ToolTalk セッションの開始
ToolTalk サーバーとの通信を開始する際に、ToolTalk のメッセージサーバー ttsession は自動的に起動します。メッセージの送受信の前に、このバックグラウンドプロセスが実行中でなければなりません。各メッセージサーバーは、セッションを 1 つずつ定義します。
注 - 1 つのセッションは、複数のセッション識別子を持つことができます。
セッションを手入力で開始するには、次のようにコマンドを入力します。
ttsession [-a level][-d display][-spStvh][-{-E|X}][-c command]
ttsession コマンド行のオプションについては、表 2-1 を参照してください。
表 2-1
ttsession コマンド行のオプション
引数
|
説明
|
-a level
|
サーバー認証レベルを設定する。
レベルは、unix、gss、または des でなければならない
|
-d display
|
指定されたディスプレイの X セッションの開始を ttsession に指示する。
通常、ttsession は $DISPLAY 環境変数を使用する
|
-h
|
ttsession の呼び出し方法と終了方法についてヘルプを出力する
|
-p
|
新しい ttsession を開始して、そのセッション ID を出力する
|
-S
|
ttsession に、そのセッションを管理するために、バックグラウンドインスタンスをフォークしないように指示する
|
-o
allow_unaut_types_ load=<yes|no>
|
デフォルトでは、ToolTalk API の tt_session_types_load(3) への呼び出しは、TT_ERR_ACCESS では失敗する。システム全体のデフォルト値は、ttsession_file(4) で変更できる。このオプションを使用した特定の ttsession を変更できるのは、ttsession_file(4) がセッションごとの変更をこのオプションに「固定」されていない場合のみ
|
-s
|
サイレント操作を可能にする。警告メッセージは出力されない
|
-N
|
開いているファイル記述の制限値を引き上げることによって、このセッションに接続可能なクライアント数を最大限にする。使用可能なファイル記述子の正確な数は、システムによって異なる。Solaris 2.6 オペレーティング環境およびその互換バージョンでは、ttsession は常にクライアント数を最大にするので、このオプションを指定する必要はない
|
-t
|
トレースモードを設定する。ttsession 実行中にトレースモードが設定されると、コンソール上にメッセージが表示される。
トレースモードは、メッセージが添付または送信される様子を確認したい場合に設定する。ttsession コマンドによって最初に確認された時のメッセージの状態を表示する。また、与えられたプロセスへのメッセージの送信の試行も、成功した場合には表示する。
トレースモードの設定と解除を切り替えるには、USR1 シグナルを使用する
|
-v
|
バージョン番号を出力して終了する
|
-E
|
分類機構データベースからタイプを読み取る。このオプションは使用不可 (現在の ToolTalk サービスは XDR 形式のデータベースを使用している)
|
-X
|
$TTHOME/.tt/types.xdr と /etc/tt/types.xdr 内の XDR 形式のデータベースからタイプを読み取る。このオプションはデフォルト設定
|
-c command
|
プロセスのツリーセッションを開始して与えられたコマンドを実行する。
特別な環境変数 TT_SESSION が本セッション名に設定される。この環境変数で開始されたプロセスは、デフォルト状態で本セッションに含まれる。
このオプションは、コマンド行の最後で指定しなければならない。コマンド行の -c オプションの後に置かれた文字は、すべて実行するコマンドと解釈される。
commandを省略すると $SHELL の値が代わりに使用される
|
注 -
-c、-d、または -p オプションのどれも指定しない場合、ttsession は、$DISPLAY
環境変数で指定したディスプレイの X セッションを開始します。
ttsession は、次の 2 つのシグナルに応答します。
バックグラウンドおよびバッチセッション
バッチセッション内または文字端末に確立したセッション内で、アプリケーションをバックグラウンドジョブとして実行する場合は、このアプリケーションを自身のセッションとして実行します。アプリケーショ ンを自身のセッションで実行するには、次のように ttsession コマンドで -c パラメタを使用します。
ttsession -c [command-to-non-in-batch]
|
このコマンドは、ユーザーのアプリケーションを実行できるシェルをフォークします。
注 -
-c パラメタは、コマンド行上の最後のオプションでなければなりません。コマンド行上の -c パラメタの後に置かれる文字は、実行コマンドと見なされます。
X Window System
X Window System でセッションを確立するには、ttsession を引数なし ($DISPLAY
環境変数からディスプレイ設定をとる) で実行するか、次のようにディスプレイを -d パラメタ付きで指定します。
ttsession -d :0
ttsession が呼び出されると、すぐにフォークして親コピーが終了します。セッションを管理するプロセスは、バックグラウンドで実行されます。セッションはプロパティとして登録され、画面 0 のルートウィンドウ上で TT_SESSION
によって命名されます。ホスト番号とポート番号が指定され、セッションを管理するプロセスとの通信に使用されます。
ttsession の検出
X ディスプレイのセッションの sessid を表示するには、次のように入力します。
xprop -root | grep TT_SESSION