NFS の管理

マスタマップ

auto_master マップでは、ディレクトリからマップへの関連付けを行います。これは、すべてのマップを指定するマスタリストであり、autofs が参照します。auto_master ファイルの内容の例を示します。

表 5-1 /etc/auto_master ファイルの例
# cat /etc/auto_master
# Master map for automounter
#
+auto_master
/net            -hosts          -nosuid,nobrowse
/home           auto_home       -nobrowse
/xfn            -xfn
/-              auto_direct     -ro
  

この例では、汎用の auto_master ファイルに auto_direct マップのための追加が行われています。マスタマップ /etc/auto_master の各行は、次の構文に従っています。

mount-point map-name [ mount-options ]

mount-point

mount-point はディレクトリのフル (絶対) パス名です。このディレクトリが存在しない場合、可能ならば autofs はこれを作成します。このディレクトリが存在し、しかも空ではない場合、マウントすることによってその内容が隠されます。この場合、autofs は警告を出します。

マウントポイントとして /- を指定すると、マップが直接マップであり、このマップ全体に関連付けられている特定のマウントポイントがないことを表します。

map-name

map-name 名は、位置に対する指示またはマウント情報を検出するために、autofs が使用するマップです。この名前がスラッシュ (/) で始まる場合、autofs はこの名前をローカルファイルとして解釈します。そうでない場合、autofs はネームサービススイッチ構成ファイルで指定される検索によりマウント情報を検索します。/net/xfn に対して使われる特殊なマップもあります (「マウントポイント /net「マウントポイント /xfn を参照してください)。

mount-options

mount-options は、オプションです。map-name のエントリに他のオプションがある場合を除き、map-name で指定されたエントリのマウントに適用されるオプションをカンマで区切って並べます。これらのマウントオプションは、標準の NFS マウント用のものと同じですが、bg (バックグラウンド) と fg (フォアグラウンド) は使用できません。mount を参照してください。具体的なファイルシステムごとのオプションについては、そのファイルシステムのマニュアルページで「mount」を参照してください (たとえば NFS 固有のマウントオプションについては、mount_nfs(1M))。NFS 固有のマウントポイントの場合、bg (バックグラウンド) オプションと fg (フォアグラウンド) オプションは適用されません。

# で始まる行はコメント行です。この場合、その行の最後まですべて無視されます。

長い行を短い行に分割するには、行末にバックスラッシュ (¥) を入力します。入力できる文字数の上限は 1024 です。

マウントポイント /home

マウントポイント /home は、/etc/auto_home (間接マップ) に記述されたエントリがマウントされるディレクトリです。


注 -

autofs はすべてのコンピュータで動作し、デフォルトでは /net/home (自動マウントされるホームディレクトリ) をサポートします。このデフォルトは、NIS ならば auto.master マップ、NIS+ ならば auto_master テーブルを使って、またはローカルの /etc/auto_master ファイルを編集することによって変更できます。


マウントポイント /net

autofs は、特別のマップ -hosts 内の全エントリをディレクトリ /net の下にマウントします。これは hosts データベースだけを使用する組み込みマップです。たとえば、コンピュータ gumbohosts データベース内にあり、しかもそのファイルシステムのどれかをエクスポートする場合、次のコマンドによって、カレントディレクトリがコンピュータ gumbo のルートディレクトリに変更されます。


%cd /net/gumbo

なお、autofs はホスト gumbo のエクスポートされたファイルシステムだけをマウントできます。つまり、ローカルディスク上のファイルシステムではなく、ネットワークユーザが使用できるサーバ上のファイルシステムです。したがって、gumbo にあるすべてのファイルとディレクトリは、/net/gumbo では利用できない場合があります。

/net を使ったアクセスでは、サーバ名はパスの中に指定されるため、位置に依存します。したがって、エクスポートされるファイルシステムを別のサーバに移動すると、そのパスは使えなくなります。このような場合は /net を使わずに、そのファイルシステムに対応するエントリをマップの中に設定します。


注 -

autofs はマウント時だけサーバのエクスポートリストを調べます。サーバのファイルシステムが一度マウントされると、そのファイルシステムがアンマウントされ、次にマウントされるまで autofs はそのサーバをチェックしません。したがって、新たにエクスポートされたファイルシステムは、それがサーバからアンマウントされ、再度マウントされるまでは見えません。


マウントポイント /xfn

このマウントポイントは、FNS 名前空間を使って共有されるリソースの autofs ディレクトリ構造がマウントされます (FNS について詳細は、『Solaris ネーミングの設定と構成』を参照してください)。