NIS+ への移行

ドメインの構造

NIS+ は、NIS を単にアップグレードするものではなく、NIS に置き換わるものとして設計されています。このことは、NIS+ のドメイン構造を調べると明らかです。NIS のドメインは平坦で、階層を持つことができません。これに対して、NIS+ のドメインは平坦な場合もありますが、階層構造のドメインを作成することもできます。この階層は、ルートドメインと、その下の任意の数のサブドメインから構成されます。

NIS のドメイン構造は、1980 年代に一般的であったクライアントとサーバー間のコンピューティングネットワークの管理の要件に対応したものでした。つまり、数百のクライアントと少数の多目的サーバーを持つ、クライアントとサーバー間のネットワークを対象としていました。

NIS+ が対象としているネットワークは、世界中のサイト内で、10〜100 台の専用サーバーによってサポートされる、100〜10000 台の複数のベンダ製のクライアントが接続されており、また、いくつかの「信頼性の低い」公衆ネットワークに接続されています。このようなネットワークの規模と構成を維持するには、新しい独立した管理方式が必要です。NIS+ のドメイン構造は、次の図に示すように、DNS のドメイン構造に似ています。

図 1-1 NIS+ のドメイン

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ドメインを階層構造にすると、規模の小さいものから非常に大きいものまで、広い範囲のネットワークに NIS+ を使用することができます。また、NIS+ のサービスを、組織の成長に対応させることもできます。NIS+ ドメインの構造の詳細については、『Solaris ネーミングの管理』を参照してください。