第 12 章 Directory Preparation Tool

この章では、Directory Preparation Tool を Java ES 2005Q4 (Release 4): Sun Java System Directory Preparation Tool 6.3 2005Q4 にアップグレードする方法について説明します。

ここでは、Java ES Release 4 でサポートされている各種のアップグレードパスでのアップグレードの問題と手順の概要について説明します。また、Solaris オペレーティングシステムと Linux オペレーティングシステムの両方でのアップグレードを取り上げます。

「Directory Preparation Tool のアップグレードの概要」

「Directory Preparation Tool の Java ES Release 3 からのアップグレード」

「Directory Preparation Tool の Java ES Release 2 からのアップグレード」



注	この章で説明するファイルの場所は、DirPrepTool-base というディレクトリパスを基準に指定されています。このパスの少なくとも一部は、Directory Preparation Tool が最初にインストールされたときにインストールディレクトリとして指定されている可能性があります。指定されていない場合、Java ES インストーラによってデフォルト値が割り当てられています。 DirPrepTool-base のデフォルト値は、オペレーティングシステムプラットフォームによって異なります。 Solaris: /opt/SUNWcomds Linux: /opt/sun/comms/dssetup

Directory Preparation Tool のアップグレードの概要

ここでは、Java ES 2005Q4 (Release 4) へのアップグレードに影響する Directory Preparation Tool の次の一般的な側面について説明します。

Java ES Release 4 Directory Preparation Tool について

Directory Preparation Tool のアップグレードロードマップ

Directory Preparation Tool のデータ

互換性の問題

Directory Preparation Tool の依存関係

Java ES Release 4 Directory Preparation Tool について

Directory Preparation Tool の Java ES Release 4 バージョンには、Release 4 の通信コンポーネント (Messaging Server、Calendar Server、Communications Express、および Delegated Administrator) が Directory Server を使用できるように準備するために必要ないくつかのマイナーな修正が含まれています。

詳細については、適切なリリースノートを参照してください。

Directory Preparation Tool のアップグレードロードマップ

表 12-1 は、サポートされている Directory Preparation Tool の Java ES Release 4 へのアップグレードパスを示しています。この表は、Solaris オペレーティングシステムと Linux オペレーティングシステムの両方に適用されます。

表 12-1 Java ES Release 4: Sun Java System Directory Preparation Tool 6.3 2005Q4 へのアップグレードパス
Java ES のリリース	Directory Preparation Tool のバージョン	一般的な手順	必要な再設定
Release 3	Sun Java System Directory Preparation Tool 6.2 2005Q1	直接アップグレード: パッチを適用することにより実行します。	Directory Server を Release 4 の通信コンポーネント用に準備します。
Release 2	comm_dssetup.pl script Version 6.1 Revision 0.2 (Messaging Server および Calendar Server に含まれる)	直接アップグレード: 開始パッチを適用し、次にアップグレードパッチを適用することにより実行します。	Directory Server を Release 4 の通信コンポーネント用に準備します。
Release 1	comm_dssetup.pl script (Messaging Server および Calendar Server に含まれる)	直接アップグレードは動作保証なし: ただし、開始パッチパッチを適用し、次にアップグレードパッチを適用することにより実行できます。	Directory Server を Release 4 の通信コンポーネント用に準備します。
それ以前の Java ES リリース	ims_dssetup.pl script (Messaging Server に含まれる)	直接アップグレード不可:

Directory Preparation Tool のデータ

次の表は、Directory Preparation Tool ソフトウェアのアップグレードにより影響を受ける可能性のあるデータの種類を示しています。

表 12-2 Directory Preparation Tool のデータの使用法
データの種類	場所	使用法
Directory Server スキーマ	Directory Server	Directory Server を Release 4 の通信コンポーネント用に準備: スキーマの変更、新しいエントリの作成、およびインデックスの作成

互換性の問題

Release 4 Directory Preparation Tool ではインタフェースの変更は導入されておらず、以前のバージョンと下位互換性があります。

Directory Preparation Tool の依存関係

Directory Preparation Tool は、Directory Server を除き、ほかの Java ES コンポーネントには依存しません。Directory Preparation Tool は、Java ES の通信コンポーネントで使用できるように Directory Server を設定するために使用されます。

Directory Preparation Tool の Java ES Release 3 からのアップグレード

ここでは、Directory Preparation Tool の Java ES 2005Q1 (Release 3) から Java ES 2005Q4 (Release 4) へのアップグレードについて説明します。この節で説明する内容は、次のとおりです。

はじめに

Release 3 Directory Preparation Tool のアップグレード

はじめに

Java ES Release 3 Directory Preparation Tool を Release 4 にアップグレードする場合は、アップグレード処理の次の側面を考慮してください。

