
移動方法については表 3-2を参照してください。
表 3-2 変換候補の表示方法
操作 |
機能 |
---|---|
【→】または【スペース】キーを押す |
次の候補へカーソル移動 |
【←】または【Shift + スペース】キーを押す |
前の候補へカーソル移動 |
【↓】または【変換】キーを押す |
次の 10 個の候補群を表示 |
【↑】または【Shift + 変換】キーを押す |
前の 10 個の候補群を表示 |
【Tab】キーを押す |
次の区 (コード番号の 100 番後) を表示 |
【Shift + Tab】キーを押す |
前の区 (コード番号の 100 番前) を表示 |
【Home】キーを押す |
JIS 非漢字の先頭を表示 |
【Shift + Home】キーを押す |
外字の先頭を表示 |
【Return】キーを押します。
画面上のカーソル位置に「◎」が入力されます。
「鰆」を部首入力をしてみましょう。
部首名を入力します。
【Shift + F6】キーまたは【Alt + スペース】キー [Solaris 共通デスクトップ 環境では、【Alt + スペース】 キーは、ウィンドウ・メニューのショートカットに 割り当てられているため、ATOK8 のこの機能は利用できません。【Shift + F6】キーを使用してください。] を押します。
画面下部に該当部首を持つ漢字・記号群が表示されます。
目的の漢字に反転カーソルを移動します。
移動方法については表 3-2 を参照してください。
【Return】キーを押します。
画面上のカーソル位置に「鰆」と入力されます。
JIS 第 2 水準漢字のように読みが難しい文字や、1 音確定しないと入力変換できない文字など、変換しにくい文字を辞書に登録すること (単語登録) ができます。この機能を利用すると通常の変換操作で変換できるようになります。登録方法の詳細については、第 9 章「辞書の管理」を参照してください。