Solaris ソフトウェアを正しくインストールするためには、明確な目的と作業内容の理解が必要です。特に、多数のシステムをインストールしなければならない場合にこのことが言えます。この章では、サイトで Solaris ソフトウェアをインストールする最良のインストール方法について説明します。たとえば、ネットワークを経由してシステムをインストールする方法や、インストール手順を自動化する方法などが解説されています。
ローカル CD-ROM からシステムをインストールする場合は、『Solaris 7 インストールの手引き』を参照してください。
Solaris ソフトウェアを実行する大規模のデスクトップシステムを管理する場合、すべてのシステムに Solaris ソフトウェアをインストールする代わりに、ご使用のシステムを Solstice AutoClientTM システムまたはディスクレスクライアントにしたい場合があります。AutoClient システムやディスクレスクライアントでは、そのローカルディスクに Solaris ソフトウェアはインストールされませんが、その代わりに Solaris ソフトウェアは OS サーバーによって提供されます。
AutoClient システムやディスクレスクライアントを使用すると、Solaris ソフトウェアのインストールを含むデスクトップシステムの設定や保守に係わる作業が減るため、システム管理の負担とコストが低減できます。また、これらのシステムの集中管理が可能となります。AutoClient システムやディスクレスクライアントに Solaris ソフトウェアが提供する OS サーバーをインストールするには、このマニュアルの手順に従ってください。
このようなシステムの使用に関する詳細は、『Solstice AdminSuite 2.3 管理者ガイド』を参照してください。
Solaris ソフトウェアをインストールしなければならないシステムには、次の 2 つのタイプがあります。
サーバー - ネットワークに接続されている他のシステムに各種のサービスや、ホームディレクトリやメールファイルといったファイルシステムなどを提供するシステムです。「OS サーバー」とは、ネットワーク上の他のシステムに Solaris ソフトウェアを提供するサーバーです。ディスクレスクライアントの場合は、/usr、ルート (/)、および swap ファイルシステムを OS サーバーが提供します。AutoClient システムの場合は、ローカルスワッピングとキャッシングに必要な個々のルート (/) および /usr ファイルシステムを除くすべてのシステムソフトウェアを OS サーバーが提供します。
スタンドアロンシステム - ローカルディスクにすべての Solaris ソフトウェアがインストールされていて、OS サーバーからのサービスを必要としないシステムです。ネットワークに接続されているシステムとネットワークに接続されていないシステムのいずれの場合も、Solaris オペレーティング環境でスタンドアロンシステムとなることができます。
Solaris ソフトウェアをインストールするには、次の 4 つの方法があります。
対話式 (Solaris Interactive Installation プログラム) - このプログラムは、Solaris ソフトウェアのインストール手順を順番に示します。このプログラムでは、製品に含まれているすべてのソフトウェア (Solaris ソフトウェアとその同梱ソフトウェア) をインストールするのではなく、Solaris ソフトウェアのインストールだけを行います。Solaris ソフトウェアをインストールした後で、同梱ソフトウェア用のインストールプログラムを使って、その他の同梱ソフトウェアをインストールする必要があります。
対話式 (Solaris Web Start) - Solaris Web Start では、Web ブラウザユーザーインタフェースを使って、製品に含まれているすべてのソフトウェア (Solaris ソフトウェアとその同梱ソフトウェア) を一度にインストールできます。デフォルトオプションを使ってすべてのソフトウェアをインストールすることも、カスタマイズオプションを使って必要なソフトウェアだけをインストールすることもできます。
カスタム JumpStart (以前は自動インストールと呼ばれていたもの) - この方法を使うと、いくつかのシステムを 1 つのグループとして自動的にかつ同時にインストールできます。この方法では、事前の準備をしないとシステムをインストールできませんが、大規模な企業サイトで Solaris ソフトウェアを自動的にインストールするためには、これが最もコスト効率のよい方法です。詳細は、第 8 章「カスタム JumpStart インストールの準備」を参照してください。
JumpStart - この方法を使うと、新しい SPARC 搭載システムに Solaris CD-ROM を挿入してシステムの電源を入れるだけで、そのシステムに Solaris ソフトウェアを自動的にインストールできます。インストールされるソフトウェアは、システムの機種とディスクサイズに基づいて選択されるデフォルトのプロファイルによって自動的に指定されます。したがって、インストールするソフトウェアを選択する必要はありません。
すべての新しい SPARC 搭載システムは、ブートディスクに JumpStart ソフトウェア (インストール済みブートイメージ) があらかじめインストールされています。したがって、システムでこの方法を使用するにはブートディスクが必要です。ただし、re-preinstall コマンドを使えば、既存のシステムに JumpStart ソフトウェアをインストールできます。
カスタム JumpStart インストールを使って新しいシステムをインストールする場合は、新しいシステムにすでにインストールされている JumpStart ソフトウェアを使用して、システムの電源を入れるとインストールを開始できます。ブートコマンドを指定する必要はありません。
Solaris ソフトウェアは CD-ROM で提供されるので、インストールするにはシステムが CD-ROM ドライブにアクセスできる必要があります。ただし、ローカル CD-ROM ドライブをもたないシステムがたくさんある場合や、どのシステムの CD-ROM ドライブにも Solaris CD を挿入したくない場合は、リモート Solaris CD イメージからインストールするようにシステムを設定できます。リモート Solaris CD イメージはインストールサーバーによって提供されなければならず、このサーバーはハードディスクに Solaris CD がコピーされているか、CD-ROM ドライブから Solaris CD がマウントされている必要があります。
ネットワーク上でシステムをインストールするときは、上記のすべてのインストール方法が使用できます。ただし大規模なサイトの場合は、カスタム JumpStart 方法を使ってネットワーク上でシステムをインストールすれば、インストール作業が集中化および自動化できるので便利です。
ユーザーの介入なしにネットワーク上でシステムに Solaris ソフトウェアをインストールするようにサイトを設定するには、あらかじめ次の作業を実行する必要があります。
各システムに対してネットワーク情報 (日付、時刻、地域、サイトサブネットマスク、使用言語など) をあらかじめ設定しておく必要があります。こうしておくと、インストール作業中にシステムを特定するためのプロンプトに毎回答える必要がなくなります。(詳細は、第 6 章「システム構成情報の事前設定」を参照してください。)
各システムにカスタム JumpStart ファイルを設定しておく必要があります。(詳細は、第 8 章「カスタム JumpStart インストールの準備」を参照してください。)
ネットワーク上でインストールするように、各システムを設定しておく必要があります。(詳細は、第 7 章「ネットワーク上で Solaris ソフトウェアをインストールする準備」を参照してください。)