TCP/IP とデータ通信

仮想ネットワークの構成

仮想ネットワークは、それぞれ離れた場所にあるいくつかのスタンドアロンコンピュータを、互いに PPP マルチポイントリンクで接続したものです。仮想ネットワークの概念については、「仮想ネットワーク」で紹介しました。この節では、仮想ネットワークを構成する方法について説明します。

図 11-2 仮想ネットワーク例

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図 11-2 に示すネットワークは、3 つの単独コンピュータで構成されています。ネットワークの各メンバーは、マルチポイント PPP リンクを介して他のメンバーに接続しています。したがって、このようなネットワークを作成するには、ネットワーク管理者 (そしておそらくリモートロケーションの他のネットワーク管理者) は、関与する各ホストでマルチポイント PPP リンクを構成する必要があります。

マルチポイントリンクの構成には、マルチポイントダイヤルインサーバーの場合と同じ一般的な手順を用います。この手順については、「構成プロセスの概要」に説明があります。ただし、仮想ネットワークには独自の必要条件がいくつかあり、それに従ってネットワーク内の各ホストを構成する必要があります。

仮想ネットワークの場合のアドレス指定に関する必要事項

仮想ネットワーク内の各マシンについて、/etc/hosts ファイルにホスト情報を追加する必要があります。PPP エンドポイント用に使用する IP アドレスを入力するときは、次の規則に従ってください。

hosts データベースと networks データベースの更新

最初に行う手順としては、仮想ネットワークに関する情報によって、hosts データベースと networks データベースを更新します。

仮想ネットワークの場合の /etc/inet/hosts ファイル

各マシンの /etc/inet/hosts ファイルには、このホストからアクセスできるすべてのネットワークメンバーに関するアドレス指定情報が含まれている必要があります。たとえば、図 11-2 に示したネットワーク内の各ホストは、次のような情報を持っている必要があります。

# Internet host table
#
127.0.0.1           localhost	loghost
192.41.47.15        nomada
192.41.47.20        nomadb
192.41.47.12        nomadc

仮想ネットワークの場合の /etc/inet/networks ファイル

仮想ネットワークは一意な IP アドレスを必要とするので、このアドレスを networks データベースに入力する必要があります。たとえば、図 11-2 に示したネットワークの番号は 192.41.47 です。さらに、このネットワーク上のホストが他のネットワークと通信する必要がある場合は、このネットワークを InterNIC のアドレス指定機関に登録する必要があります。networks データベースの編集方法については、第 4 章「ネットワーク上での TCP/IP の構成」を参照してください。

仮想ネットワーク上の各ホストは、ネットワークのアドレスが入ったエントリを、/etc/inet/networks ファイル中に持っている必要があります。たとえば、ネットワーク 192.41.47 の各ホストは、/etc/inet/networks の中に次のようなエントリを持っている必要があります。


# Internet networks
#
# arpanet   10          arpa
# ucb-ether 46          ucbether
#
# local networks
loopback    127
ppp         192.41.47   #remote sales offices

その他のファイルの構成

次に行う手順としては、UUCP データベース、/etc/passwd ファイル、/etc/shadow ファイルを編集します。仮想ネットワーク内のマシンについてこれらのファイルを編集する方法は、マルチポイントダイヤルインサーバー構成の場合と同じです。UUCP 関係の情報については、「UUCP データベースの編集」を、passwd ファイルについては、/etc/passwd ファイルの修正」を参照してください。

仮想ネットワークの場合の asppp.cf 構成ファイル

仮想ネットワーク上のローカルマシン用の構成ファイルには、そのネットワーク内にあってローカルホストからアクセスできるすべてのリモートホストに関する情報が含まれている必要があります。さらに、仮想ネットワーク上のマシンは、どれもダイヤルインとダイヤルアウトの両方の機能を備えたものとして構成されていなければなりません。ローカルホストマシンがブートされると、リンクマネージャは asppp.cf ファイルを読んで通信を確立します。

例 11-2 は、仮想ネットワーク 192.41.47 の nomada 用として設定した構成ファイルです。


例 11-2 nomada 用の構成ファイル


# /etc/asppp.cf for hosta
 
ifconfig ipd0 plumb nomada netmask + up
defaults
   interface ipd0
path
   peer_ip_address  nomadb
   peer_system_name lawrence	   	# name machine logs in with
path
   peer_ip_address nomadc
   peer_system_name azziz

例 11-3 は、仮想ネットワーク 192.41.47 の nomadb 用として設定した構成ファイルです。


例 11-3 nomadb 用の構成ファイル


# /etc/asppp.cf for nomadb
 
ifconfig ipd0 plumb nomadb netmask + up
defaults
   interface ipd0
path
   peer_ip_address   nomada
   peer_system_name  tamerlane  # name the machine logs in with
path
   peer_ip_address   nomadc
   peer_system_name  azziz