一般的なアップグレード手順: このアップグレードは、Release 3 バージョンにパッチを適用することにより実行されます。次に、Directory Preparation Tool を使用して、Release 4 Messaging Server、Calendar Server、Communications Express、および Delegated Administrator コンポーネントに対するサポートの必要に応じて Directory Server を変更します。

アップグレードの依存関係: Directory Preparation Tool は Java ES 共有コンポーネントには依存せず、Release 3 Directory Server と互換性があります。したがって、Directory Server のアップグレードは、Directory Preparation Tool の Release 4 へのアップグレードに関しては省略可能です。

下位互換性: Release 4 Directory Preparation Tool は、Release 3 バージョンと下位互換性があります。

アップグレードのロールバック: Release 4 アップグレードの Release 3 へのロールバックは、アップグレード中に適用されたパッチを削除することにより行われます。次に、Directory Server に対して Release 3 Directory Preparation Tool を実行することにより、Release 4 バージョンによって加えられた変更をバックアウトできます。

プラットフォームの問題: Directory Preparation Tool をアップグレードするための一般的な手順は、Solaris オペレーティングシステムと Linux オペレーティングシステムのどちらでも同じですが、パッチの適用方法が異なります。そのため、アップグレードプロセスにはプラットフォーム固有の手順が含まれており、通常、Linux プラットフォームではパッチをロールバックできません。

Release 3 Directory Preparation Tool のアップグレード

ここでは、Solaris プラットフォームと Linux プラットフォームの両方で、Directory Preparation Tool の Java ES Release 3 から Java ES Release 4 へのアップグレードを実行する方法について説明します。プラットフォーム固有の手順に依存する項目には、その手順が適用されるオペレーティングシステムが示されています。この節で説明する内容は、次のとおりです。

アップグレード前の作業

Release 3 Directory Preparation Tool のアップグレード (Solaris)

Release 3 Directory Preparation Tool のアップグレード (Linux)

アップグレードの確認

アップグレード後の作業

アップグレードのロールバック (Solaris)

アップグレード前の作業

Directory Preparation Tool をアップグレードする前に、次に説明されている作業を実行してください。

現在のバージョン情報の確認

Directory Server に対して最後に実行された Directory Preparation Tool のバージョンは、このツールにより書き込まれた cn=CommServers,o=comms-config エントリの属性値を調べることにより確認できます。

このエントリには、現在のバージョンを指定する次の 2 つの属性が含まれています。

dssetup_ver=version (例: 6.3)

dssetup_rev=revision (例: 2.01)

このツールは、実行している Directory Preparation Tool のバージョンが、以前に実行されたバージョンと同じかそれ以前の場合にのみ、コンソールにメッセージを書き込みます。ツールの実行方法については、手順 5 (Solaris) または手順 5 (Linux) のアップグレード手順を参照してください。

Directory Preparation Tool が依存するコンポーネントのアップグレード

一般には、コンピュータシステム上 (および、コンピューティング環境内) のすべての Java ES コンポーネントを Java ES Release 4 にアップグレードすることをお勧めします。ただし、Directory Preparation Tool の Release 4 へのアップグレードは、ほかの Java ES コンポーネントには依存しません。

ディレクトリデータのバックアップ

Directory Preparation Tool を Release 3 から Release 4 にアップグレードしただけでは、Directory Server データは変更されません。ただし、安全策として、Directory Preparation Tool をアップグレードし、Directory Server に対して実行する前に Directory Server をバックアップすることをお勧めします。

必要な設定情報とパスワードの入手

Directory Preparation Tool をアップグレードするには、スーパーユーザーのパスワードが必要です。このツールは、以前の実行で使用されたパラメータ値を記憶しており、次回の実行時にはその値をデフォルトとして表示します。

Release 3 Directory Preparation Tool のアップグレード (Solaris)

ここでは、Directory Preparation Tool のアップグレード手順に影響する注意点を示したあと、その手順自体について説明します。

アップグレードの注意点 (Solaris)

Directory Preparation Tool ソフトウェアの Java ES Release 4 へのアップグレードでは、次の注意点を考慮に入れてください。

Release 3 Directory Preparation Tool は Directory Server とともにインストールされており、Directory Server をホストしている任意のコンピュータ上に存在します。

Directory Preparation Tool のアップグレードは、Messaging Server、Calendar Server、Communications Express、または Delegated Administrator コンポーネントで使用されているすべての Directory Server インスタンスをホストしているコンピュータ上で実行する必要があります。

