Solaris 7 デバイスの構成 (Intel 版)

第 1 章 デバイスの構成

この章では、Intel 版 Solaris 7 の Device Configuration Assistant (構成用補助) ソフトウェアとメーカーのデバイス構成媒体を使用する方法と構成時の問題を解決する方法について説明します。 次の章ではデバイス参照情報を記載し、デバイスが Solaris オペレーティング環境で動作するように x86 システムを構成する方法を説明します。

問題の発見と解決

Intel 版 Solaris 7 の Device Configuration Assistant (構成用補助) ソフトウェアを使用して、各デバイスとそのデバイスが使用しているリソースを特定してください。問題がある場合は、デバイス名とリソース名を指定して、Device Configuration Assistant (構成用補助) がその情報を Solaris カーネルに渡せるようにしてください。

ISA デバイス

ISA デバイスの検出時にシステムがハングアップするか、リセットされる場合は、次の 3 つの作業を行なって、デバイス検出が最後まで行われるようにしてください。これらの作業については、後述の節で順に説明します。

既存のデバイスの問題を発見する

  1. メーカーのマニュアルと後述のデバイス参照情報ページを読み、デバイスが正しく構成されていて、システムの他のデバイスと衝突していないことを確認します。

  2. フロッピーディスクドライブに Intel 版 Solaris 7 の Device Configuration Assistant (構成用補助) フロッピーディスクを挿入して、システムをリブートします。

  3. 「Specific Scan」を選択して、自動的に検出されるデバイスを確認します。

  4. ハングアップの原因となっていると思われるデバイスを選択し、検出を開始します。

    • ハングアップしない場合、問題はデバイスを検出した順番にあると思われます。手順 5 に進んでください。

    • ハングアップする場合は、ハードウェアの衝突が原因と考えられます。そのデバイスがマシンに実際に存在することを確認し、インストールされているすべてのハードウェアについて、メーカーのマニュアルを参照して、衝突を起こしていないかどうか調べてください。次の「リソースの衝突を発見して解決する」の節に進んでください。

  5. システムの残りの各デバイスについても検出を行います。

    ハングアップの原因がソフトウェアによるプルーブ時の衝突の場合は、全デバイスの検出で使用したのとは異なる順番で各デバイスの検出を行うことによってハングアップを回避できることがあります。

  6. 検出に成功した場合は、「Boot Solaris」メニューに進み、システムのブートに使用するデバイスを選択します。

    • CD-ROM からブートまたはインストールする場合は、「CD」を選択します。

    • 使用マシンが netinstall クライアントとして登録されていて、ネットワークを使用してブートまたはインストールする場合は、「NET」を選択します。

    • マシン内蔵のハードディスクから起動する場合は、「DISK」を選択します。

  7. ブートして Solaris ソフトウェアをインストールします。

リソースの衝突を発見して解決する

  1. フロッピーディスクドライブに Intel 版 Solaris 7 の Device Configuration Assistant (構成用補助) フロッピーディスクを挿入して、システムをリブートします。

  2. 「Specific Scan」を選択して、自動的に検出されるデバイスを確認します。

  3. 初期ハングアップの原因となっていない各デバイスを検出します。

  4. 「Device Tasks」メニューに戻って「View/Edit Devices」を選択し、デバイス一覧を表示して、問題のデバイスが他のデバイスと衝突していないかどうか調べます。


    注 -

    デバイス検出機能がハードウェア衝突の影響を受けている場合、この方法では、デバイスの構成を正しく調べられないことがあります。


    • ジャンパとスイッチの設定を必要とするデバイスの衝突の場合は、システムの電源を切って、手作業で問題のデバイスの構成を変更してください。構成の変更を終えたら、システムの電源を入れて、Device Configuration Assistant (構成用補助) フロッピーディスクで起動し、手順 5 に進みます。

