Solaris 7 MU4 のパッチは、セットとしてインストール時にパッチの検査を行なっているため、安定性を最大限にするためバックアウト時もセットで使用してください。パッチのどれかを削除する必要がある場合は、Solaris 7 MU4 のインストール時に install_mu の -d オプションを使用しないでください。
個々のパッチをバックアウトする手順は、それぞれのパッチのディレクトリにあります。パッチのディレクトリは $ROOTDIR/var/sadm/patch/ にあります。
install_mu の -d オプションを使用した場合、MU 全体をバックアウトすることはできません。
システムがディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient システムとサービス領域を共有する場合は、システムに MU4 をインストールした後、そのサービス領域を使用しているクライアントごとに -R オプションを付けて backout_mu を実行する必要があります。この操作を行わないと、パッチが正しくバックアウトされず、クライアントが不安定になります。
MU4 をバックアウトする前にシステムをシングルユーザーモードでリブートするのが最善の方法です。マルチユーザーの状態で MU4 をインストールすると、すでにマップされているライブラリのセクションとマップされていないそのライブラリのセクション間に不一致が起こり、そのライブラリは不安定な状態になります。
シングルユーザーモードでは、ネットワークサービスは使用できません。MU4 イメージが CD 上ではなくネットワーク上にある場合、シングルユーザーモードでシステムをブートする前に MU4イメージをネットワークからローカルシステムにコピーしなければなりません。
十分なローカルディスク容量がないため MU4 イメージをローカルにコピーできない場合や MU4 CD がないまたはつながっていない場合、あるいはシステムをシングルユーザーモードにできない場合には、マルチユーザーモードで NFS を使用して MU4 をインストールすることになります。この場合、システムをできるだけ静かな状態 (つまり、ユーザーがすべてログアウトし、実行されているジョブがない状態) にしておく必要があります。
MU4 が提供する backout_mu スクリプトを使用すると、MU 全体をバックアウトできます。Solaris 7 MU4 をバックアウトするには、次の手順に従います。
重要なユーザープロセスまたはシステムプロセスが実行されていないことを確認します。
現在のセッションを終了します。
CDE ログイン画面が表示されます。
「オプション」ボタンをクリックして、「コマンド行ログイン」を選択します。
ログインプロンプトが表示されます。
ログイン名として root と入力し、root のパスワードを入力します。
login: root password: root password |
シングルユーザーモードでリブートします。root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# reboot -- -s |
shutdown または init コマンドで実行レベルをマルチユーザーモードからシングルユーザーモードへ変更すると、vold プロセスが実行されたままになることがあります。この状態で MU4 CD をマウントしようとすると、問題が発生することがあります。
root のパスワードを入力します。
システムが次のメッセージを表示し、システム保守モードになっていることを確認します。
Entering System Maintenance Mode Sun Microsystems Inc. SunOS 5.7 Generic October 1998 # |
special patch をバックアウトする必要があるかどうかを確認します。
「special patch のインストール」の手順に従って special patch をインストールしていない場合は、手順 8 に進んでバックアウトを完了します。
「special patch のインストール」の手順に従って special patch をインストールしている場合は、パッチごとに次のコマンドを入力して、special patch をバックアウトする必要があります。
# patchrm patch_id |
patch_id は special patch の ID です。
backout_mu コマンドを実行するメディアを確認します。
MU4 CD をマウントするには、CD をドライブに挿入し、root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# mount -o ro -F hsfs /dev/dsk/c0t6d0s0 /cdrom |
CD-ROM ドライブが c0 以外のコントローラにあるか、t6 以外のターゲットにあることがあります。この場合は CD-ROM デバイスへのパスを変更する必要があります。CD-ROM ドライブのマウントについては、システム管理者に問い合わせてください。
backout_mu を実行します。
MU4 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory # ./backout_mu any desired options |
MU4 CD から実行するには、次のように入力します。
# cd /cdrom # ./backout_mu any desired options |
オプション |
説明 |
---|---|
-T tooldir |
パッチツールディレクトリの位置を指定する |
-q |
backout_mu 処理中を示すドット表示を無効にする |
-B backoutdir |
パッチが保存されている代替ディレクトリを指定する |
-R rootdir |
代替ルートディレクトリを指定する |
-S servicedir |
代替サービス領域を指定する |
バックアウトが完了すると、次のメッセージが表示されます。
backout_mu completed successfully. |
このメッセージが表示された場合は、手順 11 に進んでバックアウトを完了します。
エラーが発生した場合は、第 5 章「エラーメッセージ」を参照してください。
次のように実行してシステムをリブートします。
# sync ; reboot |
ログインプロンプトが表示されます。
ライブラリの衝突を防ぐために、MU4 をバックアウトした後に必ずシステムをリブートしてください。
ログイン名とパスワードを入力します。
login: login password: password |
backout_mu を使用してサーバーからディスクレスクライアントまたは AutoClient システム上にある Solaris 7 MU4 をバックアウトするには、次の手順に従います。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient システムを停止します。
special patch をバックアウトする必要があるかどうかを確認します。
「special patch のインストール」の手順に従って special patch をディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient システムにインストールしていない場合は、手順 3 に進んで、バックアウトを完了します。
「special patch のインストール」の手順に従って special patch をディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient システムにインストールしている場合は、パッチごとに次のコマンドを入力して、special patch をバックアウトする必要があります。
# patchrm -R /export/root/client_name patch_id |
client_name はディスクレスクライアントまたは AutoClient システムのホスト名、patch_id は special patch の ID です。
サーバー上で、次のようにクライアントのルートディレクトリを引数として指定して、MU4 のディレクトリにある backout_mu スクリプトを実行します。
クライアントのプラットフォームに対応する MU4 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory # ./backout_mu -R /export/root/client_name |
client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
MU4 CD から実行するには、CD をマウントし、次のように入力します。
# cd /cdrom/s7_maintenance_update_4_platform # ./backout_mu -R /export/root/client_name |
platform にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のアーキテクチャである sparc または x86、client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient システムのホスト名を指定します。
対象となるディスクレスクライアントまたは AutoClient システムごとにこの手順を繰り返します。
special patch をバックアウトする必要があるかどうかを確認します。
「special patch のインストール」の手順に従って special patch をサーバーのサービス領域にインストールしていない場合は、手順 6 に進んでバックアウトを完了します。
「special patch のインストール」の手順に従って special patch をサーバーのサービス領域にインストールしている場合は、パッチごとに次のコマンドを入力して、special patch をバックアウトする必要があります。
# patchrm -S Solaris_2.7 patch_id |
patch_id は special patch の ID です。
サーバーのサービス領域にある Solaris 7 MU4 をバックアウトします。パッチが適用されるサービス領域に対応する MU4 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory ./backout_mu -S Solaris_2.7 |
サービス領域をサーバーと共有している場合は、サーバーのルート領域から同じ MU のパッチセットも削除する必要があります。削除しないと、パッチが正しく適用されず、サーバーが不安定になります。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient システムをブートします。
「Net Install および Custom JumpStart をサポートするパッチのインストール」に記載されているように、 MU4 には Interactive Install および Custom JumpStart における問題を修正するパッチがいくつか含まれています。これらのパッチをインストールした場合は、次のコマンドを使用してそのパッチをバックアウトすることができます。
# patchrm path_to_OS_image/Solaris_2.7/Tools/Boot patch_id |
patch_id には、バックアウトするパッチの ID を指定します。 パッチ ID のリストは、表 2-5 および 表 2-6 を参照してください。