ここでは、Solaris 操作環境を使用して、CD-ROM およびフロッピーディスク装置の情報を管理する方法を説明します。
ボリューム管理は、CD-ROM およびフロッピーディスクの管理を自動化するプログラムで、オペレーティングシステムの一部です。たとえば、これまでのリリースの Solaris (Solaris 2.1 以前) では、CD-ROM をマウントして、そのデータにアクセスするには、多くの管理作業を行う必要がありました (「自動マウントと手動マウントの比較」を参照)。
Solaris 操作環境では、ボリューム管理機能によって、CD-ROM とフロッピーディスクが、それぞれ /cdrom/CD-ROM_名と /floppy/フロッピー名というファイルシステムとして、自動的にマウントされます。また、ワークステーションの使用中にも CD-ROM とフロッピーディスクのファイルシステムの情報は保持されます (再起動すると、メモリー中のデータベースは消去されます)。ワークステーションの使用中に挿入された媒体を確認するには、以下のようにして /vol/dsk ディレクトリの内容を表示します。
% ls /vol/dsk ja_solaris7_suppcd unnamed_cdrom unnamed_floppy
ボリューム管理は、構成ファイル /etc/vold.conf を使用して、どのデバイスを管理するか判断します。デフォルトの /etc/vold.conf ファイルには、以下の内容が含まれています。
# @(#)vold.conf 1.13 92/10/28 SMI # # Volume Daemon Configuration file # # Database to use (must be first) db db_mem.so # Labels supported label dos label_dos.so floppy label cdrom label_cdrom.so cdrom label sun label_sun.so floppy # Devices to use use cdrom drive /dev/dsk/c0t6 dev_cdrom.so cdrom0 use floppy drive /dev/fd0 dev_floppy.so floppy0 # Actions insert /vol*/dev/fd[0-9]/* user=root /usr/sbin/rmm insert /vol*/dev/dsk/* user=root /usr/sbin/rmm eject /vol*/dev/fd[0-9]/* user=root /usr/sbin/rmm eject /vol*/dev/dsk/* user=root /usr/sbin/rmm notify /vol*/rdsk/* group=tty /usr/lib/vold/volmissing -c # List of file system types unsafe to eject unsafe ufs hsfs pcfs
システムに 2 台目の CD-ROM やフロッピーディスク装置を追加する前に、新しいデバイスを "Device to use" の一覧に加えて、/etc/vold.conf ファイルを変更します。"Device to use" エントリの構文は、以下のとおりです。
use デバイス タイプ 特殊ファイル名 共用オブジェクト 記号名 オプション
デバイス制御行の各可変項目の説明を、表 4-3 に示します。
表 4-3 デバイス制御構文の説明
構文 |
説明 |
使用可能な値とデフォルトの値 |
---|---|---|
デバイス |
使用する着脱式媒体デバイスの種類。 |
cdrom, diskette |
タイプ |
デバイスのクラス。 複数または単一媒体のサポート。 |
drive |
特殊ファイル名 |
使用するデバイスのパス名。 パスは、通常、/dev で始まります。 |
デフォルトで使用可能なデバイスは、/dev/dsk/c0t6 と /dev/diskette です。 |
共用オブジェクト |
デバイスを管理するプログラムの場所。 |
デフォルトの位置は、/usr/lib/vold/ 共用オブジェクト名です。 |
記号名 |
このデバイスの記号名。 記号名は、デバイスディレクトリ /cdrom または /floppy に置かれます。 |
既定値は、以下のとおりです。 cdrom0, floppy0 |
オプション |
挿入された媒体のユーザー、 グループ、モード。 |
既定値は、以下のとおりです。user=nobody, group=nobody, mode=0666 |
/etc/vold.conf ファイルを変更した後に、ドライブを接続して、再構成をするためにシステムを再起動します。
各モードでのシステムの起動についての詳細は、「周辺機器の接続後に起動する」を参照してください。
ボリューム管理は、パス名 /dev/dsk/c0t6d0s0 を介して CD-ROM ドライブを制御し、パス名 /dev/diskette を介してフロッピーディスクドライブを制御します。これらのパスを使用して CD-ROM またはフロッピーディスクにアクセスしようとすると、エラーメッセージが表示されます。
ボリューム管理についての詳細は、マニュアルページの (4) ファイル形式と『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