    • メーカーの構成 (セットアップ) ユーティリティを使用して構成を行う必要があるデバイスの場合は、次の作業を行います。

    1. Device Configuration Assistant (構成用補助) フロッピーディスクをドライブから取り出します。

    2. メーカー提供の構成ユーティリティフロッピーディスクを挿入します。

    3. デバイスの構成を変更します。

    4. 構成ユーティリティフロッピーディスクを取り出します。

    5. Device Configuration Assistant (構成用補助) フロッピーディスクを挿入して、手順 5 に進みます。

      衝突が見つからない場合は、この後の「手作業でデバイス情報を入力する」の手順 2 に進みます。システムをリブートする必要はありません。

  5. 「Specific Devices」を選択します。

  6. 検出に成功した場合は、「Boot Solaris」メニューに進み、システムのブートに使用するデバイスを選択します。

    • CD-ROM からブートまたはインストールする場合は、「CD」を選択します。

    • 使用マシンが netinstall クライアントとして登録されていて、ネットワークを使用してブートまたはインストールする場合は、「NET」を選択します。

    • マシン内蔵のハードディスクからブートする場合は、「DISK」を選択します。

  7. Solarisソフトウェアをブートして、インストールします。

手作業でデバイス情報を入力する

  1. フロッピーディスクドライブに Intel 版 Solaris 7 の Device Configuration Assistant (構成用補助) フロッピーディスクを挿入して、システムをリブートします。

  2. 選択的に検出することによって他のすべてのデバイスが検出された場合は、「Device Tasks」メニューから「View/Edit Devices」を選択して、手作業で問題のデバイスの名前を追加します。

    通常、衝突があれば警告が表示されます。

  3. 検出に成功した場合は、「Boot Solaris」メニューに進み、システムのブートに使用するデバイスを選択します。

    • CD-ROM からブートまたはインストールする場合は、「CD」を選択します。

    • 使用マシンが netinstall クライアントとして登録されていて、ネットワークを使用してブートまたはインストールする場合は、「NET」を選択します。

    • マシン内蔵のハードディスクから起動する場合は、「DISK」を選択します。

  4. Solaris ソフトウェアをブートして、インストールします。


    注 -

    「Boot Solaris」メニューに進もうとしたときにデバイスが再びハングアップするか、デバイスが機能しない場合は、ご購入先にお問い合わせください。


PC カードデバイス

PC カード周辺装置はホットプラグに対応しており、ソフトウェアによって自動的に構成されます。このため、PCカードデバイスは、ブートプロセス中や Solaris オペレーティング環境の実行後いつでも挿入することができます。

目的

作業内容

2 つのソケットを持つアダプタを使用するのに必要な IRQ (割り込み要求) があるかどうかを調べる 

デバイスの 2 つのソケットを両方使用するには、3 つの IRQ が必要です。アダプタ用に 1 つ、ソケットに挿入するデバイス用にそれぞれ 1 つです。 

手順例 - IRQ の割り当て

  1. リソースの使用状況を調べられるよう、フロッピーディスクドライブに Device Configuration Assistant (構成用補助) フロッピーディスクを挿入して、システムを起動します。

  2. 「Device Tasks」メニューから「View/Edit Devices」を選択して、デバイス一覧を表示し、使用中の IRQ 数を確認します。

    0 から 15 までの 16 個の IRQ があり、そのうちのいくつかはすでに割り当てが決まっています。たとえば、IRQ3 は 2 つ目のシリアルポート (COM2) 用に予約されています。

