Solaris ネーミングの設定と構成

NIS+ クライアントマシンの設定

ルートマスターサーバーのテーブルがファイルまたは NIS マップから生成されると、NIS+ クライアントマシンを初期設定できます。ルートマスターサーバーは自分のドメインの NIS+ クライアントであるため、ルートマスターサーバーのこれ以上の初期化は必要ありません。この節では、nisclient スクリプトを使用して、デフォルトの設定で NIS+ クライアントを初期設定する方法を説明します。


注 -

「新しいクライアントマシンを初期設定する方法」で使用する -i オプションでは、DNS を使用してホスト名を検索するような NIS+ クライアントを構成しません。管理者は、明確にクライアントのネームサービススイッチファイルに DNS を指定する必要があります。DNS によるホスト名の検索については、『Solaris ネーミングの管理』およびこのマニュアルの第 1 章「ネームサービススイッチの設定」を参照してください。


nisclient(1M) を実行するための前提条件

nisclient スクリプトを使用するには、次の条件が必要です。

必要な情報

次の情報が必要です。

新しいクライアントマシンを初期設定する方法

  1. DES 認証を使用する場合には、オプションで、Diffie-Hellman キー長を指定します。

    マスターサーバー上で以下を入力します。


    nisauthconf

    クライアントマシン上で nisauthconf コマンドを実行するときは、上記コマンドの出力を引数として使用します。たとえば、マスターサーバー上で nisauthconf を実行すると


    dh640dh-0 des

    と出力される場合には、クライアントマシン上で次のコマンドを入力します。


    nisauthconf dh640dh-0 des
  2. 次のコマンドを入力して、新しいクライアントマシン上で新しいクライアントを初期設定します。

    -i オプションはクライアントを初期設定します。-d オプションは新しい NIS+ ドメイン名を指定します。ドメイン名が指定されない場合、そのデフォルトは現在のドメイン名となります。-h オプションは NIS+ サーバーのホスト名を指定します。


    client1# nisclient -i -d doc.com. -h master1
    Initializing client client1 for domain "doc.com.".
    Once initialization is done, you will need to reboot your machine.
    Do you want to continue? (type 'y' to continue, 'n' to exit this script)
  3. y を入力します。

    n を入力するとスクリプトが終了します。クライアントの /etc/hosts ファイルにルートサーバーのエントリがない場合、スクリプトはルートサーバーの IP アドレスの入力を指示します。


    Do you want to continue? (type 'y' to continue, 'n' to exit this script)
    y
    Type server master1's IP address:
  4. 正しい IP アドレスを入力して、Return キーを押します。

    この例では、アドレス 123.123.123.123 を使用します。


    Type server master1's IP address: 123.123.123.123
    setting up the domain information...
    setting up the name service switch information...
    At the prompt below, type the network password (also known as the 
    Secure-RPC password) that you obtained either from your administrator or 
    from running the nispopulate script.
     Please enter the Secure-RPC password for root:
  5. Secure RPC パスワード (ネットワークパスワード) がルートのログインパスワードと異なる場合のみ、Secure RPC パスワードを入力します。

    この例では、デフォルトの nisplus を使用します。

    パスワードは画面に表示されません。入力を誤った場合、正しいパスワードを入力するよう要求されます。2 回目も入力を誤った場合、スクリプトが終了し、前回のネットワークサービスが復元されます。この場合、スクリプトを再度実行してください。


    Please enter the login password for root:
  6. このクライアントマシンの root パスワードを入力します。

    パスワードは画面に表示されません。ネットワークパスワードと root のログインパスワードが同じ場合、root のログインパスワードの入力要求はありません。

    root パスワードを入力すると、このマシンの資格が変更されます。ここで、このマシンでは RPC パスワードと root パスワードが同じになります。


    Please enter the login password for root:
    Wrote secret key into /etc/.rootkey
    Your network password has been changed to your login one.
    Your network and login passwords are now the same.
    Client initialization completed!!
    Please reboot your machine for changes to take effect.
  7. クライアントマシンを再起動します。

    ここで行なった変更は、マシンを再起動すると有効になります。

    以上の手順により、この NIS+ クライアントマシンのユーザーを NIS+ ドメインに追加できるようになりました。

クライアントマシンの追加作成

これまでに説明したクライアントの初期設定手順を、必要な各マシンで繰り返します。ほかのドメインのクライアントを初期設定するには、ドメイン名とマスターサーバー名を適宜変更して、上記の手順を繰り返します。

この章で説明する NIS+ ドメインのサンプルでは、ドメイン doc.com 内の 4 台のクライアントを初期設定すると想定しています。そして、このうち 2 台のクライアントを非ルート (ルート以外の) NIS+ サーバーとして構成し、3 番目のクライアントを doc.com ドメインのルートマスターサーバーのルート複製サーバーとして構成します。


注 -

システムをサーバーにするには、システムをどの種類のサーバーにするにしても、事前にシステムを親ドメインのクライアントにしておく必要があります。