gemtest は、Sun Gigabit Ethernet SBus および PCI バスアダプタの動作を検査します。gemtest はループバック (外部/内部) モードで動作します。このテストを行うには、nettest と同時に行われないように手動で選択する必要があります。障害の特定という点で、gemtest は nettest より優れています。
gemtest のテストを実行するにはネットワークへの接続は必要ありませんが、Gigabit Ethernet カードと ge デバイスドライバが設置済みであること、ループバックコネクタが正しい位置に取り付けられていること、intervention モードが有効になっていること、以上の条件を満たしている必要があります。gemtest は Sun GigabitEthernet アダプタのネットワークインタフェース構成の状態には依存していませんが、誤ったメッセージの出力を防止するために、コマンド ifconfig (詳細は ifconfig(1M) のマニュアルページを参照してください) を使用して、インタフェースを停止させておいてください。
gemtest は、DLPI RAW モードを使用してデバイスドライバに接続します。このテストでは、パケットは、Ethernet ヘッダーに続く Ethernet データ搭載部と定義されます (IEEE 802.3z を参照)。gemtest は、要求された個数のパケット (調整可能なパラメタ) を生成、送信し、ループバックインタフェース (外部または内部) を介して、同じ数のパケットを受信しようとします。パケット数の不一致または時間切れなどのエラーが発生した場合、SunVTS コンソールには、そのエラーの種類と考えられる原因、対処方法を示すエラーメッセージが表示されます。
送信データは乱数ジェネレータによって生成され、データバッファーに書き込まれます。送信するパケットをデータバッファーから選択開始する位置は、その都度異なりますから、連続する 2 つの送信パケット が同じになることはありません。
nettest と gemtest を同時に実行しないでください。
gemtest を実行するには、Sun Gigabit Ethernet カードにループバックコネクタを接続しておく必要があります。ネットワークインタフェースを生きたネットワークに接続されているときに gemtest を実行することはできません。ただし、リンクは動作中である必要があります。ループバックコネクタは、ネットワークインタフェースドライバを生きたネットワークから切り離した状態で、テストに必要なリンクを提供します。ループバックコネクタは、内部および外部テストのどちらにも必要です。 ループバックケーブルの仕様は、マルチモード、全二重、62.5/125 ミクロン、sc コネクタ、850nm となっています。標準の光ファイバケーブルを縦に 2 つ裂くことによっても、これと同じ仕様のケーブルを作成できます。ループを形成するには、ケーブルの両端はそれぞれ、アダプタの TX ポートおよび RX ポートに接続してください (接続順序は問いません)。
gemtest のテストパラメタについては、表 18-1 を参照してください。
表 18-1 gemtest のオプション
オプション |
説明 |
---|---|
Configuration |
テスト中のシステムのポートアドレス、ホスト ID、ドメイン名を示します。 |
Total Packets |
送信する総パケット数を指定します。デフォルトは 1000 個です。 |
Packet size |
送信するパケットのサイズを指定します (単位: バイト)。範囲は 60〜1514 バイトです。デフォルトのサイズは 1000 バイトです。 |
Loopback |
外部または内部ループバックモードのいずれかを選択します。デフォルトは内部ループバックモードです。 |
Print_Warning |
警告メッセージの出力を有効または無効にします。デフォルトは Disable (無効) です。 |
Processor Affinity |
特定のプロセスにテストを結合します。プロセッサが指定されなかった場合、テストはプロセッサ間を移動します。このオプションは、マルチプロセッサシステムでのみ使用することができます。 |
gemtest は、オフラインの機能テストモードでのみ実行できます。テスト対象のデバイスによってホストがネットワークに接続されていないことが前提となります。
gemtest の実行にはループバックコネクタが必要なので、このテストを選択できるのは intervention モードが有効な時のみとなります。
/opt/SUNWvts/bin/gemtest 標準引数 -o dev=デバイス名,tpkts=n,pksz=パケットサイズ,lb=Internal,warn=Disable
表 18-2 gemtest のコマンド行構文
引数 |
説明 |
---|---|
dev=デバイス名 |
テストするデバイスを指定します (例: ge0)。 |
tpkts=n |
1〜100000 の範囲でループバックさせるパケット数を指定します。 |
pksz=パケットサイズ |
60〜1514 の範囲でパケットサイズを指定します (単位: バイト)。 |
lb=Internal |
内部または外部ループバックモードのいずれかを選択します。デフォルトは Internal です。 |
warn=Disable |
警告メッセージの出力を有効または無効にします。 |
64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。
|
エラーメッセージ |
考えられる原因 |
対処方法 |
---|---|---|---|
6000 | Timed out for receiving pkt 数値 |
カードが正しく取り付けられていないか、ドライバが正しく設定されていません。 |
ドライバを設定するか、カードを装着し直してください。ループバックコネクタが取り付けられているか確認してください。エラーがなくならない場合は、購入先に問い合わせてください。 |
6001 | system error |
システムがメモリー不足になっている可能性があります。 |
動作中のプロセスを減らすか、システムメモリーを増設してください。 |
6002 | Data mismatch between transmitted and received pkt data |
リンクが失われたか、CRC エラーか、整列エラー |
エラーが頻繁に発生する場合は、カードを交換するか、購入先に問い合わせてください。 |
8000 |
デバイスのエラーメッセージ |
カードが取り付けられていません。 |
カードが取り付けられているか確認してください。 |
8001 | Memory allocation failure |
システムのメモリー不足です。 |
動作中のプロセスを減らしてください。システムメモリーを増設してください。 |
8002 | No card found |
カードが見つかりません。 |
カードを取り付けてください。 |
8003 | Failed to get the link up |
ループバックコネクタが接続されていません。 |
ループバックコネクタの障害。 ループバックコネクタを調べて、必要ならば、交換してください。エラーがなくならない場合は、購入先に問い合わせてください。 |
8004 | Transmit failed エラー |
STREAMS がこれ以上のデータを受け付けることができません。 |
STREAMS メモリーが不足していることが考えられます。 システムの負荷を小さくしてください。 |
8005 | Receive failed, error for pkt 数値 |
|
テストをやり直してください。問題がなくならない場合は、システムエラーです。購入先に問い合わせてください。 |
8006 |
DLPI error for device 文字列 |
geX に不正なインスタンス番号 X が指定されています。 |
正しいインスタンス番号を指定してください。 |