  3. システムに COM2 ポートがあっても使用していない場合は、ポートを削除して、その IRQ を PC カード用に解放します。

    1. IRQ3 を使用しているシリアルポートデバイスを選択し、「Delete Device」を選択します。

    2. 「Continue」を選択して、「Device Tasks」メニューに戻ります。

    3. 構成情報を保存します。

  4. 「Boot Solaris」メニューに進み、システムのブートに使用するデバイスを選択します。

    • CD-ROM からブートまたはインストールする場合は、「CD」を選択します。

    • 使用マシンが netinstall クライアントとして登録されていて、ネットワークを使用してブートまたはインストールする場合は、「NET」を選択します。

    • マシン内蔵のハードディスクからブートする場合は、「DISK」を選択します。

  5. Solarisソフトウェアをブートして、インストールします。

認識されないデバイス

目的

作業内容

Device Configuration Assistant (構成用補助) ソフトウェアが既知の ISA または EISA デバイスを認識できるようにする 

認識されないデバイス用として選択されたアドレスが、他のシステムデバイスに割り当てられている可能性があります。EISA 構成ユーティリティを使用して、認識されないデバイスのアドレス情報 (衝突しないアドレス) を入力してください。Device Configuration Assistant (構成用補助) は、この情報を使用して Solaris 環境用のデバイスを検出します。 

 

手順例 - ISA または EISA デバイスの検出

ISA または EISA アダプタ用のパラメタを構成するには、メーカーの提供する EISA 構成ユーティリティ (ECU) を使用します。このユーティリティは、ISA または EISA ボードを追加、取り外し、または別のバススロットに移し換えるたびに実行する必要があります。ECU の機能は標準化されていますが、メーカーによって実装方法が異なり、それぞれ独自のユーザーインタフェース画面またはメニューを提供しています。

  1. DOS をブートします。


    注 -

    ボードメーカーが提供する ECU を使用して、ハードウェアの構成を行う前に、そのユーティリティディスクのバックアップを取ってください。


  2. 構成する ISA または EISA 増設アダプタに付属している EISA 構成ユーティリティフロッピーディスクに含まれている .cfg および .ovl 構成ファイルをシステムの EISA 構成ユーティリティフロッピーディスクにコピーします。

  3. ECU を実行します。

    ECU のプログラム名は CF.EXE または CFG.EXE です。

  4. 各デバイス用の構成パラメタを設定します。

  5. アダプタには、ECU を使用して設定できる特殊な動作モードを持つものがあります。

    特定の設定条件については、デバイス参照情報ページを参照してください。

自動ブート

目的

作業内容

自動ブートに失敗したマシンを回復する 

自動ブートを有効にして COM1 と COM2 をループバックシリアルケーブルで接続している場合は、eeprom コマンドを使用して、eeprom com1-noprobe true または eeprom com2-noprobe true に設定します。

 

メーカーが提供する構成プログラムの使用方法

EISA マシンにおける ISA カード

目的

作業内容

EISA マシンに ISA デバイスを追加する 

マシンに付属している EISA 構成ユーティリティ (ECU) を実行して、システムが新しい ISA カードとそのカードが使用するリソースを認識するようにします。 

プラグ & プレイ対応の ISA デバイスの自動検出

目的

作業内容

プラグ & プレイモードと従来のモードを切り換える 

スイッチを設定してプラグ & プレイモードに切り換え、システムにデバイスを接続します。デバイスは、ソフトウェアによって自動的に構成されます。 

PCI デバイス

目的

作業内容

PCI デバイスへの IRQ 割り当てを制御する 

システムのチップセット構成で、PCI バスを使用するための IRQ が有効になっているかどうかを確認します。ISA デバイスが使用している IRQ を調べて、使用されていない IRQ からできるだけ多くの IRQ を PCI デバイスに割り当て、PCI バスコントローラがデバイス衝突を解決できるようにします。 

Compaq ProLiant 5000 PCI ネットワークカードがリアルモード動作時に不明な割り込みによりネットブートできない場合に回復する。現在までのところ、PCI ネットワークカードが IRQ5 を使用する場合だけ、異常終了する 

Compaq System Configuration ユーティリティを使用して、PCI ネットワークカードの割り当て済みの IRQ を別の空いている IRQ に変更し、その構成を保存します。 