Solaris OS での Release 4 Directory Preparation Tool のアップグレードパッチを次の表に示します。

表 12-3 Solaris で Directory Preparation Tool をアップグレードするためのパッチ1
説明	SPARC Solaris 8、9、10	x86 Solaris 9、10
Directory Preparation Tool (DSSETUP)	118245-05	118246-05

1この表に示されているパッチのリビジョン番号は、Java ES Release 4 にアップグレードするための最低要件です。表に記載されているものよりも新しいリビジョンのパッチが使用可能になった場合は、新しいほうのパッチを使用してください。

アップグレード手順 (Solaris)

次に示す手順は、Directory Server が存在するコンピュータにインストールされた Directory Preparation Tool に適用されます。

表 12-3 に基づいて、必要なパッチを入手します。

パッチは http://sunsolve.sun.com/pub-cgi/show.pl?target=patches/patch-access から /tmp にダウンロードできます。

root としてログインするか、スーパーユーザーになります。

su -

表 12-3 の適切な Directory Preparation Tool のパッチを適用します。

patchadd patch_ID

パッチのアップグレードが成功したことを確認します。

showrev -p | grep patch_ID

この出力では、手順 3 で適用したパッチ ID のバージョンが返されるはずです。

Directory Server に対して Directory Preparation Tool を実行します。

Directory Server が稼働していることを確認します。

Directory Preparation Tool が格納されているディレクトリに移動します。

cd DirPrepTool-base/sbin

Directory Preparation Tool (comm_dssetup.pl Perl スクリプト) を実行します。

perl comm_dssetup.pl

スクリプトに必要なパラメータを指定します。

Release 3 Directory Preparation Tool のアップグレード (Linux)

ここでは、Directory Preparation Tool のアップグレード手順に影響する注意点を示したあと、その手順自体について説明します。

アップグレードの注意点 (Linux)

Linux プラットフォームで Directory Preparation Tool ソフトウェアを Java ES Release 4 にアップグレードするときは、Linux の Release 4 アップグレードパッチが Solaris のパッチとは異なる点を除き、Solaris プラットフォームのときと同じ注意点 (「アップグレードの注意点 (Solaris)」を参照) を考慮に入れてください。

Linux OS での Release 4 Directory Preparation Tool のアップグレードパッチを次の表に示します。

表 12-4 Linux で Directory Preparation Tool をアップグレードするためのパッチ1
説明	パッチ ID と RPM 名
Directory Preparation Tool (DSSETUP)	118247-05 sun-comms-dssetup-6.3-2.5.i386.rpm

アップグレード手順 (Linux)

次に示す手順は、Directory Server が存在するコンピュータ上の Directory Preparation Tool インストールイメージに適用されます。


注意	Linux での Java ES Release 3 から Java ES Release 4 へのアップグレードはロールバックできません。

表 12-4 のパッチ番号と RPM 名に基づいて、必要なパッチを入手します。この情報を参照して、RPM のバージョン番号を確認してください。

パッチは http://sunsolve.sun.com/pub-cgi/show.pl?target=patches/patch-access から /tmp にダウンロードできます。

root としてログインするか、スーパーユーザーになります。

su -

表 12-4 の Directory Preparation Tool の RPM を適用します。

rpm -Uvh sun-comms-dssetup-6.3-2.5.i386.rpm

アップグレードが成功したことを確認します。

rpm -q sun-comms-dssetup

RPM の新しいバージョン番号が返されることを確認します。

Directory Server に対して Directory Preparation Tool を実行します。

Directory Server が稼働していることを確認します。

Directory Preparation Tool が格納されているディレクトリに移動します。

cd DirPrepTool-base/sbin

Directory Preparation Tool (comm_dssetup.pl Perl スクリプト) を実行します。

perl comm_dssetup.pl

スクリプトに必要なパラメータを指定します。

アップグレードの確認

Directory Preparation Tool が正常にアップグレードされ、ディレクトリスキーマが拡張されたかどうかは、スクリプトの実行時に作成されたログファイルを調べることにより確認できます。このログファイルは、次の場所に格納されています。

アップグレード後の作業

アップグレードのロールバック (Solaris)

ここでは、Directory Preparation Tool のアップグレードのロールバック手順に影響する注意点を示したあと、その手順自体について説明します。

ロールバックの注意点 (Solaris)

Directory Preparation Tool の Release 4 へのアップグレードをロールバックする手順は、Release 4 にアップグレードする手順の逆になります。ただし、Directory Preparation Tool によって加えられた変更の中には、Directory Server スキーマへの変更が含まれています。これらの変更は、次に説明するロールバック手順ではバックアウトされませんが、スキーマの変更は下位互換性があります。

