Solaris 移行ガイド

SVR4 と Solaris オペレーティング環境の比較

この節では、SVR4 と Solaris オペレーティング環境の主な違いについて説明します。Solaris オペレーティング環境で利用できて SVR4 で利用できない機能と、SVR4 で利用できて Solaris オペレーティング環境で利用できない機能を取り上げます。

Solaris オペレーティング環境で追加された機能

Solaris オペレーティング環境は、SVR4 ベースのオペレーティングシステムに、付加価値の高いコンポーネントを追加しています。これらはコンピュータ処理を容易にするとともに、ユーザ、システム管理者、開発者に新しい可能性を提供するものとなります。

一般的に、SVR4 に代表される既存のシステムや Solaris オペレーティング環境は、既存のアプリケーションとの互換性を維持しながら、機能を強化しています。この結果、削除する機能をわずかにとどめ、多くの機能やコマンドを追加しています。

ユーザ用の機能

Solaris オペレーティング環境に含まれる強力な DeskSet アプリケーションのセットは、ユーザ個人の生産性を高めます。DeskSet のアプリケーションすべては、ドラッグ&ドロップのインタフェースを採用しているため、ユーザはマウスを使用するだけで、UNIX の複雑なコマンドを実行することができます。特に重要な機能を次に示します。

システム管理者用の機能

システム管理者は Solaris オペレーティング環境のさまざまな新しいツールにより、分散コンピューティング環境を容易に管理することができます。システム管理者用の機能として次のものが挙げられます。

開発者用の機能

アプリケーション開発者は、Solaris オペレーティング環境に含まれるさまざまなツールキットと機能によって、グラフィカルユーザインタフェースを使用する複雑なアプリケーションを容易に開発することができます。

Solaris オペレーティング環境に含まれない SVR4 の機能

SVR4 の機能の一部が、Solaris オペレーティング環境ではサポートされていません。これらは、AT&T のハードウェアに固有の機能、または、主に SVR3 の機能との上位互換性を保つために用意されている機能であるため、SunOS ユーザにとってはあまり意味のないものです。

Solaris オペレーティング環境は、System V のファイルシステムと、それに関連するユーティリティを含んでいません。これらは、UNIX のファイルシステムに比べて、制約が大きいためです。SVR4 のブートファイルシステムも、従来の SunOS のブートモデルに比べると管理負担が大きいため、採用されていません。

デバイスの自動構成とカーネルの再構築を行う AT&T の SVR4 の一般的なモデルは、完全な動的構成が可能なカーネルに置き換えられています。このカーネルは、現在と将来の SPARC システムのユーザのニーズに応えることができます。

SPARC XENIX はインストールベースでは存在しないため、Solaris オペレーティング環境の SPARC 用リリースは、XENIX アプリケーションとの互換性を持っていません。

Solaris オペレーティング環境には、AT&T の sysadm ユーティリティは含まれません。sysadm メニューユーティリティは、主に独立したシステムの端末デバイスを対象として設計されているため、ネットワーク全体にわたる分散システムの処理を容易にするという視点からグラフィカルユーザインタフェースが採用されました。Solaris オペレーティング環境は、SVR4 の sysadm ユーティリティの基本的な部分を持つユーティリティや構成ディレクトリを提供していますが、sysadm ユーティリティ自体は提供していません。