システム BIOS

目的

作業内容

システム BIOS を使用して、デバイスの設定を変更する 

システムの BIOS 設定機能にアクセスする方法とその機能については、メーカーが提供するマニュアルを参照してください。 

システムメモリーに American Megatrends, Inc. (AMI) の BIOS 用のキャッシュ可能な領域を設定する 

最高の性能が得られるよう、キャッシュ可能な領域は、システムに実装されているメモリーの総容量と同じに大きさにします。 

 

ビデオディスプレイ装置、モニター、キーボード、ポインティングデバイスの構成

kdmconfig プログラムを使用して、CDE またはその他ウィンドウシステムの実行に必要なビデオディスプレイ装置、モニター、キーボード、ポインティングデバイスを特定します。

目的

作業内容

認識されないビデオディスプレイ装置を手作業で構成する 

ハードウェアの制約あるいは BIOS の不適切な情報のためにビデオディスプレイ装置を正しく構成できない場合は、kdmconfig ソフトウェアを使用して手作業でデバイスを設定します。

ビデオディスプレイ装置の構成を確認する 

デバイスの設定終了後にサンプル表示を調べ、構成に問題がなければ Yes をクリックします。表示に問題がある場合は No をクリックするか、あるいはボタンをクリックできない場合は、kdmconfig ソフトウェアを使用してデバイスのパラメタを変更し、サンプル表示に問題がないよう設定します。

イーサネットデバイスの構成

全二重設定

イーサネットアダプタと、その接続相手になるデバイス (ハブ、スイッチ、またはクロスケーブルで接続される別のネットワークアダプタなど) は、同じ全二重設定で動作しなければなりません。

コネクタの種類

デバイス参照情報ページでは、サポートされるコネクタの種類を適宜示しています。特に指定がない限り、すべてのネットワークデバイスは 10 Mbps でのみ動作するとみなします。ネットワークデバイスがサポートするネットワークコネクタと媒体を次に示します。

コネクタ 

サポートされる媒体 

説明 

速度 

RJ-45 

10BASE-T 

カテゴリ-3 より対線ケーブル 

10 Mbps 

RJ-45 

100BASE-TX 

カテゴリ-5 より対線ケーブル 

100 Mbps 

BNC 

10BASE2 

同軸ケーブル (Thin イーサネットケーブル) 

10 Mbps 

AUI 

10BASE5 

シールドより対線ケーブル (Thick イーサネットケーブル) 

10 Mbps 

100 Mbps イーサネット性能

一部の PCI マザーボードには、100 Mbps Fast Ethernet をサポートできない DMA チップセットが含まれます。Solaris 環境では、低速のチップセットを含むシステム上での 100 Mbps の PCI ネットワーク動作をサポートしません。この問題は PCI カードだけに影響します。

次のチップセットではこの問題が発生することがわかっています。

次のチップセットではこの問題は発生しません。

特に、dnetiprb、および elx ドライバによってサポートされる PCI カードは、この問題が起こるチップセットを持つマシンでは性能が低下します。このようなマシンで 100 Mbps の動作が必要な場合、PCI 以外のイーサネットコントローラを使用するのが最善の方法です。ieef ドライバ (より大きな FIFO を持つ) がサポートする PCI カードが十分に機能することもあります。特定のマシン上での性能が、目的に十分合っているかどうかを調べる必要があります。

インストール後の構成

ネットワークカードの交換

既存のネットワークカード、ネットワークドライバ を異なる別のカードと交換 (たとえば、3Com EtherLink III (elx) を SMC WD8013 (smc) に交換) した場合は、起動後すぐに、/etc/hostname.olddriver0ファイルの名前を /etc/hostname.newdriver0 に変更してください。


注 -

ハードウェアを追加、取り外し、または交換したときは、必ず Device Configuration Assistant (構成用補助) ソフトウェアを実行してください。


たとえば 3Com EtherLink III カードを SMC WD8013 カードに交換するには、スーパーユーザーで次のコマンドを実行します。

# mv /etc/hostname.elx0 /etc/hostname.smc0

その後、再構成ブートを実行して、設定の変更を有効にします。

# touch /reconfigure
# reboot