ロールバック手順 (Solaris)

root としてログインするか、スーパーユーザーになります。

su -

表 12-3 のパッチを削除します。

patchrm patch_ID

Directory Server に対して、ロールバックされた Directory Preparation Tool を実行します。

インデックスを含む Directory Server の変更は以前の状態に復元されますが、スキーマの変更はそのまま残ります。スキーマの変更は下位互換性があるため、スキーマの拡張に悪影響はありません。

Directory Preparation Tool の Java ES Release 2 からのアップグレード

Java ES 2004Q2 (Release 2) Directory Preparation Tool を Release 4 にアップグレードする手順は、次の例外を除き、Release 3 Directory Preparation Tool の Release 4 へのアップグレードとほぼ同じです。

Java ES Release 2 では、Directory Preparation Tool (そのときの名称は comm_dssetup) は Messaging Server および Calendar Server に含まれており、別のパッケージとしてはインストールされませんでした。したがって、Directory Server をホストしているコンピュータには、Directory Preparation Tool のインストールされたパッケージや RPM は存在しません。このため、Release 2 から Release 4 にアップグレードするには、Directory Preparation Tool パッケージをインストールする必要があります。

Solaris プラットフォームでは、完全な Directory Preparation Tool ソフトウェアを含む DPT パッケージが開始パッチとしてインストールされます。次に、Release 4 にアップグレードするためのパッチを適用します。

Linux プラットフォームでは、Release 4 パッケージが直接インストールされます。

Release 2 Directory Preparation Tool から Release 4 へのアップグレードは、「Directory Preparation Tool の Java ES Release 3 からのアップグレード」で説明されている手順とほぼ同じです。アップグレード前とアップグレード後の注意点も、手順に示されている Release 3 をすべて Release 2 に置き換えることを除いて同じです。ただし、具体的なアップグレード手順は次の節で説明されています。

Release 2 のアップグレード手順 (Solaris)

次に示す手順は、Directory Server が存在するコンピュータにインストールされた Directory Preparation Tool に適用されます。

次の表に基づいて、必要な開始パッチを入手します。

表 12-5 Solaris で Directory Preparation Tool をアップグレードするための開始パッチ1
説明	SPARC Solaris 8、9、10	x86 Solaris 9、10
Directory Preparation Tool (DSSETUP)	118242-03	118243-03

パッチは http://sunsolve.sun.com/pub-cgi/show.pl?target=patches/patch-access から /tmp にダウンロードできます。

root としてログインするか、スーパーユーザーになります。

su -

表 12-5 の Directory Preparation Tool の開始パッチを適用します。

patchadd patch_ID

表 12-3 に基づいて、必要なアップグレードパッチを入手します。

パッチは http://sunsolve.sun.com/pub-cgi/show.pl?target=patches/patch-access から /tmp にダウンロードできます。

表 12-3 の適切な Directory Preparation Tool のアップグレードパッチを適用します。

patchadd patch_ID

パッチのアップグレードが成功したことを確認します。

showrev -p | grep patch_ID

この出力では、手順 5 で適用したパッチ ID のバージョンが返されるはずです。

Directory Server に対して Directory Preparation Tool を実行します。

Directory Server が稼働していることを確認します。

Directory Preparation Tool が格納されているディレクトリに移動します。

cd DirPrepTool-base/sbin

Directory Preparation Tool (comm_dssetup.pl Perl スクリプト) を実行します。

perl comm_dssetup.pl

スクリプトに必要なパラメータを指定します。

Release 2 のアップグレード手順 (Linux)

次に示す手順は、Directory Server が存在するコンピュータにインストールされた Directory Preparation Tool に適用されます。

root としてログインするか、スーパーユーザーになります。

su -

表 12-4 のパッチ番号と RPM 名に基づいて、必要なアップグレードパッチを入手します。

パッチは http://sunsolve.sun.com/pub-cgi/show.pl?target=patches/patch-access から /tmp にダウンロードできます。

表 12-4 の Directory Preparation Tool のアップグレード RPM を適用します。

rpm -Uvh sun-comms-dssetup-6.3-2.5.i386.rpm

アップグレードが成功したことを確認します。

rpm -q sun-comms-dssetup

RPM の新しいバージョン番号が返されることを確認します。

Directory Server に対して Directory Preparation Tool を実行します。

Directory Server が稼働していることを確認します。

Directory Preparation Tool が格納されているディレクトリに移動します。

cd DirPrepTool-base/sbin

Directory Preparation Tool (comm_dssetup.pl Perl スクリプト) を実行します。

perl comm_dssetup.pl

スクリプトに必要なパラメータを指定します。

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Sun Java Enterprise System 2005Q4 アップグレードガイド