TCP/IP とデータ通信

マルチポイントダイヤルインサーバーの構成ファイル

マルチポイントダイヤルインサーバーの asppp.cf ファイルの場合も、基本的なセクションはポイントツーポイントリンクの場合と同じで、1 個の ifconfig セクションと、少なくとも 1 つの path セクションのほかに、必要に応じて指定する defaults セクションがあります。

例 9-2 は、図 9-1 に示したダイヤルインサーバー nubian の構成ファイルです。


例 9-2 マルチポイントダイヤルインサーバーの構成ファイル

ifconfig ipd0 plumb nubian-ppp up

path
   interface ipd0
   peer_system_name tamerlane  # The user name this remote
                               # machine logs in with when it
                               # dials this server
   	peer_ip_address nomada
                               # nomada is a remote machine that
                               # dials in to this server

# nomadb is another remote machine that dials in to nubian

path
   interface ipd0
   peer_system_name lawrence
   peer_ip_address nomadb

# nomadc is another remote machine that dials in to nubian

path
   interface ipd0
   peer_system_name azziz
   peer_ip_address nomadc

マルチポイントダイヤルインサーバーの ifconfig セクション

マルチポイントダイヤルインサーバーの場合の ifconfig セクションは、ポイントツーポイントリンクの場合とはやや構文が異なります。構文は次のとおりです。

ifconfig ipdn plumb server-name up

最も大きな相違点は、ifconfig への引数として宛先エンドポイントを指定しないという点です。代わりに、リンクマネージャは、asppp.cf ファイルの path セクションからこの情報を拾いだします。

例 9-2 では、リンクマネージャは、まずダイヤルインサーバーで ifconfig コマンドを実行して、マルチポイントインタフェース ipd0 を構成します。ipd0 の中の 0 は、インタフェースのデバイス番号を示します。plumb オプションは、IP が ipd0 インタフェースを認識するために必要な各種の操作を行います。ifconfig オプション up は、ipd0 インタフェースに "up" のマークを付けます。


注 -

サブネットを使用する場合は、ifconfig 行に netmask + パラメータの指定が必要になります。


マルチポイントダイヤルインサーバーの path セクション

asppp.cf ファイルの path セクションは、リモートエンドポイントの名前と、エンドポイントマシンをリンクするインタフェースの名前を、リンクマネージャに指示します。ただし、マルチポイントダイヤルインサーバーでは、複数の path セクションを設けることができます。また、キーワードへの引数のいくつかは、マルチポイントリンクでは使い方が異なります。

path
    interface interface-number
    peer_system_name endpoint-username
    peer_ip_address endpoint-hostname

path セクションは、ダイヤルインサーバーが接続を確立する相手となる各可搬エンドポイントについて、1 つずつ定義する必要があります。

interface キーワード

マルチポイントダイヤルインサーバーの場合は、interface キーワードは PPP インタフェース ipdn を定義します。このインタフェースを介してサーバーと通信するすべてのエンドポイントについて、同じ PPP インタフェースを path セクションに指定する必要があります。

peer_system_name キーワード

ダイヤルインマシンの場合の peer_system_name キーワードは、ダイヤルアウトマシンの場合と引数が少々異なります。ダイヤルインサーバーの場合は、この引数は、リモートホストがサーバーとの通信を確立しようとするときに使用するログイン名です。このユーザー名は、すでにサーバーの /etc/passwd ファイル内に存在しているものでなければなりません。ログインサービスは、この名前を読み取ると、/etc/passwd ファイルと /etc/shadow ファイルの中のユーザー名とを検証して、通信を可能にします。

次に示す、例 9-2 の抜粋を見てください。


path
    interface ipd0
    peer_system_name scarlett
    peer_ip_address nomadc

ここでは、peer_system_name への引数は scarlett です。これは、nomadcnubian-ppp にログインするときに、scarlett というログイン名を使用することを示しています。

peer_ip_address キーワード

peer_ip_address キーワードは、マルチポイントリンクの場合は必須です。このキーワードは、引数としてリモートエンドポイントのホスト名または IP アドレスを受け取ります。上記の例では、peer_ip_address キーワードの引数はホスト名 nomads です。

その他のキーワード

asppp.cf ファイルには、上記以外にもエンドポイントマシンによる通信の方法を定義するためのキーワードがいくつかあります。これらのキーワードについては、第 11 章「PPP リンクの調整」に詳しい説明があります。