図 4-1 は、手動マウント (ボリューム管理なし) と自動マウント (ボリューム管理あり) の手順の比較です。以前は、CD-ROM やフロッピーディスクのマウントなどの作業を手動で行う必要がありました。ボリューム管理によって、ほとんどの作業が自動化されました。
CD-ROM とフロッピーディスクのファイルシステムは、媒体が挿入されると、ボリューム管理によってデフォルトの位置にマウントされます。詳細は、表 4-4 を参照してください。これらのマウント先は、ファイルシステムがディスク上にある場合にだけ作成されマウントされます。
表 4-4 CD-ROM およびフロッピーディスクのファイルシステムのマウントポイン
媒体の種類 |
マウント先 |
媒体の状態 |
---|---|---|
フロッピー ディスク |
/floppy/floppy0 |
ローカルのフロッピーディスクドライブのマウントされたフロッピーディスクへのシンボリックリンク |
/floppy/フロッピーディスク名 |
マウントされた名前付きフロッピーディスク |
|
|
/floppy/unnamed_floppy |
マウントされた名前なしフロッピーディスク |
CD-ROM |
/cdrom/cdrom0 |
ローカルの CD-ROM ドライブのマウントされた CD-ROM へのシンボリックリンク |
|
/cdrom/CD-ROM_名 |
マウントされた名前付き CD-ROM |
/cdrom/CD-ROM_名/パーティション |
マウントされた名前付き CD-ROM (パーティションあり) |
|
|
/cdrom/unnamed_cdrom |
マウントされた名前なし CD-ROM (パーティションあり) |
ファイルシステムが格納されているフロッピーディスクをドライブに挿入したことを、ボリューム管理に通知するには、volcheck(1) コマンドを使用します。fdformat(1) コマンドや eject(1) コマンドを使用する場合には、このコマンドを使用する必要はありません。
コマンドについての詳細は、マニュアルページの (1) ユーザーコマンドと『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
媒体にファイルシステムが存在しない場合には、ボリューム管理は/vol ファイルシステム内にブロック型デバイスと文字型デバイスを用意します。/vol ファイルシステムのフロッピーディスクと CD-ROM の媒体位置については、表 4-5 を参照してください。
すべてのリリースには、/vol/dev/aliases 内にシンボリックリンクがあります。
媒体の種類 |
デバイスの位置 |
媒体の状態 |
---|---|---|
フロッピー ディスク |
/vol/dev/diskette0/unnamed_floppy |
フォーマットされた名前なしフロッピーディスク (ブロック型デバイスアクセス) |
|
/vol/dev/rdiskette0/unnamed_floppy |
フォーマットされた名前なしフロッピ ーディスク (raw デバイスアクセス) |
|
/vol/dev/diskette0/unlabeled |
ラベルなしフロッピーディスク (ブロック型デバイスアクセス) |
|
/vol/dev/rdiskette0/unlabeled |
ラベルなしフロッピーディスク (raw デバイスアクセス) |
CD-ROM |
/vol/dev/dsk/c0t6/unnamed_cdrom |
CD-ROM (ブロック型デバイスアクセス) |
/vol/dev/rdsk/c0t6/unnamed_cdrom |
CD-ROM (raw デバイスアクセス) |
表 4-6 は、CD やフロッピーディスクを使用して行う作業を示しています。詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
表 4-6 CD およびフロッピーディスクの使用
媒体 |
作業 |
ファイルマネージャーでの利用 |
コマンド行による利用 |
---|---|---|---|
CD |
CD を読み込む |
○ |
○ |
CD の内容を調べる |
○ |
○ |
|
CD の情報をコピーする |
○ |
○ |
|
CD が使用中かどうか確認する |
○ |
||
CD取り出す | ○ |
○ |
|
他のシステムの CD ドライブにアクセスする |
○ |
||
ローカルの CD ドライブを他のシステムから使用可能にする |
○ |
||
|
音楽用 CD を再生するためにシステムを設定する |
○ |
|
ボリューム管理を停止する |
○ |
||
ボリューム管理を再起動する |
○ |
||
フロッピーディスク |
UFS フロッピーディスクをフォーマットする |
○ |
|
UFS ファイルシステムをフロッピーディスクに置く |
○ |
||
DOS 用フロッピーディスクをフォーマットする |
○ |
||
フロッピーディスクを読み込む |
○ |
○ |
|
フロッピーディスクの内容を調べる |
○ |
○ |
|
フロッピーディスクの情報をコピーまたは移動する |
○ |
○ |
|
データをフロッピーディスクにコピーまたは移動する |
○ |
○ |
|
フロッピーディスクがまだ使用中であるか確かめる |
○ |
||
フロッピーディスクを取り出す |
○ |
○ |
|
他のシステムのフロッピーディスクにアクセスする |
○ |
||
ローカルのフロッピーディスクドライブを他のシステムから使用可能にする |
○ |