ネットワーク上でのプリンタの定義は、より効率的な印刷環境をユーザーに提供するための継続的な作業です。この作業によって、たとえばユーザーがプリンタの位置を見つけやすいようにすべてのプリンタのパラメタを設定したり、プリンタのクラスを定義して印刷要求への応答時間を短縮したりできます。
lpadmin コマンドを使用すると、すべての印刷定義を設定できますが、Admintool を使用するとプリンタのインストールまたは変更時にその一部のみを設定できます。表 2-1 は、印刷定義と、その定義を Admintool で割り当てることができるかどうかを示しています。
表 2-1 Admintool で設定される印刷定義
印刷定義 |
Admintool で設定できるか |
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設定できる |
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設定できる |
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設定できる |
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設定できる |
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設定できる。ただし lpadmin コマンドより機能は少ない |
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設定できる。ただし lpadmin コマンドより機能は少ない |
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設定できる |
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設定できる。ただし lpadmin コマンドより機能は少ない |
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設定できる。ただし lpadmin コマンドより機能は少ない |
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設定できない |
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設定できない |
システムにプリンタを追加するときは、その「プリンタ名」を指定します。プリンタ名は、次の規則に従ってください。
管理ドメイン内のすべてのプリンタ間で一意であること
最大 14 文字までの英数字 (ハイフンと下線も含む) であること
覚えやすく、プリンタのタイプ、場所、印刷サーバー名などを識別できること
サイトに合った命名規則を設定してください。たとえば、ネットワーク上で異なるタイプのプリンタを使用する場合は、プリンタ名の一部にプリンタタイプを含めると、ユーザーは適切なプリンタを選択しやすくなります。たとえば、PostScript プリンタは文字 PS で識別できます。ただし、サイトのプリンタがすべて PostScript プリンタである場合は、PS というイニシャルをプリンタ名の一部として含める必要はありません。
lpadmin -D コマンドまたは Admintool を使用すると、プリンタに説明を割り当てることができます。プリンタに割り当てる説明には、ユーザーがプリンタを識別できるような情報を含める必要があります。プリンタが設置されている部屋番号、プリンタのタイプやメーカー、印刷に問題がある場合に連絡する担当者名などを含めることができます。
次のコマンドでプリンタの説明を調べることができます。
$ lpstat -D -p printer-name
プリンタのインストール時、またはその設定を後から変更するときに、lpadmin -p printer-name -v device-name コマンドまたは Admintool を使用して、プリンタの接続先となるデバイス、つまり「プリンタポート」を指定できます。
ほとんどのシステムが、2 つのシリアルポートと 1 つのパラレルポートを持っています。システムにポートを追加しないかぎり、3 台以上のシリアルプリンタおよび 2 台以上のパラレルプリンタを接続できません。
Admintool を使用すると、/dev/term/a または /dev/term/b を選択するか、「その他 (Other)」を選択して印刷サーバーで認識されるポート名を指定できます。これらのオプションには、lpadmin コマンドと同じ柔軟性があります。
LP 印刷サービスは、標準プリンタインタフェースプログラムからの設定を使用してプリンタポートを初期設定します。プリンタインタフェースプログラムの詳細は、「印刷フィルタの管理」を参照してください。デフォルト設定で機能しないパラレルプリンタやシリアルプリンタがある場合は、「プリンタポート特性の調整」のポート設定をカスタマイズする方法を参照してください。
x86 搭載システムで複数のポートを使用している場合、デフォルトでは最初のポートだけが有効です。2 番目以降のポートはデフォルトでは無効です。複数のポートを使用するためには、追加の asy (シリアル) ポートや lp (パラレル) ポートごとに、デバイスドライバのポート構成ファイルを手作業で編集しなければなりません。x86 ポート構成ファイルのパスは、次のとおりです。
/platform/i86pc/kernel/drv/asy.conf
/platform/i86pc/kernel/drv/lp.conf
x86 システムのシリアルポートとパラレルポートを構成する方法については、『Solaris 7 インストールライブラリ (Intel 版)』を参照してください。
プリンタタイプとは、プリンタの種類を表す一般名です。プリンタタイプは、プリンタの様々な制御シーケンスが入っている terminfo データベースエントリを識別します。通常、プリンタタイプはメーカーのモデル名からとります。たとえば、DECwriter のプリンタタイプ名は decwriter です。ただし、共通プリンタタイプ PS はこの規則に従いません。PS は LaserWriter I や LaserWriterII プリンタなど、多くの PostScript プリンタモデルのプリンタタイプとして使用されます。
lpadmin -T コマンドまたは Admintool を使用すると、プリンタタイプを指定できます。Admintool では、プリンタのインストール時にのみプリンタタイプを指定できます。既存のプリンタのタイプを変更したい場合は、Admintool を使用してそのプリンタを削除してインストールし直さなければなりません。既存のプリンタ以外の場合、lpadmin コマンドによりプリンタタイプを変更します。
Admintool を使用すると、メニューからプリンタタイプを選択するか、「その他 (Other)」を選択して terminfo データベース内でプリンタタイプを指定できます。この方法には、lpadmin コマンドと同じ機能があります。
各プリンタタイプに関する情報は、terminfo データベース (/usr/share/lib/terminfo) に格納されています。この情報には、プリンタの機能と初期設定制御データが含まれます。インストールするプリンタは、terminfo データベース内のエントリに対応していなければなりません。
$ pwd /usr/share/lib/terminfo $ ls 1 4 7 A M a d g j m p s u x 2 5 8 B P b e h k n q t v y 3 6 9 H S c f i l o r ti w z $
各サブディレクトリには、端末またはプリンタに関してコンパイル済みのデータベースエントリが入っています。各エントリは、プリンタまたは端末のタイプの頭文字別に編成されています。たとえば、Epson プリンタがある場合は、/usr/share/lib/terminfo/e 内を探すと、Epson プリンタの特定のモデルが見つかります。
$ cd /usr/share/lib/terminfo/e $ ls emots ep2500+high ep48 ergo4000 exidy2500 env230 ep2500+low epson250 esprit envision230 ep40 epson2500-80 ethernet ep2500+basic ep4000 epson2500-h ex3000 ep2500+color ep4080 epson2500-hi8 exidy $
上記のように、Epson プリンタのエントリがあります。
NEC プリンタがある場合は、/usr/share/lib/terminfo/n ディレクトリ内を探すと、使用中の NEC プリンタモデルが見つかります。
$ cd /usr/share/lib/terminfo/n $ ls ncr7900 ncr7901 netty-Tabs newhpkeyboard ncr7900-na nec netty-vi nuc ncr7900i net network nucterm ncr7900i-na netronics netx ncr7900iv netty newhp $
上記のように、このディレクトリには、NEC のエントリが含まれています。